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銅管呼び径のややこしさを説明したい [含蓄まがいの無用な知識]

 銅管で行う配管を大別すると燃料,給湯,冷媒と僅かに蒸気が思いつく。燃料と蒸気のことは脇に置いておくとして,俺が関わることが多いのは給湯と冷媒の二つとなる。
 そして,現場経験のあまりない諸兄にとっては意外かもしれないが一人の設備業者が給湯管と冷媒管の工事の両方を申し分なく行えることはまずない。出来ても片方はおまけ程度のスキルしかない。
 所謂冷凍機屋さんについては俺の周辺をみる限り銅管による給湯配管工事を行わない。当然,そのための材料も持っていない。一見,単なる銅のパイプでしかないのだが継ぎ手を含めて実は給湯用と冷媒用では厳格に区別されており、冷媒用は給湯用に比べて銅の純度が高く,配管自体の肉厚があって同一の呼び径であった場合は当然価格が高い。使用圧力が高く、内部の流体は塩素を含んでたりもするので材質の品位は高くなければならない。,

 配管材料というのはその発展の歴史的経緯から呼び径の基準はインチである。1インチを8等分或いは16等分して分数で表す。例えば1/2と記述された材料は4/8と同値であり「よんぶ」と呼称される。ミリ換算すると13mmである。
 そしてここから話はややこしくなる。
問屋での扱いで,給湯用の銅管はミリ単位で呼称され,その呼び径は内径で表される。
一方で冷媒用の銅管はインチ単位で呼称され,その呼び径は外径で表される。
 給湯,冷媒いずれか一方だけの工事を行う業者であればそれ迄の習慣に従って材料を仕入れていればいいだけの話なのだが俺のように不規則に両方の配管を触るものにとってはしばしば混乱を招く。

 例えば,銅の直管には22.2mmとその表面に印字されている。これはその内径が約20mmであることを示しており,給湯配管を行う設備工事業者にとって、強いてインチの呼び径で表すと6/8(ろくぶ)と呼称される。
 しかし冷凍機業者にとって22.2mmという数字はそのまま7/8(ななぶ)であると理解される。1サイズずれるのだ。これはそのままスライドされる。設備業者にとっての4/8(よんぶ)は冷凍機業者にとって5/8(ごぶ)というふうになる。

 俺個人はそもそも冷蔵庫の修理から職務の経歴は始まっているので銅管の呼び径は冷凍機業者としての習慣が身体に刷り込まれている。
 ところで俺が日頃材料を仕入れる設備資材の問屋は扱いの中心が水道配管資材であり,冷媒管の資材は随時取り寄せとなるから銅管の呼び径がミリ単位でやり取りされることが一般的だ。
 そして大体誰でもそうだと思うが,一見,同じように見える材料を用途によって単位を換算したり内径外径の区分けを頭の中で行うのは結構ややこしい。
 だからその問屋では,例えばエアコンの配管に使うペアコイルのなまし銅管も給湯用の銅管と同じようにミリ単位の外径で呼び径を認識しているらしいのだ。

 そういうところに俺のような者が材料を仕入れに行ってフロントで配管の呼び径をインチで単位で伝えると、これを受けた社員は頭の中でミリに換算してはいはいと,その材料を出してくるがそれは俺の伝えたイメージから必ず1サイズ小さく、現物を見た俺と社員との間ではサイズが違うとか違わないとかいったやり取りが起きる。

 ここは日本であり,標準的にはミリ単位で統一してやり取りすることでそういった齟齬の一面は解消されるのだが水道業者と冷凍機屋との間では内径と外径で刷り込みが異なるという習慣は変わらず,例えば冷凍業界で配管呼び径を水道業者と統一しようという風潮は今のところ全くない。

 配管の呼び径に限った話でなく,規格や単位と言うのは一度意識に刷り込まれると意識を切り替えるのが本当に難しい。圧力を示すPa(パスカル)という単位もSI単位系で20年以上も前に規定されているにも拘らず俺と同年代の人達との間ではいまだについつい圧力ゲージの指示値を頭の中で読み替えてkg/cm(平方センチを記号で呼び出せないのでとりあえずこう書く)でやり取りしている。だから俺と問屋との間で起こる齟齬も解消される見通しは今のところない。
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フロン22値上げのアナウンス [含蓄まがいの無用な知識]

 仕入れ元から連絡があり,そろそろR-22は30%くらいの値上がりがあるとのことだ。

 25年くらい前から冷媒の規制が始まって以来、万能選手ぶりを遺憾なく発揮して大変重宝し続けてきたR-22だがあくまで代替フロンなのでそろそろ製造中止までのカウントダウンが始まる。
 三井デュポンケミカルでは減産が始まっており、2020年に製造中止が決定した。輸入もできないので万事休すかと心配する昨今だが、仕事仲間の情報によれば代替冷媒がリリースされるのはほぼ間違いないので大丈夫との事だ。

 標準的な冷媒は迷走を続けており、エアコンで使われるR-410Aの将来も不透明だ。ダイキン主導のR-32も業界全体では必ずしも足並みが揃っていないとの風聞があり、何だか訳が分からん状況だ。冷媒の製造は世界的な規模で連動するのがこれまでの通例で、大勢を決するのはやはりデュポンやハネウェルといった米国勢だと俺は見ているのだがそちら筋からの情報は俺のところにはまるっきり届いていない。
 俺は厨房屋なのでエアコンの仕事はさほどなく、R-410AやR-32がらみのゴタゴタや不透明な将来については関係ないものだと高をくくっていたのだが,保冷庫に使う冷凍機にもR-410Aはあるらしく、あながち他人事と高みの見物を決め込むわけにも行かないようだ。

 エアコンについては寒冷地での暖房性能に期待できないR-22使用機はかなりリプレースが進んでいるものの店舗冷設などでの使用機器はまだまだ根強く、まだ50%以上が既存機器として稼働中だし、封入量が100kg以上にもなるような大型機が沢山あるのでそう簡単にバッサリ切り捨てるわけにはいかないのが現状だから代替冷媒はやはり出しておかないと市場が混乱する。

 問題なのは代替冷媒の値段と、どういう重量単位で販売されるのかだ。
R-502の代替品としてリリースされていたTP5R2は20kgボンベでしか供給されず、しかも値段は20万以上もしたので修理屋としてはお手上げ状態で事実上、修繕見送りが相次いだ。
 腕のある修理屋は膨張弁やオイルをR-22仕様に換えてR-502と同等の特性を引き出し、乗り切ったが俺程度の腕では到底無理な芸当だ。但し幾ら何でも今日日、何が何でもR-502の機器類をこれから先も使い続けたいなどという奇特な使用者はもういないだろう。

 R-502とその代替冷媒はさておき,R-22使用機器については代替冷媒の価格如何で市場で稼働中の機器類のリプレース需要が大きく左右されると俺は予想しているが,あまり高価だと案外,R-407AとかR-410Aとかいった低圧側の特性が似た別の冷媒に入れ替えることにトライする猛者がこっそり出現してきそうな気がする。
いずれにせよ,当面供給されるR-22の値上がり分は請求書に転嫁させてもらわないとならないのは不可避である。
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過ぎたるは及ばざるが如し [日記、雑感]

 この稼業の殆ど唯一の役得は得意先でタダの食事やおまけの一品にありつけることだとこれ迄何度か書いた。
但しそれは今よりずっと食い意地の張っていた若い頃のことであって今となっては有難迷惑なときもある。そんな風にして自分が段々歳をとっていくことを実感するのだろう。

 このブログを初めて間もない頃にも今回書こうとしているのと似たような記事を書いていたことを思い出した。
記事名:有り難いような困ったようなランチの話
記事URL:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2007-07-22
 今から7年前のことで、このときはおよそ1ポンドのサーロインステーキだった。
当時俺は必死の思いで何とか平らげたのだが、その後の俺の馬力は坂道を転げ落ちるように低下し,今では1ポンドのステーキを残さず食べるのが無理なのは勿論のこと,その半分でも心許ないだろうと思う。

 今日の昼食を俺は得意先であるところの某蕎麦屋さんで摂ることにした。
昨年,仕事仲間である冷凍機屋さんからの紹介で稼働歴20何年かのホシザキの食器洗浄機の修理に来たことのある店だ。
 オーナー殿は俺の顔を憶えているらしく,入店した俺と視線が合うと慌ただしいランチタイムであるにも関わらず手を止め,相好を崩して声をかけてきた。嬉しいような照れ臭いような気分でテーブルについてオーダーを済まして少し経つとかき揚げ丼とたぬき蕎麦のセットメニューが出てきた。
 かき揚げが大変大きいので俺はびっくりしてホール係の顔を覗き込むと「かき揚げは大きくしといたそうです」との返事で,カウンターの奥に視線を移すとオーナー殿が俺の方を見てニヤニヤしている。俺は軽く会釈してからこれから俺が食べようとしているランチの丼に乗っかったかき揚げのでかさにあらためて見入った。

 俺はそのかき揚げの直径と厚みから、日頃食品スーパーのデリカ売り場で買うかき揚げの何倍の体積であるかを暗算していた。
 何しろもう,圧倒的にでかい。文句あるかと言わんばかりにでかい。目視では大体直径200mm,厚みは50mmは下らない。丼から豪快にはみ出したそのかき揚げは見ているだけで腹一杯になりそうにでかかった。俺は必死の思いでその昼食を平らげ,オーナーにお礼を言って会計を済ませて暗い予感を抱えながらその店を出た。

 予想通り,午後からの俺はグダグダ状態で過ごし,仕事は歴然たるペースダウンを迫られた。そのかき揚げの大きさは現在の俺の消化吸収能力を明らかにオーバーしていたので俺の身体は鉛のように重く,鈍くなり,仕事の最中俺は近間の薬局で胃薬を買い込んで仕事に復帰した次第だ。
 恐るべき充実度とサイズのかき揚げはその後,夜迄俺の胃袋に居座り続けた。夕食を摂らずに自宅でゴロゴロしながら俺は今日,自分の脂肪摂取量がどれくらいだったのかを想像しながらこのテキストを書いている。おそらく常識的な値の3倍くらいはいっているのではないだろうか。

 大変有り難いご好意の表れではあるが,今の俺にはそれを受け止められるだけの体力がもうない。ここしばらくこのブログではいつも繰り返す決まり文句をここでもまた繰り返す。俺はもう若くはないのだ。
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肩すかし [困った業者]

 前回記事の顛末を書いておく。

記事名:気乗りしないオファーのこと
記事URL:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01

 結論から書くとこのオファーは流れた。
商売ネタが一つなくなった残念さよりも面倒事を回避できた安心感の方が大きい。これは決して負け惜しみで言っているのではない。

 今日,約束通りの時間にその業者のところを訪ねると整備の担当と思しき人物が気まずそうな顔つきで出てきて、上のようなことを俺に告げた。
 スチームジェネレーターの満水感知がされないのが俺への依頼内容だったが,他にも色々外装などに劣化や消耗があるので現地法人に送り返して整備してもらうのだという。機体は木枠にPPバンドで縛り付けられており,発送を待っている状態だったので俺は特に何か食い下がることもなく了解した。

 そもそも、リサイクルショップの作業場でスチームコンベクションの動作確認が可能なものかが俺には大いに疑問だ。
CM 101 rabljen.jpg

 上の画像の機種はCM-101といい、フルサイズのホテルパンが10段収納可能なサイズだがヒーター負荷の電気容量は18kwあるので発熱量が最大時には約53Aの線電流が流れる事になる。分電盤からの屋内配線VVFケーブルの太さは直径3.2mm以上で4mmでもおかしくはない。開閉器の容量は75A,電源ケーブルは14㎟を要する。リサイクルショップでそれほどの電気設備を備えているところは俺の住む土地にはない。

 実のところ、先日は生返事でオファーを引き受けはしたもののこれは安くならないな、と心配だった。件のリサイクルショップでの動作確認はヒーターの配線を取り外した状態で、制御回路と庫内ファンモーター位しかできず、本当の試運転はその機体が売れて設置工事が済んでからでないと不可能だから2回出かけなければならない。経費請求を2回に分けて行う事はできるのか。
 気乗りがしない、というのはそういうややこしさを勘案しての事だったので、正直言って今回のキャンセルには少し安心している。繰り返すがこれは負け惜しみではない。

 それにしてもふざけた連中だ。
取りやめなら取りやめで連絡くらい寄越しても良さそうなものではないか。どうも俺の知る範囲での中古品業者と俺は波長が合わない。その依頼はいつも突発的で、実地検分もろくにしていないうちから結論をせがみ、自分らの責任逃れのための伏線張りには余念がなく、プロセスの至る所にグレーゾーンがあって稼働後には必ずと言っていいほど何かしらの水掛け論が発生する。
 俺はなるべくこの手の輩とは関わらずに開業してからの時間を過ごして来たのでその手の揉め事に巻き込まれた事は大変少ないが、あちこちのメーカーから度々聞く伝聞ではそういう事が大変多いらしいのだ。

 しかし実相としては機材の購入希望者がまず最初にリサーチに脚を運ぶのはこれらリサイクル業者の店舗である。何と言っても印刷物の写真ではなく実体を間近に見られるのだからわかりやすいのだろう。しかしバイヤーというのはあらかた飲食店のオーナーであって機器類の専門知識があるわけでなし、ましてや周辺環境の知識があるわけでもない。ただ何でもいいから安いものが欲しいだけの連中だ。
 売る方も売る方で外観の美装はそれなりに行き届いてはいるものの、その機器の現在のメーカーや輸入元でのサポート状況だとか昨日パーツの劣化状況だとかいったところまでチェックが行き渡っているのかというと大いに疑わしい。大半の業者は買い取る時点まではその現場で動いていたから内部の機能点検までは確認しなくても現状渡しで大丈夫だろう、といった程度の憶測で販売しているのが実態ではないのか。
 現にこれまで、俺がこれまで何度か代理入札などで購入した事のある中古機材には必ず何かしらの瑕疵があった。色々書き始めるときりがないのだが、どうも俺にはこれまで一件を除いて、リサイクル業者というのはロクな手合いに会った事がない。
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気乗りしないオファーのこと [困った業者]

 何についても例外はあり,例えば技術力があってきちんとした整備を心がける中古厨房機器業者の存在を俺は疑う者ではないが,少なくとも俺の生息地にはそういう業者はいない。

 以前,コメットカトウの旧型のスチームコンベクションの整備を行った地元のリサイクル業者からおよそ一年ぶりくらいに整備の依頼が来た。金銭面については物わかりのいい業者だがその見識は大いに疑わしい。

関連記事名:理科の時間だぜ
記事URL:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2014-01-29

依頼の機器とはドイツRationalのCM-101というスチームコンベクションオーブン(以下,スチコンと略す)で、こういう姿をしている。
CM 101 rabljen.jpg


 日本で最初に普及し始めたのがこの機種で今から四半世紀以上も前のことだ。
当時,国内の厨房機器メーカーには自力でスチコンを開発どころか発想する力もなく,現在に至る迄全ての国内メーカーはRationalか,そうでなければFMIが輸入元となっている同じくドイツのコンボテルム社のオーブン、コンボスターの劣化コピー機をこそ泥のようにして作り続け,日本という閉鎖的な島国市場で「だけ」チマチマと売り続けている。日本の技術が素晴らしい,世界一だなどと喚き立てて中国製の工業製品を嘲笑したがる奴が近年は多いがそういう奴には大体,理工系の系統だった勉強をしてきたとか、技術職としての経歴を積んできた奴はいない。そういう言い草の根拠は大体,テレビで見たどっかの町工場のドキュメンタリー番組に安っぽく感動してのぼせ上がったことに由来している。
 大体,「日本の技術」と言ったってそれは一体どういう工業分野をさすのか。優れたものは勿論沢山あるがそうでないものもある。当たり前の話だ。現に俺が年に一度くらい会って晩飯を食う東京在住のラショナル社のスーパーバイザーは国内製品などいつも鼻先でせせら笑っている。

 脱線したので話を元に戻す。
 この機種は20年以上も前に生産終了しており,現在,補修パーツが完備されているかが疑わしい。俺が会社員だった頃既に幾つかの補修パーツについては在庫払底のために今後のサポ−トが出来ない旨のアナウンスがあった。
 更に困ったことには現在,俺の周辺をみる限りではこの頃のラショナル製品を申し分なくいじり倒せる修理屋はほぼ絶滅に近い。CM-101が市場で沢山稼働していた頃、現役第一線だったサービスマンの年齢層は現在では50歳以上となっているはずだ。
 俺が会社員だった頃にトラブルシューティングの手ほどきをしてくださった室長はとうの昔に定年退職しているし、同年代で腕前を競い合ったサービスマンの中には既に存命していない方迄いる。現在30代のサービスマンにとっては触ったことも見たこともない者も珍しくない。そういう機種だ。

 一体この中古屋は,そういう状況をどれくらいわかっていてこの機種に関わっているのか。わけもわからずにとにかく買い取り,面倒事は携帯電話一本で誰かに丸投げして押し付けた上でとにかくミソでもクソでもいいから一応商品の体裁を整えてから何かしらのマージンを乗っけてどこかに売り抜けたい,どうせその程度の魂胆だろう。いい商売だわ。

 商売として受けた以上,手抜きの嘘八百、舌先三寸で点検料だけを頂いてさようならなどということをするつもりはないがしかし、仮に万事上首尾となって目出度くし運転成功となったところで,四半世紀も前のスチコンを一体幾らで売りつけたいのか。いつもこのブログに俺は書くが厨房機材にビンテージなどという価値観はないのだ。
 他人の商売に対して越権みたいなことをあまり言いたくはないがこんな代物は売る方も売る方だが買う方も買う方だな。どうなろうが俺は知らんぞ。明日,その個体と俺はご対面することになる。
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若い者との共同作業で己の老いを察する [日記、雑感]

 この記事は先週末21日から22日にかけて書き始めたものに補記した。文字だけで全てを伝えるのは難儀だと今更ながら思うが,まとまった量のテキストを一気に書き上げるのもなかなかエネルギーを要するものであり,その辺の馬力も低下傾向かと自分の衰えを感じ始めてもいる次第。 

 当然の話だが人間段々歳をとっていくもんだ。
同年代の知人達との日頃の雑談中,段々持病のことだとか年金のことが話題に上がることが増えてきた。俺はもう,そういう年齢に達しつつあると言うわけだな。

 今週末は疲れが取れず,身体のあちこちが筋肉痛を起こしてガチガチに硬い。三日経ってもこんな塩梅であるところに俺は確実に自分の馬力の衰えを実感するわけだがこれは19日木曜日の作業のせいだ。
 その日俺は元の職場の若い衆と二人で某リゾート施設に食器洗浄機の修理に入った。2タンクのコンベアー洗浄機で,作業内容は洗浄ポンプの交換で、その重量は30kgは有に超えるだろうというデカブツだ。夕食と朝食の会場であるホールのバックヤードにその食器洗浄機はあり、約500人分の食器を洗う。繁忙期での故障であり、色々な意味で切羽詰まっている。

 ポンプはインテークの鋳物製タンクと吐出側の同じく鋳物製のヘッダーとの3つがボルトで連結されており、合計すると間違いなく60kgを超えるのでとても一人の腕力では脱着などできず、2名作業となった。

 俺の現場ではないので作業中の状況を画像として記録しておく事を今回はしていない。文字だけで詳細を伝えるだけの文才が俺にはないので、実作業のディティールは今回詳述する事はできない。

 結論から言うとこの作業は不調に終わった。若い衆と俺は近日中に修理未完部分の手直しに近々再訪問する事になる。作業時間は実に7時間半に及び,これは事前の作業工程予測が大幅に狂ったことを表している。実際,撤収時刻が午後9時半となり現場の方には大変ご迷惑をかけてしまった。
 事前に予測されていた問題点がそのまま露呈し、作業の長時間化に至ってしまったわけだが列記すると以下のような事になる。
(1)コンベアータイプの食器洗浄機は設置計画時に整備性が決まる。壁沿いに設置する場合は必ず背面に300mm以上のバックスペースを空けないと下部の配管やポンプを弄る時に地獄を見る。
 機種にもよるがほぼ全てのコンベアータイプはポンプ周りを整備する時には正面と背面からの二名作業で行う事を想定している。300mmというのは人の身体の厚みの大体の寸法だ。身体を横にして洗浄機の背面に入り込めるスペースがないと全ての作業は正面から行わなくてはならず、場合によっては手も足も出ない。駆動系の減速機やチェーンも奥まったところに組み付けられている場合がある。
 アンダーカウンタータイプならいざ知らず,コンベアータイプともなれば本体重量は300kgを軽く超え、配管接続を全て切り離して本体をずらすことには全く現実味はない設置計画なり機種選定がその後の整備性を決定づけることになる。どう置いても良い、後はサービスマンが何とかしてくれるだろうとは考えて頂きたくない。

(2)蒸気や排水の鉄管配管,ユニオン接続の分解は潔く諦めて壊せ。
 金属管の配管接続に使われるユニオンという継ぎ手があり、下の画像のような形状をしている。
KIT1_069.jpg

 今回作業のケースでいうと,ポンプ周辺の配管接続には呼び径40Aのユニオンが多数使用されていた。組みつけの際には450mmくらいのパイプレンチが必要なごつい継ぎ手だ。
 既にご存知の諸兄は多数おられると思うが,鉄の最も錆びやすい温度帯は60℃近辺であり,食器洗浄機の洗浄タンク排水温度はこれと見事に一致する。しかも洗浄タンクからのオーバーブローには塩分なども含まれているので10年かそこら稼働した個体だと鉄管排水の接続部に使われているユニオンはガチガチに錆ついており,焼こうが叩こうがおよそ人力で分解できるような代物ではなくなっているのだ。
 だから作業内容の中に排水配管(鉄管)の分解が含まれていて事前に作業費の積算を行う時にはそのユニオンを分解して再利用しようなどとは考えるべきでない。潔くグラインダーでぶった切り,新たな継ぎ手を使って組み直すと考えておいた方が無難だ。まるまる一日を費やして一箇所の配管接続を分解するだけの余裕が与えられている現場はまずないし,継ぎ手一個分の仕入れ価格と引き換えに時間を消費して筋肉痛に悩まされるのは現実的でない。
 俺は過去に於いてこの件で随分痛い目に遭ったのでそれを一種,教訓としてその場に臨むことにしている。元の職場の若い衆に事前に忠告してはおいたが現実に自分が痛い目に遭わないと他人のいうことを真剣に聞く気にはなれないもののようだ。これが二度目だが元の職場の若い衆は焦ったり凹んだりしながら現在,学習中である。若い衆よ,大人の言うことは聞いとくもんだぞ。

(3)ポンプをはずす時間と組み付ける時間はイコールではなく、多くは後者に物凄く時間がかかる。
全てのコンベアータイプ洗浄機がそうだとは言わないが,俺の経験上では国内メーカーの製造する食器洗浄機は10年かそこら稼働しているとほぼ間違いなくタンクやフレームが歪んでいる。
 だから一旦,ポンプを取り外してから新しいポンプを取付けようとすると大概ボルト穴が合わず、作業は大いに難航する。四苦八苦した挙げ句にどうにかこうにか取付けても,そもそも歪んだ面に無理矢理組み込んだものなので合わせ面から水漏れが遭ったりして再度やり直しの憂き目に遭うのは珍しくない。
 そもそも日本の厨房機材のメーカーなどというのはその大半が板金屋を出発点としている。輸入機械を一台買い込んで分解し,それをお手本にして自分たちが見よう見まねで作った箱に寄せ集めのパーツを組み込んでいるに過ぎない。本来的に機械メーカーではないのである。
 コンベアーを搬送させればそこで応力が発生するし,タンクには100ℓ以上のお湯が入っているのだから運転中にはタンク一個あたり100kgの重力が働いている。それらを受け止める筐体という発想に基づいて製品開発を行っている国内メーカーは俺の知る限り殆どなく,唯一の例外はIHIだが既に事業は譲渡済みである。

 顛末としてはどうにかこうにか,もたつく作業に従業員達の顰蹙を買いながら区切りは付けたものの食器洗浄機は動かすことが出来た。
 先にも書いたが所要時間は7時間半で、最近では珍しいロングマッチとなった。某うどんのチェーン店での茹で釜の整備以来ではないだろうか。
 未熟ながらも体力はある若い衆との共同作業だったので長いこと気を張り続けてはいたが,これが自分一人での修理作業だったら果たして7時間半もの長時間にわたって作業を続けていられたかどうかについては余り自信がない。何だかんだ理由を作って使用者を言いくるめ,作業は中断して後日完了予定,というふうに協議をまとめることも場合によっては出来なくもない。そういう話術も年の功のなせる技だが技術屋の端くれとしては奥の手であって,若い衆に置いてけぼりを食わないよう老骨に鞭打って頑張れるだけ頑張るのが正道だろう。

 それなりの経験年数を積み上げて場数を踏んだ上で感じることだが,厨房機器メーカーのサービスマンの一般的な傾向として,それなりの経験則を身体で憶えてはいても基礎的な物理現象については知識のない者が多い。また,機器の内部については経験則に根差した程度の知識はあっても周辺環境との適合性に関する知識のない者が多い。
 上から目線で偉そうなことを書いてはいるが,実のところこの俺もあんちゃんの頃はそういう程度の修理屋でしかなかった。それで随分時間を浪費し,使用者の顰蹙を買い,散々赤っ恥をかいた。若い衆と共同で作業をしているとその危なっかしさや心許なさが目につくが自分の若い頃の姿とダブるところは大いにある。それを言い換えると若い衆の未熟さが目につく程度に俺は於いた。体力は落ち,その代わりにある種の知恵は幾つか身に付いた。歳をとるというのはそういうことなのだろう。全てを兼ね備えた存在であったことは自分の人生に於いてはなかったことになる。
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管理人としてコメンテーターに対するステートメントらしき事 [グルメ気取りのバカを晒す]

 俺は生来ずぼらな性分だが、このブログに頂いたコメントについてはできるだけスルーせずに真面目に返信する事にしている。
 大体ブログなどというものは無人の荒野で独り喚き散らしているようなもので、ある意味虚しい行為だが何か対象化したい事があるからこうして文字を連ねているわけだから、それに対してどなたかが反応してくださった結果がコメントであるのならば、その方が時間を割いて読んで頂いた事に対するお礼の返事くらいはしておこうと俺は思うのだ。

 尤も、わりかし律儀に返信を書けるのは寄せて頂くコメント数が俺の対応能力の範囲内であるからだろう。もしも毎日50も60もコメントがあったらとても対応しきれたものではないが、それほど多くの読者数があるブログではないのでそのような事はこれから先も起こらない。
 
 幸い、このブログには所謂荒らしの類いの輩が登場する事があまりなく、これまで炎上した事もないが、何と言ってもここはネット上なので不心得なクルクルパーの来訪が皆無というわけでもない。
 荒らしに対する俺の姿勢は即刻削除とするか返信は書かずに晒し続けるかのいずれか、という事にしているが文字では反応しない事にしている。

 ところで以前、尻切れとんぼになったままの記事があり、そのまま放置されていたのだが最近あるときこのようなコメントがHNも思い出せないような名無しの権兵衛からあったので即刻削除した。

その記事はこれ 記事名:食べログなんてのはバカの宝庫だぜ
記事URL:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2013-01-16

名無し野郎から投げ込まれたコメントはこのようなものだ。
やかましいわボケ

そのコメントは先月か先々月に書き込まれたと記憶している。2年も前の記事をほじくり返してだしぬけにこのコメントだから俺も少々面食らったのだが、普通に考えてこの輩はこのブログを継続的に読んでくださっている方々の範疇に入っていない。このブログをきっかけに実際の面識ができ、交流を持つに至った方もいらっしゃるが間違いなく俺とこの輩との間には将来そういうことは起こらない。

 いちいち立腹する値もないようなくだらん話だが、こういう物陰から石を投げつけてさっさとずらかる薄汚い不意打ちみたいな真似をして自分の劣等感に満ちた日常の憂さ晴らしをする薄汚くてこすっからい野郎はいつでもどこにでもいるのであって正しい対処法としては即刻、問答無用でそのコメントを削除する事だと思っている。どうせこいつだって現実に俺の目の前に出てきて同じ文句を言える度胸のある野郎では絶対にない。加えて言えば自分のコメントがすぐさまパージされた事に対する異議申し立てが再びコメントされる事もない。要するに「その程度の野郎」が「その程度の覚悟」で書いているコメントに過ぎない。人目につかない下水道の隅に転がっているドブネズミの死骸みたいなもんだ。

 匿名性を隠れ蓑にしてネット上でこういうたわけたまねをする輩は恐らく、現実世界では誰にも相手にされないコミュ症みたいなニート野郎ではないのかとこのごろの俺は想像しており、日頃日常的にこのブログを読んで頂いている方々から見ても決して愉快ではなかろうという管理人としての考えから、このバカコメンテーターは恐らくその人物が日常味わっているであろう現実世界と同じようにノーコメントでオミットさせて頂いたわけだ。

 たわけたコメントを寄越す輩の中にはスルーされたままだと焦るのかそれとも苛立つのか、俺の反応を伺うために時間を置いて荒っぽい調子で再度挑発的なコメントを寄越すバカもいる。このブログの中のどこかにはそういう事例があるがコメント主の低劣な人間性を良く表している。

 上の方で示した赤い文字のコメントについては勿論愉快なものではないが、そのノータリン野郎は一つ、いい事を教えてくれた。
 その記事は尻切れとんぼになったまま放置されていたのだ。俺はアホな食べログ野郎の行状にまつわる伝聞を思い出し、今一度そのしょうもない男の記事を再開したいと思う。

 その男の食べログ上でのHNはトム(半角カタカナ)という。
何と呼んだらいいのかわからないが、食べログ上でのその男のページはここだ。
http://tabelog.com/rvwr/000220083/
 俺の得意先での行状を垂れ流しているレビューのURLがここだ。
記事名:芽室唯一のファミリー中華屋
そもそもこういう記事名である事自体、このトムという男には何の予備知識も探究心もないし、ついでに記事にしている食い物を眺めていると余り金もなさそうな奴なのだがまあそれはいいとして、とにかく頭の悪い奴の書く記事とはこういうものだという事が諸兄には嫌というほど腑に落ちることだろう。
記事URL:http://tabelog.com/hokkaido/A0111/A011102/1006663/dtlrvwlst/3989190/
 念のために申し添えておくと、これはあくまでトムという固有名詞の、ある種珍獣の生態を観察するような態度で眺めるべきものであって同じ人間同士として読解を試みるべきではない。あまり真面目に読むと読者に知能障害をもたらす恐れがあると俺は判断した。
 
 本題はこの後記事で取り組ませてもらうとして、ここまで書いて俺にはある仮定が閃いた。
上に書いた既に削除済みの書き逃げコメントの主はまさかこの、トムという男本人ではあるまいな?
まあ本人であろうがあるまいが、下衆な一言書き逃げコメントが俺の記憶を呼び覚まし、いまだに低劣極まりない行状記をを食べログ上で垂れ流し続けている暇人に俺の関心を向けさせたのは間違いないところではある。
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厨房はクリーンルームではない [お仕事上のぼやき]

 俺はこれ迄このブログで何度か,過度な衛生管理の厳格化など大して意味がないと述べてきた。以前の記事でも書いたが機械の修理なんていうのは大なり小なり汚れるものであって半導体製造やバイオ関係の施設ならまだしもなんでたかだか厨房くらいでこんなに服装のことでガタガタとこうるさいことを抜かすのかといい加減頭に来る。 確かに俺の日頃の服装は大して清潔感のあるものではないが,それにしてもオイルのシミだのズボンの折り目だのと行ったこと迄グダグダ抜かすようなバカのところに呼ばれたら問答無用でクリーニング代の請求をさせてもらおうかと真剣に考えている。

 大体,人の服装のことにはいちいちイチャモンをつけるくせに自分らはどんなご立派な衛生管理をしているというのか。

 以下の画像はある病院の食器消毒保管庫の修理の際に撮影したものだ。
作業内容は庫内循環用のブロワーモーターの軸受け交換である。軸受けのベアリングのグリスが切れて回転時に摩擦音が発生し、相当うるさい。
 一般に,どの製造元もブロワーモーターのベアリングという補修パーツは持たない。こういう場面でのメーカーの所見と対応はモーター不良により交換であり,補修パーツとしてもブロワーモーターは大体5万から7万円くらいの値段がつく。ということは食器消毒保管庫の運転時にブロワーモーターからの異常音が発生して厨房屋を修理に呼べば大体6万5千円から9万弱くらいの請求が来ることになる。

 しかしだ,食器消毒保管庫を製造している厨房機材メーカーのうち,自前でモーターの製作迄している会社など一つもない。一つの例外もなくどこかの電機メーカーの出来合いのファンモーターを買って来て内製した箱に組み込んでいるだけであって、そのモーターに組み込まれているベアリングというのはこれ迄俺が見てきた限り一つの例外もなくJIS規格のごく標準的なものであり、その値段は高くて千円程度,モーター一台分で二個なのでモーターコイルやステーターに損傷がなければパーツ代など高くて三千円程度に過ぎない。
 モーターベアリングの交換など専門業者でなくとも例えば自動車の整備工などはごく当たり前に行う作業だが何故か厨房屋は会社ぐるみでこれをしない。もしかしたら出来ないと言う方が正しいのかもしれない。

 話の流れは冒頭書いていたことから少し逸れて枝道に入る。というか本当に見て頂きたいのはここからだ。
修理個体は北沢産業製の食器消毒保管庫で,損傷したブロワーモーターは昭和電機というメーカーのものだ。
IMGP0154.jpg

 モーターケースのケツ(下品で恐縮だが日頃俺は何となくそう呼んでいる)をはずしたところだ。少し距離を置いても埃だらけであることが明らかだ。
IMGP0155.jpg

 軸受け部分のアップ。そもそも軸受損傷の直接的な原因はグリス切れによる回転時の潤滑性の低下なわけだが更にその原因を掘り下げていくとベアリング内に埃が混入するためだ。何故なら給食設備がウェットフロアーであるのが一般的だった頃にはこの手の障害の発生は今よりもずっと少なかったからだ。
 どうもドライキッチンというのは誤解されているのではないだろうか。ドライだから床を水まき清掃しなくて良いなどということはないのであって,調理業務を行っている間はドライであるというに過ぎないものを拡大解釈しているバカな栄養士は大変多い。
 何も今更、ウェットフロアーが良いなどと時代遅れな主張をするつもりは全くないが,ドライであるということは室内の埃の浮遊が活発になりがちだという程度のことくらいは頭に入れておいてもらいたいもんだ。厨房はクリーンルームではない。
IMGP0157.jpg

 ステーターを抜き出したところ。モーターの状況を追記すると,固定ヨークやコイルに迄綿埃がびっしりと絡み付いており、ステーターを抜き出してベアリングを交換すると同時に内部は清掃しておかなければならない状態にあるのはドライキッチンである設備の全てについて言えることで,俺の経験としてはこれ迄一つの例外もない。
IMGP0156.jpg

 ステーター先端に取付けられているファンホイールのアップだ。清掃前であり,綿埃がびっしりとまとわりついている。衛生上問題なのは勿論であり,この状態もドライキッチンである施設ではこれ迄例外なく経時的に起こっている。
 勿論、モーターがこうして埃だらけになるということは、保管庫内で熱風消毒されている食器にも埃は付着しているのは当然で、その食器は次の配食事には保管庫から取り出されて食品が盛りつけられ、喫食者はそれを直接手に取って飯を食うのだが、いいのかよ、それで。
 ファンホイールへの埃の付着量が更に増えていくと風量が低下し,発熱体の周辺空気との熱交換が進まないので庫内温度のばらつきが大きくなる。副次的な障害である。

 繰り返し書いておきたいが,これは食器消毒保管庫の修理である。集団給食の現場であればどこにでもある機材だ。
 そして栄養士連中は喫食者には埃まみれの食器で飯を食わせて平気でいるくせに俺のような修理屋の服装については白衣を着ないのがけしからんだとか作業着に油のシミが付いてるのが不潔だなどと好き勝手なことを抜かすのである。ブーメランとはまさにこのことであって,今回はたまたま食器消毒保管庫のことを書いたがこの手の事例などバーゲンセールをやってもいいくらい沢山ある。
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組織の性質 [日記、雑感]

  俺には時事問題について何か語れる程の見識は元々なく,せいぜい自分の日常や身の回りのことくらいしか書けないのだが世の中,ニュースを見たり聞いたりしていると自分の身の上に重なることもたまに見かけられる。

 ISISという集団に日本人ジャーナリストが捕縛され,日本国政府を相手に身代金の要求が行われ,交渉が不調となって人質は処刑された、そのニュースを俺は他人事のようにして聞き流していたのだがこれはよく考えてみると俺を取り巻く世の中そのものではないかとある時気づいた。

 これ迄漠然と、この組織の人質に関する報道を幾つか読み飛ばしていて気づいたのは,報道関係で人質になった日本人はフリージャーナリストという肩書きだということだ。二昔以上前にあったフィリピンでの誘拐事件での人質は三井物産の現地駐在社員ではなかっただろうか。

 誘拐とか人質とかいうのではないが,近くは東北の震災で事故を起こした福島の原発報道では近辺での放射線量を伝えたり,画像を送った入りしていたのはもっぱらフリージャーナリストや有志の一般市民のような人達だ。大新聞社の記者や全国ネットのテレビ局のリポーターからの発信は一つも記憶にない。

 こういう事実を幾つか並べてみると,あることに気づく。
 第一に,状況がホットである時,そこには混沌があり,そこに踏み込むのは大きなリスクが伴う。報道でいえば特ダネが拾える可能性のある場所だし,商売でいえばあまり知られていない上得意候補と会える可能性のある場所だ。
 第二に,大きな組織というのは定型業務だけで仕事を完結させたい。イレギュラーなことをやりたくない。そのくせ大きな組織というのは金にしても手柄話にしても,とにかく全部独り占めしたがるもんだ。

 大して知り合いはいないが,マスコミ関係,大手のメディアというのは大変な高給取りであり、社会の中にあって彼らは疑問の余地なくエリートだ。そして,エリートは危なっかしい出来事に手を染めたがらない一方で手柄は欲しい。そこら辺を要領よく捌ける能力があるからエリートはエリートたり得てもいるわけだが。汚れ役やトカゲの尻尾を見つけ出してきてうまく利用する能力とも言えそうだ。

 リターンは欲しいがリスクは避けたい。そのギャップを埋めるものは諸兄もご承知の通り金しかない。金のためなら何でもやったるぜ,という人種は社会に不可欠なのだな。
 だから原発の運転や事故の際の処理にはヤクザが絡んでくるし,紛争や災害のあった地域には大きな組織から金をもらったフリージャーナリストが向かう。きっとそういう構図なのだろう。

 翻って俺の日常にも似たような構図がある。
毎月つけている商売のネタ帳を見ていると,厨房屋としてはイレギュラーな仕事に属するものが多いことに気づく。
*一昔以上前に生産が終了しており,市場からなくなりつつある機材
*製造元が現在なく,修理受付の窓口がない機材
*製造元が零細で生産台数が少なく,出回り量が少ない機材
*メーカーのサービスマンが修繕を一度手がけたが失敗し,元に戻せなくなった個体
*表記がよくわからない輸入機械
*深夜や早朝,休日などの時間外業務,悪天候下での遠方への出張修理
 メーカーからの依頼にはこういう類いのものが大変多い。売り上げは欲しいが後々のややこしいことには関わりたくない。依頼元に対して自分たちにはその解決能力がないので承りかねるとは言いたくないが無能な奴だと思われたくない。そういう事情が例えば俺のような野良犬に声をかけさせるわけだ。
 売り上げのためにやりたくないことや出来もしないことを請け負って会社に持ち帰り,協力会社を汚れ役や尻拭いとして利用するのはメーカーとしての本来的な姿ではないと俺は思うが俺自身の実入りに反映されるのであればその辺のご都合主義のことを表立って嘲笑はしない。犯罪に該当するとか,人迷惑なことでさえなければ俺は金のために仕事をするのだから。

 これはある時期迄,俺自身が誤解していたことだがメーカーというのは高い解決能力があって障害があった際の最終回答が出て来るところ,という思い込みはないか?
 しかし俺の携わるこの業界に関して言えばそれは必ずしも正しくない。実際のメーカーというのはパターン化された定型業務の手順を丸暗記して時間あたりの繰り返し処理数を伸ばすことを主眼としている。効率の追求とはそういうことだ。
 しかし現実の世界には必ず何かしら危険性のあるイレギュラーな出来事があり,これに関わる汚れ役や鉄砲玉や始末屋の存在が不可欠である。光の射すところには影も生まれるもので、俺が社会に棲息を許されているのはそういう場所なのだろう。

 地雷を踏んだり誘拐に遭ったりするリスクを冒して取材活動をするのは大新聞社やテレビ局の人間ではなく,彼らは安全なところにいて特ダネを金で買うだけなのだろうな。そして現実にそのソースを拾ってきたフリージャーナリスト個人がテレビや新聞でクローズアップされることは全くと言っていい程ない。これは俺と同じ構図だ。
 心情的には依頼元に対する何かしら侮蔑的な屈折がある。(ほんとに身体を張ってるのは誰だと思ってるんだこの野郎)というのが正直なところだ。同時に不特定多数の使用者に対しても(貴様等なんかに何がわかるか)という色合いの視線がいつも出るようになった。フリーランサーとはそういう風になるもののようだ。

 考えてみると,初対面の人物に対して「どんなお仕事をされているのですか」ではなく「どこに勤めておられるのですか」と訊ねる人というのはかなり多いのではないか。また,勤め人,月給取りというのは職場が大きな企業であればある程自分の職務内容より先に企業名や団体名を言いたがる。俺が生きているのはそういう社会だとこの人質のニュースを読んでいてあらためて感じた。
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横河電子機器が食器洗浄機の事業譲渡 [修理屋から見た厨房機材]

 日本国の屋台骨みたいなスーパー大企業がひっそりと業務用の食品機材を製造しているケースは幾つかあって,それは企業全体からみれば盲腸みたいな位置づけでしかなく、バブル崩壊以降の約20年でこの国の製造業は坂道を転がるように国内事業を縮小させていく中でこれら盲腸をさっさと切り捨てていった。

 俺は以前の記事で大企業が手がけるところの、およそそのイメージとはそぐわない製品を三つ挙げたことがある。
(1)三菱重工のソフトクリームフリーザー
(2)IHIの食器洗浄機
(3)日立製作所のミートスライサー

 上に書いたうち,(1)は完全に手仕舞い,(2)は北沢産業に事業譲渡,(3)は現在でも事業を継続しているが年商10兆円を超える日立製作所の年商のうち一体どれくらいの比率を占めているのかを考えると、いつ事業を終了させてもおかしくはないのではないだろうか。

 というところでもう一つ,前回記事を書いた時に漏れていたものがあった。
今回取り上げる横河電子機器の食器洗浄機がそれだ。親会社と言っていいのかどうか知らないが横河電機は世界に冠たる計測器メーカーで,若い頃に電気の勉強に勤しんだ俺などからすると尋常でない神聖性を感じるわけで、働くようになってからビティーというブランド名で販売されてる食器洗浄機の製造元が横河電機のグループ会社であり,アカデミズムの体現者みたいな企業が食器洗浄機を製造していることを知った時には一体全体何が悲しくて業務用厨房機材みたいにヤクザな業界に脚を突っ込んでいるのかが不思議だった。

 大企業が多々展開する事業のうちのかなりマイナーな事業のうちの一つらしく,横河(というよりもビティーと言うブランド名での方が俺には馴染み深いのだが)の食器洗浄機が沢山売れて方々で見かけるようなことはなかった。
 同じ大企業が製造する食器洗浄機でいえば,IHIの洗浄機の方がまだ出回り数は多かったのではないだろうか。しかしバブルが弾けて外食産業の市場はヤクザまがいのコンプライアンスがまかり通るようになり,食器洗浄機という機材が本来的な責務から逸脱して単なる皿洗いパートの人件費節約マシーンとしてデタラメに乱売されまくった結果この分野での覇者となったのは毎度お馴染みのペンギンマークであった。

 後発であるガラの悪い企業、つまり業務用厨房器材の専業メーカーが安価な模造品を必死に量産して必死に売りまくり、シェアを伸ばして市場を席巻するのはこの記事で取り上げるような、役員が経団連のお偉方に収まるような由緒正しき大企業にとっては真面目に対抗策を練るのも馬鹿馬鹿しいような現象なのかもしれない。
 先にこの事業を北沢産業に譲渡して手を引いてしまったIHIにつづいて横河も食器洗浄機の事業を中西製作所に譲渡して手を引く事になった。

 妥当な分類の仕方ではないのかもしれないが、食品機械の性格付けをあえて乱暴に分けてみると機械メーカー的な製品と電器メーカー的な製品とがあるように日頃漠然と考えている。
 食器洗浄機についてこれを当てはめてみるとIHIは前者で横河電子機器は後者であるように俺は見ている。勿論、一つのメーカーの大から小までのラインナップに一貫してそういう性格付けがあるわけではないが全体的な傾向としてそういう印象を俺は持っている。

 横河電子機器(ビティー)の食器洗浄機は制御回路をプリント基板に集積化して実装した先駆者的な存在で、食器洗浄機については俺はIHIによって育てられた来歴なので当初、そういう設計思想には随分懐疑的というか否定的な見方をしていたのだが、実際にこのメーカーの修理を何度か手がけてみると案外電子部品実装の信頼度は高く、厨房メーカーの粗悪な小型洗浄機ではしょっちゅうある電装部品の不具合や制御基盤交換の交換事例が記憶にない。そこには母体である横河電機のクオリティが反映されているような気がするのは電気工学科出身者である俺の変な思い込みかもしれないが。

 それはさておき、譲渡された側の中西製作所がこの持ち駒を今後どのように活用するのかについて俺は少なからず興味がある。
 中西製作所は主に学校給食分野を得意とする、という事は洗浄機の主体はコンベアータイプの大型機であり、アンダーカウンターやボックスタイプなど小型機がバリエーションの大半をなす横河電子機器の製品を今後のプランニングの中にどのように織り込んでいくのかは個人的に興味深い。

 中西製作所の手がける商業店舗のうち大きなウェイトを持っているマクドナルドでの導入なんて事もあるのかもしれない。(従来的には三洋電機、現在はパナソニック製品が使われている)
 
 俺は既に中西製作所の協力会社としての登録を済ませて今後の修繕業務を行っていく事を以前の記事に書いたが、気がかりなのは事業譲渡前の横河電子機器の頃の販売チャンネルで既に収まっている既存ユーザーへの対応で、その中にはかの悪名高きワタミグループが含まれている。
 学校給食センターというお行儀のいい得意先が中心である中西製作所とワタミとでは企業のカルチャーが明らかに異なるのではないだろうか。俺の見え方としてはワタミのようなチンピラまがいの胡散臭い企業とうまくかみ合うのはタニコーとかマルゼンとかホシザキみたいな厨房屋ではなかろうかと思うのだが。

 実は俺の住んでいる田舎町にもワタミの展開する居酒屋店舗が何件かあり、そのうちの一件の新築現場施工を手伝った事がある。受注したのは俺の元の勤務先で、その店舗に納める食器洗浄機が横河電子機器製のものだった。ワタミ本部の指定による選定だったとのことで、俺の後任の営業所長は自社製品が選定されなかった残念さよりも他社製品なので今後の修理責任がなく売り上げがあるのでラッキーだ、みたいな事を話しており、それまで彼からこのブラック企業の悪評を散々聞かされていた俺は”おお、そりゃ良かったな”と同調していたのだが、その後の紆余曲折でこういう事業譲渡が行われるとなると今後、深夜の2時頃にワタミの店舗から俺の携帯電話あてに修理以来の電話がかかってくるようにでもなりはしないかと結構ダークな気分で俺はこのニュースを読むのだ。
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白衣の着用に抵抗する(2) [困った客]

 俺のような労務者もどきの生業の人間にとって調理場に入るたんびに白衣を着ろなどという約束事は本当に面倒臭い話で,言われるたびにうんざりする。大量生産の生産工場とか抵抗力の弱い子供相手の給食センターならまだしも、大して衛生的でもない場所で形式的にこんな不便な服装を強いられるのは絶対におかしいといつも考えている。
 この話題は以前にも一度,記事にしたことがある。
記事URL
記事名:白衣の着用に抵抗する
http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2010-05-20

 調理員でもない修理屋にとって不便極まりないどころか危険でさえある白衣の着用についてガタガタ抜かずバカ栄養士の思考回路のお粗末さ加減については前回記事でも言い足りないところがあるのでここでやおら続きに入る
 
 20年近く前にO-157という病原菌の騒動があって以来、集団給食調理現場での衛生管理は大変厳しくなった。
 ここで言う「集団給食調理現場」というのは俺の経験則の範囲内での話であって、病院、老人ホーム、養護施設くらいに限定されている事を予めことわっておく。

 「大変厳しくなった」と書いたが、そういう騒動以前にはその施設の一般職員が履物はそのままでどかどか出入りするのが当然のように行われていたのが実情だったので、それまでが余りにもがさつすぎたとも言える。
 二昔前くらいまでの厨房は塗り床やタイル張りでひっきりなしに床放水が行われるのが珍しくなく、調理員はゴム長靴をはくのが半ば当然で、外部の人が入室する際には脚が濡れないように備え付けの長靴に履き替える程度の配慮はあったがせいぜいその程度とも言える。

 その後,ノロウィルスだの何だのと騒ぎが起こるたびに衛生管理は喧しくなっていったわけだが、それとは別に出入り業者の見え方として気づいたことを今回書いておきたい。繰り返しになるが,生産工場とかセンター方式の学校給食だとかいったスケールの現場では俺だってそれなりに配慮しないわけではない。

先日,とある病院の栄養士が北沢産業の社員は白衣を持参して調理室に入室するので好ましく,俺は薄汚い作業着で来るのがけしからんと説教をくれた。
 北沢の社員の修理技術に不満があって俺に声をかけたその者が今度は身なりが汚いからけしからんと抜かす。
白衣を持参せずに仕事に現れる俺は汚い奴で横着者なのだそうだ。修繕の業者にとって重要なことは修繕の腕前よりも白衣を持参することなのだといわんばかりの調子なので聞いていて大いにアホ臭い気分に捕われた。汚い奴が嫌ならとっとと業者を変えて今まで通りに白衣持参で現れるネジ回し屋のワークマン(workman)に高額なアセンブリー交換費用を払い続けてればいい。どうせ自分の金じゃないのだろうし、勝手にしろ。

 作業性からいって白衣というのは全く好ましくないので、その場所用にオーバーオールを着るのは良いのかと俺が訊ねたところオーバーオールはダメだと言う栄養士がいた。
 こういうのは全く思考停止のアホとしか言いようがないわけで,白いものがきれいで紺色は汚いものだと言う根拠のない思い込みというか決めつけがあるようだ。

 大体,外部から来る者が持参する白衣を好ましい準備だなどと考えるところがバカではないか。俺だって人並みの衛生観念がないわけではないし,病院などよりずっと衛生管理の徹底した食品工場にだって何件か出入りしているが、特に文句を言われたことはない。
 全国的に売れているポテトチップを生産している某メーカーの生産工場では業者が持参した白衣を着用することは認められていない。白衣どころか帽子も上履きも持参物はNGでその工場が社内で用意している構内作業用のオーバーオール(使い捨ての白衣みたいな薄い生地のオーバーオールだ)など一式が入室前に渡される。何故ならそれは社内で管理されている衣類だからであって,外部から持ち込まれるものは衛生管理の実体が不明であるから持ち込みを遠慮してほしいのだそうだ。そして俺はこれこそが正しい運営や運用だと思うのだ。

 更に言えば,衣類のことはさておくとしても修繕のために使われる道具類はどうなるのか。どんな衛生管理をしておけと言うのか。
 油染みのある作業着を着た奴は不潔でけしからんから白衣を着ろとバカ栄養士は抜かすが,その人物がぶら下げてくる商売道具のことは何故か一度も問われたことがない。それこそは作業着どころではない,あちこちの現場で油だの薬品だの錆だのにまみれた物体の詰め込まれたツーヅバッグのことは何故か一言も言及されたことがなく、とにかく早く修理してくれとせがむのが一般的な姿だが変な話ではないか。そんなに衛生管理を徹底したいのなら保全用の道具一式を常備しておいて外部から来た業者にそれを使用させるのが筋ではないのか。

 これは極論でもなんでもなく,衛生管理を徹底したいのならいっそのこと調理員が自ら調理室に備え付けの道具一式を使ってぶっ壊れた機材の修理をすればいいのだ。調理業務なんていうのは現在,全部と言っていいくらい既製品の組み合わせでしかない上に今日日はカット野菜みたいなもの迄当たり前に使われている。20年くらい前に比べれば遥かにラクチンなうえにあれやこれや自動化も進んで横着三昧の業務形態なのだから楽になった分,機械や設備の勉強でもしてある程度の修繕くらい自分らでやればいいのだ。都合の悪いときだけ不潔な奴に物事をせがみ、しかも上っ面の体裁を取り繕うことに腐心するのはその人物の人間性こそが薄汚いことを表している。
 自分らで故障診断をして必要部材を割り出して手配し,食材の検品みたいにパーツやら材料やらを受け取って調理員どもが自分らで整備すればいいのだ。こんな衛生的な保全業務はないじゃないか。

 交差汚染は激減するぜwww
 修繕費も節約できるしなwww

 そう,とどのつまりバカな栄養士にとって修理業者や工事業者というのは自分が日頃指図している調理員と同列に見えているらしい。
 世間一般の物差しとして,ホワイトカラーは高級でブルーカラーが低劣だという見方は何だかんだ言って根強い。俺はそういうものの見方について大いに異議があるが,ある種の栄養士どももまた例外ではない。

 これ迄から現在に至る迄,日頃出入りする得意先のことを思い出すと,こういう,白衣を持参して現れる修理屋だから立派な業者だ,みたいなトンチンカンな業者観の栄養士は業務委託されている会社の社員に多く、その施設の職員である栄養士には少ない。
 というか,委託会社の栄養士には総じて設備管理とか機器運用について考えたくない者が多く、当然何の知識もない。機材の名称さえもわからないような大馬鹿者も珍しくない。俺などから言わせると良くそんな程度の者が一端の顔をして調理業務に携わっていられるもんだ、と,呆れるのを通り越して感心してしまう程だ。

 考えてみて頂きたい。ステアリングとかシフトレバーだとかブレーキペダルだとかいった名称は知らないがとにかく自動車の運転はしている。俺の知る限り給食委託会社の栄養士という人種にはそういう手合いが大変多いのだ。勿論,燃料の燃焼がどういう風にして機械エネルギーの発生に至るかなど知っているわけはなく,各種の警告灯が何を表していてどういう対処をすればいいのかを知っているわけもない。タイヤの交換もエンジンオイルのチェックの仕方もわからないがとにかくキーを捻ってエンジンをかけ,ステアリングとペダルを操って自動車の運転はしている。委託会社の栄養士は,というよりももっと遡って給食委託会社という企業そのものがそういうありようなのだと俺は思っている。(この項続く) 
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第4コーナーを回る [日記、雑感]

 早いもので俺が世間様にデビューしてから30年以上が経った。
そのうち約20年は会社勤めをして過ごし、以後10年くらいは自分で修理屋を開業して今に至っている。

 あれよあれよという間に時間は経ち,そろそろ年金のことを考え始める年齢になった。会社員を続けていれば定年退職迄のカウントダウンが始まる年代とも言えそうだ。
 商売は決して順調とは言えないが,夜逃げや自己破産をしなければならないという程酷くもない。
夜中の作業だの休日の呼び出しにぶつくさ言いながらも、そういう日常によって生まれるお金のおかげで生活できているのだから仕方ない,まあ人生こんなもんだろう,こんな風にして死ぬ迄ダラダラと働き続けていくのだろう,そんな腹づもりでここ数年の日常を過ごしてきたわけだ,が。

 諸兄よ,人生どこにターニングポイントがあるかわからんものなのだ。
俺の住む田舎町の学校給食センターが移転新築することになり,俺はその施工の一部を受注したのが昨年の11月頃のこと。
 市内全ての小中学校の給食を一箇所で調理する、その数なんと1万4千食。
およそ厨房と名付けられる設備としては日本で二番目にでかいのだそうだ。そして,来年度から稼働するこの共同調理場の機器保全担当がこの俺になりそうな雲行きであることをここで諸兄に報告しておく。

 受注の主体は中西製作所で,炊飯セクションのみはアイホーであり、俺はそこからは外れている。炊飯関連機器以外の全ての機器保全を俺が担うことになる。
 この話は中西製作所の側からオファーされた。社内のサービスマンを現地営業所には配属させずに現地に協力会社を探してアフターメンテにあたらせる方針なのだそうで,職業人としての俺にはその程度の利用価値はあるらしいと,少々手前味噌だが俺もこの道30年なのだからそういう場所に辿り着いていたとしてもいいじゃねえか。これまで結構真面目にやってきたのだし。

 何というか,競馬になぞらえると俺の人生も第4コーナーを回っている途中のような心境でここ数日を過ごしている。つまり,色々思案した結果俺はこのオファーを受けた。
 これから年老いてくたばる迄今のような日常を持続することは出来ないと考えたからだ。
土日は休み、夜は働かない。そろそろそういう生活形態に落ち着きたい気がここしばらくし始めているのは事実だ。俺はもう若くない。

 共同調理場は何しろでかい。ホームページから施設のレイアウトがPDFでダウンロードできるのでURLを貼っておく。

http://www.city.obihiro.hokkaido.jp/gaxtukoukyouikubu/gakkoukyudyokukyoudoucyourijyou/a310501_100826chouribaseibi.html

 ライスボイラーは約40台,コンベアータイプの洗浄機が全部で12台,スチームコンベクションが13台でトロリーカートは26台、他にも色々,とにかくまあ,べらぼうな数の機材で,ここはかなり確信を持って予想できるが,ある時期からの俺はこの施設に年がら年中かかりっきりになって他の場所で仕事ができる時間が物凄く減る公算が高い。専任のような業務形態になる事さえ十分予想できる。つまり,現在の得意先のうちのある一定割合は俺の方からお別れを伝えなけれなならなくなるだろう。俺は社員を雇って自分の生業を拡大していこうという考えが全くないので、手に余る得意先は自分の方から後準備をして別の業者に引き継いでもらうことになり,それは元の勤務先にしておくのが順当だろうと考えている。

 これ迄お世話になった得意先を切り捨てるとはけしからん,何と身勝手な,と非難したい奴はしろ。
俺は幾つも転職を繰り返し,会社員を辞めて自営業者になった。そういう遍歴であるにも関わらず俺に見切りを付けることなしに目をかけて頂いた得意先の方々には大変感謝しており,それはこの先も変わるところはない。何といっても俺はその方々のおかげでこれ迄生活させてもらっていたのだし。
 しかし一方で,その生活でこれ迄の俺が随分色々なものを犠牲にしてきたのは事実だし,その生活が俺にもたらす不条理がこの先改善される見通しがちっともない。これもまた事実なんである。

 今ある心地よい日常がいつまでも続くなどという考えを持つべきではない。同時に今晒されている不条理がどうあがいても払拭されないと言うことはない。諸行無常,万物は流転していくのである。
 会社勤めをしていた頃から現在に至るまで、俺はいつも業務用の厨房機材や設備とはどうあるべきかを考え続けてきたし、色々な事を訴えかけてきたと思っているのだが、総じて俺の言葉は使用者に届かない。
 人の営為はおしなべてそうであるように、俺の携わる世界でもサービスマンという人材を使い潰して消費し続けながら企業や使用者が事なかれ的に時間をやり過ごしていく。そして俺にはそういう状況に不条理を感じながらもこれを変える力がない。目先の金のためにランダムに発生するイレギュラーな出来事を引き受けては処理する毎日は、言ってみれば痰壷みたいなもので、その出来事を解決するために俺は色々と本来的でない負担を負わなければならない。それは例えば市場でたった一台しか稼働していない機械を修繕するために新たに何かのハンドツールやら測定器を購入しなければならず、しかもそれらの出番はたった一度しかないという状況である。たかだか一介の自営業者が普通の作業単価でいつまでもそういう事を続けられるわけはないし、どこまでもそんな自己犠牲を期待されても困る。

 自分で言うのもなんだが、学校を卒業して働き始めてから俺は結構真面目にやってきたと思っている。会社勤めをしていた頃は『会社のために』『お客さんのために』と思いながら頑張ってきたがあるときそこに無力感や不条理を感じて色々思案した挙げ句、10年前に修理屋の商売を始めた。
 開業してからは『会社のために』という考えは俺の中から消えた。それは精神衛生上好ましい事で、勤め人をしていた頃よりは自分のやりたい事ができるようになったとは思う。
 しかしそれを10年続けていると今度は『お客さんのために』という思いも何だか薄らぎつつある。俺はイレギュラーな出来事の始末屋として同業者からも使用者からもスポット的に利用され続けているだけの存在だし、それは色々な意味で報われていなさすぎるのではないかとある頃から思え始めてきた。

 だから俺はそろそろ『自分のために』を最優先に考える事にしたのだ。
俺には状況を変える力がない。俺の言葉は大半の同業者にも機器類の使用者にも届かない。俺自身も内なる何かを変えるつもりがない。だとすれば俺は今いるところから去っていくしかないのである。
 自慢するわけではないが国内有数の規模を誇る給食設備でほぼ専任として業務に当たる事をオファーされたこの事実は、俺自身の職業人としてのクォリティを何らかの形で証明している事にはなっていると思う。
 しかしそこはある種の特異点であって、色々な意味で世間とは隔絶されており、業務用の厨房設備に関わる一般的な動向が反映されたり交流が持てる場所ではない。俺の居場所というのはそういうところでしかなく、とどのつまり、俺はこの業界の異端児に過ぎなかったという事を今更ながら自覚している。俺の職務経歴というのは敗走の歴史だったとも言えそうだ。
 ここ数日は今後の自分の身の振り方をあれこれ思案し続け、正直なところ少々疲れた。ろくに身体を動かさずに考え事をしているだけでも人間、結構疲れるものらしい。
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ついに女性サービスマン登場 [日記、雑感]

 このタイトルにはいい加減なところがある。
女性であるならサービスウーマンではないのかというご指摘はあるのかも知れんがお許しを。  

 昨年終わり頃のこと,用事があってホシザキの営業所に立ち寄ると丁度サービスチーフ殿の運転する社用車が出先から事務所に戻ってきたところだった。
 
 車の助手席には同乗者がおり二人一緒に降りてきた様子を見るとそれは小柄な体格の人物で,真新しい作業着からしていかにも新入りらしく見えたのだが,こういう体つきでは先々色々と苦労があるのではないかと俺は余計な心配をしたりもした。
 それで用件を済ませ、ホシザキの社員たちと少しの間立ち話の雑談に興じたわけだがこのとき俺はふとさっきの小柄な体格の人物に眼がいってたまげた。

 なんとその人物は女性ではないか。
一体全体どういうわけで女性が菜っ葉服を着ておるのか。

 いつごろからだったのか良く覚えていないが、ホシザキが間接部門以外で女性社員を採用するようになったという風聞を耳にしたことはある。 
 それは職種としてはおそらく営業職ではないかと俺は想像した。ただし、ホシザキ名物の雑居ビルが密集する繁華街での飛び込みセールスとかではなく、例えばショールームでの接客とか展示会やデモクッキングのイベント要員とかいったソフトにしてライトな業務に従事する人たちではなかろうかと考えた。
 俺は別段、男尊女卑とかいう考えは持っていないつもりであるが、自分が見てきた地方営業所での営業職の日常業務は一般的な女性にとって、とてもじゃないが我慢しきれるものではなかろうと思う。但し、上記のような業務内容であればまあ新卒女子であってもあまり心理的な抵抗感やストレスに見舞われることなくお仕事を続けられるのではないか。

 何せ、男女雇用機会均等法という法制度があるとは言え、ホシザキという俺の経験からすればまるで軍隊か新興宗教みたいな社風の会社がこの業界ではいち早くこういう雇用形態に取り組んだことに驚いたり感心したのは確かだ。

 ところで、俺の経験する限りだが厨房屋の業界は大都市の支店くらいのスケールであっても営業職が菜っ葉服にヘルメット、安全靴に軍手で納品現場に出ることは珍しくない。人手不足やら予算不足やらで営業職だからといって年がら年中スーツ姿でスマートなお仕事に終始させてもらえるほどこの業界は寛容じゃないのだ。もっと事実に近い言い方をするなら、人使いが荒い。
 だから俺は冒頭見かけた菜っ葉服姿の女性社員はきっと本来営業職であって、社内研修の一環としてたまたまサービスチーフと一日同行して修理屋の業務実態や稼動中の得意先の設備を見学するために作業着を着ていたのだろうとばかり思っていた。
 しかしサービスチーフや営業所長の話を伺うに何と、彼女は技術職として採用されたのだというではないか。これには本当にぶったまげた。昨年最も驚いたのがこれだと言ってもいいくらい驚いた。

 要件を済ませてホシザキの事務所を出てから俺はあれこれ考えた。
 まず第一に、ホシザキという会社は一体いつからこんな時代の風潮をスマートに反映するカルチャーになったのか。俺の知っているホシザキという会社はおよそ洗練とはほど遠い、何とも泥臭くて脂っこい、もろに体育会的体質だったはずなのだが。事務員以外には女子社員など不要というのがホシザキではなかったか。
 更に、というかそれよりも、一体女性に修理屋が勤まるものなのかという疑問が俺の中ではどうしても解けなかった。
 重ねて書くが俺は男尊女卑の考えを持つ者ではない。それどころか思考力や得意先とのコミュニケーション能力の問題であれば特に性別上の差はないとさえ考えているくらいだ。
 単純明快にそれはフィジカルな問題として女性に修理屋は勤まるものかという点に俺の疑問は集約される。この稼業は結構馬力勝負の場面があるからだ。

 しかしここ10年くらいの俺自身の仕事を顧みると、馬力勝負の場面は段々減ってきているのも事実だ。配管でいえばパイプレンチを持ち出す場面は段々減ってきているし、電気配線でも被覆電線をペンチで剥いて端子をカシメる作業は減ってあっけなくプラグインさせる構造とかが増えた。電動工具は小型ハイパワー化が進み、修理の場面でも活用頻度が上がってきているし、大体、ボルトやナットにしても対辺17mm以上のサイズ(M10以上)のものを扱う機会はこれまた確実に減ってきている。それはつまり,機器を開発する側があまり筋力を酷使しなくても済むような,言い換えれば普通の女性程度の筋力やリーチでもいじれるような機構設計を志向するようになりつつあるということではないのか。

 そうなってみると、女子が機械の修理をすることへの疑問や懸念は杞憂であって,それどころか俺自身が過去の人になりつつあるのではないかという,何というか寂寥感のようなものに捕われるのは事実だ。
 漠然とだが,厨房機材の修理業務に女性が携わる流れはこれから加速していきそうに思う。今から20年以上前にダンプカーや建設機器の運転に女性が従事することを予測していた人はごく少なかったと思うが今となっては全く珍しくない光景だし、スーツを着込んだ外回りの営業職は保険の外交くらいしか意識していなかったのに今では色々な業界にそういう女性がおり,むしろそれはごく普通の見え方になっている。

 女性の従事者が増えていくことでこの稼業にどういう変化が起こりそうなのかが今の俺には見えていないが、
こうして所謂現業職に女性が増えてきた背景というのはつまり,それまでは電卓を叩く手計算だったり1台のオフコンに何人もがぶら下がってきた事務職が安いパソコンが大量に出回り、表計算アプリの定型フォーマットで升目に数字を打ち込んでいくだけで一般社員が難なく事務計算をこなせるようになったり,小売店鋪はチェーン店の大型店舗や通販が販路を拡大する過程で店舗スタッフが少人数化,あるいは不要になっていった状況の推移の反映ではないだろうか。
 要するに,そういう働き口が減少したり消失することで女性の就職先も新たに作り出すことをこの社会は余儀なくされているわけだ。
 しかしまあ,デフレがどんどん進み,所得はどんどん落ち込み,年金制度は破綻が見え見えで,何だかんだ胡散臭い理由付けをしてやれ扶養控除は廃止するとか何とか,とどのつまり日本国の成人は男女の別を問わずつべこべ言わずに黙って身体をすり減らして死ぬ迄働き続けろ,税金を納め続けろと。働いて,テレビを見て,ジャンクフードを食って酒を飲んで車を買って35年ローンで家を建ててその中でせっせとセックスしてガキを作って新たな納税者をどんどん増やせと、この国の政府が大多数の国民に望んでいるのはそういう生き方であるらしい。
 
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いいテスターが見つからない [便利そうな商売道具]

 テスターという商売道具は仕事の上では大変使用頻度が高く,重要であるにも拘らず俺にとっては張り込んで購入する気になれない道具だ。
 その理由は恐らく,どの機能も帯に短し襷に長しであり,元々大して精度を求めない用途に使われることが多いという基本的な性格付けによるのではないか。特に俺の場合はウォークイン冷凍庫の中など低温下での使用頻度が高く,ディジタルテスターの場合は電圧の低下によって液晶表示が薄くなり大変不便なのだがここをクリアーできた製品をこれ迄一つも見たことがない。要するに幾ら金をかけていいテスターを買っても必ず何かしら具合の悪いところがあるので安物で充分だ。そもそもテスターは測定器であって,不具合があって修理するにしても出してから手元に戻ってくるまでに一ヶ月くらいを要するのだからこの間は代替品として安物テスターが必要になる。一ヶ月間テスターなしでは俺の仕事は成立しないのだ。おまけに新品を購入するのと変わらないくらいの修理代がかかるので何だか馬鹿馬鹿しく、それならいっそ安い新品でも買った方が早いような気がする。

 現在使っているのは共立のペン型テスターで、使い始めて3年ほどになるがそろそろリード線が断線しかかってきており、それは一本だけだからいつぞやのように使用中ショートする心配こそないものの抵抗値を計る時に表示が反応しなくなる不具合が時たま出始めてきたので、転ばぬ先の杖のつもりで潔く使用を諦めて入れ替える事にした。



 俺はこのテスターを電材の問屋で買った。
フロントのカウンターに山積みされていて安かったので、一丁買ってみるか、と、いつもの癖がでた次第。
 あまり馴染みのないメーカーで見るからに安っぽい造りだが、機能的には俺の仕事にアピールするポイントが幾つかあるので以下列記しておく。

*バックライトが明るく(青色)暗所でも結構使いやすい。
*容量計のレンジが200μFまであり、単相モーターに使う始動コンデンサーの範囲はほぼカバーできる。これ以前のペン型では100μFまでだった。
*NCVセンサーなるものが内蔵されていて検電器の機能があり、被覆内断線のチェックがしやすい。但し区分検電はできない。
*電池はLR44のボタン電池で100均に売っている。予備電池は小銭入れの中にでも入れておけば良い。
*電圧(AC,DC)と抵抗のポジションが一つになっているので使用時には誤操作が減る。横着者向けの設定だ。
*ケースの裏蓋がヒンジで開く仕掛けで本体を立てて使う事ができなくもない。リード線は内部に収納できる構造で持ち歩く時にどこかにひっかけて断線させる心配は少し減る。
*意外と有り難いのはAPO(Auto Power Off)が解除できることで,作業中にいきなり表示が消えてカチンと来たことがあるのは諸兄も同様ではないかと思うが,電源on後にこれを解除できるのは長時間の点検作業時には結構助かる。

 実売価格を考えると結構良心的な商品だが気になる点を挙げると,
*応答性がイマイチで、テストリードを当ててから表示が出る迄のタイムラグがよくあるディジタルテスターに比べて相当大きい。時間を測ったわけではないが2秒くらいはありそうで不慣れなうちはテスターがぶっ壊れたのかと心配になる。
*テスターを電流測定に使うことは俺の場合殆どないので問題ないが,AC,DC共400mA程度の測定レンジで強電系には事実上使えないといっていいだろう。

 実は俺はいまだにアナログテスターが手放せず、ディジタルとの併用を続けている。
色々便利なディジタルテスターだが,電圧の測定,殊にDCの場合は数値表示が細かく変動して見づらいことが多いからだ。多少気の利いたテスターだと表示画面にバーグラフがついていて測定値に応じたバーの伸び方でおおまかな値の把握が出来なくもないが結局おまけ機能の域を出ていない。
 今回買い込んだテスターは4千円もしない安物なのでその機能はないが、あったとしても大して役に立たないので文句は言わない。
 他,実効値での表示ができればとか色々な拡張機能とか、取り上げ始めるときりがないが何せ値段が値段だ。俺はうっかり者であることにかけては人後に落ちないし,俺の仕事は厳格な測定精度を求める類いのものでは全然ないので安物テスターを2,3年くらいでバンバン使い潰し続けていくのがちょうどいいのだと粗雑に割り切っている。
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ある喪失感と危惧のこと [お仕事上のぼやき]

 今日は既に月末近くであり,年頭所感と言うには遅すぎるがこれは俺の怠慢な性分を良く表している。

 某輸入商社のサービスマンが今月一杯で退社するそうで,先日俺の携帯宛にお別れの挨拶があった。
再就職先は特に決めておらず,退社後は当面,どっか海外でブラブラする予定なのだそうだ。俺が10年前に開業して以来修繕のお仕事を回して頂いて随分ご厄介になっており,彼は優れた技術の持ち主であるし年齢的にはまだまだ第一線でバリバリやれるので俺はこのことを大変残念に思っている。

 これ迄何度か書いたように,厨房屋のサービスマンが中堅クラスに迄スキルアップした状態で退社する場合は業界に残らず異業種に転出するケースは大変多い。
 かく言うこの俺も30代の半ば頃,得意先の某製菓メーカーの工務課から声がかかり,正直なところ気持ちの上ではかなり傾いた。結果として俺はその選択肢をとらず現在に至っているわけだが、周囲の人達には『あの時転職していたら今頃おまえは・・・・』的な意見の持ち主はいまだに結構多い。

 昨今特にブラック企業という呼称があちこちで飛び交うが,業務用の厨房機材なんていうのはもう、業界全体がブラックなのであって企業単位どころの話ではないのだ。
 ブラック企業のレッテルが貼られたのは悪名高きワタミやゼンショーをはじめとして外食産業が槍玉に挙がることが多い。厨房屋の業界が全般的な体質としてブラックなのはそれと大いに関係があると俺は常々考えているのだが、その傾向は改善されるどころかこの先も悪化していく一方だろうという悲観論は変わらない。

 具体的な社名をあげるならば,この業界では日本調理機と中西製作所の2社以外は全て,大なり小なりブラックな泥沼に脚を突っ込むことを覚悟しておかなければならない。厨房屋の得意先である業種は多々あるが,学校給食は穏やかな仕事に従事できる最後の聖域と言っていい。

 厨房屋の業界内の不条理についてはあれこれ書き出すときりがないので,それは後々折りを見て取り上げていくとして,30代40代で他業界に転出する典型的なケースは家族の反対が原因であることが多い。
 そりゃそうだろう、会社が社員のプライバシーを得意先にベラベラと垂れ流し,携帯電話だの自宅の固定電話だのばらしまくっていたのではたまったものではない。日曜日だの帰宅後の深夜だのに遠慮も何もなく社員個人に修理の催促が来る生活など家族にしてみれば不条理としか言いようがない。
 しかもだ、この業界の殆ど全ての企業は社員のこうした私生活上の迷惑に対して何の救済措置も講じていないところが殆ど全てと言っていい。代休を与えるとか,翌日の出勤時間を遅らせるとか,これは違法だがそうした業務時間外の労務に対して時間外手当として金銭的な報酬を与えるとかいった措置にはいつまで経っても頬かむりをしたままだ。

 今でもそうなのかは不明だが,ホシザキという会社は毎日午後5時半になると修理の受付は留守番電話に切り替わり,翌日回しである。使用者の方々にはこの運営形態に不満を訴えるケースはあるが、修理屋の労務環境としてはそうでもしないと24時間臨戦態勢でいなければならなくなってこれは精神的肉体的に大きな負担であり,雇用している企業としては深夜の作業で事故でも起きれば労務管理上,問題でもあるからこういう制限を設けざるを得ないのであって,24時間365日,いつでも障害があった時に即刻対応してもらいたいのであればとどのつまり使用者はメーカーのサービス講習にでも参加して自ら修理を憶えるのが最良だろうと,これは決して暴論でも極論でもないと現在の俺は考えるようになった。

 俺の懸念する将来像を断片的に書き留めておきたい。
*中古機材が出回り続けることで得意先の設備は不安定さを増す。
*厨房設備の内容は複雑さ,高機能さを増す方向にのみ進み,後退しない。
*携帯電話の普及により,サービスマンの基礎的な思考力は鍛えられず,スキルレベルは低下する一方である。
*経験を積んだサービスマンは上に書いた事情により,ある時点で業界から抜けていく。

 起こりうるであろう典型的な状況は一例を挙げるとこんな感じだ。
使用歴10年程度の食器洗浄機が運転途中に停止する不具合が不定期的に発生し,そこに現れた厨房屋のサービスマンは作業着を着て軍手をはいており,一見,その筋の人らしくは見えるが実は偏差値40くらいの無名大学文系出身の男である。
 5分程度あちこち眺めての所見は・・・・・
(1)不具合箇所はコンピューター仕掛けの制御基盤であり,その価格は10万程度、修理費用は約12万くらいになる。
(2)不具合箇所はコンピューター仕掛けの制御基盤であり,現在補修パーツはないので修理不可。リプレースしてください,
 
 修理屋は技術者どころか職人でさえなく,使用者の前で臆面もなく携帯電話でSOSを求め,虎の巻を開き,エラーコードの説明文に従って関係ありそうなパーツを総取っ替えするだけの作業員(workman,worker)でしかなく、しかも,定着率が悪く毎度違った人物が現れてそのいずれもが30代前半以下のあんちゃんである。
 当然ながら彼はその修理個体の過去履歴など頭に入っているわけはなく,大体その機材は中古機をリサイクル屋から購入してきたものなので持ち主にも過去事情はさっぱりわからない。
 
 起死回生の秘密の抽き出し発動によって故障期待が仮処置を施されて急場をしのぐといったドラマチックな場面はこの先極端に減っていくだろうし,それ以前に満足に回路図も読めない、単なるネジ回し屋しか残らずにそれさえも次から次と入ってくる修理依頼にてんてこ舞いで即応性は低下する一方の状況は既にもう始まりつつあるように俺は見ている。
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やはり一人でやるしかない [日記、雑感]

 今日は大晦日で,今年一年の回顧を手短に表すとタイトルに書いたようなものだ。

 俺の裏道稼業も丸10年を過ぎた。
開業した当初,考えていたのとは全く違う状況の中で俺は漂流し続けている。大きな流れに翻弄されながらもがき続けてどうにかこうにか溺れずにいる,そんな感じだ。

 この10年,会社員ではなくなってしがない商売を立ち上げてからの俺は実に多くの人や組織に裏切られ続け,多くのものを失ったり傷ついたりしてきたと思うが反面,意外な人や組織から救いの手を差し伸べてもらうこともあり,今のところはどうにかこうにか夜逃げや自己破産はせずに何とかこうして年の瀬を迎え,のんべんだらりとブログの記事なんぞも垂れ流していられるわけだ。

 職業人としての俺は現在,競馬でいうと第4コーナーを回っている最中の感がある。
俺を取り巻く環境が余程大きく変わらない限り,来年は俺にとって最終的な過渡期の,大きな曲がり角を過ぎる年になる模様である。そして3,4年後にはこれ迄の10年とはだいぶ違う日常の中で俺は過ごすことになりそうな模様だ。
 勿論今の商売を廃業して全く異なる業種に身を委ねるとか,ましてや再び月給取りの生活に戻るとかいったことではない。今の商売自体は続くだろう,他に人並みにできることはないのだからこの商売を続けなければ俺はおまんまの食い上げだ。

 今の時点ではっきりしたことを書くわけにはいかないのが歯痒いが,深夜や休日に関係なくあっちこっちを駆けずり回り,メーカーの裏をかくようなインチキ修理や裏技を駆使してあぶく銭を稼ぐアウトローみたいな毎日ではなくなる模様,とだけ書いておこう。
 技術屋の端くれとして業界の約束事をあるときは無視し,あるときは狡猾に利用して他の同業者がなし得ないような結果を導き出すスリルを追い求める一方でこれを生業として日銭を稼ぐというのはある種マンガやドラマめいたありようだが,現実にこんなことを続けていれば爪弾きの鼻つまみ者が業界での指定席であることはこの10年で俺が身をもって体験した。
 
 とりとめのない独り言のような物言いだが,俺はこの商売を始めた当初,異業種の自営業者同士が横の連携で一つのプロジェクトを進めていくような構図を夢想していた。
 受注者がリーダーであり,協力業者は全体の最大利益のために奉仕し,場面を変えて別の者が受注者となった場合には他の者は同じく奉仕するという相互的関係の連続を夢想していたわけだ。
 しかしそれは実にお人好しな人間観であり,現実問題として人間は目先の金のためになら何でも利用するし簡単に裏切ったり陥れたりもする。『情けは人のためならず』という格言は俺の棲息する業界に突ついては空念仏もいいところだ。

 今年の俺は複数人での施工現場に於いて随分痛い目にあった。
職人の都合やわがままに振り回されて大して利益が出ないばかりか俺が依頼元との工事代金の取り決めがまとまらないうちから職人から俺への金の無心は酷く,俺は大して多くもない虎の子の定期預金を担保にして金を借り入れ、ようやくどうにか職人達への支払を済ませたのが昨日のことだ。勿論来月末には依頼元から金は入り,俺の借り入れは消えるのだが何だか大変面白くない気分である。

 経営とはすなわち資金繰りのことだ,と何かの本で読んだ覚えがあるがこういう局面では本当にそう思う。工事期間中のごたごたも含めて職人という人種のどうしようもなさはこの先記事にしていくことにする。一つの現場で複数人の職人を動員するような工事業者としての仕事は商売を始めた当初から積極的に取り組みたくはなかったものの、今年あった某現場であらためて懲りた。
 やはり一人でやるしかない。他人に依存しないと完結しないような仕事を俺はすべきでなく、それはどうも精神衛生上よろしくないようだ。そもそも俺は物心がついた頃から変人扱いされたり協調性に欠けるとの誹りを受けたりすることが多かった。どうも一人でチマチマやっている方が色々な意味で性に合っているようなのだ。となると出来ることと言えば機材の修理にほぼ限定される。

 この業界でおよそ30年,図面を書いたり施工現場の工程管理をしたりしたこともあったが職業人としての俺の芯を形成しているのはやはり一人作業の修理屋であるな。
 あらためてそんな風に自分の立脚点を苦々しい人間観とともに噛み締める今年の大晦日だ。

 例年通り,今年の正月も俺は数日,篭城作戦を貫徹する。どこにも行かず,誰にも会うつもりはない。毎年,正月休みには古典の読書に耽ることにしているが今年の題目はこれにした。
 
イリアス〈上〉 (岩波文庫)

イリアス〈上〉 (岩波文庫)

  • 作者: ホメロス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1992/09/16
  • メディア: 文庫


イリアス〈下〉 (岩波文庫)

イリアス〈下〉 (岩波文庫)

  • 作者: ホメロス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1992/09/16
  • メディア: 文庫

タグ:職人
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メールソフトの不調 [お仕事上のぼやき]

 歳末で色々立て込んでいる時に限って色々とロクでもない出来事が起こるような気がする。

 俺の得意先でこのブログを読まれている方は大して多くはないとは思うのだが告知の意味もあってこの記事を書くことにした。
 3,4日前から俺のメール環境は大変不自由な事態に陥っている。受信は出来るが送信は出来ないというのがその困った状況で,俺にはメールソフトの環境設定をする能力はからっきしないので目下お手上げだ。

 俺は私用と仕事用とで二つの電話番号があり,ネットのアカウントもそれぞれ回線ごとに取得している。そして常用しているメールソフトはバージョンは異なるがいずれもThunderbirdだ。
 そのThunderbirdがどちらも同じ不調が,それも同日に起こるとはどういう事なのか?

 しばらくぶりにISPのサポートセンターに問い合わせてみるとメールソフトの設定など諸々の問い合わせはOSがMacの場合、現在はMail以外は受け付けておらず,Thunderbirdはサポートの対象外だとか。
 俺は16年前にパソコンを買い込んでネットに繋いで以来ずっとNetcapeとその派生であるMozilla系のブラウザを使い続けてきたので何となくメールソフトはThunderbirdを使い続けてきており、ISPもサポートはし続けてきてくれていたように憶えているので、少々当惑している。

 メールが使えない状況は業務上致命的なので、差し当たり暫定的に,というか恒久的になってしまうのかもしれないがアプリをMailに替えてみるか。
 俺に限らず世間では良くある話だが,慌ただしいとき程ややこしい問題が持ち上がるのはどういうわけか?

(追記)今迄書き忘れていたことだが,このブログは投稿前の表示確認はFirefoxでだけ行っており,他のブラウザでは行っていないので他のブラウザで見ておられる方は表示の不具合があるかもしれないがご勘弁を。
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複合機をリプレースする [日記、雑感]

 当然ながら,事務機もまたれっきとした商売道具だ。

ここで恥を忍んで書くと,6年前に新調したブラザーのインクジェット複合機は紙の送り機構が不調でしばらくずっとファクシミリの受信が出来ずにいた。
 
 メールの普及によって使用頻度が下がりつつあるとは言ってもまだまだファクシミリが不要になるわけではないし,この先なくなることもない。そういう中で受信が出来ないまま数ヶ月も放置していたわけで、当然ながら商売に影響がでないわけはなく,こういうところに俺のずぼらさ加減と言うか,至らない人間性は良く現れている。

 考えてみると,これ迄使っていたブラザー工業の複合機は購入した個体に何か不具合があり,無償で交換してもらったものだ。
関連記事名:太っ腹なブラザー工業に感謝
記事URL:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2008-05-12

 自分の書いた記事を読み返す習慣はないのだが,今読み返してみると6年前は自分の商売のどん底の時期で,冗談抜きに廃業とか自己破産のことが日々意識をよぎる毎日でのことだったのだなあとその頃のことが妙に懐かしい。

 6年経って今の俺はどうにかこうにかこれ迄を食いつなぎはしてきたものの,今月などは積み残しの仕事が溜まってあちこちから総スカンを食っている。6年前がそうだったように既に俺から離れつつある得意先もきっとあり,それはこの先表面化してくるだろう。
 してみると俺の商売の低迷期には事務機器の類いが不調であるという,これは一種,周期性とも法則性とも言えるものがありはしないか。

 それはさておき,目下のところ俺は自分の商売を廃業するつもりは毛頭ないのでファクシミリが使えないまま仕事を続けるわけにはいかないし、続けられるわけもない。
キヤノン A4モノクロレーザー複合機 Satera MF216n 9540B046

キヤノン A4モノクロレーザー複合機 Satera MF216n 9540B046

  • 出版社/メーカー: キヤノン
  • メディア: Personal Computers

 キャノンという会社は俺の同級生の職場であり,その内情をあれこれ聞いたりその他色々な伝聞からして大して印象のいい企業ではない。仕事とは全く関係がないが俺個人の趣味で,若い頃にはカメラのことで裏切られもしたので尚更だ。
 今回俺はネット通販で買うよりも割高ではあることを承知の上で,安物のレーザー複合機を地元の家電店で購入した。特にメーカーにこだわりはないが,家電店での金額提示はキャノンの方が安かったからたまたまそうした。

 これ迄俺はこのブログで、飲食店のナショナルチェーンについてそれは地方を疲弊させ、厨房屋の人材を無意味に消耗させる大きな原因の一つであるとしばしば非難してきた。
 目先の金のことだけを追いかければ、全国を網羅する大資本が全てをかっさらっていく結果は見えているのだが,何かしらそういう傾向に抗いたい気持ちが俺にはある。できるだけ地元を使おうという姿勢と言い換えることもできるか。
 実は俺が自分の生業のことで困窮していた時期に俺を見捨てていった得意先の過半数は地元の人々だ。殆どの場合に於いて,基盤の小さな人達程大きなものにすがりついて同化したくなる,小さな者同士で連携を拡げていこうという考えにはなれない。これは俺が会社員を辞めて以来10年間の間に学んだ人間観で,恐らくこの先揺らぐことがない。

 地方を疲弊させる大資本のチェーン店を非難する一方で自分の商売道具を買い込む時にはAmazon.co.jpでは矛盾もいいところで,全ての買い物をこういう風には出来ないが、今回俺は小額ながら地方で生きている人間としての筋は通したつもりになっている。

 ところで,俺の自宅兼事務所では現在,ブラザーのモノクロレーザープリンターが一台稼働中だ。



 既にレーザープリンターが一台あるのだから何もわざわざ機能が重複する複合機を買うこともないのかもしれないが,今日日,感熱紙を使ったファクシミリの専用機を使うくらいなら長期のランニングコストを考えた場合,安物の複合機の方がまだ幾らか経済的な気がするし、いずれレーザープリンターがいかれたら今回の複合機にプリンターとして働いてもらうことになるので決して無駄な機能重複だとは考えていない。

 問題なのは俺の仕事用のパソコンもまたかなりの中古で,複合機のプリンタードライバーは俺のMacbookのOSをサポートしていない。
 そういえば仕事用のパソコンもそろそろ古さが目立つ。
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ラチェットめがねレンチの遍歴を簡単に振り返ってみる [含蓄まがいの無用な知識]

 これ迄あれこれ使い続けたハンドツールのうち,作業の質を最も大きく変えたものは何だったかと考えた時,それは恐らくラチェットめがねレンチだったのではないかと思っている。
 何といっても,ソケットレンチの出番が激減したことの効果が大きい。常用するツールバッグの他にわざわざソケットレンチ一式のケースを持ち歩かなくて済むようになって移動は楽になった。
 その一方でコンビネーションレンチとして見た場合,ラチェット側はオープンエンド側を使用する程にはナットを傷めず,更にオープンエンドレンチよりも早回しの性能は高いので,オープンエンド側の使用頻度が下がり長持ちするようになった。通常のコンビネーションレンチで言えばめがねとオープンエンドの使用比率は感覚的に3:7くらいだったと思うがラチェットメガネレンチに変えてからは早回しのときでもめがね部分を使用することになるためこの比率がほぼ逆転し、作業時間は大いに短縮された。

 昨日日曜日の昼,しばらくぶりに商売道具の手入れでもしてみようかと道具を引っ張り出してみると今に至る迄に結構あれこれ試し買いのようなことを繰り返していたことに気づき、せっかく買い込んだ商売道具のことを顧みてみたくなった。

 下の画像は俺がこれ迄買い込んだラチェットめがねレンチで,現在手元に残っているものだ。スパナやレンチ類でミリサイズの場合俺の常用する範囲は7mmから19mmで,最も頻繁に使用するサイズは8mmと10mm、ねじの径で言えばM5,M6となる。ここでは対辺8mmについて購入した純に並べてみた。
IMGP0218 のコピー.JPG

 左から右に向かって1,2,3と仮に番号を振ってみてちょっとしたコメントを垂れ流してみるか。

1:メーカー不明
購入したのはまだ勤め人だった頃で,設備資材の問屋のフロントに置いてあったものだ。今から13,4年前だったと思う。この手の工具としてはかなり初期のもので,並べたうちでは最もヘッドが大きいので狭い場所は苦手だ。ここで並べたうちでは唯一,ギヤレスのラチェットであるところが最大の特徴で振り角の狭さでは他の追随を許さない。但し強度的には今一で仮締めと早回し限定と見るべきだろう。俺はこの時同時に買い込んだ13mmで錆びかかったボルトを緩めようとしてものの見事にぶっ壊した。

2:スエカゲツール
 自分で使用するためではなく,当時の勤務先で俺の部下として働いていたあんちゃんの常用ツールとして俺が買い与えたものだ。あんちゃんは幾らも持たずに会社を辞め,ツルピカの工具が残った。12年くらい前のことだ。俺が10年前に開業するために退社したとき,余り物の工具を貰い受けた中に入っていた。ボディというかハンドル部分は流線型状の断面で細く,力を入れて握ると手に食い込んで痛いので幾らも使っていない。
よくギヤレンチという呼び方をされるこの道具だが,このレンチにはボディにその打刻があり,商標登録されていることが示されている。だからそれはスエカゲツールの製品にだけ許された呼称だということになる。

3:KTC
 8年位前だったと思うが機械材料の問屋の展示会でKTCの営業に奨められ、一発で気に入って買い込んだものだ。ラチェットめがね部分がフレックスヘッドになったものを手にしたのはこれが初めてで,俺の作業はこの道具によって革新され、ここからソケットレンチの出番が激減していく。なんと言っても本締めOKというところが頼もしい上に,72ギヤの精密管は当時俺を驚かせた。今になってみるとギヤの感触が少々堅めで,後述する他社製に比べると早回しの時に共回りが起こりやすい。
 ハンドル形状はI型の断面で大変握りやすいがミラー仕上げなので手が油でベトベトになると滑りやすい。力をかけた時の剛性感はここで挙げた中では最高点。

4:トップ工業
 ここ3年くらいの間に使い始めたメーカーで、仕入れ先は設備資材の問屋からだ。こちらは仕上げが梨地であり、先に挙げたKTCよりは滑りにくいがボディ断面は楕円状で力は相対的に入りにくい。ラチェットの片側のリングは黄色にカラーリングされており、回す方向が一目で識別できるところは親切。ここで取り上げた中では全長は一番長いが、これは別にショートタイプのラチェットめがねレンチがラインナップされているからだ。正転時、空転時、ともにKTCに比べてタッチは軽いが反面力を思い切りかけた時の安心感はやや心もとない。但し、製造元では本締めOKをアナウンスしており、目下のところ山飛びの破損例はまだない。トップ工業のレンチ類の常として,少々野暮ったく重いが剛性はあって値段が安いところは貧乏自営業としては助かる。

5:TONE
 今年の夏頃から、日頃の携行用の腰道具のツールポーチに入れておくようになった。機械材料の問屋から購入。ギヤのタッチ、ボディの仕上げや形状、オープンエンド側のコンパクトさ、などなかなか完成度は高い。ボディ両端は絞り込まれてくびれており、狭い場所での回転角を稼げるので有利である。全長はトップ工業のものよりもやや短いのでポーチに入れても飛び出さず、収納性は良い。ここで取り上げた中では最も使用頻度の高いレンチだ。

6:FACOM
 ネット通販で昨年購入したものだ。ラチェットは固定で15度のオフセット角を設けてあり、回転方向の切り替えはヘッド近くのレバーで行う。KTCとほぼ同寸のショートサイズだが狭く、入り組んだ場所での使用では固定ヘッドの方がふらつきがなく安定するようだ。
 ボディの形状や使用時のタッチなど、先に挙げたTONEの製品と大変酷似している。出元は同じではないかと思われるがリリース時期から言ってFACOMのほうがこのデザインの先駆であり、TONEにむけてOEM供給しているのではないかと俺は見ている。それまで72山のラチェット機構に手をつけずにいたTONEがここ一年くらいの間に急に多くの製品をリリースし始めた背景にはFACOMとの提携が関係していたのではないだろうか。
 ちなみにアメリカのMac ToolsにもFACOM と殆ど同じ造りのラチェットめがねレンチのラインアップがあり、こちらはセット品のレンチホルダーまで同じ形をしている。

7:TONE
 最近、カタログに記載されるようになったが元々は創立75周年限定のセットのうちの一本で、先に取り上げた5との違いはオープンエンドレンチにラチェット機構が組み込まれている事だ。普段はセットのケースに収まっており,出番はあまり多くない。
 FACOMとTONEの関係について憶測のような事を前段で少し書いたが、数年前にFACOMが提唱して製品化されていたファーストアクションレンチに似た形状のオープンエンド側は何かしらの影響を感じさせる。オープンエンド側のラチェット可動部分は樹脂製で華奢な印象だ。油の耐性が未知数で交換可能な造りに見えないので使用は何となく遠慮がちで,目下のところケースに収まったところをたまに眺めて悦に入るだけのしょうもない買い物の産物だ。

 とまあ書き並べてみたが,世の中に出回る全ての製品を買い込んで試すことが出来るわけでもなく,自己満足みたいな記事だ。同業者と顔を合わせた時に勧めてはみるが反応はあまり良くない。
 推測できる理由の一つはラチェットめがねレンチがあるから従来からあるようなコンビネーションレンチやソケットレンチが無用になるかと言えばそうではないこだ。ラチェット機構を組み込む関係上,どうしてもメガネレンチに比べるとヘッド部分は厚みが増して大きくなるのでメガネでないと入らない部分はあるし,凹んだところについているボルトやナットはソケットでないと入らないのでラチェットめがねは必ずしも万能ではない。

 万能ではないことがわかっていながら新しい製品を見かけるとついつい(一丁,試してみるか)と財布の紐が緩むのは俺がこの先も貧乏自営業者から脱することが出来ない未来を表している。
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無数にある失敗のうちの一つを晒す [困った業者]

カテゴリーにある「困った業者」とは、他でもないこの俺のことだ。

 これ迄このブログで俺は幾つか自分の修理記録のようなことを記事にしてきた。
それらを読まれた諸兄のうち幾人かはこの俺が立派な腕前を持つ修理屋だという印象を持たれているのかもしれない。しかしそれは大変な誤解であって現実の俺は年がら年中失敗だらけの,出来の悪い修理屋に過ぎない。

 あるいはこう考える方もおられるだろう,(こんな修理作業の記事をアップしているけど,こいつは本当はこの数倍,手こずったり失敗したりしていて,自分に都合の良い,うまくいった事例だけを取り上げているのではないのか?)その通り,あなたの見方は全く正しい。俺の仕事は年がら年中,いつまで経っても狼狽と憔悴の連続だ。
 誤った所見については枚挙にいとまがない。そして機械の修理は俺の仕事であって趣味ではない。とにかく壊れたものを機能させ,再び動かさなければ事態が前に進まない。どこ迄も正確で迅速な診断能力と作業手順であらゆる出来事を処理できればいいのだが現実にはいつまで経ってもそうなれずにいる。実にしばしば迷い,手こずり,経費で脚が出る。しかしそれでも依頼は日々舞い込み,俺は片付けなければならん。

 夏場に冷媒漏れの障害が出たエアコンの修理で、これは以前,記事にしたことがある現場だ。
(関連記事)
ハイエナ:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2014-04-26
ハイエナ行為がメーカーにバレた:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2014-05-02

 エアコンは日常俺が触れる機会がなく、機能や構造などはろくに頭に入っていない。
それでも色々事情があって引き受けることにした。理由を書き始めると長くなるのと本筋からそれるのでここでは割愛。
IMGP0215.jpg

 製造元は東芝で,このコンビニが開店以来ずっと動き続けてきた。20数年落ちの個体で、既に本部指定のサービス機関であるメーカー筋では匙を投げられた格好となったので俺のところに依頼が来たのが前回記事の時点でのこと。
 室外機の上部に銀色の筒のようなものが見られる。これは灯油を燃料とする燃焼筒で,暖房運転時に冷媒(正しくは暖房運転時には熱媒と呼ぶのだろうか)を加温するためのものだ。使用冷媒はR-22で、当時はこういう加温機能を設けないと満足な暖房性能を得られなかった。時代の反映と言うべきか。

 東芝から配管の系統図を貰い,にわか勉強に励んだ。
既に憶えていて自分の抽き出しになっているようなことを繰り返して食っていけるのならもっと楽なはずなのだが,とこのごろつくづく思う。 
 うろ覚えで頭に入ったには,この手のヒートポンプは暖房運転時にまずコンプレッサーが回ってポンプダウンを行い,続いて上部の燃焼筒で加温が始まるというものらしい。
 故障個体の挙動はポンプダウンの際にコンプレッサーが動作せず,燃焼筒内の冷媒が不足しているため過昇温というか空焚きのような状態を検知して保護停止がかかる。ということは機体内のどこかにあるマグネットスイッチが働いておらず,コンプレッサーが動かないわけで俺はあちこち外してその部品の在処を探しまわる。
IMGP0216.jpg

 付属の配線図は20数年屋外にあったその経時変化で既にボロボロになっており,まともに読めない。配線を辿りながら探しているととんでもなくややこしい場所にそれが着いていることが判明した。
 何らかの理由でサーマルトリップでもしているのかと俺はシャンク長が300mmくらいのドライバーでマグネットのプランジャーを強制的に押し込んでみるとコンプレッサーは普通に回る。
サーマルトリップの状態を確認したくてせせこましく配線の入り組んだ内部をかいくぐるようにして先のドライバーを差し込んでみたがどうも押した感触に確信が持てない。

当然ながら,マグネットスイッチは東芝製のものが使われている。そして,俺の住む土地に於いては東芝製のマグネットスイッチというのはあまり一般的なものではない。サーマルの復帰ボタンの感触は体感的にはわかっているつもりであり,製造元がどこであれ似たようなものではないかとも思うがやはり普段見慣れていないものだと確信が揺らぐ。
 そもそもこのサーマルは復帰方法が自動なのか手動なのか,マグネットスイッチは物凄く奥まったところについているし,埃まみれなので目視でそれを確認できず,手も入らない。
 常識的に考えれば,手の入りにくいところについているマグネットスイッチであればそれは自動復帰としておくべきだろう。しかし自動復帰というのは保護装置本来の責務を果たしているとは言えないやり方で,もしも付加の状態が良くなく,繰り返し過電流を流し続ければポンプレッサーを焼いてしまう。

 俺は頭の中を整理する。
 マグネットスイッチのサーマルに出力が現れない、マグネットコイルのプランジャーが働かない,その理由は・・・・・・
(1)サーマルリレーの破損,これは復帰方式を東芝に問い合わせ,手動復帰であることを確認したので問題なし。
(2)電磁接触器部分の接点焼損による不良,これは先に書いたようにプランジャーを強制的に押し込んでみると大体理屈通りの電流値でコンプレッサーが動くので問題なし。
(3)非常に稀だが,ヨーロッパ製の機器類で時たまある状態で,マグネットコイルが断線,乃至はレアショートを起こしており吸引力が生まれない,または不足する。

 俺はボロボロになった配線図を目を凝らして凝視し,マグネットコイルの接続経路を探した。それは制御基盤のある端子に接続されており,AC200Vで動作することがどうにか判読できた。
 薄暮時が迫ってくる屋外で俺はどうにかそのコネクターを見つけた。基盤からの出力があることを確認した上でマグネットコイル側の導通を測ると完全なオープン状態でここが断線していると俺は判断した。

 そんな手順で所見は出たが,何せ20数年前の機種であり,同一の補修パーツが既に東芝にはない。
代替品として供給されているマグネットスイッチを取り寄せてみると中身はなんと,電磁接触器の部分だけでサーマルがついていない。慌てて東芝に問い合わせをしてみると出荷は間違っていないという。サーマルは別に発注が必要なのかと質問を重ねるとサーマル単体での出荷はしていないという。じゃあ処置としてどうすればいいのかと問いつめると何とも不明瞭な回答で俺はいい加減頭に来て電話を切った。

 たかがマグネットスイッチくらいで一体何をそんなに勿体をつけなければならないか。これがどこか分けのわからない製造元ならいざ知らず,天下の東芝がこんな対応なのかとがっかり来た。
 そう,たかがマグネットスイッチなのだ。そんなものは俺の住んでいる田舎町の電材屋にいつでも在庫しているではないか。俺は代用品として富士電機製のサーマルを買い,既に東芝から取り寄せた電磁接触時と組み合わせて使うことにした。
 
 あらためて現場でエアコンの分解を始め,マグネットスイッチの取付け箇所に迄辿り着くのは結構難儀した。年がら年中いじっているのであればもう少し手際よく出来たのではないかと思う。
IMGP0213.jpg

 室外機右側の上部にある制御裏盤の真裏に横向きに取付けられている。日常こういうものを数理されている方はさぞかし大変だろう。

 取り外したマグネットスイッチを見て俺は驚いた。
古い形式のマグネットスイッチでは良くあるやり方だが,サーマルの復帰端子(b接点)と電磁接触器のコイル端子の片方がごく短いジャンパー線で結ばれている。取り外したマグネットスイッチはそのジャンパー線の末端,Y端子をカシメたあたりで断線しているではないか。

 基盤への接続端子側からコイルの導通を測ってオープンだった真相はそういうもので,取り外した現物をこうして調べてみるとコイル自体に断線はない。
 俺はジャンパーを作り直して,舌打ちしながら復旧を進めた。数千円とは言え,あわや交換しなくていいパーツを交換するところだった。仕入れたマグネットスイッチは問屋に返品がきくのだし,店舗のオーナーに対してはマグネットスイッチの分を差し引いて修理代を精算し直すことでご了解を頂いた。
 オーナー殿はせっかく仕入れたマグネットスイッチの返品は手続が面倒だろうし,そのエアコンはもう20年以上も動いているのだからこの際交換してくれと有り難いお言葉を頂いたが,既に屋外は真っ暗であり,更に交換作業を続けるのは手間がかかる。それに何といっても問題のマグネットスイッチは差し当たり不具合がない。俺は自分の横着と不見識さのペナルティとして,東芝から仕入れたマグネットスイッチの分はかぶることにした。補修パーツとしての購入なので電材屋からかうのに比べると割高ではあるが,いつかどこかで使うことにしよう。

 問題なのは依頼を受けてから復旧迄に要した時間で,結果論とは言え随分道草を食った。
駆け出しのあんちゃんだった頃から今に至る迄,俺にはいつもこういう感覚がついて回る。何故あれを見落としたのか,とか、何故こんなに手間取ったのか,といった後悔がいつものしかかっている。そしてこれはこの先もなくなることがない。生き続けている限りどこまで行っても俺には完成がない。 
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至る所にトラップはある [含蓄まがいの無用な知識]

 ブログを休止している間の修理のことを書いておこうと思う。

 FMIからの依頼で山間の某所にアイスクリームのバッジフリーザーの修理に出かけた7月のこと,最初現調に出かけた輸入元のサービスマンは液管の電磁弁からガス漏れがあることを発見し,俺がその後を処置を引き継いだ。

 使用されている電磁弁はごくありきたりなダンフォスの製品で,配管の接続径は 3/8(inch)だそうで、電磁弁は俺が手配して交換することにした。
 輸入元からの依頼事項として,電磁弁の接続形式は元々溶接タイプのものだが,今後同様の障害が出た場合に溶接機なしでも交換可能なようにフレア接続のものに変えてほしい旨のリクエストがあった。

 お易い御用と快く引き受けて現場に乗り込み,冷媒回収の後に溶接機を取出して接続箇所を外しにかかったところ最後にトーチの火が急に赤色になった。酸素ボンベのゲージを見ると空っぽである。
 (やけにタイミングよく酸素がカラになったものだわい)と内心一人ごちながら俺は冷や汗もので電磁弁を取り外した。
 どうせこの先は,接続されていた銅管をフレア加工するのだからもう溶接機に用はない、今日はついているな,と俺は切り離した銅管にフレアナットを差し込もうとして焦った。
 配管が太く,フレアナットが入らないのだ。何かの理由で配管の断面が楕円状に変形したのかとあれこれ試してみたがやはり入らない。フリーザーの冷媒管と元々ついていた電磁弁を睨みつけているうちに俺は声を上げそうになった。
 ハンダであれ,ろう付けであれ,一般にヤクモノの配管接続箇所は内径部分に配管を差し込む前提で呼び径が謳われているが、元々ついていた電磁弁をあらためて問題の冷媒管に元通り差し込んでみると冷媒管は電磁弁の接続箇所の外側に被さるようにしてささり込むではないか。
 要するに,冷媒管が通常俺が使うようなサイズのものではなく,太い。しかし3/8サイズの上と言えば1/2となるのだがそれにしては細い。何とも中途半端に細いというか,太いのだ。中間サイズと言えば7/16だがそんなサイズの銅管を俺はこれ迄見たことがない。大体そんな接続径のヤクモノなどどのパーツメーカーのカタログにも載っていない。
 しかし現実に俺が冷や汗をたらしながら睨みつけている冷媒管は確かに微妙に太いサイズではあるのだ。
その回答は簡単に導ける。持参した3/8の銅管でフレアーソケットを現場製作すれば良いのだ。中途半端に太い元々の冷媒管とぴったり合うように7/16でスウェイジング(オーバーサイズ)させれば帳尻が合うだろう。

 そこでもう一つ,頭の痛い問題が持ち上がってくる。
フレアーソケットの製作は上首尾で収まり具合の悪くない。しかしここで二箇所,溶接箇所が発生するわけだが俺の持参した溶接機は既に酸素がからでガス欠だ、どうするか・・・・・・俺はこめかみを押さえて考え込んだ。
 事情を使用者に話して頭を下げ,酸素の充填を済ませて出直してくるか,と一時的に俺は観念したのだが、山間の農場にもう一度出直してくるのも大儀な気がした。

 俺はギャンブルに出ることにした。
繰り返すが溶接機は酸素がガス欠で使えない。ならば給湯管工事の際にハンダ用に使うガストーチで何とか代用できないか? 
 


 これ迄の経験則や仕事仲間から得た情報で言えば,この手のガストーチでろう付け可能なのは呼び径で言えば1/4迄で,あくまで配管同士の突き合わせ部分に限定であり、それ以上のサイズとか膨張弁やドライヤーなどヤクモノとの溶接は無理,というのが通り相場だった。
 俺は気を取り直し,ダメ元で試してみたのだった。結果は下の画像の通りで何とか問題なく溶接は出来た。
IMGP0150.jpg

 賭けに勝って山場を乗り切った俺はここから一気に作業を進める。
IMGP0151.jpg
 電磁弁のボディを取付けてポンプアウト(真空引き)
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 修理終わり,一丁上がりだ。
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 どうにかワンストップで切り抜けて俺は現場を後にしたわけだが,この時にあらためて輸入機械は油断できないもんだとつくづく思った。
 冷媒管の呼び径というのがこのときのトラップだったわけだが,特にヨーロッパ製品はビスやボルトの形状やサイズなど,日本製では通常使われない材料に出くわして立ち往生するケースが少なくない。普段使いのガストーチが何とか使えたのが成功要因であり、さもなければ俺はぶざまに頭を下げて出直すところだった。
 しかしだ,銅管の呼び径で3/8と7/16なんて諸兄よ,ちょっと見ただけでは殆ど見分けがつかないもんだぞ。弁解みたいに聞こえるかもしれないが本当に。

 ブタンガストーチについては近いうちに一つ記事を書いてみたい。
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ガス漏れ検知液Big Bluに注目 [便利そうな商売道具]

 冷機器の修理をする以上,冷媒漏れの修理と無縁でいられるわけはない。
というか、冷媒管の修理が出来ずに冷機器の修理が出来ます,とは言わないものだ。

 とまあそれはさておき,冷媒漏れの検知方法は大体4つくらいを思いつくが唯一絶対の手段は今のところない。石鹸水をかけて泡の発生を目視することでガス漏れを調べるのは俺が駆け出しだった頃からあるやり方で一番手っ取り早いのだが,同時に一番不確実で精度の低いやり方でもあった。

 ガス漏れの検知液は色々なものが市販されているが、冷媒管修理に使うには役不足の商品が殆どだ。

AZ ガス漏れ探知剤400ml AZ001 [HTRC2.1]

AZ ガス漏れ探知剤400ml AZ001 [HTRC2.1]

  • 出版社/メーカー: AZ(エーゼット)
  • メディア: Automotive


 LPGなり都市ガスなり,ガスはガスでもそういう類いの配管をいじる人にとっては重宝するし俺も使うが冷媒管となると事情が変わる。
 大体は粘性が低く、検査箇所から流れ落ちてしまうので,スローリークを感知できない。発生する泡が大変小さいので目視が困難な場合が多い。何といっても冷媒管で使うにあたって蒸発温度の高いエアコンでならまだ使用に耐えるのかもしれないが,冷凍庫のように低圧側の配管表面温度が-10℃以下にもなるような箇所だと泡の生成以前に検知液が凍ってしまうのが最大の弱点で、俺は長いこと,この方法は簡単で便利だが使用できる条件は限定されるという認識でいた。

 リリースされたのがいつ頃かはわからないが,2年くらい前から俺の周辺の仕事仲間の中ではBig Blu(ビッグブルーと呼ぶ。IBMとは無関係)というガス漏れ検知液を携行する人が増え始めてきた。人によっては電極感知式のリークディテクターの出番がめっきり減ってしまったのだそうだ。



 輸入元はアサダで、今やすっかり冷媒管関連機材の商事会社になってしまった感がある。これも時代の流れか。

アサダのHP:http://www.asada.co.jp/seihin/reito/6_01.html#02

ビッグブルーの出番は結構多い。
実際に使ってみて良さを実感する場面は晴天時で風の強い屋外での作業だ。蛍光剤を用いた漏れの検知はかんかん照りだと目視が大変困難だし,風が強い場所だと電気式のリークディテクタ—だと漏れた冷媒が飛散して捉え切れない。
 上に書いた条件以外でも,電気式で検知できない漏れがビッグブルーだと判別できたケースも一度ならずある。ガス漏れ検知の方法にオールマイティはなく,場面や状況によっての使い分けは勿論必要ではあるが、この検知液はかなり広範囲に使える。

 使用状の注意点としては使用後は必ずきれいに拭き取っておく習慣付けをすることで、石鹸液にしては随分年度や光沢があるのでこの検知液の使用後,別のサービスマンが冷凍機油と見間違えてガス漏れと誤診する可能性がある。
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ブッチャーでなくなる日 [日記、雑感]

 薄暗がりの作業場でトンマな事をやらかし、頭を切ってから今日でちょうど一週間経った。

 仕事仲間の中には不届きな輩がおり,俺の蒙った災難をこういう人物になぞらえて茶化す奴がいる。
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 ことわっておくが,俺は頭頂部に傷を負ったのであって額ではないし,繰り返すが金はないが毛髪だけはそれなりにあるのだ。決してブッチャーみたいなつるっ禿ではないはずだが、ある種の人達からすると頭部に裂傷を負って出血するとすぐ連想するのがブッチャーらしい。

 しかし,今日からの俺はもうブッチャーではない。
さっき俺は病院に行って頭頂部に打たれたステープラーの針みたいなものを引っこ抜いてきたところだ。これ迄一週間,傷の具合が気になって風呂に入っても頭を洗うことを我慢し続けてきたわけだが今日からは思う存分頭を洗える。週末の修理で全身煤だらけになったので今日は恐らく頭を洗うと手が黒くなるだろうが何せ,実に晴れ晴れとした気分だ。
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 晴れ晴れとしているのは俺の気分であって現実の頭がこんなに晴れ晴れとしているわけではない。
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日曜日午前4時30分に終了 [お仕事上のぼやき]

 前回記事の続きであり,この記事は本日月曜日の午後6時頃に書き始めている。今迄何度か取り上げたことをここでもまた問題提起したい気持ちがあるが,特定の企業に対する非難と受け止められるのは心外なので,固有名詞や現場の画像を挙げることはしない。よってわかりにくいところはあると思うが御勘弁願いたい。

 土曜日午後10時からの作業現場は某うどんのチェーン店である。途中休憩を挿んで深夜,6時間半にわたる労務でさすがに翌日,日曜日の俺はグダグダな状態で終日を過ごした。さすがにもう若くはない。

 修理したのはこのチェーン店向けに特注仕様で製作されたうどんのゆで釜だ。熱源はガスで燃料はLPG,燃焼方式は自然燃焼で,点火方式はイグニッションによるパイロットバーナー着火,点火保持はフレームセンサーによって行われる。燃焼器具ではあるが上記の仕様により100V電源を必要とする。
 点火系統に障害が出た場合の回避措置としてこのゆで釜にはガス管のバイパスが設けられており,圧電着火とサーモカップルによる立ち消え防止機能を持つ別のパイロットバーナーに至る。メインバーナに至るガス管が2系統あって、通常使用時と電気系に異常があった場合の仮運転とを3ポートバルブによって切り替える構成になっている。
 湯槽の形状は平底であるが、熱効率を上げるために底面の裏側には銅製のフィンが一面にスポット溶接されている。吸熱面積を上げることで熱効率は上がる反面,形状が複雑化することで流体抵抗は上がって燃焼排気の流速が落ちるので煤の堆積による不完全燃焼は発生しやすい。あるメリットが別のリスクを生む例は枚挙に暇がないがこういう設計思想もその一つだ。
 従来,平底の吸熱面を持つ燃焼器具は熱効率が低く、裸火に等しい。その数値は約35%だが,上に書いたような加工を施すことでこれを約20〜25%程度向上できるとされている。吸熱フィンを銅製とすることで点火後の立ち上がり特性は更に改善されるのだが、ステンレスと銅との溶接は厨房機材のメーカーにとっては長く難題である加工法だった。
 試作段階をクリアして製品化されるようになったのは3,4年前ではなかったかと思う。涼廚(すずちゅう)という何とも脱力しそうなネーミングで大阪ガスの提唱する厨房機材の認証制度を取得するために燃焼器具メーカーは各社色々、開発を進めたわけで,件のゆで釜もそのうちの一つであり,製造元は俺の元の勤務先だ。
 涼厨(すずちゅう)http://ene.osakagas.co.jp/product/kitchen/cool_kitchen/

 土曜日閉店後の整備作業に先行してこのゆで麺器の修理には俺の元の勤務先の後輩が入っている。五日金曜日,何と彼は8時間にもわたってこのゆで釜の修理で格闘し続け,疲労困憊の体で翌日の応援を俺に依頼してきたのだった。

 不具合の状態はパイロットバーナーの失火警報によるガスの遮断で,ゆで釜に火がつかないのであれば店舗としては商売あがったりだろう。緊急回避用として先に書いたバイパス配管に切り替えての運転を試みたところ、パイロットバーナーの銅管にクラックが出ており,彼はこの補修に手を取られて何とか回避措置に迄はこぎ着けた。
 しかし回避措置後の試運転を行ったところ不完全燃焼が起きており,お湯の昇温が遅くうどんを茹でる工程がオーダーに追いつかない。店舗はやむなく機器の不具合によりオーダーに対して遅れが発生する旨の告知を入り口に貼り出す事態にまで至った。何といってもゆで釜の排気筒から煤が飛散するのでオープンキッチンの店舗としてはパニックみたいな状態を露呈しており,俺などからすればそら見たことか言いたくなる。

 パイロットバーナーの失火警報の原因は煤の発生によるものであり,フレームロッドと本体シャーシの間に落下した煤がブリッジ状となることで疑似火炎判断されて遮断弁(電磁弁)が閉じたことになる。
 要するに大元の原因は不完全燃焼であり,既にバーナーの収まった燃焼ボックスや煙道(排気筒)は煤だらけなので一度筐体を分解して湯槽を取り外し,堆積した煤を清掃しなければならない。しかし分解するためには接続された配管を切り離して茹で釜自体を手前に引きずり出さなければならず,その重量は有に200kgを超えるので人手が欲しい。加えて製造元の工場ではこれ迄の納入例で見る限り筐体を分解して湯槽を取り外す修理の事例がまだないとのことで,色々な意味で一人でけりをつけるには少々心許ない。俺に声がかかったのはそういう経緯でのことだった。

 重量物である湯で釜を移動させるために,後輩はハンドリフトを借り出してきたが,茹で釜の底面は強度がなく,使用できないことがとっかかりの段階で判明し、ごり押し気味に人力で引きずり出すことになった。作業開始は閉店後の清掃業務が終わってからで午後11時近く。前例がないので先の見えない手探り作業であり,
ああでもないこうでもないと二人であちこちいじくり回しながらようやく湯槽を取り外せたのが既に日付が変わってからのこと。

 湯槽の底面に溶接された銅製のフィンはびっしりと煤で埋まっており,これではお湯の沸くのが遅いのは歴然だ。それどころかこんな状態で無理矢理稼働し続けていれば高性能な一酸化炭素発生装置であり,ホールと一繋がりのオープンキッチンとは言え直近で働く従業員が中毒になる可能性だってなくはないのだ。
 堆積した煤は洗い流すしかないのだが,時期が夏場ならいざ知らず今は12月で,おまけに俺の生息地は深夜ともなると氷点下10℃以下となるので煤を洗い流すための水が氷結してしまい,屋外には持ち出すわけに行かない。
 店舗内で煤を荒い落とすための洗浄作業を余儀なくされるわけだが,そうなると飛散が問題になるので店舗内はかなりの広範囲にわたって養生する必要に迫られた。
 他にも色々,作業上の問題は多く,作業は難航してようやく撤収できたのがタイトルに記した時刻だったわけだ。

 不完全燃焼が発生した原因については比較的容易に見当がついた。
これ迄何度過去のブログで例を挙げたようにここでもまた空調の問題だ。天井から伸びている何本かのスポットエアコンのノズルのうち一本が問題のゆで釜の方を向いている。
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画像は本文とは関係ありません

 釜の前に立つ従業員の作業環境を配慮してそういう設計としたのだろうが,冒頭書いたように茹で釜のバーナーは自然給気だ。バーナーのノズルから出る燃料(LPG)が生み出す負圧とは比較にならない程の気流が発生しているのは明白で,一次空気の取り込み量が不足しているのは歴然だ。
 後輩はそこ迄の洞察が働いてはいないようで,この周辺環境が変わらない限りゆで釜の不完全燃焼は何度でも再発する可能性があることを指摘すると後輩は露骨に凹んだ。

 そんなこんなで撤収が終わり,煤まみれのオヤジ二名は腹が減ったので帰り際に吉野家で夜食とも朝食とも言えそうな飯を食った。後輩はおろしてまだ二日目の作業着が煤まみれになってしまったことにまた凹む。煤けた顔がなお一層暗くなった。きっと俺も同じだろう。

 どうも燃焼器具は全般に,時代の趨勢とそぐわないものになって今っているのではないかと今回俺はあらためて思う。近いうちに俺は所見をまとめて一つ記事を書こうと思う。
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土曜日午後10時より [お仕事上のぼやき]

 タイトルにあるのは某うどんのチェーン店での修理開始時間である。
この記事は12月5日金曜日の深夜に書いているものだが、夕方頃に俺の元の勤務先の後輩から携帯あてに連絡があり、タイトルにある日時で応援の依頼があった。

 当然ながら彼の声は沈み気味で、何と言うか気の毒なもんだ。そりゃそうだろう、土曜の深夜に菜っ葉服を来ての労務だ。
 俺は先月、あるでかい施工現場にしばらく缶詰になっていたせいで積み残しのお仕事が随分あり、目下あちこちに頭を下げながら片付けている毎日であってとてもじゃないが他人の応援どころではないのだが、何と言っても元の職場だから日常的に色々補完関係はあるので無下に断るわけにもいかない。

 作業内容はうどんを茹でる釜の点火系で数点のパーツを交換する事らしい。燃焼器具のバーナー周りの修理程度で何故二名作業なのかというと、その釜はかなり重量があり、配管を一旦切り離した上で本体の位置ををずらさないと手が入らないからだという説明だ。

 俺はその釜を見た事がないので内部の構造やら何やらには全く予備知識がなく、いつもながらの出たとこ勝負だが、常々思うところとして電気や配管の接続を切り離して本体の位置をずらさないと修理できないような構造や施工は最低のセンスであってプロのものではない。理由の一つとしては、修理の際にサービスマンが二名いないとならないとすればその分修繕費が割高になるからだ。他にも色々あるが面倒なのでこれ一つに留めておく。

 俺は業界の隅っこでチマチマやっているだけの野良犬に過ぎないのであって,業界全体を鳥瞰するような大仰な物言いが出来たガラでもないのだが,この仕事も俺が駆け出しだった30年くらい前とはだいぶ変わってしまったな,と思う。色々なことが変わった。大体はロクでもない方向に変わってきた。ややこしい方向に変わってきたとも言える。
 
 業界の隅っこ,と俺は書いたがそれも社会の一部ではある。仕事の内容が変わってきたということは社会のありようが変わってきたことの反映でもある。
 深夜や早朝の仕事が当たり前のようになってきたのはここ10数年のことではないかと思う。コンビニのCK(Central Kitchen)が出来たあたりからこういう傾向が顕在化してきたのではないだろうか。

尻切れとんぼでなんだが,結構難航しそうな修理で、この件についての雑感はあとでまた記事にするかもしれない。 
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視界にアークが飛ぶ時 [日記、雑感]

間抜けな出来事を白状しておく。
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 上の画像は俺の頭頂部を自分で映したもので,人生の折り返しを過ぎてなお金のない俺だが髪の毛だけはそれなりにあることは諸兄にもわかって頂けると思う。ことに白髪が多いがこれはガキの頃からだ。
 右方向に移っている白いものはガーゼで,俺は病院から戻ってきたところをこうして撮影している。
自分の脳天というのは自分撮りのフレーミングが大変やりづらいことを俺は本日初めて知った。

 12月2日の夕方に仕事を終えた俺は車から道具類を降ろしている最中に物置のシャッターに頭をぶつけて病院のご厄介となる羽目になった。
 動きの渋いシャッターを中途半端に開けて腰を屈めてくぐろうとした時に,そのかがめ具合が足らずに俺はしたたか頭頂部をシャッターの端にぶつけたわけだ。
 正直なところ,視界にアークが飛んだ。溶接が出来そうなくらい激しいアークが飛んだ。ほんとに痛かったぜ,諸兄よ。

 頭を抱えてしばらくうずくまり、痛みが治まるのを待って俺はやおら作業場の片付けを始めた。作業場の床に置いた箱を上から覗き込み,夜の作業に必要な配管部材を探していると近くで何やらぽたぽたと音がする。
 雨が降っているわけでもないのに何の音かと不審に思い,辺りを見回すと目の前に赤いものが幾つか光っている。ポッタン,と音がして目の前に赤い丸が出来た。血だ。それもどうやら俺の頭から出ているようなのだ。
 慌てて頭に手をやると何やら頭頂部,さっきシャッターの端にぶつけたあたりがヌルヌルする。手のひらを見ると血でまっ赤になっているではないか。
 時刻は午後6時を過ぎたところで大体の病院は受付時間を過ぎているし夜間救急もまだ始まらない。ぶつけ方はかなりこっぴどいもので,何といってもやらかした箇所が頭頂部なので傷口が見えない。
 
 慌てて夜間の診療を行う某病院に駆け込んで受診した次第。
傷口を診た医師は念のためCTを撮ります,と俺に伝え、俺は自分の頭の中が決して空っぽではないことを初めてこの目で確かめることが出来た。
 裂傷部分は5センチ程あり,放置は出来ないので,と医師は何やら白い物体を持ち出してきた。ステープラーに似ているな,と思ったら本当にそういうもので現在,俺の脳天にぱっくり出来た傷口は4本くらい、ステープラーの針みたいな金属で繋ぎ合わせれている。

コクヨ 電動ステープラー フラットクリンチ 10号針 コードレス SL-CF20LM

コクヨ 電動ステープラー フラットクリンチ 10号針 コードレス SL-CF20LM

  • 出版社/メーカー: コクヨ
  • メディア: オフィス用品



 受診料は大体一万円くらいで,あんまりしみったれたことは言いたくはないのだが,ただでさえ大して金のないこの身の上で,何かと物入りの多いこの時期に余計な出費は頭に来るぜ、頭に!
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オープンキッチンと燃焼器具の相性について(3) [困った業者]

 異臭(ガス臭い)はガスフライヤーのパイロットバーナーが立ち消えすることによるものであり、立ち消えは建築構造や空調設備の問題に原因がある,というのがその日割り出した俺の所見であり,俺はここで一区切りついたものだと線を引いた。
 フライヤーそのものに不具合が認められないとなるとギャラはたいした額にはならないが、文字にして書き起こせばこういうボリュームではあっても現実の時間経過としてはせいぜい40分程度の滞在時間でしかない。加えておれとホシザキのサービスチーフ殿はそれぞれの仕事に於いてお互い少々補完関係があり,あまり杓子定規に経費請求する気にもなれないので俺の方からはいずれどこか収益の良さそうな現場で足代と駐車場代くらいが出ればいいよ,と伝えておいた。

 商売としてはこんな事ではいけないのだろうが,あの,何でも社内で処理できてしまうホシザキのサービスからの依頼を受け,貸しを作る構図に俺はいい気になっていたわけでビジネスとしては何とも甘いが、まあいいだろう。

 それから数日経ってのこと,ホシザキのサービスチーフ殿から俺の携帯宛に連絡が入った。
現状のガスフライヤーについて改善しておくべき点を全て処置してほしいとのことで、俺はその意図がすぐには理解できず,その真意を問いただした。
 ガスフライヤーの燃焼状態それ自体にある問題点を強いて挙げれば2槽のうちの片側のサーモカップルの出力が高すぎるて寿命に懸念があるので少し押さえ気味にしておくくらいで,これとて立ち消えの問題と直接関係があるわけではない。
 解決すべき問題は建築構造なり空調設備にあるのであって、周辺環境が満足されていればガスフライヤー自体は正常に燃焼するのだから機材の修繕としてすべきことはないと俺は説明するがサービスチーフ殿はそこを何とかと食い下がる時間がしばらく続く。

 そもそも,パイロットバーナーなどという微弱な燃焼を持つ機材を風が吹き込んでくるような場所に設置することに問題がある。もっと拡大していえば現在出回っている燃焼器具はかなりの割合で周辺に風が起きているような設置状況を想定していない時代の産物だ。
 乱暴な解決策であり,現実味は全くないが,周辺で風が起きる状況を無視して安定稼働できる条件を責任区分の範囲内で立案するならば,どうせ減価償却が済んでいる個体なのだからいっそ内線工事でも行って電気フライヤーに取り替えてはどうか。

 物事の構図は彼と話を続けるうちに段々読めてきた。
これは俺自身,今迄色々な現場で経験済みだが厨房屋の立場は大変弱い。建築工事,設備工事,厨房屋というヒエラルキーは大変強固なものであり,俺達のような業者が設備屋や建築屋の施工上の問題点を指摘して言い分を通すのは非常に困難な現実がある。
 ほぼ全ての場合に於いて,「問題が起きているのは燃焼器具なんだから器具の納入業者が解決しろよ!」と一喝されて押し切られる。何とも粗雑な切り分け方だとしばしば頭に来るが,建築屋や設備屋はしばしば厨房屋に対する発注者であり,逆の流れはないので厨房屋の立場が弱い。厨房屋の窓口が営業職だと尚更で、ホシザキのように営業職とサービスが完全な分業制だと全てのしわ寄せがプランニングや施工を担当したわけでもないサービスマンに押し付けられる。恐らくこのケースに於いてもそうだろう。俺はサービスチーフ殿に同情した。恐らく彼は色々と板挟みになって悩んでいるのだろう。

 これは俺一人の想像でしかないが,今回のケースでは空調設備業者に何かしらの負い目があり,それが表面化することを懸念するせいで厨房屋に責任が押し付けられてホシザキが割りを食ってるのではないのか。
 店内の負圧の度合いを低減させるのであれば,その試験は簡単で排気ダクトの終端の,例えば半分くらいを何かで塞いでみれば効果なり変化は確認可能だ。恐らくそれはよい方向、ということはOAの店内へ吹き込んでくる度合いが弱まる方向に作用するのではないかと俺は頭の中でシミュレートしている。
 しかし,それで効果が上がったのだとすれば一体何のために費用をかけて空調設備の改修工事を行ったのか,更には元来,店舗の設備設計段階に於いて吸排気のバランスのさせ方が悪かったのではないのかというところに迄問題の焦点が遡ってしまうと設計事務所に迄責任範囲が及びかねない。
 とどのつまり,その場しのぎというかご都合主義というか,トカゲの尻尾切りのような構図で元々何の責任もないはずのホシザキのサービスにしてみればとばっちりみたいな話だろう。(俺に談判させろよ)と言いたくなったが黒子でしかない俺がしゃしゃり出たのではホシザキのサービスマンの解決能力に疑問符がつく展開になりかねないので黙っていなければならない。歯痒い構図だ。

 サービスチーフ殿との協議ではガスフライヤーの修繕は行うべきではなく、空調設備の問題として解決してほしい,を押し通すべしと俺は念を押した。そもそも修繕を行ったところで事象に変化がでないのは明白だし,なまじ手をかければ今度は修繕の結果が思わしくないことを追求されて袋小路に追い込まれかねない。厨房の入り口に,例えばダンボールのような材料で仮設の障壁を取付けてみるとか,先に書いたように排気ダクトの終端を半分塞いでみるとかいった試みは特段金や手間のかかるものではないのだし,それは厨房屋の責任区分からは外れている。だから燃焼状態に問題がない以上,我々のすべきことはない。それが結論であってあとはこの所見をどこまで言い通すかという押しの強さにかかっており、それ以外には落としどころもないだろう。と俺は背中を押した。(この項続く) 
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才能が開花する条件とは [日記、雑感]

 この記事は俺がブログをさぼっている期間中に上げようと思っていたもので店晒しになっていた。

 仕事柄,調理師という職種の方々と接するわけだが玉石混淆というか,若くして目覚ましい境地に達した方もいれば30年やってもうだつの上がらないうすのろもいる。調理師に限った話ではないが才能には個人差があるのであって,俺は日頃特に深い考えもなく才能という言葉を口走りはするが,では才能とは何なのか,とか、才能が醸成される条件とは何なのか,といったことはこれ迄深く考えていなかった。
 結構含蓄の深い記事だと思ったので丸ごと引用させてもらうことにした。


転載元URL:http://news.nicovideo.jp/watch/nw1101352?ver=video_q

■1:学校の成績がすべてではない
<学校を捨てて試験から逃れることが、偉大な成功へのパスポートとなった。それができたのは、彼自身が心の奥深くで、テストの点数では絶対に発見できない大きな才能のことを知っていたからだ。>
才能とは、もちろん学校の成績だけにあらわれるものではないですよね。広い視野を持って子どもに接しましょう。
■2:取り組む対象を好きになる
<生まれつきの才能だけでは足りない。さらなる何かが必要である。それは情熱だ。>
例えばスポーツや音楽など何かをやるときに、厳しい練習に耐えられるのは最終的には、それが“好きだから”と言いますよね。

■3:仲間がいる
<あなたの同族を発見することは、あなたのアイデンティティーや人生の目標を変化させるほどの影響力を持つ。>
素晴らしい仲間をもつことで、切磋琢磨し合いお互いの才能をより高い次元まで引き上げることができるのですね。

■4:生まれ育った環境から抜け出す
<目的を達成するには、生まれた土地の文化から脱出しなければならないことがある。>
才能を発揮するには、ありとあらゆる制約から脱出しなければならない、ということの例です。

■5:チャンスを逃さない
<真の人生を生きるためには、物事に立ち向かう態度と自分自身に対する態度がいかに大切かを知っているのだ。>
物事に対する態度の持ちようによって、ピンチはチャンスにもなる、ということです。

■6:尊敬できる人に出会う
<メンターは私たちの人生に、ユニークで個人的な関わりを持つ。私たちのために人生のドアを開き、私たちの人生という旅路に直接関わってくれるのだ。>
“人生の師”、と言える人に出会うことも、才能を発揮する上では大切だということです。

■7:年齢にとらわれない
<人生のどの時点でも、新しい方向に転換できる。>
才能を発揮するのに、“遅すぎる”ということはないということです。
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オープンキッチンと燃焼器具の相性について(2) [困った業者]

前回記事URL:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29

 ガスフライヤーの上で少々ビリつき気味の振動音を出しながら稼働している排気フードを眺めているうちに俺はその面速度が少々高すぎるのではないかと疑問を持った。風速を計測する装備をその時の俺は用意しておらず,あくまで体感的な直感に過ぎないのだが、そう思えた。
 
 その居酒屋は多くの飲食店厨房がそうであるように第3種の換気設備(自然給気と強制排気の組み合わせ)であろうことは容易に想像がついた。
 諸兄は既にご存知だろうが,第3種の換気設備は室内が負圧(大気圧よりも低い)となる。
そしてこの居酒屋はオープンキッチンだ。前の記事で書いたように調理中に煙の発生量が多いオープンキッチンはホールでの煙の滞留について問題が起こりがちで、その解決策として排風機(換気扇)の能力を上げる方向に走りがちだ。
 しかし多くの場合,この処置はいい結果を生まない。
空調設備のイロハのイで、換気設備は給気量と排気量はあるバランスを保たないと意味がない。排気能力だけを幾ら上げても給気量が伴っていないと室内の負圧が大きくなるばかりで実際の換気量は殆ど増えない。ストローの途中を潰して一生懸命吸っても飲み物は決してスムーズに吸い上げられることはなくて苦しくなるばかり、という場面を想像して頂きたい。

 俺はガスフライヤーの燃焼自体には特に問題点が見当たらないことを伝えた上であらためて,ホシザキのサービスチーフ殿と居酒屋の店長とに聞き取りを行った。
 判明したことを列記すると以下の通りである。
*ガスフライヤーの途中失火は営業時間中に起き、開店準備の時間帯には発生しない。
*来客数や人の出入りの頻繁な時程多く起こるようだ。
*数ヶ月前に空調工事を行ってからこの事象は起こるようになった。

 ここに、最初訪問したときの現場の状況を重ね合わせてみる。
*厨房はオープンキッチンであり,ホールや通路との間仕切りはない。
*燃焼器具中,ガスフライヤーは店の入り口に最も近い場所に設置されている。
*第3種の換気設備で店内全体が基本的に負圧である。
*階段室入り口と店の入り口の二箇所に自動ドアがあり,風除室を構成している。

 実際に試してみるまでもなく,ここからは容易に回答が導かれる。
 つまり,風除室の二箇所の自動ドアがどちらも開いている時にOA(外気)が店内に吹き込んで,入り口に最も近い場所にあるガスフライヤーのパイロットバーナーが風の障壁となる間仕切り壁がないためにこの風によって立ち消えする。
 二箇所の自動ドアが同時に開くのは風除室の両端(階段室の入り口と店の入り口)に同時に人が立っているときであり,店舗が繁忙である場面で偶発的にこの条件が満たされるのであって、再現性に乏しいのは修理対応したホシザキのサービスマンが開店準備の時間帯にしか訪問できていないからである。もっとも営業中の修理訪問は店舗側が難色を示すに決まっているのだからそれは控えるのが通例だが。
 数ヶ月前に行ったという空調工事の内容を聞き取りしてみると排気用の外調機を風量の大きなものに取り替えたのだと言う。オープン以来,焼き物の煙(カウンターに面したところに焼き物機が設置されている)がホールに滞留する問題を抱えており,その対策として行った工事だとのことで,結果としては店内の負圧の度合いが大きくなった以上の効果を生んでいない。
 店舗のロケーションが雑居ビルの建ち並ぶ繁華街にある路面店であることでこの傾向は助長されることだろう。ビル風の発生によってOAが店内に流入するときの風速なり風量は通常時よりも高まることは間違いないからだ。
img-0050.jpg

画像は本文とは関係ありません。


 俺の結論として,問題点の所在は空調設備や建築構造にあり,改善はこの範囲で行われるべきであり,燃焼器具自体に不具合箇所があるわけではない。対策として具体的には以下の通り。
*厨房の入り口にドアを設けて外気の流入を遮るような障壁とする。
*給気量と排気量のバランスを取る。具体的にはホールに煙が流れ出ない程度に排気量を絞り込む対策をとる。 外調機に排気ダンパーがついているのであればこれを絞って調整する。なければインバーターなどの付加によって外調機の回転数を下げて風量の調整をとる。
 いずれも厨房機材の納入業者にとっては責任区分外のことであり,オーナーは建築業者なり空調設備業者なりに相談して頂きたい,と俺は区切りをつけたつもりになっていたが,この所見をまとめた報告書がその後なんとも苦々しい不条理を現出させることになるとはこの時予想していなかった。(この項続く)
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オープンキッチンと燃焼器具の相性について(1) [困った業者]

 記事の更新をさぼり続けていた間にもここに書き留めておきたい色々な出来事は当然あり、そのうちの一つである。

 その修理というか、依頼ごとはホシザキのサービスからあり、内容としては以下の通りだった。
ホシザキがレイアウトプランから関わった某居酒屋チェーンのうちの一店で、ガスフライヤーが不定期に途中失火し、周辺がガス臭くなる。従業員が事故を懸念しているのでこの事象の原因を調査し,解決策を提案してもらいたい。

 毎度ながら、俺のところに持ち込まれる依頼ごとというのはこういう類いのものが多い。何と言うか、その業者にとってはイレギュラーな事象であって解決能力に自信がないとかその業者の経験則にない出来事がだ。
 当然ながら、こういう状況での俺は使用者と直接コミットすべきでない。使用者のカウンターパートは必ず俺の依頼元でなければならないと俺は常々考えている。俺は黒子であり、裏方であり、表に出てはならない存在に徹する事にしているのだが、それが歯がゆい場面を生み出す事もままある。

 サービスチーフ殿と待ち合わせた件の居酒屋は繁華街の中心にある路面店で、一階がコンビニエンスストアでその店舗は二階にあった。階段室が風除室となっており、一階と二階にそれぞれ自動ドアがある。
 店舗内に入ってみて気付いたのはそこはオープンキッチンであり、店の入り口やホールから厨房までの間に間仕切り壁がないことだった。
 特に煙が発生する調理が多い店舗に於いてはオープンキッチンというのはしばしば空調上の問題を生む。厨房で発生した煙が上手く排気されずにホールに流れ出て滞留し、客から煙いという苦情が出る。ごり押し風に空調設備を強化して換気能力を上げた状態で運転すると今度は冬場などに客から店内が寒いという苦情が出る。帳尻合わせとして暖房を強化すると光熱費がかさむ、という悪循環がしばしば生まれるのがオープンキッチンだ。
 
 問題のガスフライヤーはコメットカトウの製品で、ガスコントローラーには定番というか、Robertshawの製品が使われている。型式名はGISTといい、色々な燃焼器具で使われている。

RobertshawのHP:http://www.robertshaw.com/Login.aspx
日本での輸入元は三幸株式会社であり,色々な燃焼器具メーカーに組み込み用として供給している。
GISTユニットのURL:http://www.sanko-controls.com/shouhin.htm#20

P05.014_5.jpg

燃焼器具を扱う同業諸兄でこれを見たことがないというサービスマンはいないはずだ。

 訪問時間は午後2時少し前くらいで、開店前の仕込みでキッチンは既に稼働していた。
GISTはガスコントローラーとして以下の機能を一体化させたものだ。
*圧電着火
ガスコック
*パイロットバーナーの点火保持(立ち消え時のガス遮断機能)
*温度調整(組み込み用途により設定範囲が異なる)
 点火保持はサーモカップル(熱電対)で行っており、製造元では具体的な数値を一般には公開していないがGISTの場合、俺の経験則でいえば12~18mVくらいの熱起電力が保持電圧としては適正範囲だと思う。これ以下だと遮断弁のプランジャーが誤動作を起こしやすく、これ以上だとプランジャーの保持動作は安定するがサーモカップル自体のエレメントの熱劣化が早まり耐久性が落ちる。

 現調に当たっては燃焼機器点検として以下の項目を行った。
1:ガス配管接続の漏れ箇所
2:サーモカップルの出力電圧測定
3:遮断動作の確認
4:パイロットおよびメインバーナーの燃焼状態の目視
5:燃焼排気中のCo(一酸化炭素)測定

 結果としては全て問題なく、依頼された不具合の再現もできなかった。
Co濃度は僅か10ppmで理想的な完全燃焼であり、異臭の原因は燃焼排気ではなく未燃焼の生ガスによる事を示している。また、サーモカップルの出力は28mVであり、俺の所見としては過剰に高い。

 ここで冒頭書いた依頼内容のうちの異臭について憶測してみると、根本的な原因はやはり不定期発生するバーナーの立ち消えに帰着しそうだ、と俺は考えた。
 つまり、サーモカップルによって点火保持し、遮断機能を働かせる形式のガスコントローラーは立ち消えの発生からガスの遮断動作までに不可避的にタイムラグが生じる事に関係する。
 イグニッション点火、フレーム電流による点火保持形式であれば電流の遮断とガスの遮断弁の動作は瞬時に、同時に行われるがサーモカップルは立ち消えが起こってから冷え始めて熱起電力が低下し、プランジャーの感動値(コイルが励磁して遮断弁の開閉動作に至るしきい値)以下まで達するタイムラグが必ず生まれ、この間未燃焼の生ガスはある量、必ず出続ける。
 点火保持の形式がいずれであれ、遮断作後には遮断弁以降の配管内部に溜まっていた生ガスが大なり小なり外部に流れ出るわけだがサーモカップルによる点火保持はフレームロッドに比べて流出量が多くなる傾向がある。
 勿論、それは秒単位での出来事なので事故が起きるような量では全くないのだが、ここで問題なのはサーモカップルの出力が高いほどこのタイムラグは大きくなる事で、今回のように適正範囲の倍近い出力値ともなると、フライヤーの近くにいる調理師の嗅覚がそれとわかる程度の量が出ているという事ではないのか、というのが俺の推測である。

 サーモカップルの出力電圧を適正範囲にまで落とすことで遮断弁動作時までの生ガス流出量を抑制する事は幾つかの方法で可能だがここでは詳述しない。それは枝葉の問題であって現象の根本的な解決にならないからだ。
 立ち消え消火時に多少ガス臭いのは決して好ましくはないが、少なくとも事故の可能性はないと言っていい。最も重要なのは立ち消えが起こりにくい状態を作り出す事であり、不定期発生する立ち消えがどういう条件下で起こるのかを突き止める事だ。

 ガスフライヤーそれ自体に問題点は見当たらない。それで立ち消えが不定期発生するのはいかなる条件に於いてであるか、営業前の居酒屋で俺は想像を膨らませてみた。頭の上では排気フードが勢い良く周辺の空気を吸い込んでいる。
 路面店、オープンキッチン、などなど色々考えていくうちに俺にはある仮定が閃いた。(以下続く)
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