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銅管呼び径のややこしさを説明したい [含蓄まがいの無用な知識]

 銅管で行う配管を大別すると燃料,給湯,冷媒と僅かに蒸気が思いつく。燃料と蒸気のことは脇に置いておくとして,俺が関わることが多いのは給湯と冷媒の二つとなる。
 そして,現場経験のあまりない諸兄にとっては意外かもしれないが一人の設備業者が給湯管と冷媒管の工事の両方を申し分なく行えることはまずない。出来ても片方はおまけ程度のスキルしかない。
 所謂冷凍機屋さんについては俺の周辺をみる限り銅管による給湯配管工事を行わない。当然,そのための材料も持っていない。一見,単なる銅のパイプでしかないのだが継ぎ手を含めて実は給湯用と冷媒用では厳格に区別されており、冷媒用は給湯用に比べて銅の純度が高く,配管自体の肉厚があって同一の呼び径であった場合は当然価格が高い。使用圧力が高く、内部の流体は塩素を含んでたりもするので材質の品位は高くなければならない。,

 配管材料というのはその発展の歴史的経緯から呼び径の基準はインチである。1インチを8等分或いは16等分して分数で表す。例えば1/2と記述された材料は4/8と同値であり「よんぶ」と呼称される。ミリ換算すると13mmである。
 そしてここから話はややこしくなる。
問屋での扱いで,給湯用の銅管はミリ単位で呼称され,その呼び径は内径で表される。
一方で冷媒用の銅管はインチ単位で呼称され,その呼び径は外径で表される。
 給湯,冷媒いずれか一方だけの工事を行う業者であればそれ迄の習慣に従って材料を仕入れていればいいだけの話なのだが俺のように不規則に両方の配管を触るものにとってはしばしば混乱を招く。

 例えば,銅の直管には22.2mmとその表面に印字されている。これはその内径が約20mmであることを示しており,給湯配管を行う設備工事業者にとって、強いてインチの呼び径で表すと6/8(ろくぶ)と呼称される。
 しかし冷凍機業者にとって22.2mmという数字はそのまま7/8(ななぶ)であると理解される。1サイズずれるのだ。これはそのままスライドされる。設備業者にとっての4/8(よんぶ)は冷凍機業者にとって5/8(ごぶ)というふうになる。

 俺個人はそもそも冷蔵庫の修理から職務の経歴は始まっているので銅管の呼び径は冷凍機業者としての習慣が身体に刷り込まれている。
 ところで俺が日頃材料を仕入れる設備資材の問屋は扱いの中心が水道配管資材であり,冷媒管の資材は随時取り寄せとなるから銅管の呼び径がミリ単位でやり取りされることが一般的だ。
 そして大体誰でもそうだと思うが,一見,同じように見える材料を用途によって単位を換算したり内径外径の区分けを頭の中で行うのは結構ややこしい。
 だからその問屋では,例えばエアコンの配管に使うペアコイルのなまし銅管も給湯用の銅管と同じようにミリ単位の外径で呼び径を認識しているらしいのだ。

 そういうところに俺のような者が材料を仕入れに行ってフロントで配管の呼び径をインチで単位で伝えると、これを受けた社員は頭の中でミリに換算してはいはいと,その材料を出してくるがそれは俺の伝えたイメージから必ず1サイズ小さく、現物を見た俺と社員との間ではサイズが違うとか違わないとかいったやり取りが起きる。

 ここは日本であり,標準的にはミリ単位で統一してやり取りすることでそういった齟齬の一面は解消されるのだが水道業者と冷凍機屋との間では内径と外径で刷り込みが異なるという習慣は変わらず,例えば冷凍業界で配管呼び径を水道業者と統一しようという風潮は今のところ全くない。

 配管の呼び径に限った話でなく,規格や単位と言うのは一度意識に刷り込まれると意識を切り替えるのが本当に難しい。圧力を示すPa(パスカル)という単位もSI単位系で20年以上も前に規定されているにも拘らず俺と同年代の人達との間ではいまだについつい圧力ゲージの指示値を頭の中で読み替えてkg/cm(平方センチを記号で呼び出せないのでとりあえずこう書く)でやり取りしている。だから俺と問屋との間で起こる齟齬も解消される見通しは今のところない。
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コメント 3

007

統一すれば楽なんですが、、、
で、誰がやるの?、という事ですね、、、

電気のVVFケーブルをVAと言ってみたり、、、
1,6mm径銅電線を”イチロク”と呼ぶのは好しとしても、”とーろく”と珍しい言い方をした電気屋さんもいました、、、
現場で混乱するのはやはり不合理です、。
by 007 (2015-03-10 15:14) 

HarryTuttle

007様,いつもコメントありがとうございます。
VA,私も普段何気なくそう呼んでいますが電技の設備基準にはそういう表記は確かなかったような気もします。なくても電材屋に行ってフロントでVAと言えばそのケーブルは出てきます。習慣とは恐ろしいものですね。

 電線というとより線でヨーロッパ製品は日本国内とは規格が異なっていますね。これも頭の痛い話で,いずれ記事にしてみたいと思っています。
by HarryTuttle (2015-03-10 15:26) 

Masa

冷凍・冷蔵庫や空調など触媒を使用する時は、熱の利用であり熱量を考えるのは管の外側であり、一方水・湯・ガスなどの流動物を使用するのに考えるのは流量つまり管の内側を基準にしているのではないかと思っているのですが確証はありません。Qxd2XD
by Masa (2018-12-04 01:03) 

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