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BLIXER 5のモーター分解整備作業(その2) [修理屋から見た厨房機材]

 前回記事のURL:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2015-08-27

 過去に痛い目に合っているにも拘らず5万円に目が眩んでの実践編である。

 BLIXER5のモーターは3φ200V、1.5kwのインダクションモーターである。ロボクープのラインナップはお約束としてある容積以上の機種は回転数を2段階に切り替え可能な仕様となっている。
 今回の機種はこれに相当しており,2重コイルで2極と4極の切り替えだから合計6本のリード線が引き出されている。
 リード線自体には相やコイルの表記がない上に同色の被覆が幾つもあるので誤接続を避けるためにモーターを取り外す前に予めリード線がそれぞれどこに接続されているかのマーキングを施しておく必要がある。
IMGP0303.jpg


IMGP0300.jpg

 ケースから取り外したモーター。欧州製品には良くある形状で,カップ状の2分割されたケーシングが前後からヨークを挟み込むようにしてボルトで連結されている。
 このボルトの締め具合が曲者で,緩ければステーターがヨークに通電時の磁力で貼付いてロックするしきつければ軸受けのあたりが強くなるのでこれまたロックする。以前大変苦労して何度もやり直したところだ。輸入元がモーターの分解整備を禁じているのもこの辺りの調整が大変面倒臭いからである。

IMGP0301.jpg

 ステーターを抜き出したところ。毎度ながらどんなモーターであれ,抜き取りの際にはヨークやコイルに傷を付けないようにと神経が張りつめる。
 エンド側のベアリングは特に劣化しているようには見えないが,モーター整備の際には前後併せて交換するのがお約束だ。
 画像では見づらいだろうがステーターの根元近くには外周に沿って溝が切られており,スナップリングがはめ込まれている。ケースを分解する際にはこれをはずす必要があるのだが,一般的にはモーターについていないこのスナップリングが取付けられている意味を正しく理解していないと組み立てた後に大変厄介なことになる。
 実は今回も組み立てに失敗して再修理,再調整となったがそれは後述する。

IMGP0302.jpg

 頭側のケースを裏側から見たところ。ベアリングを交換した後の画像で,錆びて真っ黒に変色した様子が分かってもらえると思う。
 シールの劣化によってモーターケース内に水分が入り込んでベアリングが錆びるのが騒音の原因で,カッターミキサーはほぼ全般に頭側(ということは取付けた上体では上側)の劣化のみが進む傾向があるわけだが、だからといって錆びたベアリングだけを交換という処置は取らないのはモーター整備の大原則だと俺は心得ている。

 モーターの分解もさることながら,今日のロボクープで面倒臭いのはそれ以前,ケースの分解である。
モーターカバーであるケースと底蓋はこんなに長いビスでとまっている。
IMGP0304.jpg

 はずすときは何も考えなくても良いが,組みつけの段になるとケース側の雌ねじにビスの先端が命中する迄にかなり何度も失敗を繰り返し,ストレスがたまる。
 そして画像では見えないが,このビスは頭の形状がトルクスである。要するに製造元はモーターケースを社外の者には分解して欲しくないのだ。今回のように大崩れしたらリプレースしてくれという意思表示だと俺は見た。

 実際,モーターを組んでケースに収め,容器やブレードをセットして試運転を行うとブレードが容器の底面に擦れる不具合があった。
 作業終了時点で午後11時を回っており,当直の職員にも迷惑がかかるので一旦撤収し,日を置いて再訪問して俺は自分の作業ミスの検証に取りかかった。
 
 原因は先に書いたステーターの根元あたりに取付けるスナップリングのずれにあり,何せモーター直近の深いところにあるので正しく溝にはまっているのかが大変分かりにくい。
 文字ではうまく説明できないが,ケースが二分割されているのでいい加減な組立をするとステーターの飛び出し量が狂い(今回でいうと短い)、ブレードや容器をセットしたときの位置関係が狂う。
 スナッップリングを正しく取付けるというのは、この,ステーターの飛び出し量を整えることを意味しているわけだ。

 当初の皮算用は狂って2ストップの修理となってしまったので、儲けも割引となったが確かにこれは5万くらい貰わないと合わないわいと一山越えた俺は達成感とも疲労感とも言えそうな心象の中で思った。
 病院の事務官は禁断の修理が何とかうまくいき、モーター交換費用のとの差額分15万円なりが浮いたのでご満悦のようだが、日頃もうちょっと俺に感謝しろよ!(この項終わり) 
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くるみ

大きさは違えど、何だか時計を修理するような精密で繊細な感じがしました。神経を使いますねm(__)m。
by くるみ (2015-08-30 03:30) 

HarryTuttle

くるみ様、いつもコメント有り難うございます。
モーター整備のときに気をつけるのはハンマーの使い分けで、私の場合はヘッドの材質がゴム、ウレタン(ショックレス)、プラスチックとスチールのショックレスコンビ、他にも場合によって数種類を用意していきます。
 機械系、駆動系の作業では力任せの作業で変形が起きると後戻りできなくなるので仰る通り、私は神経を使いますが日常的にこういう業務を行うモーターの整備業者だといとも簡単に進んでいくのが見ていてうらやましいところですね。
by HarryTuttle (2015-09-03 11:52) 

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