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人為的にして作為的な [困った客]

 もう大体20年くらい前からなのだろうが、空冷式冷凍機のコンデンサーフィンが詰まると凝縮不良が起きて冷えなくなるのは冷凍の理屈のうちイロハのイといってもいいくらい一般に敷衍されたものだとある頃からの俺は思うようになった。
 実際,俺が駆け出しのあんちゃんだった頃に比べれば使用者はコンデンサーフィルターの清掃を手がけるようになってきたし,それなりの運転時間が経過しての修理業者によるコンデンサー清掃にしても経費請求はしやすくなった。コンデンサーの凝縮効率が良いというのはどういう状態であり、良い状態を維持するためには手間なりお金なりがかかり続けることが周知されてから大体20年くらいになると言い換えてもいいだろう。

 しかし世の中は広く,色々な人がいる。
機材は大概の場合、基本的には使用者のものだから何をどうしようが、その結果何が起きようがそれは使用者の責任に於いて好きにすれば良く、例えば俺のような外部の修理業者があれこれ口出しする筋合いのものではない。知識なり技能なりがありさえすれば使用者の方自身が修理するのも十分ありだという持論だって俺にはあるのだ。

 自己責任によるメンテは大いに結構。上手くいけば修繕費も浮くしね。わかることは何でも教えますよ、と、日頃常々俺は得意先に伝えているし、事実、いじり方を俺から聞き出して機材の修繕をある程度行う使用者の方はいくらか居る。
 それではおまえの仕事が減ってしまうではないかと心配される人もおられるだろうが心配はご無用であって、俺だって一応はプロの端くれで、だてに30年以上もこの世界で飯を食っている訳じゃないのだ。片手間の機械いじり程度では踏み込めない領域というのはやっぱりあるのだよ。

 それで、正しくない理解のもとに自分のところの機材をいじると何が起きるかの悪しき実例を俺はここで晒そうと思う。
 
 今年の春頃だったと思うが、得意先の某コーヒーショップから製氷機の氷ができない旨のコールを受けて俺はなんだか腑に落ちないものがあった。
 大型スーパーの一角にテナントとして構えているその店は10年近く前にある方からご紹介していただいた得意先で、当時でいうと10年落ち(ということは現在は20年落ちくらいということになる)のホシザキの製氷機が稼働しており、ある経緯があって俺のところに修繕の依頼が来るようになった。

 以来俺は他の機材の修繕も含めて取引を続けさせていただいている訳だが、件の製氷機は2年ほど前にコンデンサーに堆積した埃を洗浄しており、それ以来結構いいコンディションで動き続けてきたはずなのだ。
 しかし電話で色々状況を尋ねると、どうも凝縮不良が起きているらしい。コンデンサーファンモーターがいかれている訳でもなさそうで、これは現場を見てみないと判断がつかないな、と俺は考えた。

 それで現物の機械室カバーを外してみて俺は目を丸くした。諸兄よ、この通りだ。
IMGP0242.jpg

 3列くらいは直してみたがコンデンサーフィンがものの見事に潰れている。まるでこてをあてがってならしたようにコンデンサーの表面は真っ平らで、アルミの地金の真っ白い色をしているではないか。凝縮不良の原因とはこういうことなのだ。

 潰れたフィンを起こして立てればこの不具合は解消するのは容易に察しがつくのだが、一体全体どこの誰がこんなふざけた真似をやらかしたのか。何をどう考えても自然に起きることではない。
 そして当然ながら、文字通りこれはただでは済まんぞ、と俺は多少忌々しい気分になった。修繕の労務は俺のギャラとして割り切ればいいのだろうし、そもそも俺の製氷機でもないのだからあれこれ文句を言う筋のものでもないのだが、このまま放置されていればコンデンサーファンモーターやコンプレッサーにまで障害は波及しかねない。何せ20年落ちの個体なのだから何があってもおかしくないロートルにこういうふざけた真似をするのはなんでだ?
 俺は店舗の主と従業員のおばさんにそれぞれこういう状態は作為的に何かやらかさないとならないもんだと説明して問い質したがどちらもそんな真似をした覚えはないとしらを切る。あり得ない話だ。

 単純労務ではあるがそれなりに時間を要する作業になるから修繕費はある程度見てもらいたい旨を俺は伝え、それは簡単に受け入れられた。
 それで俺はねちねちと精密ドライバーで潰れたアルミフィンを一枚一枚起こしては通風の状態をライトで照らして確認しを延々と繰り返した。
 機械は正直なものでコンデンサーフィンの修復が進むにつれて高圧配管の表面温度は段々下がり始め、結局は30分以内に製氷サイクルが一回終了するくらいのところにまでは持っていくことができた。
IMGP0243.jpg

 なにぶん手作業なので工場出荷の状態にとまではいかないが、運転上問題はない。所要時間がどれくらいだったのかは覚えていないが床にあぐらをかいての作業だったので尻が痛くなった。

 数日してから俺は修理代を集金に行き、もらうものを貰って一区切りをつけた訳だがあれから数ヶ月経ってこの記事を書きながら未だになんだか腑に落ちない気分が残っている。
 2年前にコンデンサーの洗浄かたがたフィルターの清掃やその他あれこれ、俺は結構色々な説明をしているはずなのにその得意先のおばさん達はなぜああいう作為的な障害を引き起こしたのか?
あれこれ考えてもあまり意味がなさそうなのでとにかくこの件はこれで終わり。
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荒ぶる父さん [困った客]

 その得意先がどこだとか,その人物が誰とは書かないことにする。

 仕事仲間からの施行現場から離れられないところに修理の依頼が来て手が回らないのでピンチヒッターのSOSがあってその店舗に初めて訪問したのが先週末のことだ。
富士電機製の冷凍ショーケースが冷えないとのことで,聞き取りの結果ではコンプレッサーが過電流で保護停止しているようだと聞いた俺がその飲食店に到着したのが午後1時頃のこと。

 現場に到着し,車から降りるなり店舗の奥からは物凄くドスの利いた胴間声が響く。
「こらーっ!何で今頃来やがるんだこのバカ野郎が!ウチは2時で帰るんだぞっ!」憤然とした様子で奥から出てきたのは俺より5歳くらいは年上に見える体格のいいオヤジだった。

 頭はてかてかのリーゼント、ハーフスモークのサングラスをかけ、ひげ面、甚平姿のこのオヤジの風貌は何ともベタで、どう見ても普通の人ではない。
 普通でないのは風貌よりもその言動であることを俺はそのすぐ後に知ることになる。

 故障した冷凍ショーケースから食材を出して他に移し替えるのに、その人物の奥さんと思われる方があれこれと立ち働く。それで件のオヤジはというと移し替えの手伝いをするでもなくまるで使役場の看守みたいに物凄いどら声でただがなり立てる。
 こういう手合いの口調によくあるパターンとして、言葉の合間合間に次のような決まり文句が挿入される。
この野郎!

てめえ!

バカ野郎!

 奥さんの行動に機敏さが感じられないことがオヤジにとっては実に腹立たしいらしい。(喚き散らしてないでおまえも手伝えよ、バカオヤジが)と俺は何だか居心地の良くない気分で仕事を続けた。

 奥さんは無言で黙々と立ち働く。
その冷凍ショーケースの故障内容は電磁接触器の接点がいかれてコンプレッサーが単相運転するためか電流保護の停止がかかるというもので,補修パーツが手元にないので後日再訪問となったわけだが、帰る道すがら俺はつくづく運命は結構巧く出来ているものではないかと妙に感心した。
 あの,DV一歩手前みたいな荒々しいオヤジにはちゃんと忍耐強い嫁さんが当たるように出来ているものなのだな。

 それで二回目,補修パーツが届いてから二回目の訪問の際にはこのオヤジの荒ぶるエネルギーは奥さんではなく俺の方に向いて来ることになる。

 電磁接触器の交換自体は格段難しいものではないが,後述するある悪臭に俺は大変閉口した。
そして作業が終わり,試運転が済み,撤収に取りかかっているところに外出から戻ってきた主であるとこののオヤジ殿がご帰還なさった。
 主はハーフスモークのサングラス越しに俺を睨みつけると交換したパーツを見せろと仰る。
傍らに置いてあった電磁接触器を渡すと主は怒髪天をつく勢いで喚く。
「何だこれは!何でこんなもんが三万円もするんだ!ふざけるなよこの野郎!」


 オヤジ殿の台詞を色つきの大きな文字でわざわざ書くのはこの男のどら声の凄まじさを少しでもわかりやすい形で伝えたいと俺は考えるからだ。
 
 俺は主に自分は仕事仲間に依頼されてお伺いしているだけなので請求金額については関知していない旨を伝えるとオヤジはむっとして黙り込み,俺を押しのけて修理の済んだ冷凍ショーケースの中を覗き込むとまた難癖を付け始めた。
 庫内が汚いとオヤジは抜かす。さすがに俺もカチンと来たので別に自分が汚したわけではないと返すとオヤジは修理に来たのなら庫内の清掃くらいしていくのが当たり前だ!と怒鳴りちらした。
「修理するだけなら誰だって出来るわ!」

 そんならおまえが自分でやれよ,と言いたくなりかけていたところに庫内に頭を突っ込んで鼻を蠢かせていた主は俺の方を向いて畳み掛けてきた。
「何だっ!この臭いは!何でこんな変な臭いがするんだっ!おまえ!この野郎!おまえウチの冷凍庫に何やったんだこの野郎!」
 俺はだまって冷凍庫のある場所を指差し,オヤジは憤然としながらそこを覗き込んだ直後,それ迄聞いた中で一番でかいわめき声を張り上げて尻餅をついた。

「何だこれは!!!!」 

 それを画像として収める気にはなれないものが機械室の冷凍機周辺にはごっそりあった。
それはネズミの死骸である。一匹くらいならこれ迄随分見続けてきたので格段驚きもしないのだが,集団自殺よろしく隙間の至る所にハツカネズミの死骸がひしめいている。悪臭の原因はこれらネズミ共の死臭で,庫内の臭いにも幾らかは関係しているのではないのか。

 尻餅をついたオヤジは憮然として立ち上がるとバツが悪そうにこれはあんたのせいじゃねえよな、とぼやき,こうして頭ごなしに怒鳴りちらすから俺は嫌われるんだろうな,と苦笑した。
 まあ確かにこんな高圧的なオヤジは好かれはしないだろうなと俺も思うわ。しかしおっさんよ,俺は別に嫌いではないぞ,あんたのような単細胞な奴が。良くも悪くもわかりやすい奴だが、腹に一物持った奴よりは接していて疲れないのは間違いない。
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白衣の着用に抵抗する(2) [困った客]

 俺のような労務者もどきの生業の人間にとって調理場に入るたんびに白衣を着ろなどという約束事は本当に面倒臭い話で,言われるたびにうんざりする。大量生産の生産工場とか抵抗力の弱い子供相手の給食センターならまだしも、大して衛生的でもない場所で形式的にこんな不便な服装を強いられるのは絶対におかしいといつも考えている。
 この話題は以前にも一度,記事にしたことがある。
記事URL
記事名:白衣の着用に抵抗する
http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2010-05-20

 調理員でもない修理屋にとって不便極まりないどころか危険でさえある白衣の着用についてガタガタ抜かずバカ栄養士の思考回路のお粗末さ加減については前回記事でも言い足りないところがあるのでここでやおら続きに入る
 
 20年近く前にO-157という病原菌の騒動があって以来、集団給食調理現場での衛生管理は大変厳しくなった。
 ここで言う「集団給食調理現場」というのは俺の経験則の範囲内での話であって、病院、老人ホーム、養護施設くらいに限定されている事を予めことわっておく。

 「大変厳しくなった」と書いたが、そういう騒動以前にはその施設の一般職員が履物はそのままでどかどか出入りするのが当然のように行われていたのが実情だったので、それまでが余りにもがさつすぎたとも言える。
 二昔前くらいまでの厨房は塗り床やタイル張りでひっきりなしに床放水が行われるのが珍しくなく、調理員はゴム長靴をはくのが半ば当然で、外部の人が入室する際には脚が濡れないように備え付けの長靴に履き替える程度の配慮はあったがせいぜいその程度とも言える。

 その後,ノロウィルスだの何だのと騒ぎが起こるたびに衛生管理は喧しくなっていったわけだが、それとは別に出入り業者の見え方として気づいたことを今回書いておきたい。繰り返しになるが,生産工場とかセンター方式の学校給食だとかいったスケールの現場では俺だってそれなりに配慮しないわけではない。

先日,とある病院の栄養士が北沢産業の社員は白衣を持参して調理室に入室するので好ましく,俺は薄汚い作業着で来るのがけしからんと説教をくれた。
 北沢の社員の修理技術に不満があって俺に声をかけたその者が今度は身なりが汚いからけしからんと抜かす。
白衣を持参せずに仕事に現れる俺は汚い奴で横着者なのだそうだ。修繕の業者にとって重要なことは修繕の腕前よりも白衣を持参することなのだといわんばかりの調子なので聞いていて大いにアホ臭い気分に捕われた。汚い奴が嫌ならとっとと業者を変えて今まで通りに白衣持参で現れるネジ回し屋のワークマン(workman)に高額なアセンブリー交換費用を払い続けてればいい。どうせ自分の金じゃないのだろうし、勝手にしろ。

 作業性からいって白衣というのは全く好ましくないので、その場所用にオーバーオールを着るのは良いのかと俺が訊ねたところオーバーオールはダメだと言う栄養士がいた。
 こういうのは全く思考停止のアホとしか言いようがないわけで,白いものがきれいで紺色は汚いものだと言う根拠のない思い込みというか決めつけがあるようだ。

 大体,外部から来る者が持参する白衣を好ましい準備だなどと考えるところがバカではないか。俺だって人並みの衛生観念がないわけではないし,病院などよりずっと衛生管理の徹底した食品工場にだって何件か出入りしているが、特に文句を言われたことはない。
 全国的に売れているポテトチップを生産している某メーカーの生産工場では業者が持参した白衣を着用することは認められていない。白衣どころか帽子も上履きも持参物はNGでその工場が社内で用意している構内作業用のオーバーオール(使い捨ての白衣みたいな薄い生地のオーバーオールだ)など一式が入室前に渡される。何故ならそれは社内で管理されている衣類だからであって,外部から持ち込まれるものは衛生管理の実体が不明であるから持ち込みを遠慮してほしいのだそうだ。そして俺はこれこそが正しい運営や運用だと思うのだ。

 更に言えば,衣類のことはさておくとしても修繕のために使われる道具類はどうなるのか。どんな衛生管理をしておけと言うのか。
 油染みのある作業着を着た奴は不潔でけしからんから白衣を着ろとバカ栄養士は抜かすが,その人物がぶら下げてくる商売道具のことは何故か一度も問われたことがない。それこそは作業着どころではない,あちこちの現場で油だの薬品だの錆だのにまみれた物体の詰め込まれたツーヅバッグのことは何故か一言も言及されたことがなく、とにかく早く修理してくれとせがむのが一般的な姿だが変な話ではないか。そんなに衛生管理を徹底したいのなら保全用の道具一式を常備しておいて外部から来た業者にそれを使用させるのが筋ではないのか。

 これは極論でもなんでもなく,衛生管理を徹底したいのならいっそのこと調理員が自ら調理室に備え付けの道具一式を使ってぶっ壊れた機材の修理をすればいいのだ。調理業務なんていうのは現在,全部と言っていいくらい既製品の組み合わせでしかない上に今日日はカット野菜みたいなもの迄当たり前に使われている。20年くらい前に比べれば遥かにラクチンなうえにあれやこれや自動化も進んで横着三昧の業務形態なのだから楽になった分,機械や設備の勉強でもしてある程度の修繕くらい自分らでやればいいのだ。都合の悪いときだけ不潔な奴に物事をせがみ、しかも上っ面の体裁を取り繕うことに腐心するのはその人物の人間性こそが薄汚いことを表している。
 自分らで故障診断をして必要部材を割り出して手配し,食材の検品みたいにパーツやら材料やらを受け取って調理員どもが自分らで整備すればいいのだ。こんな衛生的な保全業務はないじゃないか。

 交差汚染は激減するぜwww
 修繕費も節約できるしなwww

 そう,とどのつまりバカな栄養士にとって修理業者や工事業者というのは自分が日頃指図している調理員と同列に見えているらしい。
 世間一般の物差しとして,ホワイトカラーは高級でブルーカラーが低劣だという見方は何だかんだ言って根強い。俺はそういうものの見方について大いに異議があるが,ある種の栄養士どももまた例外ではない。

 これ迄から現在に至る迄,日頃出入りする得意先のことを思い出すと,こういう,白衣を持参して現れる修理屋だから立派な業者だ,みたいなトンチンカンな業者観の栄養士は業務委託されている会社の社員に多く、その施設の職員である栄養士には少ない。
 というか,委託会社の栄養士には総じて設備管理とか機器運用について考えたくない者が多く、当然何の知識もない。機材の名称さえもわからないような大馬鹿者も珍しくない。俺などから言わせると良くそんな程度の者が一端の顔をして調理業務に携わっていられるもんだ、と,呆れるのを通り越して感心してしまう程だ。

 考えてみて頂きたい。ステアリングとかシフトレバーだとかブレーキペダルだとかいった名称は知らないがとにかく自動車の運転はしている。俺の知る限り給食委託会社の栄養士という人種にはそういう手合いが大変多いのだ。勿論,燃料の燃焼がどういう風にして機械エネルギーの発生に至るかなど知っているわけはなく,各種の警告灯が何を表していてどういう対処をすればいいのかを知っているわけもない。タイヤの交換もエンジンオイルのチェックの仕方もわからないがとにかくキーを捻ってエンジンをかけ,ステアリングとペダルを操って自動車の運転はしている。委託会社の栄養士は,というよりももっと遡って給食委託会社という企業そのものがそういうありようなのだと俺は思っている。(この項続く) 
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謎の携帯メール [困った客]

 俺の商売は決して順風満帆とは言えない。食うのがやっとというのが実情だ。
だから得意先も決して多くはない。件数を数えたことはないが実数を知ったらきっと余りの貧相さに凹んでしまうだろうからやらない。

 依頼の電話がひっきりなしに鳴ることもない。もともと得意先が少ないからだ。ようするに暇な稼業なのだ。だからこうして平日の真っ昼間からのんべんだらりとブログなんぞにかまけてもいられるわけだ。

 ところで昨日夜,俺の携帯電話にあるメールが届いていた。
俺は自分の名刺にはパソコンと携帯電話のメールアドレスを併記しているが実際に仕事上でのメールは殆ど全てがパソコンに届くのがこれまでの状況で,携帯には結構ジャンクメールが多いので危うく問答無用で削除するところだった。
 送信元のアドレスから察するに,それは携帯電話からであるが俺の携帯電話には登録されていない誰かさんからだ。「冷凍庫がこんなことになっています」という文章のみがあり,添付ファイルとしてこんな画像がついてきた。
DSC_0268 のコピー.jpg


 俺は多くの得意先を抱え込む多忙な業者ではないがしかし,冷凍庫内の写真を見ただけで得意先を判別したり不具合状況の所見を出せる能力はないのです。しかもこの画像はものの見事にデータ化けしており,大変見づらい。正直なところチンプンカンプンなのだ。どなたなのかはわからんが送信元の方,ごめんなさい。
 
 送信元には詳細を知りたい旨の返信を入れておいたが今のところ連絡はなく,何というか強張った気分でゴロゴロし続けているのだがそろそろお仕事なので外出しなければならん。送信元の誰かさん,某総合病院の地下は通話の圏外なので電話が繋がらなかった場合は悪しからずご勘弁の程よろしく。
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理不尽な目にあったフリーターは狂った世間に対して復讐すべし [困った客]

 ここでの話題は伝聞混じりであり真実性には疑問もあるが、昨今の消費者の根性の腐れ具合を如実に表していると思えたので記事として残しておきたい。

 近所の某所で昼飯を食っていたときのこと,俺は午後のスケジュールが空いていて暇だったのでついつい店主の息子さんと雑談に及んだ。彼は時たま,俺の仕事をアルバイトとして手伝ってくれる人物でもある。
 他愛もない話題で特に脈絡もなくあれこれ話した中にこんな下りがあった。働く人のモラルがだんだん低下傾向にあるのではないかといったようなやり取りの中で彼が語った。

 少し離れたところにあるマクドナルドでテイクアウトの買い物をしたとき,家に戻ってナゲットのパッケージを開けるとソースが入っていなかったので腹を立てた彼はその店舗に電話をかけて自宅までスタッフを呼び出し,玄関先で懇々と苦情を申し立てた。
 現れたのはアルバイトと思しき若い姉ちゃんで,終止真面目に聞いているんだかどうか疑わしい面持ちで機械的に申し訳ありませんでしたを繰り返すばかりで全く誠意が感じられなかった。
 この時そのスタッフはソースのパッケージとナゲットの代金とを持参して現れたが、商品が冷めてからそういうものを持ってこられても自分のナゲットを食う楽しみが削がれた感情の埋め合わせになどなるものではないので,自分はさんざっぱらそのスタッフを怒鳴りあげて溜飲を下げた。といった内容だ。

 以前このブログのどこかで『消費者のヤクザ化』みたいなことを書いた覚えが俺にはあるが、こんなところにもその発露はあるのだな,と,暗い気分になった。マックナゲットというサイドメニューは300円かそこらの商品ではなかったかと記憶しているが,そんな金額の買い物にさえここまで大袈裟に問題視するのが当たり前の世の中なのか。

マックナゲット:http://www.mcdonalds.co.jp/quality/basic_information/menu_info.php?mid=1610
q_chickenmcniggets_l.jpg

(画像は本文とは関係ありません)

 商品の提供に手落ちがあること自体は良くないし,クレーム対応にアルバイトを使っているのだとすればマクドナルドという企業の姿勢には疑問がある。しかしまあ、やる人はここまでやるのだな。

 自分がその立場であればどう感じるか,という配慮の働かない奴は本当に増えた。俺は彼に対して諭す意味でこんな事を言った。

(1)ナゲットのソースがどんなものかを俺はよく知らないが,何が何でもマクドナルドでついてくるものでなければならないか。あんなもの(マクドナルドには失礼だが)はトマトケチャップであってそんなものは家にあるのだからそれをかけて食って,舌打ちの一つもすれば終わりの話ではないのだろうか。

(2)支払う人によって負担感の大小はあるにしろ,300円かそこらの買い物でそこまで大袈裟に騒ぐ必要があるのか。それを食って腹痛でも起こしたとでもいうのならともかく,たかがソースが付いていなかったというだけのことでだ。せいぜい苦情の電話を一本入れて終わりの話ではないかと俺は思うが。

(3)常識的に考えて,何かペナルティを与えたいのならば,その店舗では今後買い物をしない,或いはマックを利用しないのが実効性のある対応であり,相手が正社員ならまだしもアルバイトを玄関先で怒鳴り上げたところで状況は何も変わらない。

 言うまでもなく日本マクドナルドは外食産業最大のチェーン店であり,直営,FCの如何を問わずクレーム対応をアルバイトに押し付けているなどとは考えにくい。
 正社員だろうがアルバイトだろうがお客さんから見れば同じマクドナルドの店舗スタッフなのだから正社員と同じ挟持でもって仕事に臨め。同じ仕事を同じようにやれ。といった教育が社内でアルバイトに対してされているのだとすればその教育がおかしい。時給800円かそこらの給料で正社員と同じことを求められて納得できる人などいるわけがない。

 それもさることながら,距離を置いてみれば俺の視点からはこの兄ちゃんも相当きているな。
思うに彼は,プロフェッショナリズムやサービス業の何たるかについて諭したいわけではなく,ただ単に日頃鬱積する何かのフラストレーションをぶちまける機会がこれだったというに過ぎないのではないのか。
 300円くらいのマックナゲットにソースが付いていなかっただけのことでバイト相手にここまでやるのは俺から言わせればヤクザを通り越して最早キチガイだ。消費者のヤクザ化というよりは消費者総発狂と言った方が現実に近いかもなw

 100円ショップの商品の出来に目くじらを立てて文句を言ったり298円の弁当や牛丼の美味い不味いに口角泡を飛ばして論じ合ったりと,デフレスパイラルの最中では人間性もこういう風に狂ってくるものなのだな。
 世間一般が砂漠化する中で理不尽なアルバイト稼業に甘んじている諸君に対して俺はこういう場合の復讐方法を伝授する用意があるがご近所さんの店舗なのでここでは書かない。

 敢えてヒントのようなことを書いておくと,飲食店というのはその大半が客単価が千円かそこらである。財布に万札が何枚も入っていないと入れない店というのは世の中に幾らもない。ということは,君の懐に千円くらいの自由になる金があれば君はいつでもその飲食店に対して『お客様』になれるのだぞw
 ここから先は書かないが,俺はある時日頃仕事で接する傲岸不遜でクソ生意気で高飛車な飲食店の主に対してそういう風にして仕返しをしたことがある。あまり思い出したくない不毛な記憶だ。

 他者に対しての寛容性がどんどん失われて,いつとは思い出せないがそれはある一線を越えてしまったと最近の俺は考えている。
<おまけ>某ネット配信者がキレまくる。派遣労働者のフラストレーションについて。前半20分過ぎ位から火がついてきます。お暇な方はどうぞ
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虫のいい依頼ごと [困った客]

 世間に於ける自営業者とはどういう立ち位置なのかをここ数年絶えず意識し続けて来たと思う。
何故意識的になるかというと,自営業者はしばしば世間の仕組みの不条理さを押し付けられて甘んじなければならない場面が大変多いように俺は常々感じているからだ。
 仮に俺が月給取りの雇われ人であり,年がら年中ルーチンワークに明け暮れて時間から時間の勤務形態である立場だったら自分の立ち位置に関してもう少し無自覚だったのではないだろうか。

 本日は8月14日で,世間的には役所や企業は夏期休暇であり,俺もまた建前上は休業とさせてもらうことにしている。
 大体,休日中に発生する障害なんていうの殆どの場合その日一日では解決しない。メーカーは休み,材料問屋も休みで修理屋の手持ち材料だけで解決できる確率は物凄く低いのが現実であり,休日の出張修理なんていうのは現調を行って『今日のものにはなりませんわなあ」と言うために動いているようなもんだ。

 しかし世間に於ける業務用厨房機材の使用者というものはその大半が以前の記事で書いたようにバカなので,故障が発生した場合には条件反射のようにとにかく修理屋の携帯電話を鳴らしまくって催促しさえすればどんなことでもその日のうちに解決するものだと思い込んでいる。
 もう一つ書き加えると,この手のバカはその障害が当日のうちに解決できず,日延べされることに対して物凄い被害者意識を持つ傾向がある。修理屋を逆恨みする奴さえ珍しくはない。挙げ句の果てにはおまえは自営業者なんだから年がら年中,24時間365日,得意先の都合に合わせて死んだ気になって働けなどと説教を始める極めつけのバカさえいる。

 大きなお世話だ。

 俺は俺の生活のために金が必要だから働いているのであって使用者の不都合を解決するために働いているわけではない。当たり前の話ではないか。世の中どんな職業だろうがそうではないのか?
 そもそも俺に対して休日中に修理対応しないのは怠慢だの生意気だのと抜かすそいつ自身の日常,社会人としてのありようはどうなのか,休日といわず深夜早朝と言わず,24時間365日、他人の不都合を解消するために不眠不休で自分の生業を貫徹している奴がそういう偉そうな事を抜かしているのか。

 今日も某所から午前10時頃に修繕の依頼があった。
結構大きな飲食店で,いけ好かない得意先だが日頃は金のためにポーカーフェイスで接している。
5,6年前までは結構良好な取引関係だったと俺は思っているが現在は幾つかの例外的な場面を除いて特に深い関係ではない。
 その使用者は『厨房屋なんてなんぼでもいる』というのが口癖らしく,俺はここ数年の間に徐々にオミットされ続けて現在に至っているのが実相だ。
 仕事の発注量が減っていることについて文句を言うつもりはない。俺の仕事には不手際が絶えないし、こんな零細自営業でしかないのだから依頼元が不安なり不信感を持って地元に出先の看板を掲げているメーカーの営業所に重心を移動していくのはやむを得ない。

 しかしだ。それならそれで,誰かを排除していくのならばそこで生じた空隙をどのようにして埋め合わせていくかくらいのことは考えていてもらいたいもんだ。

 話を元に戻す。
その得意先には既に主要な取引先として某厨房機材メーカーがある。あるにも拘らず今日,俺のところに修繕の依頼が来た。それは今日という日はその会社の夏期休暇に当たっており,社員が帰省しているかなにかで即応できないせいだろう。もう一つには故障している機材が家電製品の冷凍冷蔵庫であり,障害の内容によってはそのメーカーには独力での解決能力がないからだ。
 ここで三つ目の憶測が出て来る。壊れたブツの成り立ちから言って,それは業務用の厨房機材メーカーに依頼をしずらいのかもしれない。家電製品は扱わないと断られてしまいかねないので誰か押し付ける奴はいないかと物色したところ徐々に居場所を失いつつあるこの俺が人柱よろしく浮上してきた、そういう事ではないのか?

 その大馬鹿者は、俺が家電製品の修理業者ではない事を承知の上で、しかも現在俺をオミットし続けているその最中に、加えて世間の習わしに従って俺が休業中である事を承知の上で今すぐ修理に来いと抜かす。だめ押し気味に書くとその場所は俺の住んでいるところから数十キロも離れたところにある。お盆の夏期休暇で俺の親族が集まっているその時に、だ。

 目の前にその野郎がいたらパイプレンチで脳天を叩き割ってやりたいくらいの殺意に俺は駆られた。
そいつが雇われている施設には冷蔵庫など山ほどあるのだ。一台調子が悪いのなら電源を切って他の冷蔵庫に中の物を移し替えればいいだけの話ではないのか。リスクマネージメントのイロハのイだ。
 この大馬鹿者は調理師経験が30年を超えるにもかかわらずこんな程度の発想も出てこない。
 
 あるいはこう考える事もできる。
この男は調理師経験が30年を超えるにもかかわらず緊急対応の初歩もわかっていないのではなく、発注者の立場を笠に着て何か俺に嫌がらせでもしたいいとがあるのではないのか。声をかけてもらえるだけでも有り難いと思えと俺に言いたいのか。

 俺は腹立たしい気分で即座に依頼を断った。
家電製品の修理なら電器屋に依頼すればいいのだし、厨房屋に解決してもらいたいのであれば日頃交流のある業者が既にいるではないか。世の中全般がお休みである中で、こういう時だけ何故俺なのか。
 大馬鹿者は憮然として電話を切った。夕方頃その男は再び俺のところに電話をかけて寄越してきた。故障した冷蔵庫を修繕すべきかどうかについて意見を求めたいと抜かすので自分で考えろと突っぱねて俺の方から電話を切った。
 どうせ使用できない機体だしメーカーだってあと数日は休みなのだから盆休み明けにならないと検討のしようもない事を休業中の業者のところに思いつきで電話をかけて寄越して、あたかもこれに答える義務がおまえにはあると言わんばかりの高飛車な調子なので俺は完全に頭に来た。

 ここ数年、バカの性質について俺はあれこれ考える機会が多いのだが一つ、徐々にイメージが明確化しつつある属性がある。
 バカはTPOをわきまえない。頭に思い浮かんだ事を一度脳内で検証する能力がバカにはない。バカは思いついた事を後先考えずにすぐに口に出す。これには俺はかなりの確信がある。

 発注者の立場を笠に着て俺のような零細自営業者を小馬鹿にするような振る舞いを繰り返す奴は枚挙に暇がないわけだが、それと同じくらい冷ややかで屈折した視線が自分に跳ね返ってくる事をこの手のバカは自覚できない。こちとら零細自営業とは言え経営者なのだからいざとなればケツをまくって逆ねじを喰わせる事くらい朝飯前という事がわかっていないようだ。自分が雇われ人で手かせ足かせの中で仕事をしていると世の中の人間はみなそうだとでも思っているのだろうか。発注する立場でありさえすれば何でもかんでも上から目線の高飛車な調子で押し通してでも行けるのだと考えているのだとすれば本当のバカであって悩ましい事にこの手のバカは年々増殖しつつある。
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使用者の半端ない劣化ぶりが将来もたらすもの [困った客]

 最近特に強く思うのだが,色々なことが終わりつつあるような気がしていて,今はその断末魔の中にあるのではなかろうか。

 大きくは,何でもかんでも消費者至上主義みたいな風潮が明らかに行き過ぎたところにまできている。
業界を鳥瞰的に眺めてみると,設備工事がらみの一括納品での契約で追加チャージもなしに補償期間を3年に延長するとか,修理依頼に関してオンコール後2時間以内の訪問を確約するなどといったとんでもない迎合ぶりを見たり聞いたりもして俺は大変イヤな気分になっている。
 その土地に根付いており、購買者と個人的なしがらみのある住設業者や電気製品の販売店がではない。業務用厨房機材のメーカーがこういう馬鹿げた媚びかたをしてアホなバイヤーに取り入っているのだからもう,終わってる。

 メーカーがこういった安請け合いの大風呂敷を重い責任感覚のもとに貫徹するのかというとそんなことはなく、都合の悪いことは例えば俺のような協力会社のところに押し付けられて来る。
 使用者は大概が考えの浅い連中で,大風呂敷を拡げた担当者はアクシデントが起こるとさっさとどっかにトンズラし,現場に現れるのは社員でもない協力会社であることに対してさしたる疑問がないようだ。
 何でもいいからとにかく使えるようになりさえすればいいという考えを非難するつもりはないが、その営業担当者が障害が発生してから収束するまでの間に何故どっかに雲隠れしているのかという疑問は持たないことが大変多い。俺のような立場の者にとってここは癪のタネである。

 この業界を取り巻く構図には大変問題が多く,いずれどこかで全体的な機能不全を引き起こすことはほぼ間違いないと俺は考えているのだが,根本的な原因のうちの一つは使用者であり購買者である人達の無知にある。

*一度購入した機材はいつまで経っても購入当初の状態を保ち続けるものだ。
*故障があった場合は納入元は即応してくれて当日のうちにどんな問題でも解決してくれる。
*修繕費用は文句を言いさえすれば幾らでもタダにしてもらえる。

 書き始めるときりがないが,こんなたわけた考えの大馬鹿者に俺はこれまで胸焼けがするくらい沢山関わってきた。機器類は全知全能の神が造りたもうたものではなく人間が考えて作っているものなのだからどこまでいったって未完成なものだし,これまで繰り返しここでは書いているように利便性とリスクは等価のものだ。社会の構成要員は仙人ではなく霞を食って生きているわけではないから労務が発生すれば同時にコストも発生する。全て当然のことだが何故か俺の仕事の場面ではこれが通用しない。
 このブログを読まれている方の中にはバイヤーや使用者の方はあまり多くないらしいので,俺がここでこういうことを書いても状況には全く何の変化も起こらないのだが,上に青字で書いたようなしょうもない属性はどこかの誰かさんのことではなくお前らのことなのだぞ。

 あるとき何かで読んだか聞いたかしたことがあるのだが,サービス(Service)という英語に置き換えられる日本語は存在しないらしい。周りの人,それが誰であってもいいのだが「サービスってどういう事だと思う?」と訊ねてみるといい,代金をタダにしてもらえること、という答えかたをする人が圧倒的に多いはずだ。何しろある時期までの俺自身がそういう奴だったからこれには確信がある。
 正しくは,『神の代理として行動し,それを受けた側は純粋に感謝の念を持つ』ということだそうだ。これはキリスト教的な社会観であり,人間観である。だから欧米の社会ではサービス業務を行う人に対してチップをはずむという習慣が存在するのである。

 常々書くように,機材に関するコストというのはイニシャルコストだけではないし,修繕費用はれっきとしたランニングコストである。自分は機材を購入したお客様なのだから未来永劫導入したことのメリットを無償で享受し続ける権利があるのであってトラブルが発生した場合には瞬時に解決されるのが当たり前だなどというアホな考えが蔓延するとそれはいずれどこかでクライシスを引き起こす。その萌芽は既に現れているが俺が見る限り誰も問題意識を持っていない。(これについては別の機会に改めて書く予定)

 これはかなり確信のある未来図だが遠からず,故障して機能しない厨房機材に囲まれて手作業に明け暮れる厨房があなたの身辺のあちこちに現れるだろう。それは例えば夫婦二人で営む自営業の飲食店で,席数は30かそこらのところで冷蔵庫が5台もあって食器洗浄機があり,スチームコンベクションや真空包装機まであるようなところから始まっていくだろう。
 厨房を高機能化して調理業務を合理化していくという価値観は既にその足元が崩れつつあり、その根本には『安く済むなら何をやってもいい』というムシのいい感覚があることをバイヤーや使用者達は知っておくべきだ、どうせ聞く耳持たんだろうが。
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そんなに広告宣伝は大事なのか [困った客]

 本日時点での俺の長期売り掛けは以下の2件。
(1)性悪な同級生の件,売掛金約20万円。これはいずれ強制執行によって回収の予定
(2)某自営業者,売掛金3万5千円。うち2万円は入金。

(1)についてはこれまでの記事で何度か書いた。当初俺は彼との一件をこういうオープンな場所では明らかにせず,現実世界だけでの内密な処理を考えていたが交渉途中での余りにも不誠実な態度が頭にきたのでこれから先は逐一晒してやろうかと大変好戦的な気分になり始めている。

一万五千円でガタガタ言うのもしみったれた話だが今回俺は(2)について記事にする。

 その男はこれまでにも記事にしたことがあるが,俺が勤め人だった頃店舗のオープンを手がけた人で,その受注にあたっては当時彼の勤務先だった某ホテルの料理長様からのご推薦を頂いた。
 オープンしてから数年間経営は順調だったがある時期から運営は傾き始め,公私ともに荒んだ生活を過ごすようになった彼は現在,個人再生の適用を受けるべく色々と手続き中とのことだ。
 そういう中で,今年5月にその修理は発生し,売り掛けの回収は長引いたが9月に半金の入金はあった。色々な意味で彼の生活は切羽詰まっており,親分であるところの料理長様が現在経営するお店にもたまに来ては身辺報告があるらしい。

 そのお店は俺が度々ご厄介になる場所でもあり,20年来お世話になり続けてもいるので色々と当該人物の窮状を料理長殿から伺うことはある。
 オープン以来10年以上が経ったその得意先からは既に色々恩恵を蒙ってもいる俺はボスの話を伺ってやはり仏心が出たのでこのオーナーに電話した。

 電話が繋がるなりその人はうわずった声で残金は今月中に何とか支払うと切り出してきた。ボスから状況は伺っているので修理代の残金については俺の方からは催促しないと伝えると彼は震え気味の声で最近は何もかもがうまくいかないのだとぼやいた。俺自身にもそんな時間はあったが窮地に陥った人の語り口には何かしら共通するところがあるように思う。そのやり取りを俺は後日,ボスであるところの料理長殿にはお伝えしておいた。

 それからしばらくしてある日の午後,俺は料理長殿が現在経営するダイニングで遅めのランチをとっていた。
カウンターに陣取って奥さんと雑談しているとお店の電話が鳴った。件の売り掛けを棒引きにした人物が近況報告なのだろうが、お店にくるらしいとのことだった。
 電話から幾らも経たないうちにその人物は現れた。裏口から入ってきてバックヤードでかつてのボスと何事かを話し込んでいるようだった。ホールでランチをとっている俺にはそのやり取りはわからないし様子も見えない。
 しばらくしてからその人物は帰り,料理長殿は顔をしかめてホールに現れた。元部下のありようには複雑な思いがおありのようだ。ランチタイムは過ぎて休憩時間に入っていたので俺はしばらく居残って雑談した。
 料理長殿が曰く,その人物の人間性に疑問が残る。それはたった今のことにも現れているではないか。自分の借金を棒引きにしてくれたその人(俺だ)が今カウンターに座っているというのにバックヤードから出てきてお礼を言うどころか顔を会わせようともせず,ただただ自分の窮状を愚痴ったりぼやいたりする垂れ流しだけというのはおかしい。「あんな調子だから彼の周りからは人が去って行くんだろうね」と、料理長殿は視線を落とした。

 そう言われるまで俺は格段気にしていなかったが指摘されれば確かにそうだ。立場を入れ替えてみれば『金のことで配慮してもらってありがとうございます』くらいのことは言うわな。
 まあいい。愉快な気分はしないが彼が開業して以来,何かしらのお仕事は頂いてきたことは事実なのだから,そういう人なのだと受け入れるしかない。これから先のことはわからないが。

 更にそれから数日してのこと、元料理長殿のダイニングでこれまた遅めのランチをとっていると奥様がタウン情報誌の話題を教えてくれた。
 売り掛けを棒引きにしたその人の経営するお店とともに,冒頭書いた俺の同級生の店も共に,紹介記事に掲載されているのだという。
 タウン情報誌自体は無償で配布されるものだが,勿論それには背景がある。
あれはつまり広告であって,掲載される店舗なり企業は1ページ幾ら,一コマ幾らの掲載料を出版元に払っている。だからタダなのだ。
 その掲載料は恐らく一コマ2万円強だろう。掲載料は数ヶ月先まで支払いを塩漬けに出来るようなものではないし値引きの交渉も効かないのは当然のことだ。
 2件ともについて言えるが,既に工事なり修理なりを終えた俺に支払う金はないが情報誌の掲載費に回す金はあるということなのだな。

そういうことなのだな。

 明日をも知れない経営状態であっても
 個人再生適用中であっても
 強制執行を控えた身の上であっても

タウン情報誌には金を払い,広告を打って宣伝し,店は続けたい。

 税金は滞納して差し押さえを食らっても
 買い掛けを塩漬けにして頬被りする毎日を過ごしていても
 債権者が乗り込んできて苦情を申し立てても

売り上げが上がり,日銭が入ればそのうち何とかなるだろう,そんな目算で彼らは日々過ごしているのだ。まあ,勝手にすればいい。

 ここで俺は諸兄に伝えておきたい。あなた達が手にする情報誌のことだ。
そこにびっしりと並んでいる飲食店の広告,格安宴会プランだとかとっておきの新メニューが溢れ返るあの印刷物の裏には一定数,こういう背景事情で営まれている店舗がある。そして更にその奥には例えば俺のような,売り掛けを塩漬けにされたり踏み倒されたりして苦々しい気分でいる人達がいる。

 まあ,どんな業界でも一緒なのだろうけどね。金を巡る相克は絶えることがない。
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支払いを拒む奴の挙動を分析 2 [困った客]

 このテーマは書きごたえがある。
何故かというと俺の間近には、まさにこの手のけしからん輩の見本みたいな男がおり、彼の素行を見ていると我欲に凝り固まり道徳心を失った人間とはこういうものだという格好の見本である感想を俺は持っているからだ。

さて,この手の輩の性質について続けよう。
性質2:請求書を素直に受け取らない。その際には何かしら難癖を付けてくる


 事前に見積書を提示した,あるいは口頭で概算を伝えたときには調子良く二つ返事で依頼しておきながらこういう態度に出てくる奴は労務が進行する過程に於いて既にその兆候を示している。
 具体的には,人の作業の過程を仔細に眺めては口を挟んでくる。『それは俺もやったことがある』だとか、『いついつ何時,誰それがやっているのを見たことがある』だとかいった類いのたわ言だ。
前提として,買い掛けを塩漬けにして恬然としているような奴は生来的にへ生狡いか,開き直っているかのいずれかだから、こういうことを口走る場面で既に後から難癖をつける伏線を張っていると考えていい。

 こういう言い草の本質は,言い換えると『おまえのやっていることは特別なことではない,格別値のあることではなくて誰にで(自分にも)もできることなのだからおまえの提示する代価を払うには値しない』である。これは後に,請求書を渡す場面に於いて言い回しを変えて再現される。

 考えてみれば随分と人の職業を小馬鹿にしたもの言いではあるが俺の場合,作業に区切りを付けたい一心でついついそのまま作業を続けてしまうがこういう流れは今後考え直さなければならない。
 今考えついたのだが,正しい作法としてはこういうことを抜かす奴に対しては作業を中断して現場を撤収すべきなのだ。自分でできることなら自分でやれ。自分で処置するならタダで済むではないか。というのが現在の俺の気分。

 このようにしてわだかまりの萌芽を放置して請求に及ぶとこの手の連中は必ずと言っていいほど何かしら難癖を付けてくる。幾つかサンプルを列記する。
 *先に書いたように,『最初にちゃんとした説明を受けていれば俺が自分で出来たようなことだったんだ』
*「現場を撤収したあとにゴミが落ちていたり、機械が脂で汚れていたりしてあとから大変な思いで清掃しなければならなかった』
*『他に依頼していたこれこれのこと(注:証拠だったものはなく,水掛け論の原因となる)をまだやってもらっていない

 相手がこういった言葉を吐くようだと,状況は抜き差しならない泥沼に既に片足を突っ込んでいる。金額の多寡はともかく損失は必ず発生する。金銭的にも心理的にも損害を最低限に食い止めるためには撤退戦をいかに巧みに行うかしかない。
 実行したことはないが,最善の策はこちらが開き直って請求を放棄する変わりに手がけた仕事は全て以前の現状に戻す,交換したパーツや使用した材料は全て取り外して引き上げるくらいの行動を示すと一体どのような反応を示すのか,これは一度試してみる値がありそうに思う。
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支払いを拒む奴の挙動を分析 [困った客]

 この記事の設定には大きな矛盾がある。
カテゴリー上は『困った客』となっているがしかし,人に仕事をさせておきながら代価を支払おうとしない輩を客と呼ぶのは適当なのか。

 最初っからやらずぶったくりを決め込むけしからん野郎というのはこれまでに数人記憶に留まっている。そしてこういう確信犯的連中にはある種,決まった行動パターンがあるように最近思えてきた。
 こんな連中には関わり合いにならずに済めばそれに越したことはないのだが,厨房屋という商売はどうしても一定割合でこの手の輩に引っ掛けられる運命だとある時期からは観念するようになった。しかし、だからといって売り掛けの回収を諦めたわけではない。俺は執念深い性質なのだぞ!

 諸兄には大体想像がつくと思うが,この手の使用者は自営業者に多い。以前の記事のコメント欄で書いたことがあるが自営業者の分布は幅広い。作業が終わったら即金で金をくれるとか,釣りはいいから取っときなと大いに気前のいい方がおられる一方で,ここに取り上げるような人種が棲息するのも事実だ。

性質1:事前の金額提示に対して明確な答え方をしない

 金が幾らかかりそうかを事前告知するのは予防策として最低限行うべきだろうが、機材の故障など切羽詰まった場面では『とにかく早く何とかしてくれ』とせき立てられてついつい場の空気に流されがちだ。
 加えて事前に金の話をしたから必ず金がもらえるというわけでもない。ある種の野郎はどんなに事前の予防線を張ろうが引っ掛ける腹づもりで臨んでくるのだからこの場合にはどうしようもない。

 ここで、幾ら幾らくらいの金額がかかりそうだと事前に告知したとして、
*「支払いはいついつになる」
*「二回くらいの分割で勘弁してくれ」
*「もう少しまけてくれ」
という反応が返ってくれば俺はその使用者をひとまず信用する事にしている。修繕費という突発的な出費に対する金銭的な備えや支払う意思が大小はともかくある事をこの反応は表している。

 問題なのは
*「わかった、取りかかってくれ」
という反応が返ってきた時だ。
これには二通りのありようが考えられ、それは上に書いた反応が返ってくるまでの時間によって分類できる。
 すかさず上の返事が出てくるようだと概ね信用してよい。応答に時間がかかるようだとかなりいかがわしい。それはつまり、「これからこいつを引っ掛けて金を踏み倒してやるぞ」という心の準備に要する時間だと俺は思うようになった。

これは,他人をだまくらかすにあたって躊躇というか良心の呵責を覚えている状態を示している。
但し,単純に応答時間の長短で依頼主の素性を分類できるかといえばそうとも言い切れないのが人間のややこしいところで、二つ返事で即答しておきながらその実,腹の中では最初っから踏み倒しモード満開の人非人みたいな,道徳心のかけらもない野郎が世の中には確かに一定数存在するのであってこういう輩に引っかかった人は御愁傷様と言うしかない。
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断末魔の回転寿司に於けるバックヤードの風景 [困った客]

 前回,売り掛けの焦げ付きについて記事を書いたあと、お仕事仲間の某氏から伺った話を思い出した。

 回転寿司のバックヤードで発泡トレーが目につくようになったらその得意先の経営状態には注意しとけ,というものだ。その成り行きは以下の通り。

 一般に,回転寿司は席数が多く喫食者の回転も活発なので食材を沢山消費する。タネになる魚介類も例外ではない。で,タネの殆ど全てはしかるべき食材問屋から箱に収まった状態で届く。
 そういう場所にたくさんの発泡トレーがあるのは何を意味するか,その発泡トレーには何が乗っかっていて,どこから来たのか?

 答えは近所の食品スーパーだ。
運転資金がショートして食材問屋への支払いが滞るようになると掛け売りはストップして現金支払いに切り替わる。その現金が逼迫してくるとレジから売り上げの金を抜き出して近くの食品スーパーに走り,売り場の食材を買ってきてタネの仕込みをするようになる。これが回転寿司の末期的な情景である。

 俺はその話に大変説得力を感じた。何故なら過去に於いて確かにそんな場面を目の当たりにしているからだ。その店舗はある時期まではメーカーの依頼で俺は修繕に当たっていたのだがある時期からは店から俺のところに直接修理依頼が来るようになり,メーカーはというとなんだか腰が引け気味で俺にパーツの供給はするから直接取引してくれというやり取りだったように覚えているがこの辺は結構以前のことなので記憶は曖昧なところがある。

 確かにその店のバックヤードにはスーパーで使う発泡トレーが山ほど散乱していた。ギャベジのバケツに山盛りになるくらいごっそりそれはあった。
 修繕の場所はコンベアーレーンの中にあるお茶の給湯器で,シスターンのボールタップはいかれてオーバーブローが続き,循環用のラインポンプはメカニカルシールがいかれてこれまたお湯がダダ漏れ。床からはのべつモヤモヤと湯気が立ち上っており、サンダル履きの職人達はこんなところで働いていたら水虫にでもなってしまうのではないかと余計な心配をしたくなるような労働環境だったのだ。
 そのとき俺は,今日はパーツの持ち合わせがないので修理見積りを書くからその上で返事を頂きたいと言いおいてその場からふけた。

 その店舗の経営元からはなしのつぶてで,一体どうするつもりなのかと訝りながら時間は過ぎた。
しばらく経って俺は再びその回転寿司に脚を踏み入れた。但し今度は修理業者としてではなく客として,だが。
 驚くべきことに,給湯器の不具合によるホール内の湯気は放ったらかしのままだったばかりでなく,寿司レーンが止まっていた。しかめっ面をした職人がカウンターに座った客のところに駆け寄ってはレーン越しに寿司の乗っかった小皿を荒っぽい挙動で突き出している。もはや回転寿司ではない有様だったのだ。

 レーンの中からはかすかに黴び臭い匂いが漂ってきた。一日中床にお世が流れっ放しで濡れており,ろくすっぽ掃除もしていないのだろう。湯気のせいでホールはやや湿っぽく,壁のクロスは一部がめくれ始めていた。
 コンベアーレーンが止まっているのは勿論節電のためなどではなく,それがぶっ壊れていて動かないのだが修繕費が捻出できないからに違いない。
 だから中の職人はオーダーする客のところに駆け寄っては握るタネの注文を聞き,握っては届けを繰り返すので挙動が大変ドタバタしている。俺の連れが少しでもオーダーに迷うと彼は実に剣呑そうに他のお客さんの迷惑になるから早く注文してくれと尖った声で怒鳴り散らした。

 全くもって不愉快な時間だったがほどなくしてその店は潰れた。数件の姉妹店を持つ会社が丸ごと飛んだ。俺はその会社に数万円かの売り掛けがあったがこれは当然回収不能となった。開業してから3年目くらい,今から5年くらい前のことだ。
 俺はその,横柄な職人を腹立たしく思っていたが今にして思えば彼はきっと給料が遅配されたしでもして頭にきていたのではないかと今は想像している。どうせ潰れる店なのだからと彼はヤケッパチになって客に八つ当たりしていたのではないのか。まあその気持ち自体は理解できなくもない。物事の断末魔にはそのようにしてあらゆることが無軌道になって壊れていくもんだ。

 そのとき俺は,先に書いた発泡トレーの話を思い出した。俺は店が潰れる初期段階を既に見ていたのだ。
店が潰れそうだ,というブラックな情報は多くの場合食材問屋や酒屋を起点としている。俺のような立場の業者はそれからやや遅れてその気配を感じることになる。ここでそういう場面を言いふらして,所謂風説の流布によってその店の転落していく流れに加担することは果たしていいことなのか。これについては未だに俺の中では答えがまとまっていない。だから俺はそのようなバックヤードの寒々しい風景については日常,一般の人にはあれこれ言いふらさないことにしている。
 飲食店の閉店はある日突然起こるものではなく、結構長い伏線があるのですよ,一般の諸兄。
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調子悪い [困った客]

 大きな枠の話などできるだけの度量は元々あるわけがないが、鼻につく事象を断片的に書き留めておきたいとは思っている。

 何というか、人間の質は日に日に劣化しているのではないかという思いが俺にはあって、自分の仕事にもそういう変化に気づかされる場面はあるわけだ。
 そのうちの一つは修理依頼の電話にある。いつの頃からか「○○○が調子悪いから修理してくれや」という使用者からの依頼が増えた。

 「調子悪い」とはどういう事か?何とも漠然とした言い草だ。調子の悪さには色々な事象が想定されるのであって、内容によっては普段使わないような道具立てで乗り込まなければならない可能性はあるので修理屋としては事前にできる範囲で詳細を押さえておきたい。
 それで、状況を知りたいので、とこちらから問いかけると多くのバカ客どもは怒り出すのである。
*「調子悪いって言ってるじゃないか!」
*「修理してくれないのか!」
*「それでもプロか!」
 こういう言い草を聞き続けていると俺の中には段々大衆蔑視思想が醸成されてきそうだ。

 こういうバカどもは例えばの話、自分の自動車が故障して整備工場に持ち込む時には「調子悪い」としか言わないのだろうか。医者にかかる時には「調子悪い」だけで済むのか?世の中自分に関係する森羅万象何でもかんでも「調子悪い」だけで解決してもらえるんだったら誰も苦労なんかしねえんだよ!このノータリンが!と、俺は内心毒づきながらお仕事に取りかかっているのだという事を依頼主は知るべきだが、元々がバカなのだからどうせ自分が他人にバカだと思われている事すら自覚できんだろう。

 俺が駆け出しのあんちゃんだった頃、使用者というのは全般にもう少し理知的だったような記憶がある。
中古市場など無いに等しかったし、実売価格も今よりはずっと高かったので厨房機材を購入するのは覚悟と準備を必要としたし、導入された後は「これを運用する事で経費を浮かして利益を得ているんだ」という意識は今よりはいくらかあったように思う。
 修理依頼の電話を受けていても,やり取りの中でどういう措置を講じるためにどういう装備で訪問すればいいかの想像がつくような伝え方をしてくれる使用者の方は確かに現在よりも多かった。

 我欲という言葉が去年の震災以来良く使われるようになったがこういう状況も当てはまるところはあるのではないか。『調子悪い』と言いさえすれば修理屋が『ハイハイ確かに承りました。何時にお邪魔させて頂きます』とすっ飛んできてお望みの状態に復旧してくれるのが当たり前だと思い込んでいる馬鹿者は想像以上に多いがこっちにしてみれば難儀なことこの上ない。

 一つ気づくのは,こういう横着な依頼の仕方をしてくる奴ほどいろんな場面に於いて他人に対する配慮が欠落している。有り難いお客さんの中には作業中の俺の様子を見て床に敷くためのダンボールを出してきてこれを使ってくださいとか,撤収時に汚れた床を拭こうとし始めると『そこはやっておくからいいですよ』とか言ってくださる例があるが,ここで取り上げるような人種にこういう気遣いは期待できない。

 と、ここまで書いていて思い出したことがある。
具体的にここがこういう風におかしいと言わずにただ漠然と『調子悪い』としか言わずに修理屋を呼びつける人種が明確に一つ俺には記憶されている。
 それはヤクザだ。更に絞り込んで言うと綿飴だのかき氷だのを扱うテキ屋がこういう横柄な振る舞い方をする手合いだ。
 俺が勤め人だった頃,夏頃になると決まって何人かこういう連中が職場に乗り込んできたものだ。かき氷のスライサーを抱えてやおら事務所に入ってきてどすんとカウンターに起き,『調子が悪いから直しとけ』としか言わない。おまけに故障診断も済んでいないうちから『何時頃に使えるようになるのか』と問いつめてくる。そうだ,俺はこういう姿勢をヤクザ特有のものだと思い込んでいたがいつの間にかそうではなくなっていたということなのだ。今では一般の(飲食店に限らずだ)人間がヤクザ化しているということなのだな。

そうそう、
依頼内容は『調子が悪い』としか言わず
訪問時間は使用者の希望を伝えずに『何時に来れるのか』とこちらに言わせようとし
現場に到着すると作業に取りかかった途端に『何分くらいで直るのか』と問いつめてくる
 これは以前,二昔くらい前だとヤクザやそれに類する者に特有の作法だったのだ。他の色々な場面で一般市民のヤクザ化は言われるところではある。俺自身,購入者だの使用者だのの立場になってみると不具合の対応をしてもらうときに業者の謙り具合が異様に思える場面が随分増えた。消費者のヤクザ化というわけかw

書いていて段々イヤになってくるぜ。
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せがめばなんでも実現すると思うな [困った客]

 一部例外を除き,農家とか農協関連のお仕事は結構割りがいい。何故だかこちら方面の得意先は妙に気前がいいのだ。
 しかし,世の中金で片のつかない話はゴマンとある。金で解決で来たにしてもちょっと現実味のない話というのもまた同様。

 先月末,俺はある農家でパッケージエアコンの工事を行っていた。

記事URL:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2012-05-31

 事前に話していたこととして,運転時の温度帯を冷蔵庫と一緒に考えてくれるな,同じ冷媒による冷凍サイクルであっても冷蔵庫とエアコンはミサイルとロケットくらいまるっきり別のものだということをご理解願いたいと俺は噛んで含めるようにして主に言って聞かせた。

 一体どれくらいの温度まで冷やせるのだろうかと訊ねられ,俺はゲージの目盛りを思い浮かべながらせいぜい20℃をちょっと割り込むくらいでしょうと答えておいた。
 主殿は観念し,それで構わないから工事は進めてくれとのことで俺はとっかかった次第。

 工事はすったもんだしながらも片付いた。
試運転を行ってみるとR-22を規定量封入して蒸発圧力はおよそ0.3MPaを示した。吹き出し口の温度はおよそ15.6℃だろう。リモコンの温度設定下限は18℃だから逃げようのない底打ちとなる。
 
 問い合わせがあった当初説明した通りの結果であり,青果類の保管に最適な温度とは言えないが主殿の持ち込んできた機材がそういう性質のものなのだから仕方がない。
 試運転での冷え具合を確認してもらって主殿は「まあ,こんな感じなんだろうねえ」と一応納得していたようではあった。

 しかし俺の経験則として,こういう反応は割り引いて受け止めるべきだという刷り込みがある。
引き渡した直後に条件付きの納得を示すという反応は必ずその後幾らも経たないうちに不満を覚えるものだからだ。
 案の定,主殿からはその後数日してからもっと冷えるように出来ないだろうかという問い合わせがきた。
冷え方の特性については既に説明した通りであって何しろパッケージエアコンなのだから調整しろなどというものはどこにもないとしか答えようがない。

 すると主殿は改造は出来ないかと食い下がる。
改造と聞くと俺の中のある部分は発火点に達するのだがそれは押しとどめた。やってやれないこともないのだろうが結果については一切責任が持てないし費用が幾らかかるのかの事前予測も立たない。

 そのとき,俺の頭の中に浮かんだアイデアはこういうものだ。
(1)室内機の冷却器を改造してキャピラリーチューブを外して膨張弁に変更。
(2)コンプレッサーは室外機の基盤制御をパスして汎用サーモと電磁弁と圧力スイッチを組み合わせた古典的にして単純明快なシステムとする。
(3)但しこの時,室外機の発停はリモコンのコントロール下でなくなる。

 主殿は某所からこの中古エアコンを引き上げてきたときにリモコンを紛失しており,何と二万円也の純正ワイヤードリモコンを購入したばっかりなのだ。(というか,今回はサードパーティ製のリモコンが使えない)

 大体このエアコン自体が12年落ちのロートル機なのだ。コンプレッサーが停止するときにはガラガラと不吉な音がする。せっかくタダで手に入れた機体だがくたばるのは時間の問題だろう。金のことはいいからと主殿は太っ腹なところを見せてくださったが遮二無二改造したところで機体の寿命を考えると投資効果が期待できない。
 今となっては詮無い話だが,冷蔵庫として使いたいのであればちゃんと予算を組んでしかるべき機器選定を行うべきだと俺は躍起になって説得した。昼過ぎに出かけていって結着がついたのが夕方近く。俺は結構くたびれており,最近,誰ともこんなに長く話をしたことがなかった事に帰り際に気がついた。主殿の粘りには参った。

 この農場には来週再びお邪魔することになる。
住宅脇の納屋に4枚ドアの冷蔵庫と冷凍庫があってあまり冷えないので修繕がきくものかどうか一度調べてもらいたいのだそうだ。俺が駆け出しの頃に見かけた(ということは何と30年近くも前の)ラックランド製のものだ。気前はいいし金をすぐくれるところは貧乏人の俺としては大変有り難いが依頼の内容は困ったもんだ。
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開業支援という名のばらまき行政にたかるダニ共の手口 [困った客]

 社会の劣化が懸念される今日この頃だが俺の周辺もまた例外ではない。俺個人はしがないネジ回し屋に過ぎないがたまにはちょっとゼンマイを巻いて社会派チックなことを書いてみたくもなる。

 個人経営の飲食店の開業が増えているのだそうでそのこと自体は喜ばしい。
但し,バブル崩壊前のようにどこの厨房屋もそれぞれがお仕事にありついてというわけではなさそうだ。
この流れにあって明らかに儲かっているのはメーカーではなく中古機材の販売業者である。
中古機材販売の是非についてここでは論じないが,時流が明らかに彼らに与しているのは事実だ。

 20年以上前は,俺の住む町で言うと個人で開業したい人はまず,その町の厨房機材メーカーの出先に赴いた。これには工事を請け負った工務店なり設備屋も含まれる。
 しかし現在それは,リサイクルショップに変わった。リサイクルショップで揃わないものを補充するのとレイアウトプランを書いてもらって施工管理をしてもらうために厨房屋を利用するようになった。厨房屋は自分たちが販売するわけでもない機材のためにタダで施工のための打ち合わせをし,図面をタダで書く。目先の金欲しさにどこまでも迎合するのである。更に言えば融資を有利にするための金額を噴かしたインチキ見積書を作ることなんて朝飯前w

 腐った構図のことを書いておこう。俺たちは自分の納めている税金がどんな風に使われているかをもう少し知っておいて良い。
 格差社会は進む一方であり、大都市圏や復興事業盛んな東北は別として俺に見える範囲ではいつになったら上向くんだかわからない不景気が延々と続いている。田舎なんかはひどいものだ。
 それで,衰退する地元商圏活性化のためにとか何とかいうお題目のもと,行政機関が独立支援のための補助金制度を立ち上げる,と,ここまではご立派な施策である。その補助金というのはつまり税金なのだが。
 
 これは風聞なので真偽のほどには疑問の余地があるのだが,事実だとすれば見過ごせないことなので書いておきたい。
 独立開業にあたっての補助金制度には幾つかのルートがあるらしいが中には返済義務のかなり緩いものがあるとか,ないとか。開業してから一年かそこらで不振のために廃業してしまった場合には返済義務が免除されるなんていう信じ難い話もある,繰り返すがあくまで風聞であって俺は真偽を確認していない。

 少なくとも俺が目にしたケースで言うと,融資元に提出する書類には当然,工事なり什器備品についての見積書添付が含まれるが,融資元が開業後に検分に現れることがないケースがあるらしいのだ。勿論補助金と言ったって青天井に幾らでも出資してもらえるわけではないが,この制度を悪用する不埒な輩は当然ダニのように湧いてくる。飲食店を開業する,という名目で補助金の出資を申し込んでくる奴は結構な割合ではないのか。

 ある可能性として,一つの事例を示しておこう。
補助金の出資枠の上限が仮に300万円としよう。
(1)悪党は業者に300万円一杯一杯の見積書を書かせて出資を申し込む。
(2)現実にはここから200万円程度の持ち出しで済むように工事や機器類の予算を固める。
(3)更に気の回る奴は業者や仲間内に頼んで差額百万円分の偽領収書を作ってもらう。

 不埒者が百万円の差額を生み出すために目一杯活用するのが厨房屋だ。リサイクルショップから6万円で買ったガスレンジを見積りの上では20万円の新品と書く。厨房屋は自分のところの製品が何点かは新品購入してもらえるので唯々諾々としてこれに協力する。どうせ行政機関の役人が後から現場に来て物品をいちいち検査するわけではないのだからやりたい放題だ。リサイクルショップは奇麗に上っ面を美装してくれるしちょっと使えばすぐに薄汚れてくるのだから開業した後ならこれは新品で購入したものだと言い張れば素人の役人など幾らでも丸め込める。
 それでこの差額分百万円は不埒者の懐に納まる。その用途は・・・・運転資金の足しになるのかもしれないし,キャバクラのネーチャン相手に蕩尽されてしまうのかもしれないが、それはここでは枝道の話であり,これ以上は触れない。

 こういった,融資目的の水増し見積書による制度の悪用を突き詰めていくと,融資された金で粗末な看板を作るだけで、残金の殆どを懐に納めてどっかにトンズラした豪傑がいるとも聞く。ここまで来るとれっきとした取り込み詐欺ではないのか。

 それは事実関係も確認できていない例外に過ぎないのだろうがしかし、これら開業される飲食店のうちかなりの割合が短命に終わる傾向がある。短命だろうが何だろうがひとまずはインチキ見積りでせしめた差額をネコババすることで懐にはある金額が納まる。これは事実であり、その中には一定割合で確信犯が混じっている。

 ここでこの,確信犯について書く。あくまで俺の出くわしたことのある経験則上での話だが。
これら不埒者の多くは調理師としての経験がない。自営で商売をした経験もない。そして,志向する建前上の業態は焼き肉屋とか七輪に炭火で焼き物を出す居酒屋のようなものが多い。共通項としては客が自分で何かを焼く喰い方で,店主は殆ど調理らしい調理をせずに済む横着なメニューであることが多い。今日日,調理の経験なんぞなくても一端のメニューを謳ってこういう商売をおっぱじめることは簡単にできるのだ,何故か?

 それは食材屋が迎合するからだ。特に肉屋がひどい。
ある時期までの通り相場として,肉はあるブロックが真空パックされてチルド冷蔵された状態で店舗に届き,店舗のスタッフはブロックを掃除して余計な脂や筋を取り除き,焼き肉として一口で食べられる大きさに切り分ける作業を行っていた。真っ当な店舗なら現在でもそれは続いている。
 しかしある時期から,というかこうしたにわか焼肉店開業のラッシュに歩調を合わせるように肉屋が自分の店舗のバックヤードで掃除も切り分けも済ませた肉を配送するサービスを行うようになった。勿論,タレも出来合いのものが瓶詰めされていて一緒に配達される。飲食店で行うことと言えば肉とタレの目方を量ってボウルに入れて馴染ませてから皿に盛るだけだ。こんなものを調理というのか?それがプロの仕事なのか?

 もう,書いていてウンザリするような構図である。
 だめ押しついでにもう一つ書こう。こうやって出来上がるにわか飲食店をくだらない情報誌が次から次へと取り上げてはもてはやす。どこに行ったって同じ味の焼き肉屋だの炭火焼屋を何件も掲載して大特集だとかなんだとか言ってバカ客を煽る。グルメ気取りのバカ客共はどこも同じ味のものを喰い歩きながら重箱の隅をつつき回すようにしてあそこの店が旨かっただのまずかっただのと口角泡を飛ばして愚にもつかない能書きを垂れ流し合う。
 多くの場合,情報誌は各戸に無料配布されるがあんな、カラー印刷された数十ページにも及ぶ印刷物が何故タダなのかと言えば掲載されている店舗がめいめい掲載料を印刷元に払っているからだ。5センチ四方の一コマくらいの掲載スペースで大体三万円強だろう。

 本当に,書いていて胸焼けのしそうな構図だ。
俺はこの世の中にもはや期待も希望も失いつつあるのだが,せめてこんな、補助金のネコババ目当てのクソ共くらいはちゃんと見抜いてもらいたいもんだ。融資した金が正当に消費されているかどうかくらい木っ端役人どもはちゃんと監視しろ!血税なんだぞ!こんな薄汚い連中はみんな詐欺罪で取っ捕まえて原発後のがれき処理現場にでも叩き込んで強制労働させろ!
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三つの変数を満足するとき [困った客]

 今年のゴールデンウィークも例年の如く,毎日一件ずつくらいの用事があって丸一日ゆっくり出来ることは殆どなかった。仕事の総発生数はある期間を区切ると大体一定なのだが日によってばらけ具合がある。そして例えば依頼がある一日に集中して猛烈に忙しく、残りの日は何にもないということはない。俺の出来の悪い頭ではよくわからないが何と言うかこれは一種,自然法則に根差した確率論のようなものと考えている。

 日曜日や祝日の修理対応をどのようなものにしておくかについて,俺には未だに確たる考えがまとまっていない。ここには体調と気分と金という三つの変数が存在しており,それらの組み合わせ次第で俺の対応はバラバラであるのが実態だ。よって,依頼元から見た俺は物わかりがいいときもそうでない時もあるのだろうが,そもそも人間そういうもんだ。

 5月4日のことを書いておく。連休の真っ最中で,私的には兄弟が帰省していたのでしばらくぶりに顔を会わせていた日であり,前日深夜は某ホテルのコーヒーラウンジのバックヤードでソフトクリームフリーザーと格闘していたので結構バテ気味の朝であり,翌日には数件の修繕を控えていたので作業の段取りをしなければならないなどなど先に書いた三つの変数でいえば全てを満足する状態に俺はあった。

 こういうタイミングで俺に修繕の依頼をしてくる方とはしばしば、お互いにわだかまりの残る結果となる。
今回,一方の当事者であるその男は俺の中学校の同級生である。そして近年,この男とは行き来が疎遠になりつつある。

 この男は一応,調理師であり現在は某第三セクターが運営する道の駅の責任者を務めている。
同級生だからという縁のせいだろうが仕事の上では随分ご厄介になった。その彼はある時から,なんだかわけの分からん話を何度もしきりと俺に吹き込みたがるようになった。
 何でも,彼の職場では俺の評判が良くないのだそうだ。彼の職場の中には『厨房屋なんていうのはなんぼでもいるだろうが』と不満の声があるらしい。

 良くあるくだらない,廊下トンビみたいな振る舞いであり,こんな話を真に受けていちいちいきり立つほど俺も幼稚ではない。
 何かしら俺に落ち度があるのかもしれないな,とは思うが人の思うことを外部から変えることはできない。
廊下トンビ君の意図は不明であり,真偽についてもこれまた不明である。ただ,俺の経験則はこういう真似をする奴,こういう話を殊更何度も吹き込みたがる奴というのはえてして他人の対立感情をいたずらに煽り立てては高みの見物を決め込んで面白たがりたい奴であって、そもそもその話を持ち込んできた奴を疑問視することにしているのである。

 『厨房屋なんてなんぼでもいる』という言葉の通り,俺は廊下トンビ君の勤務先であるその施設とは段々疎遠になり,俺とは入れ替わるようにして俺の元の勤務先がその施設とは活発な取引をするようになった。残念ではあるが先に書いたように人の思うことを外部からは変えることは出来ないので俺は現実を受け入れて他の収入源を探せばいいだけのことだ。
 段々疎遠になる間,駄洒落ではなく癇に触る依頼が幾つかあり、本題からそれるのでここでは書かないが,こういう時間なり関係なりの推移にあって依頼ごとが決まって日曜日とか祝日であるというのは随分とまた人を舐めた話ではないか。偉そうな啖呵を切っておきながら何故そういう場面でだけ依頼先が俺なのか。厨房屋なんてなんぼでもいるのだから割の悪い依頼でも恵んでもらえるだけ有り難いと思えということか。

 5月4日の電話もまたそういう内容のものだった。
物産館にある冷蔵ショーケースから物凄い音がするので今日修理してもらいたいと言う。俺は即座に断った。『厨房屋なんてなんぼでもいる』のだからどこにでも好きなところに依頼すればいいのだ、何故俺なのか。廊下トンビ君は幾つか業者に電話してみたがどこも対応できないので俺のところに連絡を寄越したと抜かした。

この場面で,こういう物言いは火に油を注ぐものだという自覚が恐らく彼にはない。

 どこまで人を舐めれば気が済むのかこのバカタレが,と,俺は内心舌打ちしながらとにかく俺には他の予定があるのでその依頼は断ると伝えると彼は俺の元の勤務先の所長様に電話してみようかと思うがどうかと投げかけてきた。どこまでも虫のいい野郎である。自分で考えたら?,と伝えて俺は電話を切った。
 
 俺は自分のビジネスに於いて,感情論で物事を決めることを通常しない。
しかし人間関係というのは一方の思惑だけでコントロールできるものではない、これは真実である。
こういうやり取りは恐らく廊下トンビ君の逆恨みを買い、これから先は恐らく日曜日や祝日にかかってくる虫のいい修理依頼さえもなくなっていくのだが、俺としては負け惜しみでもなんでもなく,都合都合で私的な関係を持ち出されて貧乏くじばっかり引かされて年がら年中変なわだかまりを持って接するくらいならいっそのこと全てをビジネスとして割り切った方が心理的にはすっきりすると判断している。

 ビジネスとして割り切るとはどういう事か,深夜早朝,日曜祝日,こういう場面での俺のチャージは作業が完結するしないに関係なく50%オンだ。文句があるなら他に依頼しろ,最短時間で解決したかったり最小限の出費で解決したいのだったら自分で修理を覚えろ。以前も同じことを書いたがどうも近年,厨房機材の使用者というのは余りにも野放図になり過ぎているし業者は低劣な客先に迎合し過ぎている。

 翻って5月4日当日のことを思い返すに,ここで書いた三つの変数について、
*もしも前日の深夜作業がなくて俺がくたびれていなければ・・・・
*もしも廊下トンビ君のくだらない煽りが不愉快な素地をこしらえていなければ・・・・ *もしも俺が今以上に金がなくて大変切羽詰まった生活事情であったら・・・・・  俺はどんな風に対応していたかな?と考える。考えたって仕方のないことなのだけれど。
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日曜,祝日の修理依頼に対する反応の自己分析 [困った客]

 俺は日曜や祝日には働かない主義だ。元々俺は怠け者で無精だし大して人好きのする性分でもない。休みと決めた日には誰とも会いたくないしどこにも行きたくない。

 私生活のことをここであれこれ書くつもりはないが大体,日曜日の午前中には普段以上に俺の精神はたるみ切っている。一週間を通じて最高潮のたるみ方だ。よって,この時間帯に携帯電話が鳴ってお仕事の依頼が入ってくるのは俺を多いに不機嫌にさせる。

 電話の問い合わせのみというのならまだ話はわかるが,いまからこっちに出向いてきて修繕をせいというのがいる。経験則から言って種別は大体三つある。

(1)いろんな意味で無自覚な奴。今気づいた,いま思いついたことだからいま連絡しなければならないと機械的に行動する。
(2)職場の中で『俺はこうやって業者に無理強いできるくらい押しの強い男なのだぞ』といったひけらかしをやりたい大馬鹿者。何も逼迫した出来事ではない,休日明けでも何とかなるような障害を持ち出してきて今日来い,いま来いと迫ってくるクソッタレ野郎だ。
(3)本当に抜き差しならない事態が発生している。
(4)それ以前に、その得意先で俺の行った何かが原因となって発生している障害。

 俺が大真面目に対応するのは(3)、(4)で、(1)は腹の中でアッカンベーをし、上辺では下手に出ながら何だかんだ言い訳をして翌日にしてもらう,(2)は問題外で,問答無用で今日は対応できませんと答えることにしている。何事によらず,また,相手がどこの誰だろうが俺は高圧的だったり一方的だったりする奴には断固たる態度で臨むことにしている。

 深夜,早朝だとか日曜祝日には世間的に休みなのは当たり前であって、俺だってそういう日なり時間帯には多くは弛緩状態にある。
 一般人の常識から考えるに,そういう状態であろう相手に仕事の話題を切り出すにあたっては『お休み中のところ悪いけど』の一言くらいあってしかるべきだろう。俺にも逆の立場の場面はあるがそのくらいのエチケットは弁えているつもりだぞ。休館中の施設に押し掛けていって今から開けろだとか,営業が終わって看板を下げた飲食店に乗り込んで俺は腹が減っているのだから今から飯を食わせろだなんていう振る舞いをしたことはないのだ。

 どうも,何事によらず人間,野放図になり過ぎてはいないか?ゴネれば何でもでも言い分が通るとか、金を払いさえすれば何でもやってもらえるとかいう風潮が間違いなく蔓延していると俺は思う。見方を変えるとそれは相手の職業に対するリスペクトの欠如だとも思うが,他人のリスペクトを享けるに値するだけのプロ意識を貫徹している人物が急速に減少している,或いは当人のプロ意識が露見する劇的な場面が生まれる機会が急速に減少しているのが現実なのだろう。社会自体やそこで蠢く集合意識が全体に劣化しているのだろう。
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寒波によってあぶり出されるバカ客の生態 [困った客]

 今年の冬は寒い。物凄く寒い。こんなに寒いのは十年ぶりくらいじゃないかというくらい寒いのだ。

 今日日,建物は高気密高断熱が売り物で冬も快適という触れ込みではあるが,それでもやはり度を超した寒さとなると色々障害は出る。
 古めの建物では顕著だが,給水配管の凍結が俺の生息地では多発している。ここ数年は冬期間中は1,2度,それも築年数30年くらいとか余程安普請の建物でなければ起こらなかった障害が今年は結構頻発している。

 当たり前の話だが水が出ないのでは調理場は機能しない。うんと低い確率とは言えそういう事態は起こり得る。もう一ついえばこんな場面も自然のなすところで人間の力では何ともし難い。
 
 もう一つ当たり前の事を書く。
大気圧下に於いて水は0℃で凍る。小学校低学年の理科で教わる極めて当たり前の話だ。
しかし,ある種の厨房機材の使用者達は小学校を卒業して年齢を重ねていくうちに脳味噌が段々退化してバカになってくものらしく、作業環境が室温氷点下になりそうかとか,それが予見される場合の対策を講じるとかいった事には注意が働かない,或いは臭いものには蓋をしたいのかその事からは故意に目を逸らす。臭いものに蓋をしたって外気温が−20℃以下にもなれば水道管の凍結が起きるところでは起きるのであって人の思い込みでどうこう出来るものではないのだが。呪文を称えたり念力を発しさえすれば幾ら寒くても水が凍らないように出来るのだったら誰も苦労なんかしねえんだよ!

 昨日から今日にかけて,俺の携帯電話にはあれこれ修理の依頼が飛び込んでくる。
多くは製氷機の氷が出来ないとか,食器洗浄機(特に自動給湯のもの)が動かないだとか、瞬間湯沸かし器から水漏れだとかいった内容で給水配管が凍結しているであろう事が予想できるケースばっかりだ。
 以前,「うちは○○(厨房機器のメーカー名だ)にぜんぶまかせているから」なんて事をほざき,俺を鼻であしらって門前払いを食らわせた使用者がその中には少なからず混じっている。 
 俺はどうせ野良犬自営業者なのだから胡散臭くも見えるだろうし,修繕の発注をするもしないもその使用者次第であって,どこの馬の骨とも知らん奴扱いをされたからといって格段恨みつらみを言うつもりはない。
 しかしだ。俺に電話を寄越してくるそういう連中だっていい大人なのだからてめえの吐いた言葉には責任を取ってもらいたいものだぜ。

 冷え込みが厳しく,給水管関係の修繕業務は厨房屋に限らずてんてこ舞いである。出来事は多発するが修理屋の頭数が急に増えるわけは勿論ない。依頼を断られたり,待ちぼうけを喰わされる頻度は上がる。水が0℃で凍るのと同じくらい当たり前の話だ。
 ましてや今日は日曜日で厨房機材のメーカーは業務を行っておらず,連絡のつかない状況もあるのだろう。だから俺のような野良犬のところに電話をかけてくるのだろう。
 俺は元々人格者でもなんでもないので,そういう場面に直面した時だけ何喰わぬ顔をして修繕の依頼をしてくるムシのいい野郎には必ず逆ねじを喰わせてやりたくなる性分だ。
 『あんたは以前,俺に門前払いを喰わせた人物でれっきとしたメーカーである○○に全部任せてあるとか言ったじゃねえか、そっちに頼めば?』と切り返した時の反応はなかなか楽しいものだ。
パターン1:単純明快でわかり易い。俺の対応に簡単に逆上して即座に無言で電話を叩き切る奴。

パターン2:『これをきっかけとして取引関係が出来るかもしれないじゃないか』などと舌先三寸で俺を丸め込もうとする屁生狡い奴

パターン3:自分がいかに困っているかを切々と訴えて独りよがりな自分物語を垂れ流して食い下がってくる奴。


 ありがちな生態を三つくらい列記してみた。
 こういう連中に共通して言えるのは,自分が以前,俺を虫けらみたいにあしらった事には絶対に触れようとしない点だ。金を払う立場でありさえすれば幾ら筋の曲がった横柄な振る舞い方をしても業者なんていうのは幾らでも愛想笑いをしながら揉み手で言い分を聞いてくれるのだとでも考えているのだろう。
 この想像に俺はかなりの確信がある。こいつらが何故そんな風に考えるのかというと,こいつら自身の日頃のビジネスがそういう姿勢のものだからだ。金をくれさえすれば幾らでも自分を卑下して迎合する一方で,というかその反動として取引業者には居丈高に振る舞って憂さを晴らすような,どうせそんな程度の輩共なのだろう。外食産業の従事者なんていうのはそういう手合いが物凄く多い。
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地球上の天然無重力地帯での出来事 [困った客]

 こうして平日真っ昼間の午後にのんべんだらりとブログなどを書いているのは元々怠け者である俺の性分を如実に物語っているわけだがなんだか気乗りのしない仕事が後に控えているからというのもあるのですよ。

 本日夕方からは某病院にて温冷配膳車の修理を行う。
俺は昨年のある修理以来,製造元の松下電工からは問い合わせを受け付けてもらえない身の上だ。電工にとって俺は大変けしからん業者らしいので相手にしてもらえない。
 松下の温冷配膳車については山ほど注文を付けたいところがあり,今まで散々手を焼いてもきたのだが電工が俺にいじらせたくないのであればそれはそれで結構なこった。(松下の温冷配膳車については今まで随分ごたごたしたがここでは詳述しない)

 問題なのは,ということは気乗りしない原因は,と言い換えてもいいのだが客先にもある。例を挙げればきりがないが今回一つ書いておきたいことがある。
 数日前,エレクターの温冷配膳車の修理以来が来た。稼働歴は18年くらいになると思う。製造元はエレクターで,大和冷機からOEM供給を受けていた頃のものだ。温蔵機能が働かないので修理してもらえないかとのことだった。
 そのとき俺は,自分の仕事はお客様にとって色々ご迷惑をおかけするのでと慇懃にお断りしたのだ。
するとしばらく経って今度は事務方から現場で随分もめ事があったようだが何事か,修理は何とかお願いしたいので引き受けてくれと連絡が来た。

 俺の修理はこの客先にとって大変不届きなものらしく、理由は撤収後の清掃がなってないからお叱りを受けることが多く,きちんとしたお仕事を完結できる自信がありませんと俺が答えると,事務方は掃除くらいのことでうちの職員は一体何をガタガタ言っているのかと呆れた調子だった。

 俺が大きく出られるのには相応の根拠がある。
問題の個体は温調機が壊れているので温蔵機能が働かない。そしてエレクターは既に販売を終了してから15年くらいは経過しているので当然,補修パーツの保管責任ももはやない。更にどうも、エレクターと件の客先は現在余り良い関係ではなさそうで依頼ごとには齟齬を来しているらしい。だめ押しついでに温調機はオムロンの汎用品であるがオムロンは同形の温調機を近年生産終了しているので同一品は手に入らない。要するにこの修理は色々な意味で面倒臭く,どこの厨房屋もやりたくない類いのものなので俺のところにババ抜きのババが回って来た一面がある。

 クダクダした経過は書いていて面倒臭いので端折る。
同形の温調機が手に入らないから修理できないなんていうことはないのだ。大体何とかなる。見よ。
07220002.jpg

 代替品の温調機での修理はひとまず上首尾に終わった。回路の理屈が分かっていれば多少の配線変更で大体何とかなるもんだ。
 普段であれば温調機の色が違うのがけしからんだとかタッチキーの大きさが違うから仕事が出来ないだとかいった愚にもつかない難癖をつけてくる現場の連中だが,さすがに同一品はもうないから俺の修理が気に喰わないのだったら予算をつけてもらって新品を買ってもらえと釘を刺すときゃつらは一旦大人しく引き下がり、俺は意気揚々と引き上げた。

 帰宅した俺が幾らの請求を上げたらいいものかと思案しながらのんべんだらりとしていたところへ携帯電話が鳴った。例の病院からで,問題があったので大至急現場に来てくれと言う。
 俺は自分の仕事に何か不首尾があったかと落胆しながら引き返した。現場に行くと室長様なる役職のおばさんが強張った面付きで俺をにらみ上げ,鬼の首を取ったような調子で手に持ったなんかを俺に突きつけた。それは3X15のビスである。ビスが床に落ちていた、問題というのはそのことらしい。
 室長様がのたまうに、このビスが配食に紛れ込んで喫食者である入院患者の口の中に入って事故が起きたらあんたはどう責任を取ってくれるのか,とのことで、俺はこういう気違いじみた説教を聞きながらえも言い難い暴力衝動が沸き起こってくるのを自覚していたのだよ皆様。

 栄養士というのはこんなバカでもなれる商売なのかと俺は髪が逆立つほど驚嘆したのだ。
床に落ちていたビスが,浮き上がって配食される食器の中に飛び込むという現象がこの病院の中では起きるらしい。誰かが意識的にビスを拾い上げて食器の中に放り込みでもしない限りそんな現象が起きるとは俺にはとても思えないのだがここは無重力地帯なのか?
 重力のみが働いている場所で床に落ちている物体が勝手に浮き上がってその辺を飛び回り,あっちこっちに飛び込んでいく様子は物理法則を超えた超常現象であってテレビの何とかスペシャルとかいう企画があれば格好の取材ネタに違いないが,この病院に出入りするようになって20年以上、そんな取材が行われたという話は聞いたことがない。

 質量を有するものは全て引力を発生し,ビスは地球に吸い付けられている。これは万有引力の法則といって小学校の理科程度の話だが義務教育程度の知識もないバカでも勤まるような仕事だということなのか。
 ビスを落っことしていったのは確かにこの俺で,撤収に不備があったことは認めよう。しかしまあ針小棒大と言うか大げさと言うか,もっとはっきり言えばバカも休み休み言えとはこういう奴に向けて発せられるべき言葉だろう。
 こんな愚にもつかないキチガイの妄想みたいな難癖でグダグダネチネチと20分も30分も説教されるのだからかなわん。更に頭に来るのはこうして,どの業者からも匙を投げられたような修繕を引き受けて使えるような状態に復旧させたそのことについては労をねぎらう言葉など一言もない。まるで自分たちが原発の爆発並みの大災害の被害者みたいな言いっぷりで,パイプレンチか何かで脳天を叩き割ってやりたくなるぞ,俺は。

 とにかく日常,こんなことばっかりの得意先なので俺はいい加減ウンザリ来ているのだが,今回もまた事務方からは無理筋の松下製温冷配膳車の修理依頼というわけだ。
 何だかんだ言って俺がこの病院に門戸を閉ざされることもなくかれこれ20年以上出入りを続けさせて頂いているのは、俺がこうして無理筋の依頼を何とかこなしているのと値段が安いことなのだろうと常々考えているが、俺は人格者ではないので今度はもっとシビアな金額で交渉に臨もうかとずっと考えている。どうせ今日の修理も,明日の朝一番で例の室長様から重箱の隅をほじくり返すような妄想炸裂の苦情電話がかかってきてさんざっぱらギャーギャー言われるに決まっているのだから迷惑料の上乗せくらいしたってバチは当たるめえ。
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月末の入金を巡って [困った客]

 金を巡る物語は尽きるところがない。これは世の常で俺もまた例外ではない。

 商売で使っている口座の記帳を見ると月末には毎度ながら悲喜こもごもと言うか,俺の場合は「悲」ばっかりだ。
 何かの本で読むに、経営とは資金繰りの事だとあったが全くその通りだと思う。仕入れ先に送金を済ませて通帳の残高を見てこれから一ヶ月をどうやって食いつないでいこうかと不安に駆られる,なんていうのはザラにあるどころか毎月お約束の心象風景なんである。

 そして毎月必ず,この貧乏さ加減に追い討ちをかけるように売り掛けの支払いを渋るクソ客は必ずいる。家の造作を食い荒らすシロアリみたいなもので、こういう連中は害悪以外の何者でもない。
 色々経営が厳しい中で何とかかんとかやりくりをつけて半金だけでも入金してくださる得意先には頭が下がる一方で,いつまで経っても何度催促してもすっとぼけた真似を続けるこのバカタレ共がその3倍くらいおり、俺はこいつらには殺意に近い感情を持っている。

 貧乏の困ったところは,それがある種の連鎖反応を引き起こす点にあると俺は常々考えている。ある人の困窮は他人の生活をも破壊していくのだ。
 とある旅館は4年前におよそ百万円近くもの売り掛けを一年近くにわたって滞納して俺の生活を滅茶滅茶にしやがった。たかが百万と諸兄は笑われるだろうが貧乏自営業にとってこの額は死活問題だ。
 
 当然すぎる話だが,こういうはた迷惑な連中に俺は毎度言う事がある。
修理代も払えないのならその機械は最初っから使うな。食器は手で洗え。金がないという事は売り上げもないのだろうから冷蔵庫の数は減らして仕入れは最小限にしとけ。煮炊きは鋳物コンロだけでやってろ。
 概ね,修繕費を捻出できないような奴というのはとっくの昔に減価償却が済んで老朽化した機材をいつまでもネチネチと使い続ける。リプレースするだけの予算が捻出できないのでそうせざるを得ないのだ。しかし当然ながら老朽化した機械は故障も多発する。その修繕費も出てこないということはもう、経営自体がかなり行き詰まっているという事なんじゃないのか?

 このクソ共はロクに支払い能力もないくせに,修理の依頼のときにはやれ困っているだのこんな状態では業務に支障が出るだのと一端の事を抜かしやがる。
 修理代はもう何ヶ月も滞ったままなんだから対応したくないと俺が言うと電話の主は大体決まって『それは経理の誰それに言ってくれ、とにかく現場は困っているんだからあんたは対応してくれー!』などとほざきやがる。

 ふざけた話だ。
 俺だって金が入ってこなくて困ってるのだ。それはどうでもいいのか。
まずはあんたが経理の誰かさんに話を付けてたまりに溜まった俺への買い掛けを清算させろよ!話はそれから聞こうじゃねえか,と毎度答える事にしているのだがそうすると人を守銭奴呼ばわりする失敬な奴もたまにいる。

 繰り返すが不幸の連鎖反応は分不相応な横着を起点としている。食材を買い出しにいく手派を省きたいとか,ボタン一発で加熱調理を済ませたいとかいうのはこれ全部横着で,横着には金がかかるのだ。世の中タダで動くものと言えば地震と津波くらいのもんだという当たり前の道理さえこのバカ共は理解できてないのだ。金もないくせに格好をつけたいとか横着をしたいという腐った根性が他人にも迷惑を及ぼしているという自覚がハナクソほどもない。

 根性の腐った奴の通例として,見たい現実しか見ようとしない。見たくないものからは目を逸らし,臭いものには蓋をして何とかやり過ごせるものだと思っているらしいフシがある。
 こういう連中に催促の電話を入れると対応は大体二種類あって,やった仕事と直接関係ないような,それこそ重箱の隅をつつき回すような些末な事を持ち出して来ては難癖を付けてごねるか、全然関係のない話題を延々と続けてして誤摩化そうとするかだ。
 せめて資金繰りに頭を痛めていて何とか面倒を見てもらいたいみたいな泣き言の一つの出てくるのなら渋々待ってやろうかともいう気分にもなろうというものを,腐った奴はどこまでも意味のない見栄だの意地だのを張りたがって紛糾した出来事を更にややこしくしていく。理不尽な居直りが不幸の輪を広げているという自覚は全然ない。

 半年以上も売り掛けを滞納させている腐れラブホテルのお前!お前の事だからな! 一端の口をききたいのだったら払うものを払ってからにしやがれ!いずれ貴様のところは金払いの悪いゴロツキとして実名入りで晒してやるからそのつもりでいろ!分かったか、このバカタレが!
 
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ババアの習性 [困った客]

 いつとはなしに気づいた事がある。
女と子供は『私』の話がひどく多い。人格形成の済んでいない子供はさておいて,そういう視点でしか物事を見たり考えたりできないんじゃなかろうかと思える位年がら年中ワタシは,ワタシは,ばっかりの女が俺の周りには随分いる。

 少し以前,確か日曜日だったか土曜日だったかの明け方近く,俺は爆睡していたところだった。
枕元の携帯電話が鳴ったので寝ぼけながら取り上げると某国立病院からで食器洗浄機が動かないので大至急修理に来てくれという。時刻を見ると午前6時かそこらだ。
 20年来の取引先だし扱い高も俺にとっては小さくないので勿論やり過ごすわけにはいかないが,世の中何でも自分たちの都合通りに動くものだとでも考えているのだろう。いつもながらの非常識さに頭に来た。

 現場には7時と少し前に到着した。
食器洗浄室のオババどもが俺の顔を見るなりいきなり早く何とかせいだとか仕事ができなくて困っているだとか一斉に喚き散らした。
 作業にかかる前に状況の詳細を教えて欲しいと俺は切り出すと近間にいたババアが「見れば分かるでしょう!動かないんだよ!早く直してよ!困ってるんだから!」とせき立てやがる。

 状況はすぐに把握できた。
食器洗浄機本体のタンクにはお湯が入っていない。これは一体どういう事なのか。
(1)タンクに給湯せずに運転した。
(2)運転されなかったのでタンクのお湯を抜いた。 
 二つのうちのどちらか,と考えるのが順当だろう。

 その食器洗浄機は16年前に納まったもので,今更操作を間違えるとは考えにくい。但し,要領を心得ていない新入りの皿洗いでもいれば話は別だ。
 手動給湯なのでタンクにお湯をはってみると何もなかったようにポンプは回り,運転される。しばらく放置してみたがタンクのお湯が抜けていく気配もない。考えられる事のうち,前者の方だった事がはっきりすると俺は猛烈に頭に来た。

 まず俺は,俺に電話をかけてよこした調理員を呼んで状況を説明して食器洗浄機が普通に運転できる事を示した上で,こちらに何の落ち度もない上の早朝対応なのだから経費請求は時間外の割り増しを加算した上でさせていただく,と申し渡した。
 「え?お金がかかるの?」と脱骨しそうな事を聞かれたのでそりゃそうでしょうと答えると
 「いや,だって,故障があったわけじゃないんでしょう?」調理員は狼狽えた。
 いかにも故障があったわけではないが、タンクに給湯もしないでお湯が出ないだとか何だとかいう脳足りんな騒ぎ方をしたのは一体どこのどいつなんだよ!こんな初歩的な事を自分たちで確かめもしないで朝のこっ早くから俺を叩き起こしたのは一体どこのどいつなんだよ!と,唸っているうちに俺はますます頭に来た。
 調理員はお金の相談は後日事務方としてくださいと言い置いてから仕事があるので,と,うまい具合に逃げた。俺は腹立たしい気分が治まらないので、さっき俺に金切り声を張り上げた皿洗いのババアにむかって10年以上も毎日毎日同じ機械を扱い続けているんだからいい加減操作の仕方くらい覚えやがれと毒づいた。この出来事の落としどころは甚だ承服できないところに決まっているので言わずにはおれないのだ。

 まず第一に現場の室長様は,こんな修理とも言えないような修理は事務方に申請できないので勘弁してくれと言ってくるだろう。
 それに納得できずに事務方に乗り込んでネジを巻いたところで,取引は沢山あるのだからいずれどこかで今回の分は処理するからと丸め込まれて終わりだろう。
 何が何でも今回の分は請求させていただく,と,言い分を押し通そうとすれば逆に先方には融通の利かない業者として俺の商売がこの先危険水域に入っていくのは間違いないのでここは『あんた達には貸しがあるのだぞ』と釘を刺した上で一旦矛を収める事にした。俺もガキじゃないしな。

 オババを相手に息巻いたのはこういった事の八つ当たりじゃないのか,と我ながらイヤになったが最初に来た時の言い草が勘に触ったので一言くらいはキツい事を言ってやらないと気が治まらなかったというのもある。どう考えたってババア共の落ち度だ。朝早くからすいませんの一言くらいあってもいいではないか。それを糞ババア共は何喰わぬ顔をして普段通りの皿洗いを続けていやがる。

 オババは俺にどやしつけられると気色ばんで喚き散らした。
『何で私にだけそんなに怒りつけるのさ!』


 これには言葉を失ったなあ,俺は。意表を突かれたというか,こういう切り返し方はあるのだな。物事の本筋とは全然関係ないところで人の言葉尻を掴んでみたり言い方がどうのだとか抜かして難癖を付けて話を逸らすのは考えてみると女全般に備わる特技ではないか。しかもその上女共は,殊にオババは更に追いつめられればヒステリーを起こして金切り声を張り上げたり泣きわめくという必殺技を有する。

 もう少し掘り下げて考えてみるとこの婆の反応はある意味,女の典型的なものではないのか。大体,なんで俺が頭に来ているのかをちょっとは考えろよ!
 食器洗浄室には早朝,消毒手(国立病院では調理員は食器を洗わない。食器洗浄は専従者が行い,彼や彼女らはそのような職名だ)は三名いる。
 こういう不始末があって,その責任の所在はまず第一に栄養管理を行う責任者に帰するのが社会のお約束だと俺は認識している。更に掘り下げれば食器洗浄に従事する彼女らの一団であり,「ワタシ」という個人が責任を問われる事なんかまずないのだ。

 しかしそれでもこの婆は,例えば休憩時間には仕事仲間に向かって自分が俺にどんな罵詈雑言を投げつけられたかを切々と訴える事だろう。そして仕事仲間の婆共は『そうそう,そういえばもねえ・・・』という反応を示すに違いない。
 考えてみると俺はこれまで聞き上手な女というのに会った事がない。女というのは殆ど全てと言っていいくらい常に『私』の話をしたい生き物だ。(自分の子供やペットなんかもこれに含まれる)他人の話というのはその内容なんかどうでも良くてただ単に『私の話』を始めるためのスイッチでしかない。俺の経験則として,女(女性的な男も含む)は基本的にそういう生き物だ。

 俺の本意はババアいびりではない。言う事は言ったのでムカムカしながらも手仕舞いにかかった。
退室するその時,見慣れない婆が一人視界に入った。さっきからずっと俺の方には一瞥もくれずに下を向いたままで黙々と皿を洗っている。
 俺は結構な確信でもってある構図を推論した。この騒ぎの犯人はそのババアではないのか。新しい職場で,扱い慣れない機械で、勝手も分からないまま早とちりで大騒ぎしてしまったというのが事の真相ではないのか。使用者側の落ち度で発生した不具合について自ら名乗り出る女というのにも俺はこれまで会った事は殆どない。(経験則に根ざした確率から言ってこういう時は男性の方が正直に対応する事が多い)そういう場面では不自然なくらい押し黙って何か別の事をして、さっぱり関心がない風を装っている事が多い。きっと今回もそうなのだ。

 しかしオババよ,俺の目は節穴ではないのだぞ。周囲の人間達が大騒ぎしている中でのあんたのその不自然なくらいの押し黙り方,能面みたいにその無表情な面付きは、他の誰よりもあんたが張本人である疑念を俺に喚起させる。それは個人の資質というよりもオババの属性だと俺は考えている。
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