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6年ぶりのやり取りとCSVのお仕事 [日記、雑感]

 俺の携帯電話は仕事と私用を兼用したものだが,見覚えのないところからかかってくることはあまり多くない。公私を含めて個人が築ける関係の数には上限があるということなのかもしれない。

 登録されていない番号表示が着信音とともに現れて電話に出た俺は少しの間誰を相手に話しているのかがわからないままで、相手方にしてみればさぞかしトンチンカンな受け答えに聞こえたと思う。
 相手方が名前を名乗って初めて俺はそれが誰だったのかを思い出した。

 わらべや日洋という社名を聞いて即座にどういう会社であるのかがわかる諸兄はそう多くはないのではないかと思うが,セブン・イレブンの弁当やサンドイッチ,惣菜を製造している会社となると実体が明らかになってくるのではないだろうか。
 電話の主はその会社の工務課長だった。

 6年ほど前まで、俺の住む土地にその工場があった。
俺はあることをきっかけにその工場から声がかかるようになり,担当が上記の工務課長殿だった。
俺が出入りしていたのは3年くらいだったと思うが,この間大変お世話になった。
あるときその工場は移転することになり,当然ながら俺の実入りは落ち込んだ。

 電話の内容は移転先の工場での保全業務についてであり,遠距離となるので大変だろうが金銭的な問題として割り切って受けてくれないかというものだ。
 CVSベンダーの工場は24時間稼働であり,保全業務は殆ど必ず即時対応か,悪くても即日対応を求められる。ギャラは悪くないがスケジュールの組立が難しい得意先だ。

 即応性のある保全業務体制は都市部ならいざ知らず,地方となるとこれはほぼ実現できない。商業店舗のバックヤードなら一件の厨房屋とか一人の修理屋で何とかならないこともないがCSVベンダーの工場は生産量が桁違いであり,食品機材も専用機なので地方営業所の厨房屋程度では解決可能な職能範囲が大変狭い。メーカーのサービスマンを呼ぶとなると地理的な事情で交通費の請求額がバカにならない。機材が一点故障するたびに数万円の出張費がチャージされるわけでここはベンダーの工務課長にとっては頭痛のタネであるらしい。
 更に問題なのはこの手のベンダーはまだまだ若い業種であり,社内での保全業務要員が大変足りない。他の食品メーカーの生産工場を幾つか見てきた経験則から言えば間違いなく足りない。保全業務そのものよりもメーカーに修理依頼の手配をすることが本業になっているようにさえ見える。大手食品メーカーのように限定された商品を大量生産する設備と商業店舗のバックヤードのような手作業中心の多品種少量生産の中間にある微妙な立ち位置にCVSベンダー工場はあって,今のところメーカーの出先が集中する大都市圏近郊以外ではその設備運用には色々と課題が残っている。

 話を俺の視点に移動してみる。
移転前の工場では色々とお世話になった。見たことも触ったこともない機材をいきなり見せられてまともな技術資料もないまま何時までに使えるようにしてくれとかいった依頼が多く,俺はしばしば焦ったものだ。場合によっては手も足も出ずに退散することもあった。
 しかしまあ,地方の工場にあってはその程度の修理屋でもいないよりはマシということなのだろう。移転後6年にして仕切り直しと言うか,再度のオファーとなった。
 俺の住む土地から件の工場までは約100kmの移動距離である。夜中に修理依頼の電話がかかってくることもある。全て金と割り切れば悪くない得意先だが問題は俺の体力だ。

 俺はもう若くない。いつまでも馬力任せの仕事は出来ない。
ここで俺はこの商売を8年前に始めてからこのベンダーが移転するまでの時間のことを改めて思い返した。
移転のあった6年前は,その件以外にも色々なことがあり,俺の商売は危機に瀕したのである。クライアントが倒産したり,事業縮小によって食品関係の分野から撤退したり,たちの悪い得意先に引っかかって売り掛けが焦げ付いたり,俺自身の体調にも問題が出てまともに仕事が出来なくなったりと他にも色々あった。俺の人生が暗転し始めたのが6年前だ。
 開業してから3年くらいの間はまあまあ悪くない生活だった。その期間とわらべや日洋に出入りさせて頂いていた時期とはきっちりと重なっている。

 今こうしてオファーを受けて俺の実入りが劇的に良くなるのかといえばそれは期待できない。所詮,100kmも離れたところにいる業者のなのだから以前のような取引高になることはない。
 良くない性質だが,これは一種,義侠心みたいなところがあってこういうことをしているから俺の商売は儲からないのだろうが,定型業務からはみ出すババ抜きみたいな場面でだけ都合良く利用されるのが俺の運命であり,自分には何とかその場面を解決できる能力らしきものはあり、それによって何とか生活できる程度の収入は得られる。それが自分の一生を通じての立ち位置であり,運命なのだとある時期からは受け入れられるようになった。

 ひとまず,近日中に先方のお偉いさんと面談することになった。
有限会社でさえない単なる自営業の一人親方オヤジが年商一千億の大会社と対峙する構図というのも面白くはないかな?
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コメント 2

007

ネックは、、、
1、片道100km(往復200km)
2、最低でも即日対応
3、大規模

特に2が問題で、更に1が加わりますね、で対策は、、、
1>特別出張料を追加
2>緊急対応料金を追加
3>応援体制の確立と現場近くに宿を定める

でしょうか、失礼ながら勝手に想定してみました、、、、即日対応は精神的・肉体的に非常に疲労するので、金銭的で解決ですね。

by 007 (2013-08-09 15:31) 

くるみ

大会社だったり、病院だったり、そのような所に頼られるなんて流石ですね! 100kmという事は時間にすると車で往復3時間少し位でしょうか? その時間分もお金になるとよいですね(^^)d その会社との繋がりが また自身の景気回復のような験担ぎになりそうな気もしますね(^^ゞ。
by くるみ (2013-08-09 19:29) 

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