SSブログ

昨年末に手こずった修理の備忘録 [お仕事上のぼやき]

 ラショナルのスチームコンベクションオーブンのうち、90年代半ばまでに製造されていたCMやCCといった機種はそろそろサポートも撤収モードに入り,補修パーツの供給は在庫払底のためにNGであるケースも出始めてきたようだ。
item_853_2.jpg

画像は本文とは関係ありません

 俺の元の勤務先で言うと,これらのモデルが現役当時テク二カルサポートを勤めていた方は既に定年退職しており,現在この職務は若い兄ちゃんなので実機をいじり回した経験がなく,構造など諸々の細かいディティールが予備知識として心許ない。事情は現地法人関係でも似たようなものではないだろうか。
 よって現在,この頃の機種を初めて修理する同業者諸兄は配線図をきちんと読みこなせるスキルがない限り安請け合いは控えた方が良い。

スチコンに限らず,ヨーロッパ製の機材の特徴として言えると思うが電気系の障害がある時を起点として連続する傾向がある。
 何か一つを起点としてモグラ叩き風に立て続けに不具合が起きる経験がこれまでにも結構ある。昨年末にはまった修理のことを備忘録としてメモ帳を頼りに記述しておく。

 某地元食品スーパーにはCK,各店舗バックヤードを含めて合計8台くらいのコンビオーブン(Rational製品)が納入されており,俺が会社員だった頃には例年歳末にどこかの機体がへそ曲がりな壊れ方をして仕事納めギリギリまで追加修理の対応に振り回されるのが伝統芸能みたいな最低の習慣があった。
 俺が8年前に会社員を辞めて現在の商売を開業し,件の食品スーパーには見切りを付けられるような格好で出入りはなくなり,この困った習慣からは解放されたかに思えた,がしかし。

 その後,この某食品スーパーの食品関連機材を全面的にサポートしていたある同業者から某店舗のバックヤードに於ける機体の修理依頼が俺のところに舞い込んできた。
 多くの例に漏れず,素人にでも判断のつくようなマイナートラブルはつまみ食い的にこなすがややこしい判断の要求されるような症状だと俺のようなものに振ってあとは事務屋に変身して修理見積もりを書くだけの典型的な厨房屋体質の某がその依頼元である。

 以下、メモ帳の日付を追って俺のはまりっぷりをここに晒す。
機体の型式はCC-6で1995年8月に製造された。同業の諸兄はご存知と思うがラショナルの製品はシリアルナンバーの初め4桁で製造年月が表されている。定休日のない食品スーパーのバックヤードで稼働歴17年というのはかなり長持ちしている方だと思う。
一回目訪問、12月8日

 機能は全停止しており、庫内ファンモーター保護用のサーマルリレーに破損が認められた。サーマル接点が解放されたままで固定され手動復帰ができないので回路全体が保護停止となる。同一品は市中に販売されておらず、モーターの運転電流が正常値である事を確認し、使用者了解の上で保護用の接点をジャンプしてサーマル交換までの間仮運用とする。
 純正パーツとして現地法人から供給されるサーマルは仕切価格が何と5万円近くもする。俺は一桁間違っているのじゃないのかとひっくり返りそうになった。定格動作値2A、3回路プラスNC,NOの補助接点を各一個ずつという何の変哲もないサーマルが一個5万円近いのだからぶったまげる。
 俺は断然、同一スペックの国内汎用品にて代用する事を提案した。富士電機あたりの製品だと三千円も出せばお釣りが来るから一個5千円くらいで積算しても罰はあたるまい。こんな風だから俺は儲からないのかもしれないけど。
 ファンモーター用の電磁接触器も併せ、マグネットスイッチとして交換するのは先を見越すと更に有効だが取り付けスペースがなくこの案は見送りとなった。

二回目訪問 12月9日

 電材屋にサーマルの注文を済ませて入荷待ちのところ、以来元から件のオーブンが再び動かなくなったとの連絡が入る。よりによって日曜日な上に大雪が降って車が出せない。何とか頼むと懇願されたので嫌々除雪に精を出し、現場に駆けつけて内部を調べると、制御基盤に電源供給するためのダウントランス二次側コイル2系統のうち1系統に断線が発生していた。
 当然ながら特注品のトランスであり、これは純正パーツとして供給してもらう以外にない。無線関係のパーツショップで複数個のトランスを買ってきて二次側配線を現場で試行錯誤しながら組み合わせて帳尻を合わす応急処置をやったことはある。CC-6の場合は平衡出力14Vと不平衡出力18Vで、今回の破損状況は前者のうちの平行出力に断線が発生したため平衡出力14Vのところが不平衡出力7Vとなっており制御基盤が正常動作しないものである。仮処置は苦労が大変多い作業であり余程のギャランティが提示されない限り間に応急処置ですべき労務ではないと俺は考えているので使用が不可能な事を告知し、トランスを手配したが国内在庫が既に払底しているとの事で急遽、ドイツ本国から取り寄せる事にした。年内に届くかどうかで大いにヤキモキする局面だが何故か、数日後、何の気なしにパートのおばさんが電源を入れてみたところ起動したそうでそのまま使えるだけ使ってもらう事にした。
 どうも断線箇所が不安定ながらも接触状態に戻る事がありそうなのだがそうであったにせよ交換は必須である。

 ここまででも結構な振り回されっぷりだが、まだまだ序の口である事を後に俺は思い知らされる事になる。長くなりすぎるので後日後段を続ける事にする。
nice!(0)  コメント(3)  トラックバック(2) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 3

007

この写真の機種は小生も何度も係わりました、、、

一般論は「部品供給も無く、修理不能」らしく、、、
しかしながら現場責任者が・何んとか頼む・ということで、フジマックの出来る方が何度も来社にて、何度も立ち合い、時には共に対応を考え、手伝い、面白い(第三者的か?)経験をしました。

小生が移動後に例の後任者は、「一月に何度も故障するのは修理に問題ある、金は払えないので今後無料で直せ」と業者にクレームを付けたそうで、、、馬鹿無能ぶりを発揮していました。

内部を視ると、国産器械に比べて、変った電装品や規則性の無い配線が施工されていて、品質及び耐久性は一目でダメだと思いました。

外国製厨房器械の修理は・プレミアム・級ですね、対応も修理代も、。
by 007 (2013-01-07 03:42) 

63H

暇なときでいいので続きお願いします。
by 63H (2013-01-08 08:53) 

HarryTuttle

007様,いつもコメントありがとうございます。
 ヨーロッパの製品は内部配線が泣き所ですね。日本向けに電源仕様は変更されていても配線の太さは本国仕様そのままですから芯線,被覆共に劣化が早いです。
 400Vの配電系統を設けて本国仕様そのままで稼働させてみて初めて真価が分かるのではないかと私は考えていますがそういう機会は恐らくこれから先一生ないと思います。
 

by HarryTuttle (2013-01-11 21:59) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。