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NSF認証 [日記、雑感]

同業者との雑談中に出てきた話題を書いておく。

 昨今のちょっときっちりした厨房設備に於いては,選定された機器類はNSFの認証を取得したものであることが条件となるケースが増えてきつつあるとか。これは良いことだと俺は思う。

 事例でいうと学校給食センターなどでこういう選定条件があるらしい。
 規範を示すのが常に役人であり,規範を常に外部から与えられないと自らを律することが出来ない隷属性はある意味,日本人の国民性だと俺は日頃考えているがそれはさておき。

 NSFとはNatinal Sanitation Foundationの略称である。
正しい日本語訳を何と称するのかについては俺は無学なのでよくわからんが、食品衛生に関係する米国の民間規格であるようだ。
 米国製の食品機器には殆ど必ずと言っていいくらいこの認証マークが貼付けてあるところを見ると,一定の権威性はあると思われる。
NSF_International_logo.png


NSFのHP:http://www.nsf.org/
日本語による説明:http://www.jia-page.or.jp/certification/other/nsf/index.html

 米国在住経験のある方から話を伺うと,日本製の業務用厨房機材を米国で見かけることは殆ど全く言っていいくらいないそうだが、日本製品は殆ど全てNSFの認証を取得していないのでこれが関係しているのかもしれない。
 米国の認証規格なのだからそこはお国柄であって日本国には関係ないと言えばないのだが,それでは日本国内でこれに相当する認証制度はというと、これがない。
 話は大きくなり過ぎるが,元々日本人というのは自ら規範を作り上げることの出来ない民族性なのではないか、外から与えられた規範をてきとうに作り替えることでやっているだけなのではないかと常々俺は考えている。

 以前,元の職場の所長殿と雑談していた際にTPPに絡んで,NSFは米国の業務用食品機械メーカーの利益を代表するある種の圧力団体として機能するのではなかろうかという話題に及んだことがあるが、それで日本製品が総崩れになったとしてもそれはそれでいいではないかというのが結論だった。
 いつも書くように,使用者も製造元も本当に程度が低すぎる。製造,販売する側が売らんかなの論理で使用者の程度の低さに迎合し過ぎた結果が粗悪品の氾濫する現状なのだから,製造業者が手ひどい傷を負ったとしても一度その環境はリセットされるべきで、製品作りに信念を持ったメーカーはそこから再起を図ればいいだけだ。

 直近のニュースでは俺の元の勤務先はこれから先、製品の認証取得を進めていく方針なのだそうだ。
手始めは一番手をつけ易い製品分野からで,まずは板金製品からということになる。規格に準拠するようなスペックで作ると値段は3倍くらいに跳ね上がるそうだ。組立式のワークテーブルやシンクなどは当然NGで、ぺらぺらのトップを補強するために下地材にベニア板を入れて補強するのも御法度。トップを裏からのぞいたら補強用のアングルが丸見えなんていう造作もボツだ。
 機器メーカーの中にはNSFの規格なんて守っていたらウチの製品は成立しなくなる,とんでもない!などと息巻く輩もいるがそんなメーカーは結構高い確率で粗製濫造の安売り王であってグダグダな現状を招いた張本人の一部なのだからとっとと退場すればいいのだ。

 プロユースということは,それを用いて金を稼ぐ機材というものはやはり高品質で厳格なものであって欲しいという,これは俺個人の願望でしかないのだが、これに関わる業界の人間模様の低劣さに日頃ウンザリしている俺としては同業の業界人がバカな使用者に小間使いやらご用聞きみたいな扱いを受け続けている現状を変える一つのきっかけになればいいと期待している。
タグ:TPP NSF
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コメント 4

DW

いつも拝見させて頂いております。早く日本にもNSFの様な安全性の基準が欲しいと思います。特に食器洗浄機は、メーカーによってスペックがピンキリだな~といつも感じています。
by DW (2012-07-07 05:31) 

まる

古い厨房と新しい厨房をくらべると明らかにステンレス厚みが違いますよね。
NSFのような規格が浸透していればIHI(IHS?)も撤退せずに済んだのではないかと思います。
by まる (2012-07-07 09:33) 

HarryTuttle

 DW様,コメント有り難うございます。
食器洗浄機については製品のスペックもさることながら,それを導入提案,販売する人間の見識や購入して運用する側の意識にまで問題の範囲は広がっていると私は考えています。

 8年前に修理屋を開業してから個人経営の飲食店での仕事が出てきましたが,水道代をケチって営業終了後も本体タンクのお湯を抜かない使用者とかすすぎ湯の温度が50℃かそこらで運転されるような提案内容で収まっている機体とかを散々見てきました。手洗い以下の衛生状態です。

 長くなり過ぎるのでこのあたりは以後の記事で明らかにしてきますが,根本的な問題のうちの一つは使用者の意識レベルの低さだと見ています。
by HarryTuttle (2012-07-07 12:27) 

HarryTuttle

まる様,コメント有り難うございます。
 ステンレスの厚み,新旧の件は古くて新しい問題ですね。
第一にそれは機材の設計,製造する側のサバ読みがうまくなった面が確かにありますがもう一点,製鋼メーカーである新日鉄や川崎製鉄の製造管理が段々シビアになって精度を上げてきた一面もあります。

 圧延工程に於いて規格以下の厚みは許されないので、例えば規格で1.0mmの厚みに対してほんの少し冗長性を持たせて例えば1.1mmまでが許容されていたものを工程管理技術が進歩してある時期からは1.03mm位までの精度を出せるようになった,といった面の方が大きく影響していると思います。
 

 IHI食器洗浄機については私は個人的に随分思い入れがあるのですが、これは世の常で,優れた製品だから良く売れるとは限らないのです。この業界はとにかく,面の皮が厚く,声がでかく,安い見積りを書く業者ほど成功するのです。
 国家の屋台骨を支えるようなプロジェクトを担う大企業と、高くて数千円の客単価を積み上げる業界ではそのカルチャーが決定的に相容れず、IHIの側はそのギャップを埋める努力はしなかった、というのが総体的な流れと捉えています。

 こういうことをアピールしないのがIHIの商売っ気のなさだと思いますが,小型の数機種を除いてIHIの食器洗浄機はNSFの規格以上に厳格な,殆ど軍需品並みのマシンスペックだったのです。もうそんな製品を製造するメーカーは日本には一つもありません。
by HarryTuttle (2012-07-07 13:03) 

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