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モービルシンクのどうでもいい含蓄(1) [修理屋から見た厨房機材]

 食数の多い,例えば300人分くらいの食器をいっぺんに洗うような現場ではコンベアータイプの食器洗浄機の周辺を取り巻くようにして諸々ものカート類が走り回るレイアウトが多い。

 扱う食器がメラミンだとかポリプロのような樹脂製に限定されるのであれば浸漬槽と一体化されたかき揚げ式のコンベアー洗浄機という選定はあるがイニシャルコストはかなりのものになるのとかなり設置場所をとるので俺の知る限り導入例は多くない。

 一般的なコンベアータイプの食器洗浄機の場合は浸漬と下洗いに使われるのがモービルシンクで,乱暴に言えばキャスターのついた移動式の流し台だ。
07_02photo.jpg


 でんぷん質や蛋白質など,いきなり食器洗浄機に放り込むのはまずい食品の付着した食器は事前に一定時間浸漬させておくのが望ましいわけだが固定式の流し台では大きすぎて作業動線上不便が生じる。よってモービルシンクに水をはって浸漬させておき、洗浄機に通すまでの間わきの方へどけておくといった使い方をする。洗うときになってモービルシンクをゴロゴロと洗浄機の方まで押してくるというわけだ。

 水の入った箱を移動する,と,文字で書けばただそれだけのことだが実際そういうものを製作してみるとなかなかうまくいかないことが多い。
 俺自身が製作して納めたものを含めて今まで見た中で『これだ!』と思えたものは一つもない。
失敗例の多くはキャスターの選定にある。
 少し大きめのシンクボウル,外寸で言うとW900 x D750 x H350くらいの内容積で考えてみると,7分目くらいまで水をはった時の内容物の重量は既に160kg位であり,これに食器の重量が加わる。
 経験則から言うと,これくらいの大きさのシンクボウルであるモービルシンクに100φくらいのキャスターがついているものはまず使い物にならない。キャスター単体の耐荷重をカタログスペックで調べてみると楽々クリアーできそうに思えるのだが実際取付けてみると重くて重くてとてもじゃないがおばさん一人の力ではびくともしないのが実情だ。
 このくらいの大きさだとキャスターの最低でもタイヤ径150φくらいのものを選んでおいて、移動の際には二人で扱うことを事前に使用者に言い含めておくのが無難だ。

 ところでどこかのHPを見ていて凄いものを発見した。
http://blog.業務用流し台.jp/?eid=362176

 幅1800×奥行1500×高さ800 槽深350 (mm)のモービルシンクなんだそうだ。こりゃ凄い。
同じく7分目くらいまで水を入れてみた時の重量を計算してみると実に600kgを優に超えるのである。一旦水をはってしまったら二人掛かりどころか四人だって微動だにしないだろう。浴槽だってこんなにでっかいものはそうザラにない。真ん中へんに沈んでいる食器を取出そうとしたら腕が届かない。無理に取ろうとすれば腰が突っ張って傷めることにもなりかねないからかき寄せ用の熊手みたいな道具を傍らに置きながらのお仕事にでもなるのだろう。寸法の表記自体がどこか間違っているんじゃないのかと疑わしい。こんな物体を俺はこれまで見たことがないのだ。しかも画像を見てみると,使っているキャスターのタイヤ径はどう見ても100φくらいしかない。水をはる前から既に移動が大変なのじゃないかと思える。
 どこまで本当なのか知らんがこのモービルシンクが使われているところを一度拝見したい気がする。
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