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オザキの立ち位置とはどのようなものか [修理屋から見た厨房機材]

 某病院に置いて最近,オザキのスープレンジを修理した。
修理というよりも整備と言った方が実情に近いくらいの大掛かりなもので,外観的なもの以外,つまりフレームとバーナー以外は総とっかえとなった。
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画像は本文とは関係ありません。

 燃焼器具の修理,殊に自然燃焼の裸火で使う機器は作業としては楽な方に属する。
但し今回は少々金がかかった。事前に事務長様ご了承の上での事なので修繕費についてはいいのだが,オザキのパーツ代金は高い。例えばの話,ガスコック一個とってもサーモカップルで点火保持する形式のものだと俺の元の勤務先で製造していたガステーブルに組み込まれていたガスコック(こちらは立ち消え防止の機能なし)の2倍近い値段だ。その上俺のような自営の野良犬業者に対しては現金先払いで入金確認後に出荷とくる。
 現金代引きだろうが何だろうがとにかくおまえにパーツは売りたくない,というタニコーみたいな底意地の悪い会社よりは幾らかマシだがそれにしても強気な事だ。

 しかしだ。その強気なスタンスはきっとオザキという会社にとっては必ずしもプラスに働いていないのではないか。俺の住む土地ではもう大分以前に営業所を閉めてしまったし,時たま元の勤務先に寄ってカタログを貰っても十年一日の如く同じ製品バリエーションで新製品の開発はここ十年以上も目立ったものはない。俺個人の見え方としては現状維持の低空飛行というのが実情ではないだろうか。

オザキのURL:http://www.ozaki-gasrange.co.jp/

 オザキの燃焼器具と言えばコメットカトウといい勝負をするくらいのステイタスである。良質な燃焼器具が欲しいとなれば多少割高ではあってもオザキを選ぶという時期が確かにあった。
 しかしバブル崩壊後のデフレスパイラルや電気厨房の普及などで業務用の燃焼器具一本やりの製品群で直販はせずに卸売りだけ,というスタンスのオザキは徐々にジリ貧の道を辿り始める。
 大きな強みであった日本ガス機器検査協会の認証も総合厨房を手がけるメーカーが次々と取得し,非耐火構造壁であっても密着設置可能な唯一のガスレンジというアドバンテージは既に他メーカーの製品群に肩を並べられて久しい。
 ナショナルチェーンに対して指定器具の承認を取り付けたり,販売力のあるホシザキや北沢産業などに対して積極的にOEM供給を行ったり,あるいはまた燃焼器具ばかりでなく電熱機器類へと製品展開を拡げるコメットカトウに見られる戦略の柔軟性がオザキには見受けられない。良くも悪くも愚直と言うか硬直した姿勢を感じるのは俺だけだろうか?

 詳述すると長くなるのでここは別の機会に詳しく論じてみたいのだが,俺はこの先,電力会社に供給を依存し続けている状況が続くと電気厨房の普及にはいずれ減速が生じ,燃焼器具の導入が見直される局面が生まれてくるように予想している。
 これまで折りに触れて何度も書いてきたが,修繕費だって立派にランニングコストなのだ。電磁調理器の加熱ユニットを一つ交換するとき修繕費が幾らかかるのか諸兄はご存知だろうか?同じ加熱能力のガステーブルを3,4台くらいはフルオーバーホール可能なくらいだと言っても過言ではないのだ。

 既に多くのアドバンテージを失ってしまったオザキのガス器具だが,まだ幾らかは持ち札がない事もない。例えば1レバーで二重バーナーの火力調整を行える機構は未だにオザキのみで,プリセットされた弱火の火力をレバーの定位置で決められるというのは他のどのメーカーにもない。ガスコックの微調整で所定の弱火位置に合わせる煩わしさはオザキの製品にはないし,弱火使用での途中失火に対して立ち消え防止機能を働かす事ができるのも強みだろう(上級グレードのみだが)。
 幾らスチームコンベクションが普及しても加熱テーブルが厨房から消えてなくなる事は絶対にない。少なくとも弱火での長時間調理が多用される洋食系の調理業務に於いてはまだオザキの製品を使うメリットはあると俺は考えている。
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