SSブログ

松下電工製デリカートのインチキ修理記録を公開 2 [含蓄まがいの無用な知識]

 本日,俺は珍しいことに結構乗っているので早速昨日の続きを書く。こんなことを大っぴらにしたら電工に怒鳴り込まれるのかもしれないがちゃんと動きさえすりゃあいいんだよ,要するに。来るなら来い,だ。

 前日のテキスト  http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2011-07-31

デリカートとはこれ
0709-11a.jpg
画像は本文とは関係ありません

 病院から松下には温蔵パネル一枚が発注された。
これに先立って,断線したヒーターに関して表向き病院から松下に対して行われた問い合わせの書面は実は俺が代筆したものだ。
 松下からの回答がヒーター一本単位での供出はできないというのは前に書いた通りだが,温蔵パネルの交換作業に当たっては充分な専門知識のある職員がいらっしゃるようなので今回は特別にパーツのみの販売とさせて頂きますとのことで、まさか一枚の温蔵パネルアッセンブリーがバラバラに解体されて三カ所に使われるとは予想していないらしい。事務方はざまあ見やがれと大笑いし、俺は俺で『充分な専門知識のある職員』が実は外注のインチキ修理屋であることに気づいていないらしいので笑った。

 温蔵パネルは都度都度製作するものらしく,修理用の補用パーツとして在庫されているものではないらしい。今回は製作期間が約半月かかったという。
 
 ここから本題。
電工は散々勿体をつけたが実体は大したものではない。一枚のパネルに三本のアルミ箔ヒーターが貼付けられている。アルミ箔を引っ剥がすと現れてくるのはごくありきたりなシリコン被覆のコードヒーターに過ぎない。見よ!
07280001.JPG
左側に見えるえび茶色をした紐状のものが断線箇所である。これを引っ剥がして温蔵パネルからはぎ取ったアルミ箔ヒーターを貼り直す。一回剥がしたアルミ箔部分は再使用できないので,面倒臭いが活用するのはコードヒーター部分のみとして割り切り,元々這い回っていたヒーターの跡をなぞるようにして仮付けしていく。
07280002.JPG

自己満足風に作業上の注意点を列記する。
(1)コードヒーターをヘアピン状にターンさせる部分では過度の曲率を与えないこと。屈曲部分は芯線であるニクロム線にひずみがでているので発熱量が多く,焼損による断線がで易い。
(2)現場で手仕事で行う作業なのでヒーターの直線部分が多少よじれるのは仕方がない。但し,隣接する直線部分同士は絶対に接触させないこと。接触部分は放熱の効率が落ちるので被覆が焦げて断線したり充電された露出箇所がパネルに触れて漏電するなどの懸念がある。
(3)ニクロム線に与える機械的なひずみは最小限に留める意味で,コードヒーターは絶対に捻らないようにして貼付けていく。
 前のテキストで,俺の元の勤務先の工場で言っていたリスクとはこれらのことである。作業直前にもとの勤務先の製造管理に確認してみたがいずれもその通りだとのことだった。
補足的に
(4)シリコン被覆は弾性が高いので引き回しの暴れ対策としてターンさせる部分は短くちぎったアルミテープで各箇所を押さえて仮固定。
(5)使用するアルミテープは紙ベースのものは使わないこと。(これは当然)

 仮押さえを終えたのが二つめの画像で,あとはコードヒーターの浮き上がり防止のために隙間なくビッチリとアルミテープを貼っていいとこ取りの合体温蔵パネルが一丁上がりだ。
 実は最初の作業は先月初めに行っており,運転電流,絶縁抵抗値いずれも文句なしの仕上がりだ。今回は購入した温蔵パネルからはぎ取った二本めのヒーターを用いて行われた。こんなインチキ修理を大っぴらに公表しているのがバレたらSo-netに松下電工からクレームがつくのではなかろうかというのが目下俺の懸念事項である。

 しまらないオチを一つ書いておく。
 この作業には全部で大体四時間弱の作業時間を要する。夕食配膳終了後の大体午後六時半過ぎからスタートして終了は10時を過ぎる作業なんである。
 所要時間は,実際にやってみるまで正確な予測が立たなかった。こんな出たとこ勝負みたいなお仕事に俺は事前の予想金額が一カ所について大体一万五千円くらいでしょうかね,とかヤマ勘でてきとうな答え方をしてしまい,病院の事務方はそれで予算取りをしたらしいのだが実際手がけてみるとこの金額はちょっと安すぎたのではなかろうか。現場を撤収して帰宅したらもう夜中の十一時なのだ、もっと高いことを言っておけば良かった,何せ病院はまともに行けば温蔵パネル三枚でパーツ代だけでも21万円になるところを7万円で済ませて差し引き勘定14万も金を浮かせているのだ。俺のギャラにもうちょっと色を付けてくれてもバチは当たらないのじゃなかろうか。手前味噌だがそれくらいのお仕事はできているのじゃなかろうかと俺は激しく後悔するのだが役所相手に一度出来上がった前例はおいそれと覆らない。修理そのものよりも俺の今後のギャラアップ交渉相手であるところの事務方の方が遥かに手強い。
(この項終わり)
nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 1

くるみ

おそらく業界の人でも考えないような修理方法なのですね!やはり 凄いです!! 費用も安く上げようとする職人技…お客様も離したくないのでしょう(^^)d 修理代はこれから こっそり上乗せして今までのを回収したら良いと思います( ̄▽ ̄)b 技術があるのに加え人情もありますね(^o^)/でも損をしないように(^_^;)
by くるみ (2011-08-02 01:13) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。