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コーヒーマシンに手こずる [お仕事上のぼやき]

コーヒーマシンの修理は苦手だ。
あんちゃんの頃からうまくいった試しがない。自慢じゃないが俺だって昨日や今日の修理屋ではないのだ。厨房機器とか食品機械とか行った類いについては大概の事は片付けて来たと思うが何故かコーヒーマシンの修理には手こずる。修理屋と機械の相性なんていうものが果たしてあるのだろうかとついつい考えたりする。

エフ・エム・アイからの修理依頼があり,某焼肉店でコーヒーマシンの修理と相成った。
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 Fresh-Oneという商品名のドリップコーヒーの機械だが手元にあるエフ・エム・アイの総合カタログには掲載されていない。何か特化された販路向けのものと思われる。勿論俺にとっては修理した事はおろか現物を見た事もない代物だ。
 担当サービスの方は尻込みする俺に『イヤ大丈夫,大丈夫,簡単ですから」と言ってくださり、その上ご丁寧に交換用パーツと一緒に取り扱い説明書とメンテマニュアルまでも同梱してくださった。いつもながらこの方の親切な事には頭が下がるがしかし,それでも俺は何とも言えないイヤ〜な予感が払拭しきれないでいるのだった。

 現場に到着して現物を眺め,俺の不安は的中していた事を心底思い知らされた。
トルクスドライバーを用意しておくといい,と事前に教えてもらっていたので用意はしていたが、実機を見てみると見た事もないような形状のビスが使われていた。
 おそるおそる持参したトルクスドライバーをあてがってみたがやっぱり形状は合わない。
トルクスネジが使われているという事ではなく,トルクスドライバーで回らない事もないような形状のビスという事なのだ。
 文字では表現しようもないが何というか,妙な形のビスだ。修理屋稼業はもう20年以上にもなるが本当にこんな形のビスは見た事がない。

 見た事がないとはいっても一応,手持ちの道具で何とか回るのだからそれはいいとして,支給された部品の取り付けられている箇所がどういう分解手順で現れてくるのかが分からない。
 以前にも書いた事があるが,ヨーロッパ製というのはこういうところが厄介だ。外見上はスタイリッシュでかっこいいのだがいざ修理となるとビスだのボルトだのが何とも分かりにくいところについていて(多分,その製品の研修を受けた人でないと分からないような箇所),それを探し当てられないとそこからは一歩も先に進めない,といった具合だ。

 今回もまたその例に漏れない。
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 本体のドアを開けてみたはいいがどこから手を付けていいのかさっぱり見えてこないので俺はなす術もなく呆然としたまま時間は虚しく過ぎていく。お客さんから見ればその時の俺はさぞかし役立たずのボンクラ修理屋に見えただろうが全くその通りだ。
 
 コーヒーマシン本体を一旦取り外して背面の外装板を外せば問題の箇所に辿り着ける,という事に気づいたのは中を覗き込んでから実に数十分後の事だった。何でそんな事にも気づかないのか,お前は正真正銘のノータリンじゃねえのか、という罵倒は甘んじて受け入れるがしかし,俺の日常には本体をずらして何かをする場面というのが実はあんまりないのでそういう発想も出てきにくい事は苦しい弁解として一応書いておく。

 本体を外して裏側をあけてみると問題の箇所はここで初めて見えたわけだが,交換パーツであるところのお湯のノズルを動かすギヤードモーターは更に側面の化粧板を外さないと取り外せない事が分かり,化粧板を取り付けているビスを探すのにここでまた時間を費やす羽目になった。
 ヨーロッパ製の何か,というのをいじる度に毎度思うのだがボルトやビスというのはそんなに何が何でも見えないようにしておきたいものなのだろうか。

 なんとかかんとか問題のパーツを交換し終わり,試運転を行う段になってからも災難は続いた。運転表示のディスプレイにはけったいな表示が現れ,なかなかスタンバイの状態にならない。あまり期待もしていなかったが恥を忍んで同梱して頂いたマニュアルをめくってみたが案の定,その状態に関する記述はどこにも見当たらない。
 教えてちょうだいの電話をかけてみたり何だりとドタバタしているうちにどういうわけだか正常な表示が現れて胸を撫で下ろしたが,一体何故その状態が現れたのかはさっぱり分からないまんま。『そんな事は後から考えりゃあいいんだ!とにかくコーヒーが出せるようにするのが先決だ!』と気負い込んで動かしたがそこでまた躓く。
 外装板を取り外したままの試運転だったので抽出用の機構を動かすためのモーターについている羽根に電源ケーブルが絡まり,その機構がロックして動かないのを機械の不具合だと勘違いして慌てる。これに気づくのにまた幾らかの時間を潰す。もう,グダグダ状態である。書いていて自分でイヤになる。

 そんなこんなでとにもかくにも動くようにはしたけれど気づいてみると取りかかってから3時間以上も時間を喰っていた。日常,修理作業をし慣れている輸入元のサービスマンだったら一時間もかからずに片付けているはずだ。
 こんな風に手間取ってしまうと,なんだか金の相談もしづらくなってしまう。依頼元はご親切な事にかかった時間だけの経費請求はしてくれと言ってくださるがプロの端くれとしてはそんな虫のいい話ができるわけはない。

 こういう苦労が報われるとすればこの先,同じ機種の修繕が何度かある事で今回の学習効果みたいなものが生かされるのではなかろうかと愚考するが,あまり時間を置いてしまうと修理のコツというか注意点みたいな事を忘れてしまいそうだし,それ以前に輸入元は今回の俺の無能ぶりに愛想を尽かしてそもそも修理の依頼自体がなくなってしまうのではないかと気分が沈む。 
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コメント 1

くるみ

『業界』の事は解らないので的外れなコメントならごめんなさい。外国製は修理して長持ちさせる前提ではないのでしょうか?逆に日本製の機械が外国で故障した時に現地の方は なんだ!!このビスは!?って困ったりしてたり(^^) 前回のコメントで…「やりがいのあるお仕事」…それはHarryTuttleさんの実績の賜物なのだと思います(^o^ゞ即結果が出る事と時間を経て結果が出る事と。
by くるみ (2011-04-23 01:17) 

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