三洋電機のネットショップから見えてくる業界動向 [修理屋から見た厨房機材]
長年取引させて頂いてる某産婦人科病院で,20数年来使っていた家庭用の冷蔵庫が昇天した。コンプレッサーの焼損,使用冷媒はフロン12とくればこれはもうあがくだけ無駄というもので、家電量販店で都合の良さそうなものを購入されてはいかがかと提案したが先方の調理師長はどうも納得がいかなさそうなのだ。
俺は家電製品には全く無知なのだが、冷蔵庫に関して工業製品としての完成度という点については家電製品の方が格段に上だともう長い事考えていてこれについては今でも変わりない。
http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2008-09-26
調理師長様によれば大型の家庭用冷蔵庫というのは細々した用途のポケットだとか内蔵式の製氷機にスペースを取られていて実質の収納量は見かけほどにはないのだそうだ。
それで業務用冷凍冷蔵庫を選定したいとのご意向で,三洋電機のネットショップで買えば相当安いらしいとの事で大いにご関心がある模様。
http://www.sanyoreizouko-daiki.jp/product-list/5?gclid=CIabuMWet6YCFUxtpAodDV9oFw
6年前の開業以来,物販には全く熱心ではなかったが,いやしかしまあ物凄い下げ方だ。既存品の撤去費やら据え付け費などの付帯事項は入っていないにしてもここまで安くなるとは。
もとい,この言い方は正しくない。
定価に対する掛け率という点では業者向けの卸価格としてこれくらいのパーセンテージは確かにあった。しかし末端ユーザーに向けてこのような掛け率がオープンな形で提示されるというのはインターネットが普及しなければなし得なかった事ではなかろうか。
購入者に取って買い易いという意味で,それはひとまず喜ばしい動きではあるが状況を仔細に見てみるとそうとも言い切れない気はする。
まず第一に,こういう価格提示は今日日,三洋電機以外のメーカーでもなされているので他メーカーに比べて格別安いわけではない。複数メーカーから見積りを徴収した後の膝詰め談判みたいな場面ではあり得る金額ではある。
画期的というには大げさだがインターネットというオープンな場所で実勢価格が表されている点に提示されている価格以上の意味がある。更に言えば三洋電機がこのネットショップを開設しているのはある種意地の悪い戦略性を感じる。
ここから先は俺の妄想だ。
恐らく,三洋電機はこのホームページ上で業務用冷蔵庫がバカ売れするとはハナから考えていないのではないかと俺は見ている。もっとあからさまに言えば売れようが売れまいが大して関係ないとさえ考えているのかもしれない。
大局的に見てみると,業務用冷凍冷蔵庫の販売は殆ど最終局面,消耗戦に入ったのではなかろうか。
三洋電機総体は電機メーカーであって業務用厨房機器の枠からは十分にはみ出す企業規模で、失礼ながら電機業界では勝ち組とは言えないがそれでも厨房屋に比べればスケールは大違いだ。
薄利多売を決め込んでも他の事業部門でカバーできるだけの体力はある,という目算が恐らく三洋電機にはある。そしてこの実売価格をネット上に晒したその先にあるものは恐らく,打倒ホシザキではなかろうかと俺は見ている。
業務用の冷機器や食器洗浄機などについて,最大のシェアを獲得しているのは疑問の余地なくホシザキだが最も営業経費がかかっているのもこれまたホシザキに違いない。全国中を網羅する事業所やそこで従事している社員数にかかっている経費は決して小さいものでない事は簡単に想像できるはずだ。
そして企業として比較した場合,三洋電機はサービス体制については豊富な協力業者を抱えているのでこれはホシザキに格別引けを取るものではない。相対的に最も見劣りがし,これまで出来るだけ軽量に済ませようとしてきたのがこの直販部門だ。ここに金をかけず,かつ,競合メーカーにダメージを与える戦術に俺には見える。卸売り先の中間業者達の不甲斐なさにしびれを切らしたという事かもしれないなw
ここ数年でぼつぼつ現れ始めているが,ネットショップでの表示価格を根拠に納入業者との価格交渉に臨むバイヤーは営業に携わる者にとって手強い相手だ。ここで提示されているのはあくまで実体のみの軒先渡しの価格である事を閲覧者はご存知だろうか?そこには既存品があった場合の撤去処分費用も設置場所への運搬作業費も含まれていない事を果たしてどれくらいの人が認識しているのか。
ホシザキ直販部隊にとっては困った茶茶入れだろうと想像する。
俺は家電製品には全く無知なのだが、冷蔵庫に関して工業製品としての完成度という点については家電製品の方が格段に上だともう長い事考えていてこれについては今でも変わりない。
http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2008-09-26
調理師長様によれば大型の家庭用冷蔵庫というのは細々した用途のポケットだとか内蔵式の製氷機にスペースを取られていて実質の収納量は見かけほどにはないのだそうだ。
それで業務用冷凍冷蔵庫を選定したいとのご意向で,三洋電機のネットショップで買えば相当安いらしいとの事で大いにご関心がある模様。
http://www.sanyoreizouko-daiki.jp/product-list/5?gclid=CIabuMWet6YCFUxtpAodDV9oFw
6年前の開業以来,物販には全く熱心ではなかったが,いやしかしまあ物凄い下げ方だ。既存品の撤去費やら据え付け費などの付帯事項は入っていないにしてもここまで安くなるとは。
もとい,この言い方は正しくない。
定価に対する掛け率という点では業者向けの卸価格としてこれくらいのパーセンテージは確かにあった。しかし末端ユーザーに向けてこのような掛け率がオープンな形で提示されるというのはインターネットが普及しなければなし得なかった事ではなかろうか。
購入者に取って買い易いという意味で,それはひとまず喜ばしい動きではあるが状況を仔細に見てみるとそうとも言い切れない気はする。
まず第一に,こういう価格提示は今日日,三洋電機以外のメーカーでもなされているので他メーカーに比べて格別安いわけではない。複数メーカーから見積りを徴収した後の膝詰め談判みたいな場面ではあり得る金額ではある。
画期的というには大げさだがインターネットというオープンな場所で実勢価格が表されている点に提示されている価格以上の意味がある。更に言えば三洋電機がこのネットショップを開設しているのはある種意地の悪い戦略性を感じる。
ここから先は俺の妄想だ。
恐らく,三洋電機はこのホームページ上で業務用冷蔵庫がバカ売れするとはハナから考えていないのではないかと俺は見ている。もっとあからさまに言えば売れようが売れまいが大して関係ないとさえ考えているのかもしれない。
大局的に見てみると,業務用冷凍冷蔵庫の販売は殆ど最終局面,消耗戦に入ったのではなかろうか。
三洋電機総体は電機メーカーであって業務用厨房機器の枠からは十分にはみ出す企業規模で、失礼ながら電機業界では勝ち組とは言えないがそれでも厨房屋に比べればスケールは大違いだ。
薄利多売を決め込んでも他の事業部門でカバーできるだけの体力はある,という目算が恐らく三洋電機にはある。そしてこの実売価格をネット上に晒したその先にあるものは恐らく,打倒ホシザキではなかろうかと俺は見ている。
業務用の冷機器や食器洗浄機などについて,最大のシェアを獲得しているのは疑問の余地なくホシザキだが最も営業経費がかかっているのもこれまたホシザキに違いない。全国中を網羅する事業所やそこで従事している社員数にかかっている経費は決して小さいものでない事は簡単に想像できるはずだ。
そして企業として比較した場合,三洋電機はサービス体制については豊富な協力業者を抱えているのでこれはホシザキに格別引けを取るものではない。相対的に最も見劣りがし,これまで出来るだけ軽量に済ませようとしてきたのがこの直販部門だ。ここに金をかけず,かつ,競合メーカーにダメージを与える戦術に俺には見える。卸売り先の中間業者達の不甲斐なさにしびれを切らしたという事かもしれないなw
ここ数年でぼつぼつ現れ始めているが,ネットショップでの表示価格を根拠に納入業者との価格交渉に臨むバイヤーは営業に携わる者にとって手強い相手だ。ここで提示されているのはあくまで実体のみの軒先渡しの価格である事を閲覧者はご存知だろうか?そこには既存品があった場合の撤去処分費用も設置場所への運搬作業費も含まれていない事を果たしてどれくらいの人が認識しているのか。
ホシザキ直販部隊にとっては困った茶茶入れだろうと想像する。
業務用もパナソニックになってしまうのでしょうか。
by あつし (2011-02-19 14:54)
あつし様 コメント有り難うございます。
ブランド名がパナソニックになる,ならないはさほど大きな問題ではないと私は考えています。
問題なのは海外での競争力がなく,大して採算性がいいとは言えない業務用厨房機器を松下がどれくらいの熱意で継続してくれるかでしょう。機材単位でいえば電子レンジとIHコンロ以外はどれも危ういような。
by HarryTuttle (2011-03-12 17:17)