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日曜日の夜,スーパー銭湯の風景 [日記、雑感]

 自営業とはいっても日曜日は基本的に働かない。なるべくのんびり過ごしたいが午後が過ぎて夕方になり辺りがだんだん暗くなってくると何かしら意識が自動的にお仕事モードにと移行していくのは俺もまた世間のしきたりに従って生きる職業人の端くれである事を表しているのだろうか。

 歳も歳なので日曜日のうちに疲労感が抜けきらない時もある。そういうときには夕方から夜にかけてでかい風呂のある銭湯に出かける事がある。でかい風呂につかってダラダラ過ごし,按摩の機械に百円玉を放り込みうだうだしていると身体が軽くなったようで、まあ何というか月並みだが俺のような者にも明日への活力みたいなものが湧いてくるのでございますよ。

 俺の住まいからほど近いところにいわゆるスーパー銭湯みたいな建物がある。休憩用の大きな小上がりがあったり(変な言い回しだな)ゲーム機が並んでいたりマッサージ師が控えていたりちょっとした食堂みたいなコーナーがあったりのあれだ。
 バブル経済が弾ける以前,俺の住む土地にはこの手の施設が幾つか出来た。風呂に入るだけではなしにゲームをしたり飯を食ったりで余計に金を施設に落としてもらうようにという目論見の産物である。

 俺が会社員であった頃,それはそれは人使いの荒い職場だったので日曜日にこの銭湯に来て風呂上がりに按摩の機械にかかっているといつの間にか寝入ってしまい,高鼾を決め込んで自分のいびきのでかさに目が覚めて辺りを見回すと他人の失笑を買っている事が何度かあった。何ともみっともない姿だが毎日毎日本当にすり切れそうになるくらい俺はこき使われていたのだった。
 自営になってからはそのような醜態を演じる事はなくなった。その分くらいは人間らしい生活に戻れたという事か。

 その銭湯にはそばやうどん程度の食事が出来る一角があったがいつの頃からかクローズしており今はカウンターに自動販売機が並んでいてキッチンの中は見えない。ホールであった部分にはいろんな種類のマッサージ機が並んでいるが大して利用されている様子もない。
 
 理由ははっきりしていて数年前に道交法が改正され、酒気帯び運転が罰則強化されたため風呂上がりのビールを決め込む人が激減したのでこういったコーナーの売り上げはだいぶ落ち込んだらしいと聞いている。フードメニューの売り上げだけでは銭湯の飲食施設は維持できないという事なのだろう。

 按摩の機械にかかりながら身体がほぐれてきていい気分になっていると,傍らの小上がりで親子連れの無遠慮な胴間声が響く。低能そのものとしか思えないどこぞの馬鹿オヤジが嫁さんやガキを相手に屁が出そうだとかケツの穴をちゃんと洗ってウンコのカスをきれいにしておいたかとか下劣そのものの物言いをしては一人でバカ笑いをしている。ガキはガキでバカ親に呼応して辺り構わずバカ声を張り上げている。本当に筋金入りの馬鹿者親子としか言いようがない。
 俺は自分の元の職場の無能社員の事を思い出した。親の顔が見たくなるような,それまで一体どんな社会経験を積んできたのかと首をひねりたくなるような,度外れて非常識な輩であってもとにかく女と一発やれば戸籍上は人の親になる事は出来る。優生保護法というのは必ずしも非道な悪法ではなかったのではないかとこのごろ俺は思うのだ。
 殊更紳士ぶるつもりはないがこういうバカは地球上どこへいっても自宅の延長みたいな気分でいるのだろう。公私の区別がつかない阿呆の存在は厨房業界のみならず世間中どこにでも蔓延っているものらしい。

 翻って銭湯の飲食施設の事を少し考えた。当たり前の話だが銭湯は風呂に入りにくるところであって低能家族が尾籠な話題で騒ぎたてて盛り上がるための場所ではないように飯を食うための場所でもない。銭湯に付属した飲食施設などというのは所詮,バブル金余りの時代に入浴客から少しでも余計に金をせびり取ろうというスケベ根性の産物に過ぎなかった。世間の景気が冷え込んでくれば,銭湯の入浴客はまず最初にこういう場所でせいぜいデパートのフードコート並みでしかない,大してうまくもないそばやうどんを食う事を控えるのくらい明らかな事だ。
 言い換えれば厨房屋にはかつて,銭湯にくっついた飲食施設などというたわけたアイデアでのビジネスチャンスを拾える時期があった。これから先は恐らくもう,そんな事はない。外食産業というは不必要に大きくなりすぎたのだと考えるのが正しいだろう。
 更に,俺程度の者がこんな事を書くのもおこがましいが,世間とか社会は公私の区分のうち私の部分が肥大化しすぎているように感じられる。
 野放図に膨張する『私』に目先の小金のために安直な迎合を繰り返す事で外食の業界も,それらバイヤーを顧客とする厨房屋も本当に何の挟持も持たない愚昧な集団に成り果てた。日曜の夜に風呂に入りに来て何故だかそんな事を考えてしまったのですよ。
タグ:按摩 銭湯
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コメント 2

NO NAME

私もときどきスーパー銭湯に行きますが
いつ携帯に呼び出し電話がかかってくるか油断出来ないので
30分ごとに携帯の着信履歴を見に行ってます
つくづく奴隷根性が染み付いてますわ(笑)
by NO NAME (2009-11-09 19:07) 

HarryTuttle

NO NAME様 コメント有り難うございます。
いえいえ、職業人としてご立派な心がけと申し上げるべきでしょう。
私の元の職場の後任である無能社員などは一日中携帯の連絡がつかないばかりでなく着信の確認後の返事もろくすっぽ来ないので,きゃつが事務所内にいる時間帯を狙って有線電話をかけるしか連絡のつけ用がありません。
by HarryTuttle (2009-11-10 16:14) 

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