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シルバーウィークの一場面で思い出した事(2) [日記、雑感]

 件の元上司をここでは仮にM氏と呼ぶ事にする。

俺がその会社に在籍していた当時,M氏はしばしば日曜日,出勤してきては図面書きをやっていた。俺は生まれつきのものぐさ野郎なので当時から休日といえば自宅でゴロゴロしているのが常だった。
客の中には日曜日に会社は休業しているのを承知の上で,ダメ元で電話をかけてくる奴がいる。それでM氏はというと平日と同じように電話を取り,それから俺の自宅に電話をかけてきては修理の処理をさせようとしやがったのだった。

 これは俺の揺らぐ事のない人間観だが,他人を自分に隷属させようとしたがる奴は自分もまた誰かに隷属したがるものだ。M氏もまた典型的な,そういう種類の人物だと今は改めて思う。かなり極端な例といった方がいいかもしれない。

 俺は元々処世術に長けた人間ではないし,他人に隷属するのも他人を隷属させるもの大嫌いなので当然,露骨に怒りや不満を爆発させた。
 労働法規上では,確かこういうケースでは従業員には代休を与えなければならない事になっているはずだ。丸一日の労働ではないので代休を与えるのは難しいだろうが。
 この職場以前の俺の勤務先だと(我ながら転職歴は多い)就労時間に応じて時間外手当が支払われていた。解釈によってはこれは有給休暇の買い上に該当するので違法だがそれでも何もないよりは幾らかましではある。

 しかしこのM氏は休み明けの翌日朝にエヘラエヘラしながら『昨日は済まなかったな』みたいな事を一言言ってそれで終わりだったのでその都度俺は結構頭に来ていたのだった。
 仕事が趣味だなどと公言する野郎なのだから日曜日に修理の依頼が来たのなら自分が修理にいけばいいものを,全体なんの因果で他人の俺が巻き込まれなければならんのか。

 気色ばんだ俺がそんな風に文句をたれるとM氏はさすがに多少気圧された風ではあったが、考えを改めるというわけでは全然なく、似たような事は何度も続いた。
 自分が日曜日修理に出向くには出向くのだが,修理屋としてのM氏の技量は所詮付け焼き刃の域を出ない程度でしかないので修理の現場では簡単に行き詰まって往生し,俺の自宅に電話をかけてきてSOSを求めてくるような事もあった。
 まともな自覚の持ち主ならば,自分の技量を超えていそうな依頼ごとははなから受け付けないものだがそういうブレーキが働く事はない。これはM氏が己の技量も弁えない大馬鹿者であるか,兎に角何でも安請け合いして後は誰かに丸投げの押しつけで乗り切る事が出来るものだと高をくくっているふざけた人間観の持ち主であるかのいずれかだろう。

 ああ,何だか過去を思い出しながらあれこれ書いているうちに俺はだんだん頭に血が上ってきた。俺は結局その後,この男とは袂を分かってオファーのあった同業者に転出する事になるのだが何を隠そう,その転職先やら現在の自営業やらでの反面教師となったのがこの男である。『こういう事はこの業界の職業人として好ましくない』という逆の意味でのお手本を俺はこの男から見て取った。
 勿論見習うべきところは多くあるが,現在この男とは目立った交流はないのでとどのつまり元々相性が悪いのだろう。  (この項続く)
 
 
タグ:休日出勤
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