棚卸しのお手伝い

　昨日は月末だというのにまるまる一日を棒に振った。一日中昼寝を決め込んでいたわけではない。俺は確かに怠け者だが一日中昼寝を決め込んでいられるほど裕福な身の上では全然ない。

　引き取るパーツがあったので朝方，元の職場に顔を出したのがまずかった。昨日は９月の３０日で元の職場は上期の棚卸し実施日なのだ。
　現所長は苦虫を噛み潰したような顔で腕組みをしていた。向かいに座った常駐社員は神妙な面付きでうなだれたままパソコンのキーを叩いていた。

　棚卸しの準備が全くされていないらしかった。棚には在庫パーツやらデッドストックの簿外品やら破損品パーツも配管やケーブルなどの工事資材も道具も諸々の私物もごちゃ混ぜに混在していてひどいもんだ。
　あれこれ指摘しているうちに所長様のご機嫌はますます悪化していった。所用だけ足してとっとと退散するつもりでいた俺は片付けの手伝いに駆り出される事になった。
　とんだとばっちりだが現所長は俺の先輩でもあるので無下に断るわけにもいかない。たまたまスケジュールは空いていたので手伝い始めたらなし崩しに棚卸しの立ち会いに迄引き込まれていった次第。

　終わってみたらもう午後４時だった。考えてみたら仕入れの支払いに手がついていない。俺は痙攣しながらさすがに逃げた。

　棚卸しは面倒臭い仕事だ。俺は開業してからこのかた，自慢ではないが棚卸しなどした事がない。但し棚卸しにはいい事が少なくとも一つはある。
　それはデッドストックの洗い出しが厳密に行える事だ。簿外品のパーツや材料は原価ゼロの資材である。勿論それらの大半は過去に於いて何らかの代価を払って仕入れたものなのだから原価ゼロではないのだが棚卸の時点に於いてはどこかで償却の済んだ物体なので，まあゼロと見なしても良いだろう。

　翻って俺の作業場はというと主である俺自身の人格を反映して元の職場など問題にならないほどのゴミ箱状態でまさに足の踏み場もない。
　でたらめに積み上げた段ボールを開けると何年も前に仕入れたきりで使っていないパーツ，在庫がある事を忘れて何度も仕入れている材料などなど、目も眩むような無駄遣いの山となっており，これじゃあいつまでたっても貧乏なわけだと変に納得する。納得はするがだからといって救い難く乱雑な作業場を整理整頓しようとか，貯め込んだデッドストックを金に換えるために知恵を巡らせてみようとかいう殊勝な心がけは俺には全然わき起こってこない。

タグ：在庫 怠慢 デッドストック 棚卸し

コメント 2

ブログ更新してください
by ｋｊ (2009-10-21 09:03) 

kj様，コメント有り難うございます。
元来私は物事が長続きしない性分で，我ながら困ったものです。
何しろマイナーな業界なので大して注目されているわけでもなく，私は業界の鼻つまみ者のような存在なので身近なところに結構敵も多いです。

　書きたい事は沢山あるのですが，一方でこんな風に吠え立てて一体私の何が報われるのかと無力感に襲われる時もあります。
　kj様に頂いたコメントを気持ちの支えにしてブログの更新も現実の仕事も頑張ります。
　なお一層この，腐った業界を罵倒しまくっていきますのでよろしくお願いいたします。改めて有り難うございました。
　
by HarryTuttle (2009-10-26 23:32)