SSブログ

電気フライヤーの修理でしっぺ返しを食う [お仕事上のぼやき]

 苦手な仕事は山ほどあるが,特定店舗向けの専用機器もその一つ。(というか沢山)

 某大手コンビニ向けの電気フライヤーの修理のコールが入ると何だかイヤな予感に毎度襲われる。
理由のうちの一つは出来高のギャラが安いからだ。店舗の所在地や作業時間に関係なく一律料金で,しかもその金額たるや全くもって涙金もいいところだ。数ブロックごとに点在しているような都市部ならば結構効率のいい商売になり得るのだろうが俺のような田舎住まいでは下手を打つと足が出かねない。

 概して,機械というのはなりがでかいほどいじり易い。筐体内にスペースが沢山あれば手や道具が幾らでも入るから楽だ。対して特定店舗向けの特注機器というのは可能な限り小さく作るので内部構造はひどく入り組んでいる事が多い。だから修理作業の分解手順はほぼ一本道で,事前にこれを暗記しておく必要がある。現場でのアドリブはまず通用しない。

 しばらく前,今よりはお仕事が潤沢だった頃にはこの,某コンビニ向けのフライヤーの修理はお断りさせてもらっていた。大して金にはならないし,何より俺は頭が悪い上にそろそろ年寄りなので色々暗記するのが大変だったからだ。
 しかし横着したいがために依頼を断れるほどには今の俺は仕事に恵まれていない。背に腹は代えられない。お仕事を選んでいられるようなご身分ではないので赤字にさえならなさそうであればもう、何だってやるのだ。

 今迄尊大ぶって依頼を断ってきたツケが来る事は覚悟していた。依頼する側だって何を今更風の意地悪な感情を抱く事は不自然ではない。
 手渡されたパーツはヒーターを跳ね上げた時の支持枠とスプリングが一個,いずれも小さなパーツである。どうせ大した仕事ではないだろうと俺はタカをくくっていたのだった。

158-2.jpg

 ここから先は毎度ながらの失敗談開陳となる。
そのコンビニは市街地の真ん中,駅の周辺にあった。俺は片手間仕事みたいな気軽さで有料駐車場に車を入れ,商売道具をぶら下げて当日の仕事場へとテクテク歩いた。
 数年間横着をして修理依頼を断り続けてきたちゃちな造りのフライヤーの,交換すべきパツの都立ている箇所をあけてみて俺の出来の悪い頭からはすぐに煙が上がった。

 次元の低い現場での試行錯誤をここで逐一書く事はしない。
それは所詮,不勉強で不真面目な修理屋が現場で晒す無様なドタバタでしかないからだ。
事前に依頼元に何か教わるなり,メンテの資料を熟読しておけば恐らく一時間かそこらでケリがついていたであろうその作業になんと,この俺は三時間強を費やして終わったときにはクタクタになっていたのだった。
 駐車料金を精算すると昼飯代にはなりそうなくらいの金額だった。午前10時ほどに取りかかり,終了は午後1時過ぎだったので昼飯も食わずに悪戦苦闘していたこの俺は正真正銘の大馬鹿者だった事になる。

 空きっ腹に自己嫌悪をの塊を詰め込んで俺は駐車場を出て車を転がした。
幸い,依頼元は所要時間を考慮してくれて規定の作業費に少々色を付けた金額で清算してくれた。
その計らいは有り難いが,何か少々,かつて偉そうに仕事を選んでいたこの俺にお灸を据えてやりたい意図がこの流れのどこかに働いていたのではないかと思うと反省する事しきりである。

 一度試行錯誤を繰り返してせっかく身に付けた事なので,次回同じ場面ではもっと手っ取り早く片付けて割のいいビジネスにしてみせるぞ,と、心中期するものはあるが俺の人生時間に於ける確固たる法則として次回同じ場面に接した時,俺はこの日の作業で覚えたつもりになっていた作業手順をものの見事に忘れており,同じようなはまりかたをする。


 
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。