金のために手当たり次第仕事をこなす

　仕事を選んでいられるようなご身分ではないので，入ってきた仕事は残さず片付ける。
最近はベーカリーや製菓関係の機材がチラホラと目につく。

　昨日迄はカルピジャーニのマルチクッキングマシンなる物体の修理をしていた。内実は修理といえるほどのものでもなく，周辺の給水配管を加工してついでにハンドシャワー増設するといった類い。
　マルチクッキングマシンというのがどういう責務の機材なのか俺にはさっぱり知識がない。依頼元はシュークリームの対面販売を行うチェーン店で，聞くところによれば店内でカスタードクリームを製造するためにそれはあるとの事だ。
http://carpigianijapan.co.jp/pro_multi.html

　その数日前には地方の某アイスクリームが売り物のファーマーズレストランでわけの分からない機械の修繕があった。どんな呼称で何をする機械なのかも分からない。名前はそこの社長さんから一度言われたがすぐに忘れた。
　何でもヒーターの温調が効かず，過昇温となるとの事であれこれ調べているうちにサイリスタか温調機かのどちらかが不良らしいという事で，この場面では温調機の交換によってエンドとなった。

　明日以降は某農業高校に納入が予定されているベーカー用のデッキオーブンとホイロのために給水工事と電源敷設工事と相成る。
　若い頃に取得した電気工事士の資格だが意外なところで活用する場面もあるものだわい，と、変に得をした気分になる。

　厨房屋ではあるが俺には調理や食材の知識が全くないので出来上がりの善し悪しを判断できない。温度が何度だからとか，回転数がこれだけだったからとか，電流値が幾らだったからだとか，そういう類いの物差ししか俺にはない。これはしばしば仕事の上では支障を来す欠落部分なのだがそれを身につけるために学習する機会がない。とにかく金のためにねじだの配管だの電線だのと格闘する事ばっかりだ。
　調理の知識があれば，その機材はどういう風に動作するべきなのかという全体的なあるべき姿がイメージできるのだろうが，現在迄のところ近視眼的な対症療法みたいな事ばっかりに明け暮れており，我ながら良くないなあとは思うが恐らくこの先ずっとこんな風に目先の金のためにドタバタやっていくしかないのだろう。

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