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流浪の日々の始まり [日記、雑感]

 自分で商売を始めるにあたって考えていたのは作業場を持つ,という事だった。

 ワゴン車に道具や部品や材料の一切合切を積載して活動しておられる方々は沢山いるが俺の場合そういうわけにはいかない。これが出来るのはワンストップで作業に区切りを付ける事の出来る限定された機種専従の方々であって俺のような節操のない万屋稼業には無理だ。自動車一台であらゆる修理にワンストップで対応しようと思ったら最低でも2トンくらいの箱車が要る。

 箱車を買う金はないし,買えたとしても車の置き場所がない。数千円とか一万円前後の修理代のためにわざわざ箱車を転がすのも効率的だとは思えない。これは半分がた貧乏人の負け惜しみなのだが。
 何でもかんでも手当り次第に修繕する習慣はもう20年以上にもなるので,修理下見及び仮処置と本番作業の2ストップで完了という作法が身体に染み付いている。言い換えると2ストップを一区切りと考えているからライトバン程度の車両で事足りているわけだ。

 そういう就労環境なので,日頃使わない道具だの材料だのの置き場所として作業場兼物置は開業に当たって必須事項だった。
 幸い,実家の持ち物件だった5坪くらいのおんぼろ小屋が空いていた。以前はストーブの整備業者に貸していたのだが店子のかたがだいぶ以前に亡くなってしまい何年も空っぽになっていたのだった。
 開業早々で金もないのでこれ幸いとばかりに利用する事にした。大体4年くらいはそこを利用していたのだが昨年実家はその地べたにマンションを建てる事にしたので俺は撤収を余儀なくされたのだった。

 引っ越し先は俺の実家の一部で以前は倉庫として利用していた10坪くらいのこれまたおんぼろ小屋だ。不要になった寝具だの衣類だの何だので溢れ返らんばかりのゴミの山だったが散々苦労してゴミを処分し,どうにかこうにか仕事で使う機材だの道具だのを押し込んだ。
 しかし実家は住宅を新築する事になった。既に新居は出来上がって引っ越しも済み,実家はもぬけの空,というか後に残っているのは不要品の山ばっかりだ。
 そんな建築物をほったらかしにしておいても固定資産税がかさむのでさっさと解体してしまおうと実家は考えているようだ。倉庫の部分だけを残して改修してはどうかとかこっちの地べたに立っている小屋を使ってはどうかなどという話もなくはない。

 しかし本心を言えば,俺は確かにうだつの上がらない貧乏人だが実家の庇護になどいつまでも甘んじていたくはないのだ。独立開業とはいうが俺の個人的事情があって実家の地べたを利用して仕事をするなどというのはどうにも精神衛生上好ましくない。そんな事で果たして本当の独立と言えるのか,と、開業以来5年間いつも自問し続けてきた。

 そういう経緯で俺は金もないのに蛮勇を奮い,実家が取り壊しになる前にどこかに引っ越す算段を立てている。家賃分を余計に稼がなければならない日々がこれから始まるのでこれ迄のように呑気にやっているわけにはいかなくなるがそれが当たり前の姿なのだと思い込む事にした。
 実入りの増える宛があるわけでもないのだが,ひとまず打って出る次第。大丈夫だろうか・・・・

 
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