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固体素子の勉強をし直し [含蓄まがいの無用な知識]

 日頃はガス抜きだか罵倒のような事ばかり書き続けているのだが、他人のことをあれこれあげつらい悪し様に喚き散らしたからと言って俺自身のポイントが上がるわけでもない。誰かのことをああだこうだ言う以上、俺だって多少は自己研鑽めいた時間を設けてはいるのだ。

 以前、20年近く前だと厨房屋のサービスと言えば流し台の水漏れとガスコンロの燃焼調整が出来れば一端の顔ををしていられた。見よう見まねで覚えられることだけで責務をカバーできていたとも言える。楽な時代だった。
 当時から予想できていたことだったが扱う対象はその後だんだん複雑化していく。燃焼器具には電気的な制御が絡んでいくし冷凍機の知識も要求されるようになる、など。

 メーカー勤務のサービスマンに徹するのならば、根本的な勉強などは特にしなくても自社製品の対症療法だけをマニュアル通りに丸暗記して切り抜け、一定時間以上稼動した製品については更新を促すような姿勢もありだとは思う。但しこういう人は技能者としてのつぶしはきかないから機器がモデルチェンジしたり自分が退社して転職したりすればその時点でおしまいだ。こういう人には資産としての知識はない。

 便利屋的に何でもいじれるようになることを志向する、或いはどんな不具合にでも対応できるようになるとか周辺環境との関係を割り出せるようになるとか劣化の進み方を予測できるようになるとかいった水準に達するまでには場数を踏んでいるだけではダメだと俺は今までの経験から随分思い知らされてきた。
 そういう意味では、働くようになる以前、何かしら理系の勉強をしてきた人にはスタート時点でのアドバンテージはある。自慢するわけではないがあんちゃんの頃に製氷機の配線図を指し示してあれこれ動作不具合の説明をしていたら同業者には随分驚きの目で見られたことはあった。ある意味、この業界は未だにその程度の技量が売り物になり得る水準に過ぎないとも言える。

 しかし機器類は日々新しくなっていくわけで、たかがリレーシーケンスの配線図を読み解ける程度の技量でそういつまでもでかい顔が出来るはずはない。固体素子が色々と入ってきて解析はだんだんややこしくなってくる。今頃になって学生の頃の教科書を引っ張り出してきてあれやこれや勉強し直すことになる。

 電気系の、それも制御系統の修理は苦手だという人に理由を尋ねると「見えないから」という答えが返ってくることが多い。確かに、人類史上電線の中を流れる電子そのものを肉眼で見たという人は一人もいない。ただ、リレーの動作音を追っていくと機械全体の動作の流れが何となくイメージできるというあたりにまではこぎ着けることが出来る。
 固体素子には電磁リレーにはあった動作音というものさえないので更にややこしくなる。電磁力が接点を吸引するところを視覚的に確認できるような方法が固体素子にはない。強いて言えばインバーターが高調波のノイズを発するのをうっすらと聞き取るくらいだろうか。
 
 何事も基礎が大事、というわけで固体素子の勉強を1からやり直すことにした。学生の頃以来なので20数年ぶりの復習である。働きはじめの頃は無用の知識だと思っており、今になっておさらいをすることになるとは当時思いも寄らなかった。学生当時の教科書を開くと難解さに辟易した。改めて思うが、教科書というのは物凄く重要なことをたった一行でさらっと済ませているものであって余程洞察力を研ぎ澄ませている人でないと要旨を読み落とす懸念がある。少なくとも俺程度の脳みその持ち主にとっては読み進むのが少々辛い。

 というわけで恥を忍んで入門書兼実務書を買い込んで精読するのがここ数日である。 
 
選び方・使い方 パワーエレクトロニクス機器

選び方・使い方 パワーエレクトロニクス機器

  • 作者: 山崎 靖夫
  • 出版社/メーカー: オーム社
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 単行本



 入門書とは言っても物理で言えば電子物性の初歩、数学で言えば定積分の計算くらいは頭に入っていないと理解は苦しい。この手の実務書は数が少ないので探し出すのが結構大変だし、あっても製造業(パーツメーカー)とかエキスパートクラスの保安技師を対象に書かれているものが多いので俺程度の理解能力の持ち主にぴったり来る書籍となると更に限定される。
 厨房屋は直流機器を扱う場面が今のところはないし、おおかたは商用電源で動かすものばかりなので無停電電源装置や直流電源装置(鉛蓄電池を含む)とかチョッパのあたりはパスするにしても結構読みどころがある。
 
 数学の演習書や物理の教科書と行ったり来たりしながらの悪戦苦闘を続けているうちにいつの間にか窓の外は暗くなっている。今日は一日、ロクに仕事もしないまま終わってしまった。おお!
 

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