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理研機器ゆで麺器修理の経過(1) [含蓄まがいの無用な知識]

 更新をすっかりさぼりがちなこのブログだが書くべきことがないわけではなく,むしろ逆である。
 考えてみるとこれまで本業である修繕の成り行きを画像を追ってまじめに記事にしたことは殆どなさそうに思う。元々世の中に広く認知されるべき高尚な仕事をしているわけでもないし,ブログ記事を書くために仕事をしているわけでもないのだからまあどうでもいいことではある。

 某総合病院は今から約15年ほど前に移転新築した施設で,この時俺は転職して間もない頃だったがそれ以前の勤務先の頃からお世話になり続けており,プランニングの段階からご依頼を頂き,機材の納入と施工管理までを手がけさせていただいた。
 以後は現在に至るまで,修繕の仕事を頂いてもおり,何と言うか職業人としての俺の時間がそのまま重なり合っているような関係にある。

 外来食堂で使用しているゆで麺器は理研機器という製造元の製品で,認証を取得していない製品なのでどこにでも設置可能というわけにはいかないが値段が安いのと新築物件での設置なので建築工事の防火構造を厳格に行ってもらうことで最終的に選定した経緯がある。
 15年も使用していれば故障の一つや二つ,それはあるだろうし、いつかはリプレースを検討することを余儀なくされる場面は訪れる。

製品のURL:http://www.riken-kiki.co.jp/assets/img_1103.jpg
さすがに15年もの間,毎日使用しているとやつれは出て来る。
理研 ゆで麺器-3.jpg


 障害の内容は水漏れというものだ。
漏れ箇所は比較的簡単に発見できたが漏れの箇所が問題で、配管系統の継ぎ目からのものであれば修繕は楽だし費用もそこそこで済むが今回は湯槽を加熱するためのパイプにクラックが入っている。
理研 ゆで麺器-6.jpg

 よくある構造だが湯槽に突き合わせ溶接されたパイプの中を燃焼排気が通過することで加熱される仕組みだ。湯槽の下部にバーナーがあり加熱されるが,燃焼中は当然,加熱パイプに熱膨張が発生し,消火時にこれは収縮するので応力ひずみによる金属疲労が蓄積していくことになる。
 結果としてどこかの時点でこのような亀裂が発生し,水漏れが生じるが一般に,15年使用してこのような状態だとリプレーズを検討すべきである。湯槽の交換は高額であり,もう少し頑張れば新品に手が届くほどのものとなるからだ。

 新品の購入は固定資産の購入であり,組織上は色々と手続が必要なので対処について結論を出すまでには検討するための時間が必要であり,だからといって使用を中止するわけにも行かないし水漏れを放置したまま使用を続けるわけにもいかない。色々な意味で俺が板挟みとなる。
 当面なすべきことは方向性が定まるまでの間応急処置を施して仮運用できるかどうかの可能性を探ることで,物事はだんだん面倒臭い方向に転がり始める。

 応急処置,と素人は簡単に言うが修繕は応急の方が難しい。これは声を大にして言いたい。
加熱パイプには目視で歴然とわかる亀裂が発生しているが,幸いなことにパイプの断面には大きな歪みが発生しているわけではないので何かしらペースト状のものを塗布することで一時的に水漏れを塞ぐことは可能なわけだが使用時には先に書いたように熱膨張が起きる点が問題で,耐熱性と弾性が両立できるような素材でないと応急処置の効力が持続できない。
 勿論,そういう場面に於いて回避策としてこういう材料を用いてくれなどという裏技の答えを製造元が用意してくれているわけなどない。メーカーの答えは「速やかに湯槽を交換してください」しかないに決まっている。立場を置き換えれば俺だってそう答えるに決まっているのだ。

 応急処置の大変さとは,正規の答えが適用できない場面で即日、自分がその場で別の答えを捻り出して実行しなければならないところにある。 
 加熱パイプの外側は水で,沸騰時の温度は摂氏96℃であり,激しい対流が起きている。内部には燃焼排気が流れていてその温度は大体400℃を幾らか割り込むもので、熱膨張による応力が発生している。

 応急処置は大なり小なりギャンブル的な判断を求められるものであって、成功の確率を高めるためには知識なり経験が必要だ。
 用いる素材として俺の頭の中で残ったのは金属粉を練り込んだエポキシパテと蒸気配管に用いる耐熱性を持ったシリコンシーラーの二つで,前者はその弾性に,後者はその耐熱性に懸念が残る。
 ギャンブルというのはそこから先で,俺は今回後者を選んだ。

理研 ゆで麺器-10.jpg

 補修後の状況。亀裂箇所に刷り込むようにして範囲は広めに,厚めに塗布するのがコツだ。

 今回,仮処置はラッキーなことにあたりと出た。
経過を見るために数日期間を置いたが問題はなく,水漏れはどうにか塞がった状態で使用は再開され,リプレースするか修繕するかについて事務方との協議に入る段階となる。(この記事続く)
タグ:ゆで麺器
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