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義侠心の発露みたいな事(2) [お仕事上のぼやき]

前回の続き  http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2010-06-02-1

 三洋電機にポンプのメカニカルシールを発注すると,本当にそれだけで大丈夫なのかと逆に訊かれた。
メカニカルシールの交換だけでは済まなかった修理例は確かにある。ローターの軸が曲がっていてメカニカルシールを削ってしまう事例が一度だけあった。しかしこういう場合は運転音が変な調子になるのとケーシングからは文字通りダダ漏れになるので一目瞭然。今回はこの事例に当たらない。

 やり取りを続けていて分かったのは,要するに三洋電機はすすぎのポンプを一台そっくり買って交換して欲しそうな意図がある事だった。メカニカルシールだけで済むのかどうかは分解してみないと分からないなどとわけの分からんことを言う。
 では誰がそれをしてくれるのか,三洋電機が俺の住む田舎町にまで出はってきてポンプを分解してあれとこれを交換すればいいですよと指示をくれる,その作業をタダでやってくれるのかと聞くと相手は言葉を詰まらせた。

 何故こういう予防線を張るような物言いをするのかは大体見当がつく。
きっと以前,メカニカルシールの交換がうまく行かなくて責任転嫁のねじ込みを誰かがやって閉口した事でもあるのだろう。それにメカニカルシール一個よりはポンプ一台買ってもらった方が儲かるしなw

 交換作業の責任は全て修理業者とそいつに依頼した持ち主に帰せられるのは当然の事じゃないか。大体お前,誰にものを言っておるのだ!俺の所見がそんなに疑わしいか!と俺が大きく出ると相手の態度が変わって大人しくなり俺の行った通りのパーツを出してくれる事になった。

 03_01_DWUD44U.jpg

 タッチキーの不良については自分の作業場に山積みされているジャンクパーツのうち,自動炊飯器から抜き取った基盤に使えそうなものが乗っかっていたのでこれを流用する事にして取り外した。
 それで修理に取りかかってみると,俺の腕のなさも相まってアンダーカウンタータイプの食器洗浄機の修理はなかなか手間取った。
 すすぎポンプのケーシングは真鍮製なのでなかなかすんなり外れないのとポンプの周辺配管が入り組んでいて脱着が困難なので正面側からだけの作業ではうまく行かず,本体の配管接続を一旦切り離して裏側の外装板を取り外して行う作業が発生したため硬化して使い物にならなくなった本体排水の蛇腹ホースを交換する付録作業が発生してしまったのが番狂わせと言えば番狂わせだが大勢に影響のあるものでもない。

 ポンプのケーシングは結局,トーチで加熱して膨張させる事で何とか外れたが考えてみるとこのサイズで金属製のケーシングを持ったポンプを使う例はあまりなさそうに思う。いいのか悪いのかは別問題として。
 傍目から見るといかにも『修理しているんだぞー!』的な絵面だったらしく,日頃は口の悪いオーナー様もこの日ばかりは俺のお仕事を神妙そうに見守っていたように覚えている。
 操作パネルのタッチキー入れ替えについては元々オンボードでついていたものは一辺9mmのタッチキーだったのだが俺の持ち込んだ炊飯器の基盤についていたものは一辺11mmでパネル開口部での整合が取れず,一旦シートをはがしてターレットパンチで空けた四角穴をヤスリで削って拡大させて操作上の帳尻を合わせる事にした。

 そんなこんなで時間は喰ったが一件落着して金の話となった。請求金額は3万円を少し切る程度で午後一から夕方にかけての作業時間から考えるとまあこんなものだろう。先にフライヤーの修理もしているし,新品のポンプと操作基盤そっくりを交換する事を考えれば結構安く済んだほうではないかと生産的でない自己満足に浸った。
 聞けばメカニカルシールの不良は半年ほど前から起こっており,毎日床に敷いたウェスをしぼるのが日課だったのだそうでオーナー様は結構嬉しそうに見えたので俺も悪い気はしなかった。
 三万円弱の修理代を捻出するためにおよそ半年近くそんな事をし続けなければならなかったあたりに金銭的な苦境が伺えた,と言い換える事も出来そうだ。

 ただ,後日,他のある得意先から聞いたには,件のオーナー様はパーツの手配など準備期間の間俺の事を段取りの悪い奴だだとか金のない客だと思ってないがしろにしているんじゃないのかだとかある事ない事悪口雑言を会う人ごとに言いふらしていたらしい。
 修理の後,件の食器洗浄機は順調に稼働しているようだが,本来だったら5万円以上かかる修理を3万円以下で済ましてもらえるような業者に当たってツイていた,といったような話をしてくれている様子は全くない。
 客なんていうものは所詮そんなもんだ。自分が実利上の被害や迷惑を被ったときには針小棒大に他人を指弾して大げさに喚き散らすくせに自分が被った恩恵についてはそれが当然だと言わんばかりに鼻糞ほどの感謝もないのは別に珍しい話ではなく,件のオーナー様も例外ではないと言う事だ。

 たかだかアンダーカウンタータイプの食器洗浄機修理ではあるがそれなりに労苦はあるのであって,金銭面も含めこれが正当に報われているのかどうかについては勿論即断できるものではないけれど,不平分不満ばかりを言い募るオーナー様の姿を見るにつけ,因果応報というか,こういう人間観の持ち主だから周辺の人は離れていき,小金が貯まれば悪意を孕んだ人物どもが寄り付くようになってくるのではないだろうかと考えた。

 
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コメント 3

NO NAME

メカニカルシールの交換だけだと、分解時にインペラなど破損させたりすると大変ですからね。
三洋電機さんは未開封なら返品させてくれるし、送料も請求されないからので非常に助かってます。

私もエバラ社製ラインポンプ(32LPD?)のケーシングが外れなくて困った事が有りました(^^;)

by NO NAME (2010-06-14 20:47) 

HarryTuttle

NO NAME様 コメントいつも有り難うございます。
今回私は間違ってメカニカルシールを二個注文していました。
以前書いたように三洋のパーツはいつも現金代引き着払いなので私は自分のバカさ加減を悔いています。

ポンプのケーシングが外れなくて難儀した例でいうと私の場合はホバートのAM-14Cでしょうか。人力では何ともし難く,最後は5トンくらいの油圧プレスでようやく抜けました。
by HarryTuttle (2010-06-15 10:04) 

NO NAME

確かにサービス拠点が遠いと代引き着払いになってしまいますね。
私の場合は幸いにして車で10~20分くらいでほとんどの関係メーカー営業所に着いてしまいます

私もAM-14の洗浄ポンプの水漏れ修理を一度引き受けたことがありますが、難儀した覚えがあります。
by NO NAME (2010-06-15 18:52) 

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