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ガス回転釜の内釜材質で一考 [修理屋から見た厨房機材]

 回転釜の需要は根強い。
もはや時代遅れな調理機器なのは疑問の余地がないにしても,これほど安価な導入コストで大量調理が可能な機器は他にないのもまた事実ではなかろうか。

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 俺の得意先である某病院に於いて,内釜の交換が発生した。稼働15年目で今回が2度目である。
前回の交換は確か8年くらい以前,稼働7年目だったと覚えている。
 導入時は煮物,炒め物の両方をガス回転釜で行っていたが5年ほど前に増床と改修工事があり,これはかなり珍しいケースだと思うが一般食の加熱調理用にライスボイラーが復活導入されたので、以来煮物と汁物はライスボイラー,炒め物がガス回転釜という使い分けが行われるようになった。
 
 ガス回転釜の内釜材質はアルミであって,俺個人は結構悩ましい選択肢だと考えている。
何故ならそれは耐熱性に乏しく,歪みやクラックが生じやすいからだ。まかり間違って空炊きなどしようものなら一巻の終わりで釜の底が溶けてでっかい穴があく。
 他の材質はどうかというとステンレスは脂の乗りが悪く焦げ付きやすいので使用感の評判が良くない。鉄は安価だし炒め物に都合が良いが錆の心配をしなければならないので今日的な選択肢ではない。
フライパンと一緒で表面に油のしみた薄膜層を常時保持しておかないと次回仕様時には使い物にならない。
 何より初期導入時の慣らしの面倒臭いのには閉口した。以前,会社員だった頃に予算の都合上鉄釜を選定する事になって納品したときには半日以上も回転釜にへばりついていなければならなかったのはよく覚えている。
 内釜になみなみと水をはり,2袋くらい用意した米ぬかを順次放り込んでぐらぐら沸騰させ続ける。米の油を煮出しては頃合いを見て排水して内釜を磨き,また米ぬかを放り込んで水をはって火を焚いてを数度繰り返す。鉄の粉が浮き出してこなくなるまでに丸二日以上かかった事もある。この初期作業が面倒臭くなって、以来,アルミ製の内釜ばかりになった。俺以外の同業者が施工した調理室を見る機会はあるが、必ずと言っていいくらいガス回転釜の内釜材質はアルミなので大体誰もが同じような事を考えているのだろう。

 アルミ内釜は幾ら大切に使っていても炒め物が中心だと大体どこかの時点でクラックが生じて交換時期となる。底面が歪んで凸凹し始めてくるとそろそろ次を考えた方が良い。
 俺の得意先である某病院では2年前にひび割れが生じ始めて水漏れが起こり,交換するにも当該年度の修繕費予算が厳しいので何か延命措置を考えてくれと無茶苦茶なリクエストが来た。
 ない知恵を絞ってあれこれ考えた結果,ざらざらに荒れた内釜の裏面,亀裂発生箇所一帯を一度ペーパーで磨き,耐火用のパテ(この場面以外では殆ど全く使う事のないマテリアルだ)で埋めてみるとおよそ一年強の間は持ちこたえるらしい事が分かった。
 通常,水漏れの補修は内面から行うのが通り相場と心得ているがこのケースでは内釜の取り外しは大儀ではあるが裏面から行う方が効果的で,俺も一つ利巧になったのだった。

 かくして今般,めでたく予算はついて結構高額な修繕となるので年末で懐の寂しい俺としては有り難い話な訳だが,再発防止を考えると先に書いたように取り回しの不便さはあるものの鉄釜が見直されても良いのではとも思う。反面それは高額修理がもう起こらない事をも意味しているわけで俺としては痛し痒しの状況である。
 さて,修理についてどのような提案を行うべきか。
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