SSブログ

某社製ガスレンジ,ガス漏れ修理の憂鬱 [お仕事上のぼやき]

 近日中に某社製ガスレンジの修理の予定を立てる事になる。
恐らく半日がかりの長期戦である事が予想されている。なかなか気の重いお仕事だ。
厨房屋にとってガスレンジの修理などというのは「たかが」という前置詞をくっつけても良い部類のものだ。
 大体ガスレンジというのはキッチンがあれば必ずある機材であってこれをいじり倒せないようでは厨房屋を名乗るのもおこがましい程度のものだ。
 だったらそんなものの修理に何故に半日以上もの時間を費やせねばならないかと言うと,やる事が結構大掛かりになりそうだからだ。

vr1222.jpg
 写真は本文とは関係●●●●w

 某得意先からの依頼内容は最近どうもキッチンがガス臭いとの事だった。
本来ガス漏れ器具の特定は燃料販売店の責任範疇であって修理屋の持ち分ではないのだが,販売店も結構仕事っぷりがテキトウらしく、当てにならないのでという訳の分からん理由でなし崩しに俺があれこれ調べる事になった。ババ抜きみたいな話だ。

 実はこの業界には不文律とも言えそうなある慣例がある。
『自気圧計をかけて圧力低下が認められたら(ガス漏れを起こしている機器がどこかにあるという事が判明したら),まずはその厨房に某社製の燃焼器具がないかどうかを見てみる。あれば真っ先にその燃焼器具のガス漏れを疑ってみる』というものだ。

 現調のその日,厨房のど真ん中に鎮座する某社製ガスレンジのドアを開けてみて俺はこの不文律の正しさを再確認したわけだ。
 正面にはガス配管接続用の小さなドアがある。これをあけるともろにプロパンガスの匂いが鼻を突いた。某社製ガスレンジは4年ほど前に購入したものだそうだが燃料がプロパンであるせいもあって庫内に漏れたガスの滞留が起きていたのだった。

 機体はトップバーナーが五口,オーブンは二つという比較的大きなもので,配管の接続箇所もまた多数である。
 ガスリークの状態を調べてみると,一つ一つ数え上げるのがイヤになるくらいあっちこっち接続箇所から微量のガス漏れが認められた。
 某社製品は何一つとっても安かろう悪かろうの代表みたいなクオリティで,その会社のサービスマンは自社製品の修理を絶対に同業他社には依頼しないでくれとバイヤーに釘を刺すという素晴らしい振る舞いを示す,厨房屋の見本のような連中である。
 これは決して個人の資質というわけではないと俺は見ている。なぜなら俺の知る限り,某社サービスマンは誰もがそのような行いをしており,サービスフロントはパーツの購入や問い合わせに伺った同業者に対して大変威嚇的にして挑発的、傲岸不遜にして嫌悪感むき出しの態度で接してくることが、これまた厨房屋の業界ではわりかしよく聞く話だからである。

 要するに某社は自前の製品がひどくお粗末な出来である事にはある程度の自覚があり,その粗悪さ加減を同業者には知られたくないのだ。これを愛社精神と呼ぶのが適当かどうかはわからないが,たかが雇われ人の身分で一体何をそんなにムキになることがあるのかとそれなりに人生時間を過ごした俺などはしばしば鼻白み,冷笑的な気分になる。全くもってこの,業務用厨房機器という業界は組織も人も何とも幼稚というか次元の低い世界だ。

 今回予定の修理では特段何か交換するパーツがあるわけではなく、ガス配管接続箇所のやり直しというのが作業内容の主体だがそれにしてもその数の多さと組み立て状態のひどさには取りかかる前からウンザリしている。

 通常,テーパーネジの配管接続についてはお約束がある。当然ながら改めて手順を書いておくと,
1:ねじ込み部分にシールテープを巻く,液化石油ガス(LPG)設備士の講習記録ではねじ山を一山残して3回転半となっているがおおむね4回
2:シールテープの上からシール材を塗布する。一般にヘルメチックなどの呼称がある液状のガスケットだ。
3:液状ガスケットには揮発性の有機溶剤が含まれているので塗布した後は少し時間をおき,表面がやや乾き気味の状態で配管を組み立てる
 といった具合だ。

 燃焼器具についてはコメットカトウやオザキといった専業メーカーが一流品であって,総合厨房を手がけるメーカー製は出来は今イチだが某社製はとりわけひどい出来だ。
 通常,バーナーへとつながる分岐路配管はヘッダーパイプ(主幹部分)に穴をあけた上から半分に切断したソケットを溶接し,ガスコックはこれにねじ込むという行程で製造されているが、某社製は(他にもそういう製法のメーカーはある)なんと,穴をあけたヘッダーパイプに直接タップを立ててそこにガスコックをねじ込むという荒技を駆使して組み立てられている。そりゃ確かに安上がりにできるはずだが一方で,そりゃ確かにガス漏れも起こるわなw

 多くのバイヤーはモノを知らない馬鹿ぞろいなのでそんな事をチェックスするすべも知らず,ただただ単に納入価の高い安いだけで物事を決めて買い物上手を得意がっているばかりだ,後でこんな風にガス漏れが起こるリスクを自ら進んで買っている事も知らずにwwww

現調してみて更に驚くべきは,この,某社製ガスレンジはガス配管のねじ込み部分に何らシールの処理がされていない事が判明した。シール材の塗布はおろか、ねじ込み部分にシールテープさえ巻かれていない。これにはすれっからしの俺もさすがに度肝を抜かれた。
 そりゃまあ確かに配管はテーパーネジであるからして強く締め込めば漏れる事はないのだが普通のどこのメーカーだって何かの処置は施すものだ。真っ白けなシールテープは確かに新品としてはかっこ悪いが,以前俺が勤務していた別の某社製はシール剤くらいは塗布していた。
 見方を変えれば,そこ迄ケチって安く作りたいものかと奇妙な感慨に襲われるwwww

最後に一つ,某社製品は何でもそうだが組み立ての精度が恐ろしく悪い。ビス穴のずれがひどくて一度分解したら元通りに組み立てるのは二人掛かりとかいうのはザラだ。配管については芯ずれが激しく,某社製品を扱うと俺は毎度配管を叩き折って帳尻を合わせたくなるような暴力的衝動に駆られる事が多い。よって数日後の修理も作業中に血圧が上がる事が十分に予想できる。怒った勢いで請求額がちょっと高い事もあり得るかもなw
nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 4

きたぞう

従来はコメットカトウのOEMだったけど、今度からフジマックのOEMに切り替えるそうです。

by きたぞう (2009-12-08 22:29) 

HarryTuttle

 きたぞう様 コメント有り難うございます。
そういう業者はありましたね。ここで私が取り上げたメーカーではありませんが。
 その業者についてはコメットカトウも手を切って清々していたようにも見受けられるご発言も私が接したうちにはありましたw
 まあ,ああいう体質の会社ですからどこと組んでも長続きはしないと思っています。
by HarryTuttle (2009-12-09 22:59) 

ikuzou

Harry Tuttle さん、初めまして。
私も同業だと思いますが、同じような経験があります。私が思っている「某社」とは違うかもしれませんが、状況は似ています。「某社」とは、もしかして同じメーカーだったりして!
by ikuzou (2011-02-05 17:17) 

HarryTuttle

ikuzou様 コメント有り難うございます。
『某社』に該当する製造元が二つくらいはありそうだという事ですね。個人的にはそれが4つくらいでも不思議でなさそうに思えていますが。まあこの業界の品質というのはその程度という事にもなりそうです。
by HarryTuttle (2011-02-07 10:19) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。