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厨房屋的「不都合な真実」(2) [困った業者]

前回の続き 一つ前のテキストがhttp://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2008-03-04

 ポンプの補修パーツについて、誰かはともかく何らかの形で手が回っているらしいことはわかった。
別段厨房屋に限った話でもないのだろうが、この業界にはたいしたことをやっているわけでもないくせに勿体をつけたがる手合いが大変多い。
 業務用の厨房機材など別段ハイテクでも何でもない。それどころか工業製品としてはこの日本国で製造される森羅万象のうちもっとも低劣きわまる部類に属するのが業務用厨房機器である。
 根拠をあげつらうときりがないのでこれは別の機械に譲るとして、こうして俺のような野良犬が仕事を拾ってパーツを買いに行くと売り渋る会社が幾つかあるのだ。

 業務用の厨房機器などというのは、別に何らかの資格を有する者でなければ整備してはいけないという法的な規則があるわけではない。高度な知識を有していなければ理解できないような物体でもない。大体、厨房屋のサービスマンに系統だった工学的な勉強をしてきた奴など全くと言っていいほどいない。九分九厘は見よう見まねで断片的な対症療法を丸暗記し続けてきただけの単なる作業員である。作業衣を着て軍手を穿いているから多くの愚かな客には底の浅さが見抜けないだけの話だ。俺はかれこれ25年くらいこの稼業を続けているがこれまで会った厨房屋のサービスマンのうちまともに技術論を語ることの出来た奴など5人もいない。

 そういう世界でありながら、(その程度の世界であるからこそ、と言い直したほうが良さそうだ)この業界の幾つかの会社は同業者に訳のわからない嫌がらせのようなまねをする。
 そもそも機材は買ったお客さんの所有物なのだ。どこの誰に修理を依頼しようがそんなものは持ち主の勝手ではないか。ましてや今回のケースでは10年落ちの食器洗浄機だ。どこに修理を依頼してどんな風に修繕しようがとにかく動きさえすればいいといった状況なんである。これが大人の会社、例えば三洋電機だとか、厨房機器の製造元で言えばマルゼンあたりだと姿勢はオープンでパーツの購入には何の問題もない。
 「パーツの販売はします。あとは自己責任でどうぞ」といった感じだ。あと、あるとすれば「当社の履歴に残らない修理がなされた場合は以後の修理はお断りする場合があります」くらいが汎用機器類のメンテに対する常識的な対処ではなかろうか。

 ところが今回のTとか、製氷機で有名なHとかの対応は全く大人気ないことが多い。なんだかんだとおよそ理由にもならないような理由をつけて同業者への販売を渋る。財布から現金を取り出してさあ売ってくれと言っても渋る。挙げ句の果てには現場名を聞き出しおいてこちらが知らないうちにいつの間にか直接そこへ出向いていって直接修理を済ませているときもある。
 隠蔽体質というのは至る所にあるが、それにしても低劣極まりない姿勢としか言いようがない。

 俺のような、一種の裏稼業には彼らがどうしてこんなに同業者が自社の製品に触れることを疎んじるのかが実によくわかるのだ。まず第一に、製品の出来がひどい。全くもって街の板金屋の工作物程度であっておよそ工業製品とは言い難い。設計した奴の頭の中には電気用品取締法という法律がこの日本国にあることを知らないんじゃなかろうかとさえ思える場合だってある。
 次に過去の修理歴がある機体の場合だが、修繕に来たサービスマンの腕前が全然なっていない。ビスやボルトの欠落は言うに及ばず、頭の潰れたそれらを目にするのは珍しくも何ともない。何かが漏れていれば見栄も何もなく闇雲にシリコンを塗りたくる。配管のねじ込み部分にはシール材も塗らない。何アンペアも電流が流れる電線の結節点にハンダ上げもスリーブのカシメもされておらず配線同士を捩り併せた上からビニールテープを巻いて終わりなんていうのはザラだ。

 考えてみれば、厨房屋などというのは安月給の上に過重労働を絵に描いたような業界だからして離職率は高いしろくな人材が集まらない。俺が見た限りでは先に書いたような同業者に変な嫌がらせをする会社ほどその傾向が強い。
 だから俺が見るところでは、彼らは製品なり雇っているサービスマンの質なりに何か後ろ暗いところがあるのではなかろうか。素人の客を相手にしている分にはボロが出ないで済んでいるが、それなりに眼力のある同業者に見られると自社の胡散臭い側面を喝破されそうで、そういう未熟さやテキトーさ加減が第三者に広まることを気にしているのではなかろうかと俺は勝手に決めつけることにした。

 話は元に戻る。
TだかKだか知らないが、程度の低い猿知恵を働かせてなんとか野良犬稼業のこの俺に製品を触らせまいとしていた節は確かに憶測できた。しかしである、俺だって昨日や今日の修理屋ではないのだ。蛇の道は蛇、設備資材の材料屋からの調達ルートは諦め、別のある方法でまんまとパーツは手に入れちゃったんだぜ!ざまー見ろw     (この項続く)
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