小型のコードレスドライバドリルをやっと購入 [便利そうな商売道具]
ここ数ヶ月、修理屋仲間の間では小型のドライバドリルを使い始める人達が段々増えてきた。
いつの間にか私はこの道20数年の古株になっていて、きっと言うことも年寄り臭くなってきているのだろうが30代の中堅サービスマンがショルダータイプのでかいバッグから小型のドライバドリルを取り出す様子を見かけるとついつい「今日日の若いもんは・・・」とかなんとか小言めいたセリフが頭に浮かぶ。
あんまり言うべきでもないのだろうが「俺の若い頃は・・・」みたいな話もやっぱりどこかでしておきたいのでここに書くことにした。
修理屋というのもやはり一種の職人稼業であって、道具に頼る奴ぁ大した腕じゃねえんだよ、みたいな風潮はかつて私の周辺に幾らかあった。
最初の職場というのは大変にケチ臭く、20数年前などはサービスマンめいめいに電動工具が支給されるなどという状況とはほど遠かった。工具箱は手提げカバンで、支給された中身はドライバーとスパナ、モンキーレンチにペンチやニッパー程度だったのだ。
また確かに、その程度の装備でも修理作業のかなりの範囲はカバーできてしまう。
だから、”道具に頼る奴ぁ・・・云々”の言い分は社員の装備に金をかけずに済ませたい経営者の方便だと受けれなくもない。
若い頃の刷り込みは仲々抜けないもののようで、未だに私にとっては電動工具を買い増すことは新たな贅沢というかかなり思い切った設備投資である。これは妙な職人気質の反映であると同時に開業以来3年半を経過した私が未だに貧乏であり続けていることをも表している。
加えて職人稼業の世界には共通して”仕事は体で覚えるもんだ”という風潮がある。今はそうでもないのだろうが私があんちゃんの頃にはそんなところがあった。一時同行していたことのある親方はひどく短気な男で元来魯鈍な私が現場でモタモタしていると簡単にキレてスパナが飛んできたりした。まあこの手の話題は書き始めるときりがないので別の機会に譲ろう。
ところでこの業界に於ける修理屋の全盛期は思いの外短い。恐らく大体35歳を中心として前後3年くらいがピークではないかと思う。
30歳以前は経験量が不足していて余計な試行錯誤が多く、知識量も足りない。
35歳を過ぎると体力的なピークアウトが始まる。手が遅くなり、記憶力も低下してくるのが自覚できる。
40歳を過ぎると場数を踏んだ老練さは出てくるが、既に体中爆弾だらけとなる。
本当の意味でエキスパートの域に到達する頃の修理屋は大体年齢的に40歳少し手前くらいになっていることが多い。
但しそこに至るまでの経験の中で相当体を痛めてしまっていることが多いのだ。私の周辺ではそういう人が結構いる。だから40歳を過ぎて体中どこも痛めたことのない修理屋というのは余程恵まれた体を生まれつき授かった人か、さもなくば今まで大した仕事をしてこなかった、業界で言うところの「口で直す奴」なのだろうという見方をするようになった。
知らないうちに私にもそんな職人気質が身に付いていて何でも電動工具に頼る奴は横着者だ!みたいな偏見も抜けきらないのだが寄る年波にはやっぱり勝てない。小型のコードレスドライバーを買い込んだ。
固定されたビスの緩めや本締めにはトルク不足のため使い物にならないが、早回しや仮締めなどの作業では随文楽だ。
これまで25年くらい、ねじを回し続けることで肘や手首を随分痛めてきたのだなあと改めて思う。
現場施工や分割搬送されてくる大型機器の組み立て作業などの為に標準的な12Vとかのコードレスドライバーは長いこと常用してきたが何せでかいので修理の現場に手持ち道具と一緒に持ち込む気にはなれなかった。
使用条件を割り切ればこういう携帯可能な小型版には結構有効な活用の仕方があることを今更ながら実感する次第。
手持ちドライバーとして結構使える。モーター駆動を使わずにボディを折り曲げて手回しすると結構なトルクが出ることになるから本締めも可能。(折れ曲がりにヒンジ部分は結構精度が出ていて意外と強度もある)ビット先端を照らすLEDもついていて目の薄くなりかかった中年修理屋には結構有り難い付録だ。
変な意地は張らずに、ガタの来た自分の体を多少は労って楽ができるところはしておこうという方向に姿勢をシフトしつつある。それも金次第というところは切ないけど。
コメント 0