厨房機器の耐用年数 [困った業者]
一昨日、某レストランよりスポット的な修理依頼があった。
チップアイスディスペンサーという名称の機材で、こういう形状をしている。
客単価がさほど高くなく、30席前後の小規模店舗やセルフサービスの店舗で見かける。
状態としては全く動かずウンともスンとも言わない。メーカーのサービスマンは古いからもう更新しなくてはいけない旨を言い残して帰ってしまい、あとからすかさず営業さんがカタログとクレジットの申込用紙を携えて登場したとのこと。
私のような野良犬稼業にケツが持ち込まれるのはえてしてこういう場面である。
溺れる者は藁をも掴むというわけだ。自営業の修理屋など普段は鼻も引っかけられない存在だが、人間、都合が悪くなれば形振り構わなくなるもんだ。
触ったことのない機材なので少々おっかなびっくりで中を開けてみる最中、外装板のビスを緩めた形跡がないことに気付いた。メーカーさんは中も開けずにどうやってご臨終の見立てを行ったのだろうかと訝しく思い、オーナーさんに尋ねてみると確かに触りもしないでそういう診断を下したそうだ。ただ単に「耐用年数を過ぎている」とだけ言ったのだそうな。
「耐用年数って何年なの?」という問いかけ対して、私は「知らん」と答えることにしている。
会計業務上、固定資産としては6年が減価償却期間だったように憶えている。機能してるいないに拘わらず、購入後6年経過すると資産価値はなくなるという考えであって、強いて言えばそれが耐用年数の基準ではあるが、あくまで事務屋の発想だ。
物理的機械的な問題としてどこまで使えるかという問いかけは漠然としすぎている。
個体差、稼働率、周辺環境によって製品寿命は想像以上に大きくばらつく。そして当たり前ながら機械は有機生命体ではない。空から隕石が降ってきて機械がぺっしゃんこにでもならない限り、スペアパーツの供給さえあればどこまででも修理はきく。では、その機材の終わりはどういうときかと言えば「修理屋が見切りをつけた」ことを持ち主が納得したときである。
技術論として語るならば、機械の運転に何年という時間区切りを設けるのはかなり大雑把なとらえ方でしかない。厳密に言えば「運転時間●●時間」とか「動作回数●●回」と捉えるべきであって、業者の側が「もう●●年経って古いから更新を・・」という言葉を鵜呑みにするのは所有者側の勉強不足もある。機器の寿命や消耗度合いについて安直に何年などという物差しを持ち出してくるのはハンチクな業者であって、そういう手合いの口車に乗って無用の更新をしている例は多いようですね。
今回のケースについては給水制御を司るスイッチが機械振動のためにずれてしまい、誤動作を起こしての全停止であった。初めて触るこの私が、その箇所を発見して無事氷が出来るまで所要時間は30分。修理代金は5千円なりであった。高いか安いかは別としてひとまずチップアイスディスペンサーは継続稼働となった。
それにしてもこのメーカーのサービス、中ぐらい開けてから所見を述べなさいよ。
現在製氷機で有名な本社名古屋のH社は、売り特化にて、修理可能で使用出来るモノでも、”寿命”の宣告をして新品を売り込む方式と聴きました、、、
Sマン時代も小生達はサービス売り上げ、オーバーホール売り上げ、保守契約売り上げの目標がありました、当時はノルマ的感覚は下端にはありませんでしたね、。
by 007 (2014-12-11 15:16)