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何時に来られるの?(2) [困った客]

前項より続き
 とまあ、いろいろと愚痴っぽいことをグダグダと書き続けているわけですが、こういう風に時間の約束に拘束され続けることに対する疑問が芽生え、だんだん成長してきたここ数年でもあったのです。どんなことにでも言えると思うが自分が主導権をとれない状況というのはフラストレーションが溜まる。それであるとき、頭を冷やして、依頼のたんびに投げかけられる「何時に来られるの?」にどうして否定的な気分が湧き起こってくるのかを考えてみたわけです。(こんなことを考える暇ができたのも開業したおかげなんだろうな、と、ひとりごちてみる)
 
 そもそも、依頼元が「何時に来られるの?」と確認しなければならない状況とは何だろうかと想像してみると・・・大体こんなケースが想像できた。

(1)機械の故障により、非常に不便な代替手段によって業務が続行されている。乃至は業務がストップしてしまった。この不便な場面をあとどれくらい続ければ良いかの見当をつけたくて修理屋の到着時間を確認したい。

(2)故障の現場は、修理の依頼時点では何らかの理由(定休日、閉館日、など)により、立ち入ることができないので修理屋と現場で待ち合わせをし、セキュリティの解除などによってお仕事に取りかかる必要がある。又は日中、用足しがあるので不在中に訪問されても対応できない。など、何らかの理由で修理屋がその場所に立ち入れない状況である。

 とまあ、大体この二つだろう。他の場面はなかなか考えにくいのです。それで、修理依頼の「何時に来られるの?」でこういう状況であることなんていうのはまず、私の経験上ではせいぜい10%位しかないのだ!
 何より頭に来るのは、何時に訪問、と修理屋に言わせておいて、時間通りに到着すると修理できる状態に全然なっていないこと。油の煮えたぎったフライヤー、チンチンに熱いオーブン、など。挙げ句の果てには「今は機材を使っている最中だからあと1時間待ってくれ」などとぬけぬけと言う奴もいる。

 おいおいおいおいっ!
いったいあんたらは何のために人に時間の約束を迫っているんだよ!
作業ができるようになるまで待っている時間に対する代価を支払う用意あんのか?
俺にはこの後もスケジュールが入ってるんだぞっ!
と、はらわたが煮えくりかえる時間です。

 考えてみると、世の中は実に多くのことが分刻みで予測できるようになってきた。多少乱暴に言えば、職人的仕事はどんどん減って、機械化された定型業務に置き換わってきた。どんな仕事の所要時間はどれくらいなのかが計数管理可能な世界、機械文明の発達とはそういうことを指してもいるのだろう。自動車や電気製品の組み立て、宅配のピザ、写真のプリント、べーカーショップの焼き上がり時刻など色々。
依頼する側は別段、一分一秒を争うような状況でもないのにわざわざ「何時何分頃お伺いいたします」「何時何分頃出来上がります」と告げるサービスが、気付いてみるとすごく増えた。(ま、それはそれで律儀というか、立派な仕組みだとは思うけど)
しかしここで考えてみて頂きたいのだ。
現実問題として、時間単位での予測がどうしても必要な場面がいったいどれくらい身の回りにはあるだろうか?『今日中に何とかなればいいか』程度の出来事に対して『はっ。それでは●時●分頃対応させて頂きますっ!』的なサービスの仕組みって結構ありませんか?
世の人々はそういったサービスの仕組みに慣らされすぎて、何でもかんでも他人に時間の予測をしてもらわないと不安が残るのかもしれない。こんな愚痴めいたことをブログに書き綴っている私でさえ、無自覚のうちにこういった「大して意味のない精密さ」を疑いもせずに当然のこととして自分の生活意識に組み入れていないとも言えないのだ。

 ここで改めて、小生の職業、修理屋というものの性質をお伝えしておかなくてはならない。
 修理作業というお仕事は定型化の不可能な世界である。少なくとも、私が携わっている食品機械、厨房機器という分野での修理作業のうち、取りかかる前から時間の予測可能なものなど全体のうちの一割にも満たないだろうと考えている。時間の計数管理とは一番遠いところにある業種ではないかとさえ思う。だから、「何時に来られるの?」的な要請には一番答えにくい商売であり、この手の希望とはどうしても齟齬が生じてしまう。
 

 ならば、と、私は考えた。
こういった業務の上での内情をいちいち電話の度に依頼元に説明するのも非効率的だし、第一先方はこんな私の説明を最後までおとなしく聞いてくれるほど寛容でもない。
 であれば、この、時に不条理とさえ思える場面を作る仕組みを自分に有利な方向に作り替えていこう。行動あるのみ。

 というわけで、「何時に来られるの?」対策、次回は実行編です。(この項続く) 
 


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