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何時に来られるの(1) [困った客]

 ここ2.3年の間、修理の依頼があって目立って増えてきた質問が「何時に来られるの?」というものだ。実はこれが結構返答に窮する。困るのです。
 実際のところ、「何時に来られるの?」と訪ねられて明確に「はい、何時にお伺いさせて頂きます」と回答可能なのはその日朝一番のお仕事だけである。私の場合、あとはほぼ必ずと言っていいくらい訪問時間が前後する。もっと正しくは、遅れる。
 それは一つには、私自身のスケジュール管理がなっていないからである。だがそれ以上に、修理屋という仕事は時間の見通しが立たないのだ。
 厨房屋に限らず、およそ世の中の修理屋の宿命の一つは、「結論を出してお客様に伝えない限り、訪問先からは自分の意志で勝手に帰れない」ことにあると思う。そしてこの商売は、結論が出るまでの所要時間は実に曖昧である。
 故障の状況、不具合がなかなか再現できない(これはプリント基板で制御を行うようになってからひどく多い)。
 ボルトが錆びていて回らない(まず、これだけで15分や20分はタイムロス)。
他にもいろいろ、実にいろいろなものが外乱要素となってスケジュールは遅れていく。
ならば、約束である時間が迫ってきたあたりを見計らって訪問予定先に連絡を入れて、訪問が約束よりも遅れる旨を伝えれば良いではないかというごもっともなご意見はある。確かにある、それは認めます(汗)。
 しかし、4件も5件も未処理の修理依頼を抱え込んでいたとして、また、それらのいずれもが訪問時刻の約束をしていたとして、それら全てに連絡を取るなどという行為が生産的であるとは思えないのですよ。そうやって電話をする時間それ自体が当該修理の現場作業にあっては馬鹿にならないタイムロスではないだろうか?
 更に言えば、(ここから先は修理屋としての生理の問題を暴き出すのだ)機械の中に体をつっこんでドタバタしているときの修理屋は、少なくとも私個人は、結構神経がとんがっていて殺気立っていたりもするものなんですな。そのお仕事をさっさと終わらせたい、意識が集中している状態をとぎれさせたくない、一気に片づけてしまいたい。そんな心理状態にあるものであります。『コノヤロー!このビス回れ!こん畜生!』であって、『あー今は何時だったっけ、そうそう、そろそろあそこの修理先との約束の時間が迫ってきたわい。お電話お電話・・・』などという気配りモードでは全くいられない。
 かくして、一件片づけて次の修理現場に到着すると眉毛を吊り上げたお客さんに「遅いですよ!」とどやしつけられるところから始まったりするのですねえ、悲しいことに。

 以前はこうではなかったのだ。「何時に来られるの?」ではなかった。
それは例えば、飲食店を例に取ればこうだ。
 「ランチの時間帯は外してね。(大体11:00から14:00頃を指している)あーそれから、今日は夜、予約の宴会が混んでいるから17:00以降は作業だめだよ」
この違いがおわかりだろうか?
 訪問されては仕事の邪魔である時間帯を以前はわざわざあらかじめ教えてもらえたのだ。その時間以外はこちらの任意で(ということはこちらの都合で)お仕事は開始できたのだ。今にして思えば、全く持って有り難かったです。(この項続く)


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