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真夏に恒例の失策からシール剤のことを考える [便利そうな商売道具]

 これまで何度も書いてきたように俺は注意力の散漫な人物である。年がら年中チョンボをやらかす。ドジの総合商社と自称しても良いほどだ、何の自慢にもならないが。

 失敗は四季折々ある。失敗の種類によって季節を実感することさえあるほどだ。真夏に固有の失敗例を一つ挙げて恥を晒しておくことにする。
 
 配管シール剤というのをご存じだろうか?金属管のねじ込み部分に塗布する漏れ止めの材料である。用途によって色々種類はあるがこれまで大して意識することもなく、水、お湯、ガス用の配管については刷毛つき缶入りのものを使い続けてきた。

 液状のシール剤は有機溶剤によって粘度が下げられており、塗布しやすくなっている。刷毛はねじ込みキャップに付いており俺のような忘れ物の多い人物にとっては有り難い。
 何度も繰り返して使っているうちに、キャップのねじ込み部分にはシール剤の垂れたものが残り、締まり方が徐々に甘くなってくる、と。

 夏のある日、さてこれからお仕事に出かけようかと車に乗り込むと何とも香しい。過去のある時期を想起させる芳香が車内に充満しているときがある。そして俺は「あー、やっちまった」と車のステアリングを叩いて悔しがる。
 芳香の正体はシール剤の粘度を下げるための有機溶剤である。青少年に夢と希望を与えるあの香りである。夏は車内の温度が物凄く上がるので、シール剤の缶が横倒しになっていたりキャップの締まりが甘かったりすると内圧が上昇してシール剤が吹き出してくるのである。

 シール剤の缶は配管作業をするときの道具箱にレンチ類と一緒に放り込むのが俺の習慣なので、この現象はシール剤でデロデロになったパイプレンチをシンナーで洗うという全く持って有り難くない副産物を生む。ある時作業場の中でこの余計な作業をしているうちに俺は青少年の一時期に戻ってしまい、一日仕事を棒に振って金主様達から総スカンを食ったことがある。不良の厨房じゃあるまいしとか何とか散々罵倒されたのだが、いやあ、懐かしい感覚でしたな。

 解決策としては仕事の終わりには必ずシール材の缶を車外に出しておくことなのだろうがずぼらな俺にそんな習慣づけが出来るわけはない。結果として毎年夏には社内がシンナー臭くなって己の学首脳力のなさをかみしめる次第だ。
 
 ところで、蒸気配管の工事をするときにはいつもチューブに入ったシリコン系のシール材を使うようになってからそろそろ10年ほどになるのだが、考えてみれば蒸気で使えるものならば水やお湯でも全く問題はないのである。
 どうしてこんな事に今まで気付かなかったのかとこの出来の悪い頭を呪う。何もわざわざ缶入り液状のシール材を使い続ける理由などなかったのだ。
 問題なのはこのチューブ入りは単価が高いことだ。

 更に言えばガス配管の場合はどうしようかとかねがね考えていたが、これにもやはりシリコン系のチューブ入りはあるらしい。ただ、材料屋に問い合わせたところではやはり単価が高いことと問い合わせの引き合いも全くないので入荷の予定は全くなく、ケース単位での販売しかできないとのこと。

 そういうわけで来年の夏も俺は社内に青少年のハートがとろけるような香しさを充満させてシンナー臭さにむせかえりながらおんぼろ自家用車を転がすことになる。
 


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