パラダイムシフトを受け入れられない人たち [困った業者]
会社員であった頃から、繰り返し言い続けてきたことだが当時、社内では誰も耳を傾けてはくれなかったことをここでは書く。
バブルがはじけた90年代冒頭で、業務用の厨房機材の普及は頭打ちとなったのだ。
あとは落ち穂拾いがあるだけであって、未開の大地はもう日本国には存在しない。
例えに出して悪いが、繁華街の小路でひっそり営業しているような個人経営のラーメン店で食器洗浄機だのアルカリイオン整水機だのが設置されているのだ。客単価が1000円にも満たないような業種がである。
この上一体何を売り込もうというのか。
一種、思考のトレーニングとして、この業界に携わっている人たちに考えてみて頂きたいことがある。
そもそも、外食とは何ぞやというあたりから考えてみる。広義の外食とは・・・
「住宅の外で食べる食事全般」というのが私なりの解釈だ。
飲食店、ホテル、宴会場から始まってやれ病院だ、老人ホームだ、学校の給食もそうだし会社の社員食堂も軍隊の食堂も、挙げ句の果てには刑務所の臭い飯も修道院の食事もある意味外食だ。
人が生きていく以上、食事は必ずついて回る。
そして日本国に於いては、目下のところ飢え死にするような境遇の方々は非常に稀な存在だろうと思う。
法則というほどのものではないが、上限と下限を示せば
(1)人は生きている以上、必ず飯は食う。 が下限であり
(2)だからといっていきなりそれまでの何倍もの飯を食うようにはなれない。
が上限である。
ここから家の中で済ませる食事を減じたものがつまり外食向け、ということは業務用厨房機材のマーケットサイズなのだ。業務用厨房機材のコレクションが趣味であるなどという奇特な人の存在はついぞ耳にしたことがないので、市場規模がこれ以上になることは絶対にない。そして既に箱物がバンバン建つご時世ではない。市場への浸透は既にピークアウトしているのであって、あとは落ち穂広いと同業者間の共食いがあるだけだ。
ホイホイ機材が売れるとすれば、こんな現象が現れたときくらいしかないと私は考えている。
(1)家のキッチンが消滅して全ての人が三度のオマンマを家の外で済ませるようになる。
(2)全ての外食の食費に今までの五倍くらいの金を使うようになる。
どちらもまず、思考実験の域を出ない状況だ。
以前にも同じようなことを書いたがここで改めて繰り返す。
この業界では未だにデフレスパイラルが横行しているのだ。製造原価と涙金で済めばまだ良い方で、赤字をどれだけ小さくとどめるかに四苦八苦するような営為が後を絶たない。あまりにも不毛である。
何の世界であっても共通していると思うが、一度下げ止まった実売価格の相場は余程のことがない限り上昇には転じない。
未だに販売目標何台とか、前年対比何パーセントアップの売り上げ目標とか喚き散らしている会社は最早救いようがない。訳のわからないノルマやら締め上げやらに嫌気がさして社員がどんどん離脱して形骸化している組織がいっぱいある。値引き合戦に勝ち残ったところで、終わってみればあたりは一面砂漠であるのに。そんな場所でその先どうやって生きていこうというのかねえ。
当地ラジオ番組「武田鉄也の三枚おろし」で彼は「価格破壊競争の勝ち残った勝者でも、最後は傷付く、、、」と、、、
また、「価格競争の行き着く先は品質に現れ、クレームがあっても、”安いのだから仕方ない”と言うことになる、、、」と、、、
まあ不毛なことですね、。
by 007 (2014-12-11 15:08)
007様,コメントありがとうございます。
7年経って読み返してみると,この業務用厨房の業界というのは案外したたかな体質なのではないかと思えてきます。
外食店舗が衰退し始めて店内調理を行うコンビニが伸長し始めてくるとちゃっかりそこにも入り込んでいるし,今ではどこの厨房屋もベーカー関連の機材を堂々とカタログに載せているし、国内の他業種の領域を食い荒らしながら生き存える,なかなか抜け目のない内弁慶体質です。
by HarryTuttle (2014-12-12 09:44)