SSブログ

コンビオーブンSCCの庫内ファンモーター交換(実作業編その3) [含蓄まがいの無用な知識]

 Rationalのコンビオーブンの変遷とは多機能化であると共に制御の系統から電磁接触機を排除していく歴史とも見える。
 庫内ファンモーターの仕様は初期のモデルでは定速回転で一方向だったのではないかと覚えている。ありきたりなインダクションモーターだからコンタクターは一個で良い。次に焼成のばらつきを押さえるためにインターロックで制御し、正逆回転されるようになったのでここで電磁接触機は2個使われる事になる。その次には運転時の風量を可変させるために二重コイルのモーターを採用して、ここで電磁接触機は4個使われる事になる。
 幾ら何でもこれでは場所をとり過ぎるので前モデルのCPCは途中からインバーターを採用してファンコントロールに電磁接触機を使う事はなくなった。

 もう一つの負荷であるヒーターについては初期には二組のヒーターをシリーズ、パラレルに組み替える事で発熱量を二段階に設定していたわけだがこの場合も二組のマグネットを利用する。
 このやり方もCPCからは改められてヒーターは1系統でスイッチングにはSSR(トライアック)を使い高速な断続動作をさせる事で発熱状態を近似させる事にした。

 文字で書いても実感はなかなか伝わらないと思うがある時期の機種などはもう一面マグネットだらけで運転中はひっきりなしにガチャガチャと開閉音がし、いかにも何か制御しているんだぞ風だったが現行機はうんともすんとも言わず、運転音と言えば庫内ファンモーターの回転音だけだ。電装部分のありようも随分すっきりした。
IMGP0122.jpg

 旧機種を知る者にとっては驚くばかりのスカスカ具合である。

 CPCからSCCへのモデルチェンジで修理屋を唸らせたのは電力素子の扱いで、厨房屋にとっては馴染みのない部材がどのように実装されるべきかをこういった実機を目の当たりにする事でにわか勉強する事になるわけだ。
 インバーターであれSSRであれ、電力素子の実装に於いてその耐久性を左右する要因の一つに冷却処理をどうするかがあるわけで、以前のモデルは手探り的に自然冷却なり別置きのパプストファンで風を当てて冷やすなりの事をしてはいた。
 しかし稼働にあたってはヒートシンクに埃がたまるしそもそも電装系統が集中する箇所の冷却ファン手前に設けられたフィルターを使用者がろくすっぽ手入れせずでこれら電力素子の熱破壊による障害は結構頻繁に起こったものだ。

 庫内ファンモーターの回転をオーブン庫内の空気の撹拌ばかりではなく電力素子の冷却のためにも使う,この発想は結構画期的なものではないだろうか。SCSからは汎用品と思われるモーターを使うことはやめて中空部分を設けたケースに長いシャフトを持つモーターを取付け,途中に電力素子冷却用にファンを取付けている。そしてSSRはケースに,インバーターはモーターの真後ろに取付けることで一石二鳥どころか三鳥の効果を狙っている。この実装によって個別のヒートシンクや冷却ファンを省略しているので電装室内は本当にスカスカになった。
IMGP0123.jpg

 インバーターは個別の実装がされず,黒いメッシュ状の樹脂ケース内に収まっておりモーターと一体である。中空のケースはアルミ製でSSRはここに取付けられているからモーター交換の際にはこの場合,一旦SSRを取り外す必要がある。
 俺はこの記事の最初に、庫内ファンモーターが上下二つ実装されているオーブンの場合,何故か決まって上側のモーターばかりが壊れると書いたがこのケースではややこしいことにSSR四つは全て上側のファンモーターのケースに取付けられているのである。

 他にもスチームジェネレーターのフラッシングを行うためのポンプの吐出ホースや諸々の配線など,ファンモーターと干渉するために一旦取り外さなければならないパーツは多い。
IMGP0125.jpg

 最大の難物はファンモーターの左側ぎりぎりについてるスチームタンクで,モーターベースを固定している13mmのナットのうち二つはモーターとタンクの間,物凄く狭く奥まった場所についているのでレンチ類の準備が不十分であった場合には一旦スチームジェネレータのタンクを取り外さないと道具がナットまで届かないので作業は物凄く長時間化する羽目になる。(この項続く)
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。