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やさぐれた気分で仕事をしていると痛い目に遭う [日記、雑感]

この記事に書かれた出来事は5月9日の事で,5月10日に書きかけたものに本日加筆した。結果として骨に異常はなく単なる打撲だがいまだに俺の左膝には青タンが残っており,膝を曲げると痛い。 

 タニコーという厨房屋との相性の悪さはこれまでにも度々ここに書いてきた。
これは会社勤めをしていた頃からの色々な経緯があってここでそれを詳述はしないがとにかく俺は嫌われており,資料の開示どころか補修パーツを売ってさえもらえない。現金持参の上ででもダメだ。
 だから修理の依頼もなんだか気乗りがしないのだ。勿論金のためには贅沢を言っていられるご身分ではないから,やる。但し俺からの問い合わせや発注には直接応じてくれないのでどこかの会社を通じてのやり取りになり,補修パーツの値段については割高になるがそれでもいいですか?と、事前に依頼元に対しては断りを入れる事にしている。

 気乗りがしない理由はお金の問題以上に気のせいだけではないと思うのだが何だか酷くいじりにくい機材が多いように思えるからだ。同じ機材であっても他の製造元に比べてタニコーの製品を修理する時には何だか時間を食うように俺は常々感じており,これは決して馴れのせいだけではないと思う。
 ここでこんな事を書けば余計険悪になりそうだがタニコーの製品をいじっていて毎度思うのは一つにはビスの数が無茶苦茶に多い。Lアングルやフラットバーといった骨材を突き合わせて溶接されているべきところを板材を折り曲げてビス止めという構造がタニコーの製品には大変多い。加えてそれら固定箇所の精度は良くなく、ビス穴とバカ穴のずれている事が大変多い。おそらく組み立て工程でだろうがそこを無理矢理立て込んでいるような造作が大変多いので修理時にはいきなりなめかかったビスを扱う事になる上にそれらの多くは錆びていて本当に始末が悪い。時間がかかるというのはこういう事によるのではないかと俺は常々考えている。

 俺の元の勤務先はタニコーの得意先であったらしい駅前の某ビジネスホテルに営業で刺さり込んだらしく、タニコー製品の修理も請け負うようになってきた。それで俺のところにも修理の依頼が回ってきたのが昨日の事だ。

 ブツは内管式のガスレンジで、トップバーナー五口のうち3口分のガスコックの交換とオーブンのサーモカップルの交換だとの事で作業可能な時間帯は午後3時から5時までの2時間。
 それはおそらく完了せずに再訪問となる可能性があるとの予測を俺は立てた。外管式と内管式では同じガスレンジでも配管周りの作業時間は段違いに後者が長い。外管式は全てがむき出しだから本当に楽でガスコックの交換などものの十分もあれば片付くのだが内管式はヘッダーパイプが隠蔽されている上にトップのごとくも取り外さなければならない構造が多く、手間取る。

 訪問先のビジネスホテル一階にあるレストランは加熱セクションがカウンターキッチンとなっている。通路幅は大変狭く、オーブンのドアを開けると通路の半分以上が塞がってしまいコックはガスレンジの正面に立つ事ができない。これでは仕事がしずらかろうに、こんな造作で良く保健所の検査が通ったものだと俺はいい気がしなかった。
 修理品の前にしゃがみ込むとオーブンの輻射熱が物凄い。こんなものを今すぐ修理してくれとは何ともふざけた話で作業中に火傷でもしたらどんな風にして責任を取ってくれるというのか。常識のある使用者はオーブンの修理を行う事が事前にわかっているのであれば火を入れずに待っていてくれるものだがここはそうではない。大体どういう人種なのかが想像できた。
 予想通り、錆びてなめかかったビスに閉口しながら作業に取りかかると料理長と思しき目つきの悪い男が近づいてきた。
 まだ作業に取りかかったばかりだと言うのにどのくらいの時間で作業が終了するのかなどという、無神経な事を尋ねて来る。加えてその男はオーブンの火は30分くらい前に消してあるからと恩着せがましくのたまい、俺はこの男が本当に頭の悪い三流コックである事を確信した。
 消化してから30分で室温にまで低下してしまうようなオーブンだすればそのガスレンジは二流品である。
vr1222.jpg

画像は本文とは関係ありません

 そのビジネスホテルはオープンしてからそう何年も経っているわけではないはずだが個体は俺以前に修繕された形跡が散見され,至る所でビスの頭がなめかかっていたので作業は予想外に手間取った。
 錆び付いたビスを外すためにドライバーをあてがってハンマーで叩くと調理師やホールスタッフは一様に険悪な目つきで俺のほうに振り向いて睨みつけた。

 ホールのテーブルにはまだ一組,お客さんがいたので迷惑だからという意味なのだろうが,そんなものは俺の知った事か!という荒ぶった気分で俺は作業していたのだ。そもそも,ホールに面したカウンターキッチンにこんなロクでもないガスレンジを置いた奴が悪いんだ,とか、作業時間に注文つけるんだから音の事くらいでガタガタ抜かすなこの野郎共!とかいうのがその中身だ。
 こういう心象風景で仕事をするのは良くない。良くない事は心得ているのだが錆びたビスとかなめたビスというのはそういう理性のたがをどこかに吹っ飛ばす位修理屋を苛立たせるものである事を同業の諸兄にはご理解願えるのではないだろうか?

 良くない気持ちで仕事をしている事の報いはやはりあるのだろうか?
苛立つ俺がバカなのだろうが、平静さを失うとロクな事がない。
 内管式で総ごとくのガスレンジは,トップバーナーのヘッダー管をいじる時には手前側のごとくと汁受け皿を全部外さないとそこにはアクセスできない。これはどのメーカーでも同じで、今回のケースでも例外ではない。
 先に書いたようにこのカウンターキッチンは大変窮屈である。取り外したごとくや外装板の置き場所が近間に見当たらないので俺はガスレンジの上にそれらを山積みにし、しゃがみ込んでなめたビスにイライラしながら作業していた。
 その時,俺の背後を調理師が忍び足で通り抜けた拍子によろけ,山積みされたごとくにぶつかったらしいのだ。滑り落ちたごとくはしゃがみ込んで作業している俺の膝を直撃した。

「!」

 鈍い音とともに俺の目からは火花が飛んだ。二重バーナーの上に被さるでっかい鋳物のごとくが床に転がる。
(何をしやがるか!この野郎!)と怒鳴りつけたい気分で立ち上がろうとしたが膝に激痛が走り,立てない。
こういう場面の心象風景というのは痛さよりも怒りが勝る。それは色々な種類のもので出来上がっていてここで全てを書き尽くす事は出来ないが,ガスレンジの修理などという,厨房屋にとってはイロハのイに過ぎない仕事に手間取る俺自身への怒りがかなりのウェイトであるのは間違いない。
 調理師はおろおろしながら「大丈夫ですか?」と肩に手を伸ばして来たが俺は痛過ぎて声が出ないせいもあってそれを手で制した。時間が惜しい。

 それからの俺はきっと,何かしら不機嫌さのオーラを出しまくって作業しているように他人からは見えたのだと思う。
 全く不本意だが,ガスコックの交換一箇所を残して時間は16時50分を指しており,ここでの撤収と相成った。残りは後日だ。鈍痛でずきずきする足を引きずりながら再訪問の相談をするために料理長と再び面を合わせると最初の偉そうな態度とは打って変わって口調はですます調であり,何だか意外な気がした。

 やりかけたお仕事である以上,当然貫徹はするがなにかしら、メーカーとの相性の悪さというのはこんな風に影響する場合もあるのかと痛む膝を擦りながら俺はますます頭に来ている。
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007

メンタルコントロールは重要にて、小生も日頃気を付けていますが、、、これがなかなか難しいのです!

なんせ現場には、「「ただ単に時間から時間まで働けば金に成り、それでいい、なるだけ楽に気分良く、邪魔する奴はウットウシイ!」」の方々がいて、、、もちろん「ご苦労様」とねぎらいの言葉を掛けて下さる方々も多くいます!

ケガやボンミスなどを起こすので要注意です、経験者は語る(汗)。。。
by 007 (2014-05-12 16:45) 

くるみ

とても痛そうです!!骨は折れなかったのですか!? キッチンでは包丁を持つ人等、作業してる人の後ろを通る時には 「失礼します」の声掛けと細心の注意が常識ですが…。オーブンの消火等も 人となりが伺えますね。客席を増やす為 限界以下のキッチンの狭さのお店、ありますよね。逆にお掃除も行き届かない様に思います(>_<)。 膝をお大事にm(__)m。
by くるみ (2014-05-13 12:03) 

HarryTuttle

 007様,いつもコメント有り難うございます。
以前の記事で書きましたが,分野を問わず激安チェーンの従業員はほんとに出入り業者に対しては無茶苦茶を言います。
 激安の構図は考えれば考える程気が滅入ってきますが,メンタルコントロールの重要性を改めて感じますね。

by HarryTuttle (2014-05-15 10:02) 

HarryTuttle

くるみ様,お気遣い有り難うございます。
幸い骨には別状ありませんが,あたりどころによっては骨折してもおかしくない物体ではあります。
 何分私も歳なので,打撲や打ち身の回復が若い頃に比べると物凄く時間がかかり,毎日顔をしかめております。
by HarryTuttle (2014-05-15 10:04) 

Tongari

お疲れ様です。
まさに被災とも言うべき事象ですね。
お察しします。。
工業製品は総じて販売価格低下のためのコストダウンで、修理の事を一切考えて設計製作されておらず、結局修理に時間がかかるため、エンドユーザーには結果高額(でないにせよ作業時間の長い)な修理代金を負わせる事になっている事をメ―カーは御存じなのだろうか、と思います。
薄い材料を安いビスで多箇所留めする素人芸には閉口しますね。

膝の痛みに耐えて頑張るあなたの姿をきっと誰かが見てくれています。
少なくともここを訪問する方々は知っていますよ。
お仕事、頑張ってください。

by Tongari (2014-05-20 16:00) 

HarryTuttle

Tongari様,コメント有り難うございます。
「怪我と弁当は時分持ち」とよく言いますが,歳のせいで怪我の直りは遅いわ消費税増税と円安のせいで弁当には金がかかるようになるわでロクなことがありません。腐らないで続けていけばそのうち何かいいことがあるのかもしれませんが。
by HarryTuttle (2014-05-25 15:05) 

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