困ったときのサーモアイ,だが・・・ [お仕事上のぼやき]
本日は祝日であり,俺のような性分の者としては誰にも顔を合わせずに一日ゴロゴロしながら怠慢に過ごしたいところだがクソ忌々しい消費税率アップを控えた年度末だけあって駆け込みの依頼が押し気味であり,金もないので気乗りしないが無理矢理スイッチを入れてとにかく働くことにした。
場所も場所で,これまで何度か取り上げたことのある某総合病院の手術室だ。
厨房屋の俺が一体全体何の因果で某総合病院の手術室をうろつき回るようになったかについてはいずれ機会を見てぼやくことにして,元来筋金入りの怠け者であるこの俺がどうして土日や祝祭日に手術室での仕事のために重い腰を上げるかと言えばやはり金の力の偉大さによる。とは言え,病院の事務屋によれば俺の修繕費など医療商事会社から回ってくる請求書に比べると感涙ものの安さであるらしい。こんな事なら最初に手がけた時にもう少し高い単価設定にしておくべきだったと後悔するがもう手遅れだ。
某総合病院には手術室が2ブロックあり一つは救命救急用のセクションが救急車の乗入れ箇所近くに3室とその二つ上のフロアーにICUと隣り合った手術科というセクションがある。こちらは全12室で各室に冷凍庫,冷蔵庫,保温庫が壁面埋め込みで取付けられており,その他血液保存や解凍,薬品類の保管などなど結構な数の冷蔵庫や温蔵庫があり,俺にとっては意外と稼ぎどころなのですよ。
手術室の造作はセントラル・ユニという会社が手がけている。
URL:http://www.central-uni.co.jp/
手術室関連の施工や機材については
http://www.central-uni.co.jp/products/operation/modular-system/
施工は13年前で,保温庫や保冷庫のスペアパーツについては数年前に供給が止まった。何でもそうだが俺のような野良犬業者に持ちかけられる相談にはこういう類いが多い。製造元はリプレースが進んで管理台数が減少してくると最低保有期間を盾に使用者をバンバン切り捨てていく一方,使用者は設備投資を惜しんで俺のようなもののところに無理難題を持ち込んでくる。俺は板挟みやら目先の金欲しさやらでもがきながらない知恵を絞る。
保冷庫が冷えないという依頼があり,現調してみるとサーモスタットがいかれていた。ならばそのサーモを取り替えれば良い,簡単な話だがそれは製造元が普通に補修パーツを供給する体勢を整えていてくれれば、という前提があってのことだ。
使用されていたサーモは既に補修用の在庫がないと製造元からはアナウンスがあった。組み込み用のカスタムパーツと思われ,汎用パーツメーカーのカタログにはまず出ていなさそうなものだ。
困ったことにこのカスタムパーツであるサーモは庫内の温度調整だけでなく,複数の開閉接点を持ち,庫内温度の異常を感知して警報を働かせる役割を兼ねている。一つのサーモが三つの機能に関わることになる。
しかしこの、警報機能は結構てきとうであり,低温警報,高温警報共に感知温度に達したら間髪入れずにブザーが鳴るだけの代物だ。凍結を防ぐためにコンプレッサーを停止させる制御回路にはなっているわけではないし,設定温度10℃の高温警報にしてもドアを開いて物の出し入れをしていればそのくらいの庫内温度には簡単になってしまうだろうが、製品のパネルに印刷された能書きを眺めてみるとその時には警報を手動解除して放置しておくか、電源を一旦切って再投入すれば良いとあり、少々拍子抜けした。
少なくとも,これら壁面埋め込みの一見立派な保温庫や保冷庫は,現在温度がナースセンターでモニタリングされており,以上温度となった場合には移報機能が働いて修繕の対応を促すといった機能はない。
俺の考えは,この病院はあと数年後には移転してしまうのでその間冷える機能だけ働かせておけばいいではないかというものだった。大体,試しに警報を出してみて,それもブザーの音量を最大にしてみても手術室の自動ドアは物凄く頑丈な鉄扉であるためにドアが閉まっていると廊下にいてもさっぱりブザーの音が聞こえないのだ。本当に何のための警報機能なんだかわからん。
俺は手術科長殿と事務屋を相手に滔々と自説を述べ,ややこしい機能の同等品を探すのは手間取るし修繕費が高くつきそうなので今回は調達しやすい汎用品のサーモをを代替使用し,しょうもない警報機能は潔く諦めるべし,と押し切った。
それで修理は一月度に片付き,俺の口座には今月目出度くその金が振り込まれてくるわけだ,がしかし。
先月の中頃に手術科調には何か思うところがあったらしく警報機能を復旧するための追加作業を施してもらいたいとのリクエストが来た。追加の請求をあげさせてもらえるのかと事務方に尋ねてみると現場の要求だからいいようにしてあげてくださいとの気前のいい返事で、毎度ながら、日頃従事している給食分野での扱いとの落差に拍子抜けする。手術部門となるとやはり病院の中では稼ぎ頭だろうから言い分も通りやすいのだろう。
金のためとは言っても手術室などあまり足を踏み入れたくないのは関わり始めた当初から変わることのない気分だ。
庫内温度の低下、上昇の二温で警報を出すとなると更にサーモを二個追加となりそうだがここで俺はスケベ根性を出してもう少し気の効いた事をしてやろうとあれこれ思案した。
回路は単純を良しとするのが俺のモットーだから、比較的簡単に構想はまとまった。
いかれたサーモ二つは潔く取り払い、こういう場面では毎度俺を救ってくれる鷺宮のサーモアイを使う。
温調機能と警報機能を併せ持つ。他社にも同等品はあるが俺の場合はサーモアイが使い慣れているのでこうした出番に投入される機会が多い。
既に冷凍機の発停についてはサーモが一つついており,ここでサーモアイは内蔵する温調機能が重複することになる。1月につけたサーモを撤去しようかとも考えたがサーモアイの制御出力の接点容量は5Aで冷凍機の始動電流を考えると心許ない。
一旦,材料を調達して介する形でのコンタクターを買ってこようかとも思ったが,追加コストが発生して話がややこしくなるのでやめた。
サーモアイの実売価格は大体2万円くらいでインターフェイスはわかりやすく,ヤマ勘でいじくり回しても結構設定が容易であるがそれにしても、警報機能のためだけにこういう追加修理に決裁を頂けるとは,病院という組織の中で手術の現場スタッフの発言力は凄いものだと改めて妙に感心する次第。給食関連だったら絶対に撥ね付けられるに違いない。
場所も場所で,これまで何度か取り上げたことのある某総合病院の手術室だ。
厨房屋の俺が一体全体何の因果で某総合病院の手術室をうろつき回るようになったかについてはいずれ機会を見てぼやくことにして,元来筋金入りの怠け者であるこの俺がどうして土日や祝祭日に手術室での仕事のために重い腰を上げるかと言えばやはり金の力の偉大さによる。とは言え,病院の事務屋によれば俺の修繕費など医療商事会社から回ってくる請求書に比べると感涙ものの安さであるらしい。こんな事なら最初に手がけた時にもう少し高い単価設定にしておくべきだったと後悔するがもう手遅れだ。
毎度の使い回し画像である。本文とは関係ありません。
某総合病院には手術室が2ブロックあり一つは救命救急用のセクションが救急車の乗入れ箇所近くに3室とその二つ上のフロアーにICUと隣り合った手術科というセクションがある。こちらは全12室で各室に冷凍庫,冷蔵庫,保温庫が壁面埋め込みで取付けられており,その他血液保存や解凍,薬品類の保管などなど結構な数の冷蔵庫や温蔵庫があり,俺にとっては意外と稼ぎどころなのですよ。
手術室の造作はセントラル・ユニという会社が手がけている。
URL:http://www.central-uni.co.jp/
手術室関連の施工や機材については
http://www.central-uni.co.jp/products/operation/modular-system/
施工は13年前で,保温庫や保冷庫のスペアパーツについては数年前に供給が止まった。何でもそうだが俺のような野良犬業者に持ちかけられる相談にはこういう類いが多い。製造元はリプレースが進んで管理台数が減少してくると最低保有期間を盾に使用者をバンバン切り捨てていく一方,使用者は設備投資を惜しんで俺のようなもののところに無理難題を持ち込んでくる。俺は板挟みやら目先の金欲しさやらでもがきながらない知恵を絞る。
保冷庫が冷えないという依頼があり,現調してみるとサーモスタットがいかれていた。ならばそのサーモを取り替えれば良い,簡単な話だがそれは製造元が普通に補修パーツを供給する体勢を整えていてくれれば、という前提があってのことだ。
使用されていたサーモは既に補修用の在庫がないと製造元からはアナウンスがあった。組み込み用のカスタムパーツと思われ,汎用パーツメーカーのカタログにはまず出ていなさそうなものだ。
画像は本文とは関係ありません。
困ったことにこのカスタムパーツであるサーモは庫内の温度調整だけでなく,複数の開閉接点を持ち,庫内温度の異常を感知して警報を働かせる役割を兼ねている。一つのサーモが三つの機能に関わることになる。
しかしこの、警報機能は結構てきとうであり,低温警報,高温警報共に感知温度に達したら間髪入れずにブザーが鳴るだけの代物だ。凍結を防ぐためにコンプレッサーを停止させる制御回路にはなっているわけではないし,設定温度10℃の高温警報にしてもドアを開いて物の出し入れをしていればそのくらいの庫内温度には簡単になってしまうだろうが、製品のパネルに印刷された能書きを眺めてみるとその時には警報を手動解除して放置しておくか、電源を一旦切って再投入すれば良いとあり、少々拍子抜けした。
少なくとも,これら壁面埋め込みの一見立派な保温庫や保冷庫は,現在温度がナースセンターでモニタリングされており,以上温度となった場合には移報機能が働いて修繕の対応を促すといった機能はない。
俺の考えは,この病院はあと数年後には移転してしまうのでその間冷える機能だけ働かせておけばいいではないかというものだった。大体,試しに警報を出してみて,それもブザーの音量を最大にしてみても手術室の自動ドアは物凄く頑丈な鉄扉であるためにドアが閉まっていると廊下にいてもさっぱりブザーの音が聞こえないのだ。本当に何のための警報機能なんだかわからん。
俺は手術科長殿と事務屋を相手に滔々と自説を述べ,ややこしい機能の同等品を探すのは手間取るし修繕費が高くつきそうなので今回は調達しやすい汎用品のサーモをを代替使用し,しょうもない警報機能は潔く諦めるべし,と押し切った。
それで修理は一月度に片付き,俺の口座には今月目出度くその金が振り込まれてくるわけだ,がしかし。
先月の中頃に手術科調には何か思うところがあったらしく警報機能を復旧するための追加作業を施してもらいたいとのリクエストが来た。追加の請求をあげさせてもらえるのかと事務方に尋ねてみると現場の要求だからいいようにしてあげてくださいとの気前のいい返事で、毎度ながら、日頃従事している給食分野での扱いとの落差に拍子抜けする。手術部門となるとやはり病院の中では稼ぎ頭だろうから言い分も通りやすいのだろう。
金のためとは言っても手術室などあまり足を踏み入れたくないのは関わり始めた当初から変わることのない気分だ。
庫内温度の低下、上昇の二温で警報を出すとなると更にサーモを二個追加となりそうだがここで俺はスケベ根性を出してもう少し気の効いた事をしてやろうとあれこれ思案した。
回路は単純を良しとするのが俺のモットーだから、比較的簡単に構想はまとまった。
いかれたサーモ二つは潔く取り払い、こういう場面では毎度俺を救ってくれる鷺宮のサーモアイを使う。
温調機能と警報機能を併せ持つ。他社にも同等品はあるが俺の場合はサーモアイが使い慣れているのでこうした出番に投入される機会が多い。
既に冷凍機の発停についてはサーモが一つついており,ここでサーモアイは内蔵する温調機能が重複することになる。1月につけたサーモを撤去しようかとも考えたがサーモアイの制御出力の接点容量は5Aで冷凍機の始動電流を考えると心許ない。
一旦,材料を調達して介する形でのコンタクターを買ってこようかとも思ったが,追加コストが発生して話がややこしくなるのでやめた。
サーモアイの実売価格は大体2万円くらいでインターフェイスはわかりやすく,ヤマ勘でいじくり回しても結構設定が容易であるがそれにしても、警報機能のためだけにこういう追加修理に決裁を頂けるとは,病院という組織の中で手術の現場スタッフの発言力は凄いものだと改めて妙に感心する次第。給食関連だったら絶対に撥ね付けられるに違いない。
病院は予算有りますね!、、、
以前、院長先生から学会発表の為、人体模型のスライド撮影を依頼され販売したら、「こんなに安いのか?」と言われ{しまったー!}と思いましたが、、、
また、大理石大手販売会社の社長さんから「富士山の写真を別荘に飾るから頼む」と言われ販売も、これまた同じ事に、、、
価格の設定は難しいのは本業でも同じです(苦笑)。
by 007 (2014-03-23 16:20)
007様,いつもコメント有り難うございます。
今日日,病院経営は決して楽なものではなさそうに私には見えていますが,飲食関係の店舗よりはまだ幾らかマシではあります。
医者や看護士の発言力は大きいので事務方は大人しく従っているというのが私の受け止め方です。
by HarryTuttle (2014-04-01 13:45)