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ハイパーレンチの事(モンキーレンチ考 その2) [便利そうな商売道具]

 記事が尻切れとんぼになりがちなのは一生治らない悪い癖だ。
本業が少し空いてきたのでぬけぬけと続きを書く事にする。

(前記事)http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2011-11-02

 役所の定める規格や基準なんていうのはいつも結構てきとうだし時代遅れなもんだ。JIS規格とやらもまた然り。
 モンキーレンチにもJIS規格の適用はあるらしい。作業場の肥やしになっている道具類をひっくり返してみると何本か,グリップにJISの打刻があるモンキーが出てきた。
 しかしこれらを今後,大真面目になって仕事の場面で使う事はない。ある時からの俺にとってJISの打刻があるモンキーというのは標準的なスペックを満たしているという意味ではなく時代遅れで使い物にならないというニュアンスを持つものだ。
*重い *でかい *ジョーの開き方が足りない *バックラッシュがでかい


 使っていていいことなんか一つもないのだ。
 俺は「弘法筆を選ばず」の境地に達した達人でなど全然ないので自分の仕事の補助としてやはり道具にはある程度気を使う。

 俺の常用するモンキーレンチはトップ工業のハイパーレンチである。150mmから300mmまで4サイズをいつも最低限2本ずつは手元に置いておくことにしている。














 ウォームギヤに工夫があり,モーメントが加わると二分割されたウォームギヤが互いに外方向に広がってバックラッシュを極小に押さえる。
 他のメーカーからもなめにくい機構のモンキーは発売されている。俺が試しに買ってみたのはロブテックスのモンキーだったが正直なところ使えないモンキーである。

関連記事:X-Driveってそんなにいいものなのか?(モンキーレンチ考 その1)
http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2011-11-02

 X-Driveの何が問題なのかは別の機会に書いておくことにする。

 ハイパーレンチの登場は20数年前で,俺は協力会社の設備屋さんからその存在を教えてもらった。
当時はまだまだJIS規格のモンキーレンチが主流で,ハイパーレンチは1サイズ上のモンキーと同じくらいジョーが開くところが売りだったのでみんなが飛びついたものだった。
 ハイパーレンチの登場以降,現場での目立った変化としては全長350mmのモンキーを見かけなくなった。ハイパーレンチであれば1サイズ短い全長300mmで同等のジョーの開きが得られるので誰もでかくて重い350mmは持たなくなった。

 少なくとも俺の周辺では一世を風靡したかに見えたハイパーレンチもさすがに20年以上経つと他の製品に追いつかれ,或いは追い抜かれてしまったところも散見される。ジョーの開きの大きさや重量などでは既にもっと優れた製品も出てきたし,なにより狭い場所や入り組んだ場所用にと出てきたショートモンキーの普及度合いが半端なく,設備屋の手持ち道具はかなりの割合がショートモンキーに移行しているようだ。

 しかしそれでも俺の出入りする問屋のフロントからはいまだにハイパーレンチが消えないでいる。考えてみれば20数年モデルチェンジもカタログ落ちもなく生き残り続けているのだから凄い話だ。以前ほどの売れかたではないが指名買いが多い商品なのでなくせないという。かく言う俺のそのうちの一人なのだが。
 色々なスペックは色あせたものになってしまったがいまだに他の製品がどれも追いつけないのはボルトやナットのなめにくさ,バックラッシュの小ささでこれに関しては後発のX-Drieでさえも全然敵わない。

 具体的な業種としては冷媒管を扱う設備業者の間ではいまだにハイパーレンチの需要が消えないようだ。フレアーナットや各種のヤクモノなど砲金の部材を扱うことが多いので現実的な選択肢の範囲内でモンキーを選ぶとなると消去法的にというか自動的にというかいまだにハイパーレンチとなる。
 俺のツールバッグを眺めてみて気づいたがこの20年くらいの間,変わることなしにずっと使い続けてきた唯一のハンドツールがこのモンキーである。
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