So-net無料ブログ作成

ドライキッチンと燃焼器具との相性 [修理屋から見た厨房機材]

 某病院の給食室に設置された食器洗浄機は俺が会社員だった頃に納入させて頂いたIHI JMD-4Cで、丁度稼働歴が二十年となった。

 一年365日,三食欠かさずの病院給食用途で稼働し続けて20年、途中何度かマイナートラブルがあったとは言え,中々立派な戦績ではないか、と自画自賛してみたくなる。
 稼働歴20年の根拠として思いあたるのは設置場所がドライキッチンだから,というのは結構有力だと思う。4Cは制御用にプリント基板が本体に収まり,すすぎ湯の熱源はガス(はじめは4Cで後に13A)であるが,着火用のイグニッション動作と点火保持用に一つと,操作用とでガスブースターに二つの基盤が収まっている。
 いうまでもなく湿気はプリント基板にとっての天敵だからして,稼働条件としてドライキッチンは有利だ。他の強電系のパーツ諸々についても同様で,総じてドライキッチンは電気系のパーツにとっては有利である。
 但し燃焼機器にとってはどうかと言うと必ずしも好ましくないのではないか。

 某病院からの修理依頼は電源投入後,すすぎ湯のガスブースターの点火動作がされずにすぐに失火の警報が出るというものだった。
 現場に入ってガスブースターのケーシングを外してみると中々激しい状態だった。
131218_1454~01.JPG

 ものの見事に煤だらけである。排気筒近くのタイル張りの壁にも煤けた跡がある。また,ガスブースターの表示灯はAC100Vで点灯する仕様だが電源投入と同時にうすぼんやりと光り,明らかに挙動としてしておかしい。

 外装板を取り外してみると理由が判明した。
131218_1456~01.JPG

端子台に付着し,堆積した埃に不完全燃焼時に発生した埃が乗り,真っ黒になっている。諸兄ご存知の通り炭素には導電性があるのでμAオーダーのフレーム電流が正規の回路を経由せず,迷走するのでこのような誤動作が発生したというわけだ。

 バーナーを取り外してみるとこれもひどい状態で混合管の中にまでびっしりと綿埃が入り込んでいるので掃除は中々手がかかる。スパークロッドとフレームロッドはいずれも絶縁碍子まで煤だらけで俺は自分の所見に確信を持った。
131218_1504~01.JPG


 修繕についてはここまでとして,どうもドライキッチンというのは誤解されていはしないか?
ドライだから床の水まき清掃をしなくていいという事にはならないという理解はどこまで周知されているのかという疑問を常々俺は抱いている。
 何を隠そうこの俺自身がそのような誤解をしたまま過去に於いては設備設計なり施工管理をしており、結果としてここにあげるような障害を生み出す周辺環境を提案していたのだから全くもって恥じ入るばかりと言うか自業自得と言うか,とにかくみっともない話だ。

 当然ながら燃焼器具は発熱のために空気を要する。そして大気は必ず埃を浮遊させている。
ドライキッチンという調理環境がまだなく,厨房という場所はゴム長靴をはいて歩き回り,清掃は必ず床に水を撒くものだというのが通念だった頃は埃の浮遊が押さえられていたためここで取り上げるような不完全燃焼によるトラブルはドライに比べて少なかった。代わりに湿気による錆などの劣化はドライよりも著しかったが。

 燃焼器具の多くはそういう時代背景のもとに作られているのであって,埃が多く浮遊しているような周辺環境を想定していない。石油ストーブなどの暖房機器は既に当然のように燃焼系統に埃が混入する事で発生する不完全燃焼を防ぐ意味で吸気箇所にフィルターが取付けられているが厨房機材の燃焼器具でそのような配慮はされていないのが現状だ。

 そうしてみると、少なくとも現状ではドライキッチンでの熱源は電気が無難ではある。というかドライキッチンだから衛生作業時に水を撒かなくても良い,掃き掃除だけで良いという考えがまかり通っているのだとすればそれは早急に改められなくてはならないだろう。煤だらけで真っ黒になった燃焼器具の整備費用は安くはないのだぞ。
nice!(0)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 3

くるみ

そんな落とし穴があったのですね!?ウェットからドライへの移行は、細菌の問題や二次感染防止、従業員の体の負担軽減があるようです。確かにゴム長靴や防水の前掛けとゆう鎧を脱いだら 楽になりました(笑) でも床をデッキブラシでこすり水を流した頃は、何だか綺麗にお掃除出来た気がして楽しかった記憶があります(^o^)/。時代の流れに機器等の順応はかなり遅いのかも知れませんねm(__)m。
by くるみ (2013-12-22 02:36) 

DW

先日、弊社の洗浄機用ブースターで失火&着火異常(小爆発?)があり、確認した所、スパークロッドのケーブル劣化で中が半分むき出しとなっており、断線しかかっていました。ガス機器の修理対応は毎回冷や汗ものです。。。
by DW (2013-12-22 06:57) 

HarryTuttle

DW様、コメント有り難うございます。
 燃焼器具にとって最悪の周辺環境は、例えば住宅を改修した店舗でオープンキッチン、といった場合だというのが私の経験則です。
 屋外とはドア一枚の隔たりしかないので埃はどんどん入ってくる上に床は水が撒けず、換気は貧弱です。
 おまけにそういう店舗を始めるオーナーはしばしば中古機材をかき集めてくるので整備の行き届いていないブツにあたった人は・・・御愁傷様といったところですね。

by HarryTuttle (2013-12-22 10:12) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。