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飲食店の経営とネットの影響力について愚考する [日記、雑感]

まずは元記事。出典は朝日新聞デジタルで記事名は「悪ふざけ画像投稿で閉店、多摩のそば店が破産手続き」
URL:http://www.asahi.com/national/update/1018/TKY201310180496.html?ref=dwango

以下,記事全文のコピペ
 帝国データバンクは18日、東京都多摩市馬引沢2丁目のそば店「泰尚(たいしょう)」が、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けたと発表した。アルバイトの男子大学生が、店内の大型食器洗浄機の中で横たわった画像を交流サイト・ツイッターに投稿した後、閉店していた。負債総額は約3300万円。 食の現場で「悪ふざけ」  決定は9日付。帝国データバンク東京西支店などによると、8月、男子大学生が画像をツイッターに投稿したところ、インターネット上で批判が殺到。店には衛生面で苦情電話が相次ぎ、閉店に追い込まれた。  同支店は「業績はもともと厳しかったようだが、ツイッター投稿が倒産の引き金になった可能性はある」と分析している。  泰尚は1984年創業。一時は町田市にも2店舗を構え、2011年5月期の売上高は約1億2千万円あったが、創業者が昨年亡くなり、経営が悪化していたという。

 
色々と考えさせられるところの多い記事ではある。
 まず第一に,「何を言っているのか」と同じくらい「誰が言っているのか」を考えたい。飲食店の閉店自体は市場に置いて特段珍しい話ではなく,日常茶飯事と言ってもいいほど年がら年中あちこちで起こっている。絶えず出来ては消え,の業界であることは同業者の諸兄には充分承知と思う。
 こう言っては失礼だが,たかだか蕎麦店一件の閉店に天下の朝日新聞が一記事を起こすほどのことがあるのかという疑問が俺にはある。そして文面からは容易に読み取れるが、大枠の意図とは「ネットというのはいかがわしくてけしからんものだ」だろう。これは決して極論ではなく,この一件にインターネットが無縁で単なる経営不振だけであったなら記事になることもなかったのではないかと俺は考えている。

 新聞業界は色々な意味で低落傾向にあり,既に数年前に金額ベースでは広告の出稿量をインターネットに抜かれて第三位に転落したという話を聞いたことがある(出典は覚えてません)。因に第四位は週刊誌,第一位はテレビとのことだ。
 俺の個人的意見をここで開陳させてもらうと,新聞が『社会の木鐸』であった時代などとうの昔に終わっていて今や典型的な御用メディアであり,殆ど大本営発表みたいなことしか伝えていないと思っている。だから数年前,俺は新聞の購読をやめた。それで特に生活に不便を生じているわけでもない。
 文面を良く読むと,件の蕎麦店は昨年来業績が芳しくなかったようだ。バカ学生のツイッター投稿によってネット上での炎上があったことは事実だがそれが倒産の直接の原因だという確証はなく,「引き金となった可能性がある」に過ぎない。だとすればヘッドラインの文句は何なのか。インターネットなどというメディアは胡散臭い,いかがわしいものなのだとこじつけたい印象操作の意図を感じるのは俺だけではないはずだ。

 考えてみると俺のネット歴ももう10年以上になる。思い返すに,確かにインターネットというのは新聞やテレビが事あるたんびに喧伝するようにいかがわしかったり胡散臭かったりするし、わけの分からんトラップがそこら中にまき散らされている世界ではある。しかしそれらは良くも悪くも自由さの現れとは言えないか。
 俺のこの糞ブログにしても,以前書いたように現在一日当たり1000件を超えるアクセスがあるわけだが現実世界に於いてここにそれだけの数の受け手がいるとは到底考えられない。本にして出版する程の内容でないのは誰よりもこの俺自身が自覚しているしここに書いた事を言葉として話したところで最初の三行分位を聞いたところで聞き手は退屈して話題を変えたがるに決まっておる。

 直接間接に読者からお金を頂けるような内容ではないが,とにかく天に向かって何事かを喚き散らしたい。それに反応する誰かさんが現れて来るかもしれない。但し,誰がどんな反応を示すのかは予想のつかないところがある。俺にとってインターネットでブログ記事を書くというのはそういう事で,今様にいうリテラシー,少々突き詰めた言い回しだとインターネットという世界での行動作法を弁えていれば,そこそこ円満な自我領域は形成でき,地雷を踏んだり炎上したりといった不幸を避けて通れるもんだ。
 
 喩えるまでもない事だが,自由の大きさとはリスクの大きさでもあると俺は思う。テレビや新聞といったメディアとインターネットを市街地に喩えてみると前者は安心して用足しが出来るが立ち入り禁止で封鎖されている小路が幾つもあり,用足しの範囲は制限されているし往来で少しでも変な挙動をしているとすぐにお巡りが飛び出してきて職務質問される。対して後者は思いつく限りの用足しは可能でどこでも好きな所に行けるが往来のあちこちにカツアゲやひったくりを狙うロクデナシがたむろしている,といった感じだろうか。
 どちらを良しとするかはその人の考え方次第だが,俺は後者が好ましいと考えている。確かにいえるのは両者は全く異なる行動様式を求められるのであって,テレビのニュース番組を見ながら一くさり文句を言うのとネット上の掲示板やブログに投稿するのとでは、当然ながら全く異なる反応が現れる。

 この辺りについては俺のしょうもない駄文などよりはしかるべきプロのテキストを読まれた方が有益だろうと思われるのでリンクを貼付けておく。
阿修羅掲示板,「バイト君の愚行とオトナの炎上  小田嶋 隆」
http://www.asyura2.com/13/senkyo153/msg/223.html

 そもそもインターネットはコンピューターの世界でいえばUNIXの世界であり,世界のありようはオープンであったもののその住人と言えば殆ど皆コンピューターの研究者をはじめとしたその道の専門家であり,狭い中ではあるもののモラルや調和が保たれていた。
 パソコンが32ビット化を果たした事でそれは拡大し,取っ付きは良くなったが同時に行儀の悪い門外漢や匿名性をいい事に悪さを目論むロクデナシも入り交じって殺到した事で混沌も生み出した。
 そして今また,パソコンとは縁遠かった情報弱者がスマホを足がかりに入り込み,混沌は更にスケールアップしているのが現況なのだろう。何の世界でもそうだが,底辺層とか素人に迎合するようになるとその世界は混沌の度合いを増してくるものだと俺はいつも考えている。(この項続く)
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くるみ

毎回楽しく拝見いたしますが 今回もとても興味深く考えさせられる記事でした。テレビよりはネットの方が自分の知りたい事を選択しやすそうですね?テレビはニュースよりワイドショーが多いです(見ちゃいますがf(^^;)。飲食店従業員の投稿、憤慨ですが 便乗してかお客様サイドのヒドイのもありますねm(__)m 世界遺産に落書きの様にそんな形でも自分の生きた証を残したいのでしょうかね…。そのお蕎麦屋さんは、閉店の理由、きっかけが出来て良かったのかもしれませんね!?。今後、閉店の言い訳に やらせも出てきたりして(>_<)。
by くるみ (2013-10-22 00:59) 

63H

忙しいのかな?
最近更新無いですね。
by 63H (2013-11-27 08:52) 

HarryTuttle

63 H様,ご無沙汰しております。

再起動,という程ではありませんがスリープモードが終了といったところです。またよろしくお願いいたします。
by HarryTuttle (2013-12-12 11:45) 

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