ホシザキ製ガス式スチコンの衝撃 [修理屋から見た厨房機材]
ついに来たか,という印象だな。ホシザキという会社は本当にタフだと思う。
業務用厨房機材の業界に於けるホシザキの位置づけはパソコン業界でいうとマイクロソフトに似ていると以前から俺は考えていた。
みんなの嫌われ者だが誰もが服従する。ドラえもんの登場キャラでいえばジャイアンみたいな存在だ。
原発の事故以来,電力事情については色々言われる中で俺が考えていたのは燃焼器具のありようが見直されて復権を果たすのではないかということだった。俺自身は調理の熱源は何だかんだ言って結局は燃焼器具が中心だろうというスタンスの持ち主だ。
そんな中でやはり各地のガス会社は『涼廚』(「りょうちゅう」と読むのだ。変なネーミングだぜ)というキャンペーンを張って高い燃焼効率とか輻射熱の低減に取り組む各機材メーカーを宣伝している。
東京ガスの配布する冊子にでかでかとホシザキの新製品が掲載されているのを目にするとこの業界は大きな転換点にさしかかっているのではないかとクソ真面目に思う今日この頃。元々は製氷機のメーカーに過ぎなかったホシザキはだんだん守備範囲を拡げて冷機器全般を征し,今や衛生機器や電熱器機にまで領土を拡大した。そして今度は燃焼器具という厨房機材の中では大きな柱を成す分野にその手を伸ばし始めたというわけ。
ボックスタイプの食器洗浄機に組み込まれているブースターの熱源がガスである,という事例を除いてホシザキが燃焼器具を正面きってPRするのは初めてではないだろうか。
URL:http://www.hoshizaki.co.jp/p/new/cookeverio/topic.html
ガス式のスチームコンベクションオーブン(以下スチコンと略す)である。燃焼器具の分野をいつまでも指をくわえて見ているはずはないと俺は以前から見ていたがやっぱりやってきた。
燃焼器具への本格参入がガステーブルやフライヤーではなくスチコンだというところに脅威を感じない同業メーカーはとっとと会社を畳んだ方が良い。
十数年前に単品販売から総合厨房の設計施工に乗り出し,燃焼器具を購入する超大口バイヤーであった会社が今度は『こんなものは幾らでも内作出来るんだぜ』と迫ってきているのである。スチコンは作れるがガステーブルは作れないなんていうことは絶対にない。
それどころかスチコンで先行する国内各メーカーのうち,この製品と同等のものを作れる会社は一体どのくらいあるのかと思う。
2/3サイズのホテルパン仕様の大半は電気加熱ではなかっただろうか。この筐体サイズにガスバーナーを組み込むのは実装技術としてかなり大変なはずだ。
俺の予想だがこの製品は売れる。間違いなく売れる。バブル崩壊後の長い不況の中で皿洗いのおばさんの人件費削減マシ−ンとして離島や山奥のスナックにまで食器洗浄機を売りまくって業績を伸ばしたように今度はホシザキは調理師の横着マシーンとしてこの製品をどんどん普及させていくだろう。
熱源がガスだから内線工事はまず必要ないだろう。しかも小型で安い。想定できる購買層は既存の小規模店舗である。飲食店に限らず店内調理を行うコンビニもターゲットに含まれているに違いない。小規模の商業店舗は今のところ大きな施設ほどにはスチコンが普及していない上にその分野こそは元々ホシザキが最も得意とする市場だ。
総合厨房を手がける従来からの厨房屋のうち,冷蔵機器を自前で開発し,社内に冷媒管系統の修理業務をこなせるスキルを持った社員を抱えるところは殆ど全くいっていいほどない。ホシザキという会社はその逆のプロセスを辿りながら今日の規模まで肥大し続けてきたわけだがこうして自社製品が広範囲にわたってくると全ての修繕を一人のサービスマンがこなせるのかという課題が出てくる。これに対してはサービスマンの分業化という変化で対応してくるだろう。現状に於いても全ての厨房屋が束になってかかってもかなわないほどの人員数を擁しているのだから充分実現可能な運営体勢だ。
燃焼器具への参入に対して板金屋からスタートして現在に至った同業他社が抵抗感を持つことは充分予想できるし,それは自社で手がけるプランニングに於いてはホシザキの製品を出来るだけ排除するという反動として現れることもあるだろうがホシザキはもはやバブル時期以前の単なる製氷機と冷蔵庫の会社ではない。その頃だって既に業務用の厨房機材業界の中では飛び抜けた規模だったが今やその比ではない。厨房屋の二つや三つ取引関係が断絶したからといって痛くも痒くもないだろう。
ホシザキの側からすると恐らくもはや同業他社との競合云々などというのは眼中にない。彼らのテーマはガスレンジと焼き物機で回っている個人店舗のオーナーをどうやって説き伏せて契約書にはんこを押させるかしかない。
恐らく今後,スチコンについてホシザキの販促活動は食器洗浄機での成功例をなぞる形になるだろう。
現状の2/3サイズの小型機を個人店舗やコンビニ,居酒屋チェーンといった比較的少量の調理であるバイヤーに浸透させた後,フルサイズのホテルパンを使う大型機を新機種として製品バリエーションに加えて過去20年納められ続けた他社製品のリプレースを次々とものにして行くだろう。俺はかなりの確信を持っているが,ホシザキは現在,食器洗浄機の分野で占めているのと同じかそれ以上の足場を今度はスチコンの分野で得ることになる。そこまでいけばガステーブルやフライヤーといったより汎用性の高い原始的な加熱機器の市場獲得など赤子の手を捻るようなものだ。保守を要する厨房機材は全てペンギンマークである厨房がそこら中に存在するようになるのはそんなに先の話ではない。
ブレーキをかける要因は既に同業他社の製品開発能力や販売力にはない。あるとすれば国内的には使用者の購買意欲がどうやっても喚起できないくらい全体的な景気の沈滞が長く続くか、もっとグローバルな視点で言えば海外製品が価格や何らかの規制撤廃によって国内市場に参入し,スチコンに限らず国内の厨房機材製造元全てに対抗してくるかくらいだろう。
業務用の厨房というのは,機能を持つ機材は全てペンギンマークで,その保守業務はホシザキのサービスマンによって独占的に管理されなければならないと彼らは言っているのである。
業界全体の趨勢はホシザキ一社だけが勝ちまくって他は総崩れの構図がこれでいよいよはっきりしてきた気がする。
業務用厨房機材の業界に於けるホシザキの位置づけはパソコン業界でいうとマイクロソフトに似ていると以前から俺は考えていた。
みんなの嫌われ者だが誰もが服従する。ドラえもんの登場キャラでいえばジャイアンみたいな存在だ。
原発の事故以来,電力事情については色々言われる中で俺が考えていたのは燃焼器具のありようが見直されて復権を果たすのではないかということだった。俺自身は調理の熱源は何だかんだ言って結局は燃焼器具が中心だろうというスタンスの持ち主だ。
そんな中でやはり各地のガス会社は『涼廚』(「りょうちゅう」と読むのだ。変なネーミングだぜ)というキャンペーンを張って高い燃焼効率とか輻射熱の低減に取り組む各機材メーカーを宣伝している。
東京ガスの配布する冊子にでかでかとホシザキの新製品が掲載されているのを目にするとこの業界は大きな転換点にさしかかっているのではないかとクソ真面目に思う今日この頃。元々は製氷機のメーカーに過ぎなかったホシザキはだんだん守備範囲を拡げて冷機器全般を征し,今や衛生機器や電熱器機にまで領土を拡大した。そして今度は燃焼器具という厨房機材の中では大きな柱を成す分野にその手を伸ばし始めたというわけ。
ボックスタイプの食器洗浄機に組み込まれているブースターの熱源がガスである,という事例を除いてホシザキが燃焼器具を正面きってPRするのは初めてではないだろうか。
URL:http://www.hoshizaki.co.jp/p/new/cookeverio/topic.html
ガス式のスチームコンベクションオーブン(以下スチコンと略す)である。燃焼器具の分野をいつまでも指をくわえて見ているはずはないと俺は以前から見ていたがやっぱりやってきた。
燃焼器具への本格参入がガステーブルやフライヤーではなくスチコンだというところに脅威を感じない同業メーカーはとっとと会社を畳んだ方が良い。
十数年前に単品販売から総合厨房の設計施工に乗り出し,燃焼器具を購入する超大口バイヤーであった会社が今度は『こんなものは幾らでも内作出来るんだぜ』と迫ってきているのである。スチコンは作れるがガステーブルは作れないなんていうことは絶対にない。
それどころかスチコンで先行する国内各メーカーのうち,この製品と同等のものを作れる会社は一体どのくらいあるのかと思う。
2/3サイズのホテルパン仕様の大半は電気加熱ではなかっただろうか。この筐体サイズにガスバーナーを組み込むのは実装技術としてかなり大変なはずだ。
俺の予想だがこの製品は売れる。間違いなく売れる。バブル崩壊後の長い不況の中で皿洗いのおばさんの人件費削減マシ−ンとして離島や山奥のスナックにまで食器洗浄機を売りまくって業績を伸ばしたように今度はホシザキは調理師の横着マシーンとしてこの製品をどんどん普及させていくだろう。
熱源がガスだから内線工事はまず必要ないだろう。しかも小型で安い。想定できる購買層は既存の小規模店舗である。飲食店に限らず店内調理を行うコンビニもターゲットに含まれているに違いない。小規模の商業店舗は今のところ大きな施設ほどにはスチコンが普及していない上にその分野こそは元々ホシザキが最も得意とする市場だ。
総合厨房を手がける従来からの厨房屋のうち,冷蔵機器を自前で開発し,社内に冷媒管系統の修理業務をこなせるスキルを持った社員を抱えるところは殆ど全くいっていいほどない。ホシザキという会社はその逆のプロセスを辿りながら今日の規模まで肥大し続けてきたわけだがこうして自社製品が広範囲にわたってくると全ての修繕を一人のサービスマンがこなせるのかという課題が出てくる。これに対してはサービスマンの分業化という変化で対応してくるだろう。現状に於いても全ての厨房屋が束になってかかってもかなわないほどの人員数を擁しているのだから充分実現可能な運営体勢だ。
燃焼器具への参入に対して板金屋からスタートして現在に至った同業他社が抵抗感を持つことは充分予想できるし,それは自社で手がけるプランニングに於いてはホシザキの製品を出来るだけ排除するという反動として現れることもあるだろうがホシザキはもはやバブル時期以前の単なる製氷機と冷蔵庫の会社ではない。その頃だって既に業務用の厨房機材業界の中では飛び抜けた規模だったが今やその比ではない。厨房屋の二つや三つ取引関係が断絶したからといって痛くも痒くもないだろう。
ホシザキの側からすると恐らくもはや同業他社との競合云々などというのは眼中にない。彼らのテーマはガスレンジと焼き物機で回っている個人店舗のオーナーをどうやって説き伏せて契約書にはんこを押させるかしかない。
恐らく今後,スチコンについてホシザキの販促活動は食器洗浄機での成功例をなぞる形になるだろう。
現状の2/3サイズの小型機を個人店舗やコンビニ,居酒屋チェーンといった比較的少量の調理であるバイヤーに浸透させた後,フルサイズのホテルパンを使う大型機を新機種として製品バリエーションに加えて過去20年納められ続けた他社製品のリプレースを次々とものにして行くだろう。俺はかなりの確信を持っているが,ホシザキは現在,食器洗浄機の分野で占めているのと同じかそれ以上の足場を今度はスチコンの分野で得ることになる。そこまでいけばガステーブルやフライヤーといったより汎用性の高い原始的な加熱機器の市場獲得など赤子の手を捻るようなものだ。保守を要する厨房機材は全てペンギンマークである厨房がそこら中に存在するようになるのはそんなに先の話ではない。
ブレーキをかける要因は既に同業他社の製品開発能力や販売力にはない。あるとすれば国内的には使用者の購買意欲がどうやっても喚起できないくらい全体的な景気の沈滞が長く続くか、もっとグローバルな視点で言えば海外製品が価格や何らかの規制撤廃によって国内市場に参入し,スチコンに限らず国内の厨房機材製造元全てに対抗してくるかくらいだろう。
業務用の厨房というのは,機能を持つ機材は全てペンギンマークで,その保守業務はホシザキのサービスマンによって独占的に管理されなければならないと彼らは言っているのである。
業界全体の趨勢はホシザキ一社だけが勝ちまくって他は総崩れの構図がこれでいよいよはっきりしてきた気がする。
ペンギンさんは確かに以前は製氷器、冷凍冷蔵庫で どこで働いても見てました。次のジャンルに参入…大手は凄いですね(^^; それにしても 先読みの洞察力は流石ですね(^-^)b 経済誌のコラムを読んでる気分です(^o^ゞ
by くるみ (2013-03-21 10:41)
海外製厨房機器といえば「あの」ハンバーガーチェーンが国際調達を進めていて板金ものが最近は海外製に置き換わっていますね。強制的に価格も決められ、ほとんど支給品みたいなもんなのでまったくうまみがなくなったと皆さんぼやいています。
3社のうち、日本進出時からの付き合いであった業者はついに脱落してしまいました。冷え物も海外製に切り替えるようなので、はたしてメンテはどうなるのだろうか・・・と気になるところです。
by nil (2013-03-23 23:08)
2/3サイズなんて小っせぇなって思いがちだが、実際使ってみるとこれで充分だと思います。
某メーカーもどきの商社からわざわざ1/1サイズを横挿しにして奥行き面積を少なくしコンパクトにしたという機種が出ておりますが、1/1の時点で全然コンパクトでないし、使い勝手もペンギンさんのと比べると雲泥の差です。
お客様に自身を持ってなんて、内心とても御奨めできません。
あんなポンコツ売らなきゃならないなんて、まるで詐欺師同然ですなw
by きたぞう (2013-03-29 01:01)
くるみ様、いつもコメントありがとうございます。
ホシザキという会社は業務用厨房機材業界内のガリバーである一方,電機メーカーになろうとしてなれなかった会社という一面も持っています。
そのありようは消費者の最大公約数を反映しているものであり,これから先もこのブログでは素人なりの分析を進めていきたいと思っています。
by HarryTuttle (2013-04-03 22:04)
nil 様,コメントありがとうございます。
「あの」ハンバーガーチェーンについては私は以前,シェルグリドルの修繕をやっていましたが数年前に国内メーカーからアメリカ製ガーランドの製品にリプレースされるようになり、全体的にタニコーが主導権を得つつあるようですね。
負け惜しみで言うわけではありませんがタニコーに頑張ってもらうしかないです。会社総体の体力で言えば何とか乗り切るのではないでしょうか。
by HarryTuttle (2013-04-07 02:13)