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だんだん似てくる [修理屋から見た厨房機材]

 某食品スーパーのバックヤードにてガスフライヤーの修理を行ったのが数日前。
意外にも製造元はフジマックである。ホテルやレストランでは一定の地位を保っているフジマックだが流通業界のバックヤード分野ではメジャーとは言えない。

 このスーパーは以前,経営母体が現在の某社となる前はサンウェーブ系列のSWキッチンテクノが修繕の業務を請け負っていたはずで,その頃は俺も何度か仕事に来たことがある。
 今回はフジマックからの依頼な訳だが,バックヤードを見渡してみるとスチームコンベクションなどはフジの製品が納められており,総体に色々なメーカーが混在している印象だった。

 フライヤーの障害はハイリミットサーモの不具合でパイロットバーナーが点火保持しないというもので、作業としてはさほど難易度の高いものではないところが妙に嬉しい。
 昨年あたりだったと思うがガスフライヤーはしばらくぶりにモデルチェンジを行い,見た目の印象はだいぶ変わった。

製造元URL:http://www.fujimak.co.jp/contents/hp0179/list.php?CNo=179&ProCon=33
FGF18NB_1.jpg

画像は本文とは関係ありません。


 破損したハイリミットサーモについては書いておきたいことがあるがそれは後日に譲るとして,これまでずっとキャビネット形式の外装だったフジマックのフライヤーはパイプ脚のスカスカした外見になった。
 バーナーや中間パイプはこれまで数度のモデルチェンジの過程でずっと変わらずに同じ形状や構造が継続されていたが現行品からは一新されている。新形状によって熱効率が上がり,燃料消費が従来比で5%節約できるようになったという。
 初期のフジマックのフライヤーはガス関係のヤクモノにロバートショウの高価なパーツを惜しげもなく採用しており,恐らく同業者中では最も金のかかった豪勢な造作だったと思う。油槽を含めた筐体の造りといいガスコントローラーの品質といい輸入品と比較しても遜色はなかったのではないか。現に,未だに当時の個体が結構な割合で生き残っており30年くらい前の個体の修理依頼がいまだにある。しかもそのパーツの殆どは汎用品なので修繕には何の問題もない。そんな選品作りではあったが会社の性格上,フライヤー単体を大々的にプロモートすることがなかったので単一機器としてはリーディングカンパニーとなるには至らなかった。

 翻って現行品を修理するにあたり,内部を仔細に眺めてみると単体メーカーの製品を意識した選品作りになってきた感はある。
 初期の製品にあったいい意味でのやり過ぎ感はもうない。大体10年くらいの製品寿命を想定して最適化をきっちり詰めたのだな、と俺には見えた。
 筐体に頭を突っ込んで作業しているうちに俺は何だか妙な気分になった。初めて触る機種なのに何故か初めてのような気がしなかったからだ。以前どこかでこういう機体をいじくり回した記憶がある。
 それを思い出すのは結構簡単だった。操作系の構成といい,ガス配管のパイピングといい以前何度か修理したことのあるサミーのガスフライヤーと現在のフジマックの製品は大変似ていることに気づいた。

(株)サミーのHP:http://www.samy.jp/

 サミーのガスフライヤーは俺が世間様にデビューした頃からその外観が殆ど変わっていない。細部は時代の流れにそって色々変更なり改良が加えられているのだろうが見た目の印象は不思議なくらい変化がない。恐らくガス検の認証を得るためにハイリミットサーモが追加されたくらいではなかろうか。
 それはリリース当初の設計が四半世紀を超えて風化することなく現役として通用しているということであってこれはこれで凄い話だ。

 一時期はガスフライヤーが看板であった北沢の製品は十数年前のモデルチェンジに於いてすっかり面子丸つぶれのダメな製品になった。これは俺が北沢と好ましからざる関係にあるために感情混じりで書いていることではない。純粋に機械いじりを生業とする人間としての所見である。Dタイプ以降の製品はもう目を覆うばかりのひどさで,サーモ交換を行う時などは後からガス漏れが起こらないようにと祈るしかないくらい整備性に劣る。

 北沢の話などはどうでも良いが、現状各社のガスフライヤーを鳥瞰してみると結局,リファレンスというかスタンダードというかそういう構造はサミーの製品だったのかと俺は位置づけるようになってきた。 
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コメント 2

きたぞう

>Dタイプ以降の製品はもう目を覆うばかりのひどさで
その後の1型で円筒管の溶接部がバーナーの熱に耐えられず、亀裂が入って油漏れを起こすという致命的な欠陥を出してしまいましたから。
HarryTuttle先輩は御存知でしょうが、厳密には自社製造ではありませんし、製造元はD型の某N産業から1型はC型と同じ某M電気製に戻りましたが、上記の油漏れを起こしてから信頼はガタ落ちです。
by きたぞう (2013-03-25 04:00) 

HarryTuttle

きたぞう様、お久しぶりです。お元気でしたか?
 本文中,私はサミーの製品について書きましたが経験則としては北沢産業のCタイプこそが私にとっての標準というか最もいじり馴れた機種です。
 創業者である会長はしばしば「北沢は原点を忘れてはいけない,フライヤーが販売の柱でなければならない」と仰っておられました。
 当時私はそれを何と時代錯誤な,という気分で聞き流していたのですが今になってみると北沢産業の現状というのはD型のリリースを節目として変化しているように思えるのです。
by HarryTuttle (2013-04-03 21:36) 

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