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そんなに広告宣伝は大事なのか [困った客]

 本日時点での俺の長期売り掛けは以下の2件。
(1)性悪な同級生の件,売掛金約20万円。これはいずれ強制執行によって回収の予定
(2)某自営業者,売掛金3万5千円。うち2万円は入金。

(1)についてはこれまでの記事で何度か書いた。当初俺は彼との一件をこういうオープンな場所では明らかにせず,現実世界だけでの内密な処理を考えていたが交渉途中での余りにも不誠実な態度が頭にきたのでこれから先は逐一晒してやろうかと大変好戦的な気分になり始めている。

一万五千円でガタガタ言うのもしみったれた話だが今回俺は(2)について記事にする。

 その男はこれまでにも記事にしたことがあるが,俺が勤め人だった頃店舗のオープンを手がけた人で,その受注にあたっては当時彼の勤務先だった某ホテルの料理長様からのご推薦を頂いた。
 オープンしてから数年間経営は順調だったがある時期から運営は傾き始め,公私ともに荒んだ生活を過ごすようになった彼は現在,個人再生の適用を受けるべく色々と手続き中とのことだ。
 そういう中で,今年5月にその修理は発生し,売り掛けの回収は長引いたが9月に半金の入金はあった。色々な意味で彼の生活は切羽詰まっており,親分であるところの料理長様が現在経営するお店にもたまに来ては身辺報告があるらしい。

 そのお店は俺が度々ご厄介になる場所でもあり,20年来お世話になり続けてもいるので色々と当該人物の窮状を料理長殿から伺うことはある。
 オープン以来10年以上が経ったその得意先からは既に色々恩恵を蒙ってもいる俺はボスの話を伺ってやはり仏心が出たのでこのオーナーに電話した。

 電話が繋がるなりその人はうわずった声で残金は今月中に何とか支払うと切り出してきた。ボスから状況は伺っているので修理代の残金については俺の方からは催促しないと伝えると彼は震え気味の声で最近は何もかもがうまくいかないのだとぼやいた。俺自身にもそんな時間はあったが窮地に陥った人の語り口には何かしら共通するところがあるように思う。そのやり取りを俺は後日,ボスであるところの料理長殿にはお伝えしておいた。

 それからしばらくしてある日の午後,俺は料理長殿が現在経営するダイニングで遅めのランチをとっていた。
カウンターに陣取って奥さんと雑談しているとお店の電話が鳴った。件の売り掛けを棒引きにした人物が近況報告なのだろうが、お店にくるらしいとのことだった。
 電話から幾らも経たないうちにその人物は現れた。裏口から入ってきてバックヤードでかつてのボスと何事かを話し込んでいるようだった。ホールでランチをとっている俺にはそのやり取りはわからないし様子も見えない。
 しばらくしてからその人物は帰り,料理長殿は顔をしかめてホールに現れた。元部下のありようには複雑な思いがおありのようだ。ランチタイムは過ぎて休憩時間に入っていたので俺はしばらく居残って雑談した。
 料理長殿が曰く,その人物の人間性に疑問が残る。それはたった今のことにも現れているではないか。自分の借金を棒引きにしてくれたその人(俺だ)が今カウンターに座っているというのにバックヤードから出てきてお礼を言うどころか顔を会わせようともせず,ただただ自分の窮状を愚痴ったりぼやいたりする垂れ流しだけというのはおかしい。「あんな調子だから彼の周りからは人が去って行くんだろうね」と、料理長殿は視線を落とした。

 そう言われるまで俺は格段気にしていなかったが指摘されれば確かにそうだ。立場を入れ替えてみれば『金のことで配慮してもらってありがとうございます』くらいのことは言うわな。
 まあいい。愉快な気分はしないが彼が開業して以来,何かしらのお仕事は頂いてきたことは事実なのだから,そういう人なのだと受け入れるしかない。これから先のことはわからないが。

 更にそれから数日してのこと、元料理長殿のダイニングでこれまた遅めのランチをとっていると奥様がタウン情報誌の話題を教えてくれた。
 売り掛けを棒引きにしたその人の経営するお店とともに,冒頭書いた俺の同級生の店も共に,紹介記事に掲載されているのだという。
 タウン情報誌自体は無償で配布されるものだが,勿論それには背景がある。
あれはつまり広告であって,掲載される店舗なり企業は1ページ幾ら,一コマ幾らの掲載料を出版元に払っている。だからタダなのだ。
 その掲載料は恐らく一コマ2万円強だろう。掲載料は数ヶ月先まで支払いを塩漬けに出来るようなものではないし値引きの交渉も効かないのは当然のことだ。
 2件ともについて言えるが,既に工事なり修理なりを終えた俺に支払う金はないが情報誌の掲載費に回す金はあるということなのだな。

そういうことなのだな。

 明日をも知れない経営状態であっても
 個人再生適用中であっても
 強制執行を控えた身の上であっても

タウン情報誌には金を払い,広告を打って宣伝し,店は続けたい。

 税金は滞納して差し押さえを食らっても
 買い掛けを塩漬けにして頬被りする毎日を過ごしていても
 債権者が乗り込んできて苦情を申し立てても

売り上げが上がり,日銭が入ればそのうち何とかなるだろう,そんな目算で彼らは日々過ごしているのだ。まあ,勝手にすればいい。

 ここで俺は諸兄に伝えておきたい。あなた達が手にする情報誌のことだ。
そこにびっしりと並んでいる飲食店の広告,格安宴会プランだとかとっておきの新メニューが溢れ返るあの印刷物の裏には一定数,こういう背景事情で営まれている店舗がある。そして更にその奥には例えば俺のような,売り掛けを塩漬けにされたり踏み倒されたりして苦々しい気分でいる人達がいる。

 まあ,どんな業界でも一緒なのだろうけどね。金を巡る相克は絶えることがない。
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007

金在るのに払わない、、、居ますねオカシナ人物、、、
先ず子供の給食費を払わない親、、、でも子供は食べてる、、、
昔は給食費を払うのは専用の大き目な茶封筒を渡され、大事な・儀式・?の一つでしたが、、、親も子も恥ずかしい気持ちの欠如ですかね、、、

水商売系に多いのが、金を払いたくない精神の方、、、
個人宅でも上から目線で且つ金も払いたくない方、、、
でもマイカーは高級車が車庫に鎮座してたり、、、

払うにしても、催促にキレて、金を投げつけるように払う方、、、

故に金の使い方を知らない人間とは係わりを断つようにしていあます。
by 007 (2012-10-31 18:44) 

くるみ

お金に対する執着は個人差がありますが…まず支払うべき金銭を片付けてからの貯蓄なり売り上げですよね(;o;) 若い頃、ぱつぱつの貯金額で、(今でもそうですが(笑))次の日公共料金等の引き落とし額が足りないと夜も眠れず 朝イチで入金に行ったものでした。 そんな当然払うべきお金を払わないで 自分の事が嫌にならないのでしょうかね(^^; その分、周りの人達が嫌気がさし、離れていくのでしょう。…それでも生き延びる人がいるのが、悲しい世の中ですねm(__)m。…ここで追伸も失礼ですが、いつもコメントにコメントを有り難うございます(^-^)。♪
by くるみ (2012-10-31 23:20) 

HarryTuttle

007様,コメント有り難うございます。
取りかかる時だけ調子のいいことを言っておきながら支払いの段になると渋くなる人というのは本当に困り者で,こちらの商売としては性善説を前提に行っているだけに悔しさも一入といったところです。

 私のブログは日頃の憂さ晴らしが目的でもありますから,これから先もこの手の人種はどんどんDisっていきます。
 お金を払わない人かお客さんではありませんが,人に労務をさせておいて金を払わない奴は詐欺師だと最近特に思っています。
by HarryTuttle (2012-11-02 11:51) 

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