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給水系統の水質について落とし穴にはまる [含蓄まがいの無用な知識]

 某病院のデイルームに設置されているヤマミズ(富士電機)製のティーサーバーについてはこれまで結構故障が多く,ヤマミズをこき下ろす俺の記事は尻切れとんぼになったままだが,記事が完結しないうちに最近コンプレッサーが焼けてしまい,この先の運用について病院事務方との協議となった。
 しかしまあ,富士電機の給茶機も落ちたもんだ。しばらく前までの俺の認識では最も信頼度が高くて耐久性のあるのが富士電機製だったのだがな。冷水機能を持つティーサーバーの中で冷媒管系統の故障発生はホシザキ製にのみ事例が見受けられ,富士電機や東芝製にはこれまで出くわしたことがないので、今回が初めての遭遇となる。

 使用している機種は既に生産終了品だが、リプレースを促したいためなのかヤマミズのパーツ価格の提示はおっそろしく高い。160Wのコンプレッサーがなんと¥47000(税別)なり。交換修理は確実に10万円を超えることになる。
 使用者もヤマミズの協力会社によるこれまでの修理対応にかなり頭に来ている状況だったので,減価償却が3年前に済んでいることもあり,修理なんかしないでこの際リプレースしちまおう,という結論となった。

 後釜の機種選定については選択肢があまりないので時間はかからなかった。
富士電機製はオミットとして,ホシザキ製はというとここがまた病院の心証がよろしくない。消去法で折っていくと自動的に東芝製となる。正式には販売元である鳳商事ブランドである。

鳳商事URL:http://www.ohtori.com/

 製造は東芝から分離独立した別会社となった。大手電機メーカーは次々と業務用から手を引いていく現況を俺は寂しく思うが富士電機があのていたらくである現状では最後の頼みの綱だ。新会社に期待したい。

 契約が済んで実機が届き,セッティングのために中を開けてみると冷水のタンクは鳳商事製とヤマミズの製品では大変似通った造作である。同じメーカーが製造しているのじゃないかと思えるくらい似ている。なんだか将来に不安を残すがこの機体がくたばる頃には俺もどこかで野垂れ死にしているだろうからもう関係ない。

hpt_360m.jpg


 何せ,状況がリセットされること自体は俺に安堵をもたらす。
ある時期からのティーサーバーが全てそうであるように,この機体も冷水機能は蓄氷式の間接冷却である。
給水配管接続工事を済ませて開栓すると,電磁弁が開いて貯湯タンクに給水が始まる,というのはそれとして冷水タンクへの給水はバケツと漏斗による手動給水である。

 このとき,水はたっぷり入っているにも拘らず機体はいつまで経っても給水不足の表示が消えずに冷水の取出し操作を受け付けないし冷凍機も起動しないので俺は大いに焦った。新品のうちからこんな調子ではこの先俺は一体どんな目に遭わされるんだよ!

 この問題の原因は思いもよらないところにあった。以前,これを俺は記事にしようと思っていたのだがついズルズルとせずじまいだった。これを機会に書いておきたい。

 この病院は院内の給水系統にとんでもない水質の水が供されている。
なんと,機械室に於いて逆浸透膜処理された水だとのことで,透析治療にそのまま使えるくらいの水質であり、とどのつまり純水、精製水である。そんな水質の水が院内中どこの蛇口を捻っても出てくるのだそうだ。いや,やっぱり国の機関というのは豪気と言うか金があるなあと俺は変に感心した。
 俺は物性についてはロクな勉強をしていないので知識がないが,こういうとんでもなく純化された水は時に困った事態を引き起こす。

 逆浸透膜処理された水,というのが純水であるとして,純水というのは電気的には絶縁体であることを諸兄は既にご存知と思う。
 給茶機の冷水タンクで蓄氷用に入れる水はフロートレススイッチによってタンクの水位を感知し、冷凍機を始めとする系統の運転を行うための第一条件がフロートレススイッチがon状態にある,ということなのだな。
 蒸留水の導電率は物凄く低い(絶縁物だからな)ので、この病院での給水だとこれが働かずにタンクの水は満杯であるにも関わらず給水不足のエラーを出し続けて運転されない。

 数年前,俺はこの病院ある別な病棟で冷水タンクの水を院内の保全担当職員が入れ替えた後に冷凍機が起動せずに七転八倒してああでもないこうでもないの試行錯誤に陥り,まるまる一日を潰してしまったことがある。その時の解決はというと,冷水タンクの水を全部抜き,院内の取水箇所に井水があったのでこれを入れたら症状がぴたっと治まって拍子抜けしたことがある。(この時の井水はあくまで間接冷却の蓄氷用であって飲用ではないので問題はない)
 このことを俺は思い出して同じように機械室から井水を汲んできて入れ直したら同じように不具合が治まった。入院患者はとんでもなく上質な水を普段飲んでいることになるわけだが,まさか風呂や便所の水にまでこんな物凄い水質のものが給水されているのだろうか?

 いいような悪いような副産物が一つある。
 今回の機種には標準で活性炭フィルターによる浄水器が給水配管途中に外付けされる濾過器として付属してくるが,こういう水質の施設にあっては無用の長物となる。
 浄水器は要らないからその分値段をまけてくれ,と病院から言われはしないかと俺は内心ヒヤヒヤしていたが幸いそのようなことはなく,俺は付属の浄水器をタダで貰った。貧乏自営業としてはこれを商売ネタにしていずれどこかで小金を稼ぐネタにしようかと、虫のいい皮算用を働かせているのである。
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