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大和冷機製品の困った傾向 [修理屋から見た厨房機材]

ここ数日かかっていた修理というより整備みたいな作業が今日で一段落してちょっとのんびりした気分でいる。
元記事:汎用温調機による代替品修理
記事URLhttp://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2012-06-21

今朝,エレクターから庫内ファンモーターが届いたので午後から残り作業に取りかかり完結した次第。
前回作業は午後6時から取りかかって終了は午前2時頃までというロングマッチであり,それ以前に温調機の仕様もろくすっぽわからないまま試行錯誤した一日があるので合計作業時間を全部精算すると結構な請求費用になってしまうが俺もれっきとした納税者だ。(まだちょっと返済中の滞納分があるけどなw)出したものを取り返すことには余念がない。

 エレクターは既にESX(SEXではないぞw俺はしょっちゅう間違えそうになる)のサポートを大分以前に終了しており,補修パーツの有無については現在,都度問い合わせとのことだ。
 今回手配した庫内ファンモーターは保有パーツのうちの最後の二個だったらしいのでこのパーツについてはこれでおしまい。同形品を汎用メーカーから探すのは結構面倒臭いかもしれないが、そもそもESX自体,生き残りの個体が全国的にもう殆ど残っていないらしく、某国立病院に於いてリプレースの話題も特にないので来れから先の俺は毎度暗中模索の修理を行うことになる。まあ,かかった手間の分だけ金をくれればいいだけの話だが。

 ところで,前回の記事で俺はESXが大和冷機のOEMではないかというようなことを書いたがこれには根拠がある。
 今日,冷却ボックスをばらして庫内ファンモーターを交換しながらあらためて感じたのだが、俺がかねがね感じていた大和の製品の良くない一面がESXにも現れているからだ。
 具体的に言うとそれは内部配線についてだ。大和の製品はワイヤリングのセンスが絶望的にない。冷機器類でホシザキ,三洋電機(現パナソニック)と並べてみても電気系の修理だと大和の場合は結構手間取るケースが多かったように覚えている。

 古い時期の製氷機などでそれは顕著で,ホシザキや三洋がプラグインソケットである箇所が大和冷機だとリード線がハンダあげされていたり絶縁閉端子で接続されていたりで余計な作業時間を食ったことが随分ある。
 加えて,これが本当に困った部分なのだが大和の製品の内部配線は極限的に切り詰められている。国内製品でいうと通常,内部配線というのは修理の際のことを考えてある程度のたるみを持たせてある。パーツに結線してから取付ける際に作業し易いようにとか,配線同士の接続の際には圧着工具が入り易いようにという配慮から敢えて少々のたるみを持たせてあるが、大和の製品はそうなっていないことが多かった。こういう傾向は米国製の機器に結構見られる。

 何せ配線長がギリギリなので,絶縁閉端子で繋がっている箇所などは一旦切り離すと再度繋ぐ場合には配線を足し増しして延長しないと繋がらない。
 配線の足し増しをする,ということは絶縁電線一本について2箇所の接続箇所が生まれる,ということは元々の接続箇所の倍になるということだ。同業者諸兄は既にご存知だと思うが絶縁閉端子で接続した箇所というのは意外と配線スペースを食う。
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 そして,特に旧来の大和の製品はこの配線スペースが物凄く狭いのだ。とにかく電気系については徹頭徹尾ギリギリであちこち絶縁閉端子で繋ぐと束ねた配線がケーシング内に収まり切らず閉口する場面に出くわす。
 そんなわけで俺の場合,一時期,大和冷機製の製氷機をいじる時には配線接続には突き合わせスリーブを多用していた。
monotaro_6887587.jpg

 絶縁閉端子であれば一箇所圧着すれば済むところを突き合わせスリーブの場合は二箇所に増えるわけで,こんなところもわずかながら作業に手間取る原因ではある。

 配線材料そのものにも注文を付けたい。
初期の製氷機に使われていた撚り線は普段扱い馴れていたホシザキの製品あたりに比べると芯線の本数が少なく,太いタイプのもので正確に測ったわけではないが配線自体の外径もわずかに細くなるものだった。数字で表せば恐らく数十分の一ミリ程度の違いなのだろうが圧着作業となると結構この違いが無視できない。絶縁閉端子であれ突き合わせスリーブであれ,被覆を剥いて差し込んだ時の感触はややルーズ気味で,JIS規格品でない圧着ペンチを使ってカシメる時にはいい加減にやると圧着が足らずにスリーブがすっぽ抜ける。
 更に言うと,芯線が少なく,各一本一本は太くということは必然的に配線そのものが固く,しなやかさに欠ける。製氷機の場合は稼働中に絶えず色々な微振動が加わっているので大和の製品の場合は断線故障が起きるケースがあった。多くは絶縁閉端子のカシメ箇所やハンダあげ箇所で、熱や塑性変化の影響であると思われた。20年ほど前,マイコン制御になってからの大和の製氷機はこの粗い配線材料をやめてホシザキや三洋と同じような材料に変わったのでこの手の故障はなくなったが断線障害というのは,特に被覆内の断線というのは本当に修理屋を苦しめるものだ。

 以前,三洋の製品についてケチを付ける記事を書いた。
記事URL:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2012-05-11

製氷機に関しては,それでも大和は三洋の次くらいには金がかかっている。冷媒管系統の信頼度はやはり高く,膨張弁が詰まったりガスが漏れたりする障害の発生確率は物凄く低いし,コンプレッサーの交換作業など数えるほどしか思い出せない。(ホシザキの製品については嫌になるほどやったなあ)

 実は製氷機に関してはホシザキ,三洋,大和と三社並べてみて一番安っぽいのがホシザキ製だと俺は考えている。個々の構成パーツはチープなのだがまとめ方がうまいのと製造段階での品質管理に優れているのがホシザキ製氷機の特徴であり,長所でもあるということか。いい意味で家電製品的とも言える。
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コメント 2

007

詳細な技術記事を拝見し、感動しました。

今電機屋として自営の身です、、、以前は星崎のサービスに居て、電気屋、ビル管理を経て独立です。

星崎在籍中は頼まれて他社製も修理してました、、、ビル管時代は、食洗機やプレハブ冷凍庫、コンビオーブンの簡単な修理なども、、、現在は修理的電気工事?を、、、。

核心ズバリの記事は分かり易く、勉強になります、ありがとうございます。
by 007 (2012-07-30 05:58) 

ちゃちゃ

縦型冷凍庫、冷蔵コールドテーブル、製氷機を発注するので検索していたらここに辿り着きました。
ペンギンか大和か、迷います。大和の冷凍冷蔵庫は既に持っていて故障もなく調子は良いのだけれどサービスマンが変わってしまい波長が合わない。

今後もいろいろな機材の話、お願いします。
by ちゃちゃ (2014-02-28 03:31) 

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