SSブログ

農家でエアコン取付け施工 [日記、雑感]

 一応,厨房機材の修理屋を名乗っている以上はその分野で生計を立てていくのが本筋であって,別分野での稼ぎを公言するのはなんだかばつが悪い気がするのは事実だ。

 しかしまあ諸兄ご存知の通り、外食産業なんていうのはもはやぺんぺん草も生えないクソ市場であって俺の周辺などはドブネズミだとかハエだとかナメクジだとか虱だとかいった類いの生き物だけで構成される生態系の様相を呈しているのである。
 正直なところウンザリする場面が増えつつあるわけだ。飲食店情報の満載された情報誌が毎月2部くらいは頼みもしないのに郵便受けに押し込まれるが毎度読みもしないでゴミ箱に叩き込むことにしている。

 最近,厨房以外のお仕事になんだか救いを見出すのは一服の清涼剤的な働きを俺にもたらしておくことをここで白状しておく。
 本日のメニューは某農家の納屋に運び込まれたハコ車の荷台にどっから見つけてきた中古のエアコンを取付けてほしいとのオファーであり、冷媒管工事機材一式を持ち込んでのお仕事である。昨日は室外機と室内機の取り付け及び配管工事,本日は配線と試運転の二日間にわたる工事である。
 なんでも,主の仰るところによれば収穫された葉もの野菜の一時保管に大変有効なのだそうで,こういう機会をものに出来れば案外俺のしがない商売にも新たな地平が見えてくるのではないかと淡い期待を抱いてるってわけなんだ。

 納屋,と俺は書いたが実態は農機具や重機類の整備工場と言った方が正しい。画像をここで紹介できないのが残念だがでっかいD型ハウスであり天高は優に7メートルくらいある。中にはフォークリフトが2台納まっていて下回りを整備するためのピットまでしつらえられている。
 道具類と言えば各種の溶接機から始まってボール盤に旋盤,掃いて捨てる位うじゃうじゃある電動工具だとかハンドツールのケースを見ればよだれの出そうなハゼットのレンチ類がゴロゴロしていてまあ物凄い。工事用の道具類など持参しなくてもいいくらいだ。

 それはさておき,これら機材を好き勝手に使わせて頂けるのは大変有り難いがその上に、というかここが大事なところだがこういった農家の仕事は大変ギャラがいい。額のことばかりでなく工事が終わったら即金で支払うケースが結構あるのだ。俺のような貧乏自営業にとってはこういうのは大変有り難い。
 どれくらいのギャラかと言うと,つまみ食い専門の横着でへ生狡い厨房屋の依頼で業冷庫の冷媒管修理をするときの倍くらいの労務単価と言えば同業者諸兄にはおよそ察しがつくであろう。
 しかもだ,昼飯に10時と3時の休憩にはお茶とお菓子がついてくる上に帰り際にはお土産までついてくる。これだけの厚遇を享ければそりゃあ張り切りもしようってものじゃないか。俺は奮戦して結構好印象を与えたらしい。

 帰り際にはバルククーラー(搾乳された牛乳の冷却槽)の整備を依頼された。これは来月のおいしいお仕事である。俺は結構儲けさせて頂いて大変恐縮だが少しく気分に翳りが生じてもいる。
農家とか農協の仕事は大変割が良い。他にもそんな分野は色々とあるようだ。

 転じて厨房屋の業界である。
はっきり言って大規模施設とか生産工場の設備保全部署の職員から見て厨房屋のサービスマンなんていうのはその大半がノータリンのワーカー(労務作業員)でしかない。その見え方は大いに正しいのだが業界の薄らバカ共はこの話題になると会社ぐるみ丸ごと目を閉じて耳を塞ぎ「あーあー、聞こえないよー」と白痴ぶりを晒すのが常である。
 
 俺のこれまでの経歴で会ったことのある会社の同僚なり同業者なりで優れた見識を持ち,確かな腕前を持った人たちの多くは現在,厨房屋の業界には既にいない。施設管理であったり工場の工務課みたいな職種にヘッドハンティングされてしまった。自分が優れた技術津車だなどとここでひけらかすつもりは特にないが、何を隠そうこの俺も10数年前にはボイラー技士の資格を取得して某製菓メーカーの工務課勤務に転身する寸前のところまで行ったのだ。俺に声をかけてくださったその製菓メーカーの工務課長の厨房屋という業界に向けられた,幾分の侮蔑を含んだ優越意識を感じさせるコメントを俺は今でも覚えている。それは恐らく一生忘れることがない。こうして自分の守備範囲内で厨房以外の仕事をするとその課長の見え方は決して彼の個人的見解ではないことを実感する。
 繰り返すがそれは,厨房屋の業界人にとっては耳を塞ぎたくなること請け合いのものだ。
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 2

くるみ

良いお仕事、良かったですね(^-^ゞ 確か…以前も農家さん系で、コンテナにエアコンを着けるお仕事ありませんでしたか?記憶が曖昧ですみませんm(__)m定期的に確実なお仕事が保持されると良いですね(^o^)/ 業種は全く違いますが、スナックのホステスさんも今では大分認められてはいますが、やはり酷い言われ方をされますね。中には誇りを持ってプロ意識がある方も!でも同じく少人数かもしれません(+_+)どんなお仕事でも腑に落ちない言われ方は多々ありますね(;_;)
by くるみ (2012-06-04 15:43) 

HarryTuttle

 くるみ様,コメント有り難うございます。
とりとめのないテキストで,我ながら取り留めのない内容です。

 厨房の仕事は儲からないのでこういう方面を開拓しておくのも将来の保険かと思う次第です。
 今回の件については後日談めいた出来事を近いうちにアップする予定です。

 後段のお話については,どんな世界にあっても本当に凄い人は全体のうちの大体15%位だというのが私の見方です。勿論,私がそこに属しているのだ!などというおこがましい言い草をひけらかすつもりはありません。
 ただ,業種によらず,お仕事のクォリティは必ずしも商売上の成功を約束するものではないという苦い教訓はこれまで随分見てきました。
by HarryTuttle (2012-06-05 06:08) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。