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ホシザキ製氷機IM-20L改造機を巡る話(1) [含蓄まがいの無用な知識]

 下に示す画像はホシザキ製氷機IM-20Lを改造したものの背面だ。
07210001.JPG


 この機体は某地方のスナックにあったもので,コンプレッサーが焼損しておりリプレースされる際に放出されたもので,俺は入れ替えの工事に行ったときにパーツ取りにでも使わせてもらおうかという条件で頂いてきたのだ。

 本来であれば中古パーツとして抜き取りを終えた後は産廃物として廃棄されるべきこの個体は何故かこうして改造されて俺の手元にある。その経緯は別の機会に譲るとして,今回は技術論っぽく改造箇所について偉そうな能書きを垂れてみる。

 左下部分についているパーツは遠心式の起動リレーとコンデンサーで、俺のいう改造箇所というのはここを指している。
 コンプレッサーはまだ補用パーツがあり,修繕は利く。冷媒はR-134aでありこれも問題はない。現状この機種で問題なのは始動リレーが補修用パーツとしてはないことで,一般論としてコンプレッサー交換の際には始動機と保護装置は一緒に交換するものなので、起動リレーが調達できないということは修理そのものが成り立たなくなる、ここで書くようなインチキ改造を別にすればの話だが。

 近年の冷凍機は段々単純化されてきて単相コンプレッサーの始動コイル切り離しはPTCサーミスタで行うものが増えてきた。家庭用冷蔵庫に使われているものなどは殆ど全てこれ式ではないかと思うが業務用ではあっても冷凍能力からいえば流用が効く範囲なのでパーツの製造や供給は大手電機メーカーに生殺与奪の権を押さえられている。いかな大ホシザキとは言えどもさすがに自社製品用に半導体を製造するところにまでは至っていない。

 この個体がコンプレッサーを焼損させた敬意について考えてみた。
PTCサーミスタの端子に導通がない,というのがその根本原因というのが俺の所見である。
始動コイルに通電されず,回転磁界の形成がなされないため主コイルだけに流れる電流で発熱がドンドン進んで主コイル焼損と相成った。依ってコンプレッサーはパーになり、同形のPTCサーミスタはもうストックパーツがないので必然的に修理不可能、直接サービス担当者から聞いたわけではないが,これが恐らくホシザキのサービスマンの所見であり,その論旨にはどこにも穴はない。

 恥を忍んで白状するが,ある事情(これはおいおい記事にしておく。大変頭に来るクソ客の所行で俺はこんなわけのわからん改造を迫られたのだ)で俺はこの個体を修理することになり,当初,コンプレッサーの交換だけで済むものとタカをくくっていたのだが,試運転の段になってコンプレッサーが起動せず、大慌てで周辺を点検したときにPTCサーミスタの不良を見落としていたことに気づいたので急遽、改造に踏み切ったというのがことの真相だ。

 対処法としては廃却予定のどうでもいい冷凍機から抜き出してきた遠心分離スイッチをPTCサーミスタの代替品として取付けた。当然だがコンプレッサーの端子にはここが始動コイルの端子ですよ,などというご親切な表記はないので端子間のDCRを測って三つの端子それぞれの役割を割り出さなければならないのが頭の使いどころだ。
 当然ながら遠心分離スイッチはPTCサーミスタに比べると物理的にでかいのでコンプレッサーの端子ケース内には収まらずに外付けとなる。
 
 試運転がうまくいった俺は調子づいた。
抜いてきた中古パーツの中にコンデンサーがあったのでコンプレッサーの周辺回路は変更し,始動用コンデンサーとして組み込むことにした。どうせこの先俺しかいじらない機体なのだからもうやりたい放題の何でもありだ。改造箇所は物理的に肥大化するため背面の配管保護用の外装板は外した。

 後付け始動コンデンサーのご利益は大したもので正確な計測は出来ていないが始動電流は推測で2割減り,モーターに優しい回路となったわけ。堂々たるスペックアップだ。(誰にも褒めてもらえないので侘しく自画自賛する)

 そういうわけでこの機体は見事に蘇生して目下絶好調でバンバン氷を作っている、のだが.・・・

 何故その機体は客先ではなく俺の手元にあるのか?という疑問を諸兄,お持ちではなかろうか。
その経緯は長くなるので別の機会に。現時点でいうとこの修繕及び改造はまるっきり俺の持ち出しで一円の儲けにもなっていない。ここで俺の腹の中にはある種の怒りが沸き起こってくるのである。

しかし,幾ら怒ったところで財布の中身が増えるわけではない。糞ブログにかまけていないで仕事仕事!稼がねば。
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くるみ

もう『修理』とゆうレベルではないですね!! 商品開発にも携われるのでは(^-^)? 凄い事をしたのにそれなりの報酬を得られなそうな感じが腑に落ちないです(ノ-_-)ノ~┻━┻ でも、まだ分かりませんね?
by くるみ (2012-03-31 10:12) 

HarryTuttle

くるみ様,コメント有り難うございます。
 この機体については目下のところ,およそ3万円くらい私の持ち出しです。正直言ってこんな事ならパーツ取りを済ませてどっかに廃却してしまえば良かったと後悔しているのです。
 こんなへんてこりんな修理を余儀なくされた経緯についてはいずれ記事にしますのでよろしければまた読んでください。
by HarryTuttle (2012-04-07 07:49) 

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