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アンダーカウンタータイプの食器洗浄機考(1) [修理屋から見た厨房機材]

 先週,某そば屋さんで行った食器洗浄機の修理のことでしばらくぶりに色々と思うところがあったので書き留めておきたい。

 製造元はホシザキ,型式はJW-40TUCといい,製造年度は1994年だから現時点では約18年の稼働歴となる。随分頑張ったもんだ。
 症状としては洗浄ポンプがくたびれており,メカニカルシールがイカれた。それでケーシングから水漏れが起きているのを放置したまま使い続けているうちにモーターに浸水して絶縁不良となった次第。

 どういうわけだか製造元ではなく俺のところに依頼が来てしまい、ホシザキに断りを入れてから現調となった。
 この型式を触るのは初めてだが,内部構造がひどく入り組んでいて分解には大いに難儀した。後でホシザキのサービスマンと話してわかったことだが社内的にもサービスマン泣かせの機種らしい。
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画像は本文とは関係ありません


 洗浄ポンプを取出すだけでも大いに手間取ったのだがケーシングを分解してみようとしてフランジボルトを緩め始めると錆びて固着したものが2本あり作業は一旦中断した。
 ケーシングの固定はモーターケースに雌ねじを立ててここにフランジボルトがねじ込まれるわけだが,モーターケースはアルミダイキャストで出来ている。
 経験則としては,アルミダイキャストで錆び付いたとか変形したとかいった場合,うまい抜け道はない。今回のケースでは無理なトルクをかけてボルトを緩めようとするとまず間違いなくボルトはねじ切れて雄ねじ部分がモーターケース内に折れ残る。そうなるともう手の打ちようはない。
 トーチでモーターケースを加熱して膨張させれば固着部分が剥離してうまく外れるのではないかと考えたがケーシングは樹脂製であるためモーターケースからの熱伝導で変形する可能性がありこれも選択肢からは排除された。

 従って不本意ながら,状態としてはメカニカルシールの破損であるが洗浄ポンプを一台そっくり交換する方向性で修繕することに使用者の方にはご理解いただいた。
 18年も使ったのだし本当ならばリプレースを検討して頂きたいのだが,数日前のエントリー記事にもあるようにこの使用者の方もそこそこ年配の方であり,この先数年後にはお店を畳むご予定だとのことで俺の役どころは毎度ながらの終末医療専門みたいな様相である。

 繰り返すが,構造はひどく複雑で,修理作業は難航を極める。おまけに同一使用のポンプはもう製造元が生産終了したらしくホシザキからは代用品としての補修パーツが届いたのだが,これが元々の仕様よりも外寸がでかく,何をどうやっても機体のフレーム内に納まらない。仕方がないのでベビーサンダーを持ち出してフレームの一部を切り欠き,どうにかこうにか納めた。修理というよりも改造に近い。

 そのようにして散々難儀しながらも修理は片付いたのだが、年がら年中この機種の修理を行っているホシザキのサービスマンのことを俺は冗談抜きに物凄く尊敬するようになりつつある。(この項続く)
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がん太

楽しく拝見しました。
修理と改造は似て非なる。今は修理=部品交換が主流ですね。

星の定着率が悪いのはそんなとこところが遠因かもしれないと思います。
by がん太 (2012-03-24 12:08) 

HarryTuttle

がん太様 コメント有り難うございます。
>今は修理=部品交換が主流ですね。

仰る通りです。製造、販売する側も使用者も,修理屋=部品の交換作業員のような捉えられ方がますます強まっています。良くも悪くもこれが時代の流れなのでしょう。

かの会社の定着率は今でも良くないのですか。私の住んでいる土地ではここ数年は大きく変わらないメンツで運営されているようなのでこの会社も結構体質が変わって来たのだなあと認識を変えているところなのですが,地域差があるのかもしれませんね。
by HarryTuttle (2012-03-29 09:46) 

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