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ガステーブルについて雑談 [修理屋から見た厨房機材]

 雑用があって元の勤務先に顔を出して油を売っていたときの事。
後任の所長である某氏と雑談しているうちに話題はガステーブルに及んだ。
オザキやコメットカトウといった専業メーカーの製品はさておき,総合機器メーカーの出来映えを同業者視点で論評してみた。

 各社それぞれ圧電着火の内管式,パイロット点火の外管式がある。
実名を出していいものかどうか測りかねているので以下,イニシャルでのみ表記するが諸兄にとっては既に分かりきった話かもしれないし何か厳密に特性を測ってみたわけでもない。あくまで体感的な評価だがおよそこんな性格付けに思えた。

(1)T社の製品は実売価格は物凄く安いが火力はいまひとつ。
(2)M社の製品はT社と大体似たり寄ったりの実売価格で火力で勝るが耐久性に乏しい。
(3)F社の製品は火力,耐久性ともに優れるが実売価格は高い。

FGT90A.jpg
画像は本文と関係ありません。

 製品設計時の想定として,どのくらいの初期性能を持たせてどのくらいの耐久性を見込むかはあらゆる工業製品のスタートラインであるのはいうまでもない。
 俺の勝手な思い込みだがバーナーの発熱量に見合った筐体という何か適正範囲があるはずだ。会社員だった頃に製造部門とこの事であれこれ議論した事があるが,そのバランスについて何か数値化された指針があるかと言うとそんな事はなく,未だにヤマ勘とか手探り,サバ読みで成り立っている製品作りだ。同業他社も大体同じで最適化を突き詰めるといったメーカーなど実はない。

 裸火の熱効率はほぼ35%と考えると発生熱量のうち残り65%は輻射熱や対流としてバーナー周辺にまき散らされる事になる。ガステーブル(ガスレンジも含む)のゴトクと天板とフレームは第一次的にこの65%を受け止めるので大なり小なり歪みや錆が不可避的に発生する。
 つまり無闇と火力のあるバーナーを詰め込めば筐体の骨材や天板はその分劣化の進行が早い。先に上げた3社のそれぞれがどこに重点を置いていてどういった使用者を想定した製造元なのか、という性格付けはこんなところから浮かび上がってくる。

 別の言い方をすればこうだ。
ガステーブルに限らず厨房の機材には明らかにヘビーユーザー向けとライトユーザー向けがある。しかし現実には製造販売している側にも購入する側にも適正な選定がされているかどうかの自覚がなく、市場で稼働している機材には運用目的に叶っていない事がかなり多い。
 俺は営業兼務だった勤め人の頃から事あるたびにこの事を訴え続けているがまともに耳を傾けてくれる事は殆ど全くと言っていいくらいない。機材の購入は全てと言っていいほど購入者の金銭的な事情や感情論で決定されていて製品のスペックが掘り下げて議論される事はまずない。ある意味それは小さいながらも不幸な事だがこの先改善される事もまずなさそうに俺は見ている。 
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くるみ

適材適所(これは人間のみの表現でしょうか?)とゆう事ですね。お安くても業務用なのに火力が弱いのは切ないですね(^^; 家電で申し訳ありませんが最近の炊飯器も高額なのが沢山ありますが やはりどんなご飯が好みかにより選択しなければなく各社によって特徴が全く違うのです。一人暮らしで一升炊きは必要ないし(^^;…何だか的外れなコメントになってしまった気がしますm(__)m
by くるみ (2011-05-27 01:12) 

HarryTuttle

くるみ様,コメント有り難うございます。
適材適所,まさに仰る通りです。本文とは逆の意味で,困った選定をされるのがお料理自慢の奥様がいるご家庭で住宅を新築するときに調理場は業務用の調理機器を使いたいというご希望の方から問い合わせがあったときです。『いい事なんて一つもないから家庭用のシステムキッチンにしてください』と説得するのが大変でした。
by HarryTuttle (2011-06-04 00:17) 

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