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飯一升食べるか! [日記、雑感]

 とある得意先で伺った話を受け売り宜しく書いておく。

 その方は若い頃(今でも俺よりはずっと若い方だが)横浜は山下町のある超名門レストランで長い事勉強されて、その開業して身を立てられた。
 総料理長は香港から招くのがお約束なのだそうだ。俺はずっと田舎住まいが長いので詳しい事情は分からないが中華の調理師は香港出身者が幅を利かせる世界なのだろうか。
 
 中共本土はどうかというと、かの文化大革命が禍根を残してくれたおかげで食文化は無茶苦茶に破壊されてしまったらしい。おおむね本土出身者の調理師は実力を低く見られがちだとの事でギャラも安いし採用に当たっても弾かれる確率が高いのだそうだ。
 しかし,人口が14億もいると実に色々な人がいるらしく、本土出身者である事を誤摩化して日本に渡ってきてあちこちの職場の門を叩く人がいるらしい。

 詳しい方法は忘れたが,海を泳いで渡って香港にたどり着き,そこで調理師としての下働きをしながら数年過ごして市民権を取得した後に日本にやって来る。もう殆ど命がけの経歴ロンダリングだ。
 ところがそのようにしてうまいこと山下町の職場に潜り込んでは来るがうまく広東語が話せないのでお仕事上コミュニケーションが取れなくて現場では弱り、いざ仕事をさせてみるとさっぱり使い物にならないとかなんとかで結局お里がバレてクビというケースはままあるそうだ。(似たような奴は厨房屋の業界で俺の身近にもいるなあ!)

 中国本土から直接人材を紹介してくれるルートもあるのだそうだがかなりギャンブルっぽいらしい。
そのレストランで採用された事のある本土出身者には結構凄い奴がいたのだそうだ。
(ここから先は俺のうろ覚えの聞き書き)その男はさっぱり仕事のできない調理師で,一日中職場の先輩達にに怒鳴られ通しだったにも拘らず忍耐強く出勤し続けてきたとの事だ。そして大して大柄な体格ではないのも関わらずやたらと飯を食った。飯を食う時の勢いたるやそれはそれは物凄い迫力で,これくらいの馬力で仕事に取り組んでくれればと先輩諸兄を嘆息させるほどだったらしい。

 驚くべきはその男の食らう飯の量だ。なんと,一升くらいの飯を一度に食べてしまう。それも飯の度に毎度一升だ。この男は一体どんな腹をしているのか。
 それはいいとしよう。大飯を食ったのなら食ったなりに働くのならまあいい。しかしこの男は飯を食った後の仕事で必ず持ち場を離れて一定時間どこかに行方を眩ますので職場の先輩たちはだんだん腹に据えかねる物を押さえきれなくなってきた。

 あるとき,先輩たちの目を盗んで現場からふけたこの男を職場の先輩の一人が後をつけた。
その男はだんだん歩調を早めて小走りになり,便所に駆け込んだ。しばらくすると便所からは激しい嘔吐の物音が聞こえてきたという。
 その男はせっかく食らった一升分の飯をきれいさっぱりその都度ゲロしていたのだった。『ふざけた野郎だ』といきり立った先輩が便器に顔を突っ込んでゲロゲロしているその男の襟首を捕まえてどやしつけるとその男は平謝りに謝って悲しい身の上話を語り始めたのだそうだ。

 身の上話自体は特に珍しい物ではない。中国本土の貧困層の出身であるその男は白い米の飯を腹一杯食いたい一心で,それこそ徒手空拳の連続,身体を張ったインチキとごまかしの連発でで山下町にたどり着いた。いざ現実に白い飯を目にすると嬉しくて嬉しくて腹が張り裂けるまで食ってくって食いまくりたい欲望が炸裂したらしい。

この話の顛末は忘れた。
とにかく困った奴だw
 出された食べ物を食い散らかして平然としている馬鹿者とどちらがより下品な奴かという比較はさておくとしよう。だから中国人は,とも言わない。何せ14億だ。そりゃいろんな輩がいるだろう。それに中国人に限った話でもない。今はだんだん下火になって来たが焼き肉のバイキングで目を白黒させながら詰め込めるだけ詰め込んでトイレに駆け出す大馬鹿者の姿を見た事だって俺は一度ならずあるぞ。
 飲み放題の宴会でバカ飲みして泥酔する阿呆の醜態とかもな。それこそ辺り構わずゲロの吐きまくりだ。

 何を言いたいのかというと,応分の量も弁えないで浅ましく鯨飲馬食したがる奴というのは卑しく貧しい根性の持ち主な訳だがそれは何も経済的背景に由来するものではないのではないかということだ。
俺のような商売をしているとよくわかるのだが、食べ歩き自慢のアホどもが紹介して回るどんな施設だってバックヤードに回れば残飯が山盛りだし、繁華街の路地裏は至る所ゲロの後だらけだ。浅ましさには特に人種の別があるわけではなく,とどのつまり個人の資質なんだろう。


 

 
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