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能書きの多いラーメン屋にはロクな奴がいない その1 [グルメ気取りのバカを晒す]

 しばらくぶりにラーメン屋の仕事を手がけてみた。 

 店主は職歴の判然としない男だが、相当過剰な自意識の持ち主であるらしいことは辟易するほど分かった。
私は基本的に他人の人生に興味はない。お仕事で知り合う人間関係とはつまり利害関係であって、お仕事とは突き詰めれば単位あたりの時間がどれだけ高価に売れるかの話だと考えている。

 このラーメン屋には冷凍冷蔵庫を一台買って頂いたのだが50数年にわたる人生模様の断片を脈絡もなく微にいり細にわたって聞かされ続けて大いに閉口した。お世話になっている方からのご紹介での商談だったから黙って聞いていたが本当にくだらない時間である。

 大体、現在世の中で呼吸している人類のうち99%はあと100年くらいすると地球上の誰の意識にも存在しない凡人だと私は考えている。当然、自分がそのうちの一人であることは間違いない。私は自分の一代記を出版すればベストセラー間違いなしというほど劇的な人生を歩み、何か物凄いことを成し遂げた人物では全くないので他人様の時間を使って自分の人生模様を際限もなく語る気はない。めいめいの人生時間に於ける経験談などいちいち語ったり聞いたりしていたのではきりがない。人の生活時間は有限であるからして凡人の人生模様を聞くことよりももっと有意義な使い道がいっぱいあるはずだ。
 そういうわけで相手構わず自分の人生模様を聞かせたがる奴などというのは全くもって非常識というかはた迷惑な存在だと常々考えている。

 件の人物は8年ほど以前、数年の間ラーメン屋を営んでいて大変好評だったのだそうだ。そんなに商売がうまくいっていたのなら一体何故閉店してしまったのかと皮肉混じりに尋ねてみたい気もしたが、またしても益体もない身の上話を延々と聞かされそうな気がしたのでそれは控えた。
 
 改めて書いておくが私には特別食べ歩きの趣味などはない。たまたまこういう稼業なので風変わりな食事にありついたり、自分のお金では食べられないような高価なメニューにタダ飯としてありつく機会はある。外食の機会も恐らく平均よりはやや多い方だと思う。20数年料理人さんを相手にお仕事をしてきたので門前の小僧的な知識の断片もそれなりにきっとある。但し所謂食通とか言う人種ではない。
 ラーメン店の主は彼が以前営んでいたお店の存在を私が知らなかったことに対して多少不満そうな表情を浮かべたが、幾ら私がこういう稼業であるからといって飲食店の一軒一軒までいちいちチェックなどしているわけはないじゃないか。アホか。

 彼は自分の作るラーメンがいかに考え抜かれたレシピに則っていていかに周到に仕込まれているかをこれまた際限もなく延々と語って聞かせ、いい加減私はまぶたが重くなってきた。

くだらん話だ。
退屈な話だ。

 ネット上に無数に存在する食べ歩き自慢のバカグルメのひけらかしにしてもそうだが、味などというものは百万言を費やしたところで表現しきれるものではないのだし、そもそも外食などというものは食べてなんぼの世界ではないのか。大体旨いまずいなどというのは結局のところ食べた人の主観であって客観的な評価など下しようもない。
 「能書き垂れる前に食わせてみろよ」と言いそうになるのを我慢しながら退屈な講釈を聞いているふりをするのも結構疲れるものだ。

 やっと本題にはいる。
この人物に限らず、ラーメン屋には能書きの多い奴が多い。(変な言い回しだな)
そして、ラーメンというのは格別歴史的な裏打ちのある食い物ではない。私なりの捉え方ではジャンクフードの一種であり、おやつに毛の生えたようなものだと思っている。だから無価値だとは言わない。ジャンクフードにはジャンクフードなりの存在意義は確かにある。私はラーメンが結構好きだし、実際よく食べてもいる。しかしラーメンの旨いまずいなどということについて口角泡を飛ばして議論する気は全然ない。
 千円札一枚でお釣りの来るような食い物にしかめつらしい論議などしてもしょうがないじゃないかといつも思う。それは実にくだらない時間の過ごし方ではあるまいか。
 だから、雑誌やテレビで取り上げられるラーメン屋の紹介番組みたいなものはくだらないことにムキになる、一種シャレの発露のようなものだとばかり思っていたのだ。

 ところがラーメン店の主の中にはこういうシャレの発露みたいなものを間に受けてなのか、やたらと大仰な能書きを垂れたがる奴が出現してくるのは笑える。

 やれどこそこ産の拘りの塩だとか、何とかイオンの水だとか、本当にくだらない些末なことをいちいち持ち出してはしかめつらしく語りたがる。はっきり言ってバカだ。

(長くなり過ぎそうのなのでこの項初は続く)
 


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コメント 2

kani

たまに、覗いています。
ラーメン屋に限らず、つまらない自己満足にすがっている経営者にはたまに会います。
ただ、そんなやつばかりではなく自分の今の状況をそのときそのときで楽観的に捉えたり、必要以上に悲観的に捉えたりして それなりに悩んで生きているラーメン屋も、友達にいます。
by kani (2007-10-06 21:07) 

HarryTuttle

kani様 コメント有り難うございます。
個人としての関係に於いて内面の発露があるのは大変自然なことであり、そのような友人関係が私にもあります。但しお仕事としては職業人としての能力が第一であって、経歴や個性はそのあとに来るのもののように考えてもいます。

誤解を避けるために申し上げておきますと、ラーメン屋さん全般を誹謗する意図はありません。ラーメン屋さんの主である方々にはやはり十人十色のパーソナリティがおありであって、これまで私がお会いしたりテレビで見たりした中での変に自意識過剰な出たがりや目立ちたがりのことをここでは茶化してみたいのでございます。

拙いブログの御拝読有り難うございました。
 
by HarryTuttle (2007-10-07 00:30) 

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